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65歳未満で発症の「若年性認知症」、リスクを上げる“危険因子”は何か?

 公開日:2026/04/16
65歳未満で発症の「若年性認知症」、リスクを上げる“危険因子”は何か?

ミネソタ大学の研究グループが54万人以上を13.7年間追跡した結果、65歳未満で発症する「若年性認知症」のリスク上昇と関連している“危険因子”の詳細が明らかになりました。この内容について勝木先生に聞きました。

勝木 将人

監修医師
勝木 将人(医師)

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2016年東北大学卒業 / 現在は諏訪日赤に脳外科医、頭痛外来で勤務。 / 専門は頭痛、データサイエンス、AI.

研究グループが発表した内容とは?

編集部

ミネソタ大学の研究グループが発表した内容を教えてください。

勝木 将人先生勝木先生

研究グループは若年性認知症(65歳未満で発症)の危険因子を明らかにするため、英米の大規模コホート(共通の条件を持つ調査対象者の集団)研究5件のデータを統合し、54万人以上を13.7年間追跡しました。その結果、糖尿病、うつ病、喫煙、低学歴、肥満、運動不足、アルコール過剰摂取などが若年性認知症リスクの上昇と独立して関連していることが示されました。さらに、一部の社会的背景を反映する因子も関連しており、人種・運動不足・アルコール摂取を除くほぼすべての危険因子において、晩期性認知症(65歳以上で発症)に比べてより強い関連が認められました。

本研究は、修正可能な危険因子が若年性認知症の発症において重大な関連を示しており、今後若年性認知症を防ぐためにどの危険因子へ優先的にアプローチすべきかを検討するうえで重要な手がかりになると考えられます。

研究テーマになった若年性認知症とは?

編集部

今回の研究テーマに関連する若年性認知症について教えてください。

勝木 将人先生勝木先生

若年性認知症とは、65歳未満で発症する認知症です。働き盛りの世代が罹患するため、仕事の継続が難しくなるなど経済的な負担が大きく、家族や子どもの生活設計にも深刻な影響を及ぼします。原因となる病気はさまざまで、アルツハイマー型認知症が最も多く、血管性認知症や前頭側頭型認知症、レビー小体型認知症などが続きます。また、背景によっては治療可能な病態が隠れていることもあるため、早い段階で専門的な評価を受けることが重要です。

若年性認知症は高齢者の認知症に比べて社会的な認知が十分とはいえず、診断や支援につながるまで時間がかかることもあるため、早期発見・早期対応が大切です。気になる症状があれば、早めに認知症を専門とする医療機関に相談しましょう。

研究内容への見解は?

編集部

ミネソタ大学の研究員らが発表した内容への受け止めを教えてください。

勝木 将人先生勝木先生

今回の研究は、若年性認知症に関連する危険因子を、大規模かつ長期の追跡データを用いて検討した点で意義のある報告だと考えます。特に、糖尿病、うつ病、喫煙、肥満、運動不足といった日常診療の中でも介入を検討しやすい要因が、若年性認知症と独立して関連していた点は重要です。若年性認知症は高齢発症の晩期性認知症に比べて社会的影響が大きく、本人の就労や家庭生活に与える負担も少なくありません。修正可能な因子に注目する意義は大きいと思います。

また、本研究では、いくつかの危険因子が晩期性認知症と比べて若年性認知症でより強く関連していたことが示されており、若年発症には生活習慣や精神・心理的要因、社会的要因がより強く関与している可能性があります。若年性認知症というと、遺伝的な要因やまれな疾患が注目されがちですが、実際には一般的な生活習慣病やメンタルヘルスの問題も無視できません。その意味で本研究は、認知症予防を高齢者だけの課題として捉えるのではなく、中年期以前からの健康管理として考える必要性を示したものと受け止めています。

ただし、このような研究はあくまで「関連を示した」という結果であり、個々の因子が直接的に原因であると単純化しすぎない視点も大切です。今後は、どの因子にどの時期から介入することが最も効果的かを明らかにする研究が進むことを期待しています。

編集部まとめ

若年性認知症は糖尿病、うつ病、喫煙、肥満、運動不足などの修正可能な危険因子とも深く関連しており、日々の食事や運動、禁煙、こころのケアを意識することが、将来の認知症リスクを下げる第一歩になる可能性があります。

この記事の監修医師