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新型「エムポックス」国内で初確認…アフリカ渡航歴の女性感染 “ワクチン接種”で予防可能

 公開日:2025/09/19

厚生労働省によると、令和7年9月、海外渡航歴のある女性から、国内で初めてエムポックスのクレードⅠ系統の感染が確認されました。今回は、エムポックスの最新の感染状況や症状、そして予防策について、本多医師に伺いました。

本多 洋介

監修医師
本多 洋介(Myクリニック本多内科医院)

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群馬大学医学部卒業。その後、伊勢崎市民病院、群馬県立心臓血管センター、済生会横浜市東部病院で循環器内科医として経験を積む。現在は「Myクリニック本多内科医院」院長。日本内科学会総合内科専門医、日本循環器学会専門医、日本心血管インターベンション治療学会専門医。

エムポックスの感染状況

エムポックスの感染状況とは? クレードⅠの感染者が初確認された件について教えてください。

本多 洋介 医師本多先生

令和7年9月16日、神戸市において海外渡航歴のある20代女性が、エムポックスの「クレードⅠb」に感染していたことが確認されました。日本でエムポックスは感染症法に基づく四類感染症に位置付けられており、医師の届け出義務があります。これまで、国内では254例の患者が確認されていますが、クレードⅠ系統の感染は報告されておらず、本件が初めての事例となります。患者はアフリカ渡航歴があり、現地での感染が推定され、発疹や発熱、リンパ節腫脹を呈しましたが、現在は安定した状態にあるとのことです。

エムポックスとは?

エムポックスに感染するとどうなりますか? 症状・感染経路・致死率などについて教えてください。

本多 洋介 医師本多先生

エムポックスは、ポックスウイルス科オルソポックスウイルス属の「エムポックスウイルス」による感染症で、中央アフリカから西アフリカにかけて流行しています。感染はアフリカに生息するリスなどのげっ歯類やサル、ウサギといった動物との接触、あるいは感染した人の皮膚病変や体液、血液との接触によって起こります。患者と至近距離で長時間対面することで飛沫感染する場合や、寝具などを介して広がることもあります。潜伏期は6~13日で、発熱や頭痛、リンパ節の腫れなどが数日続いた後に発疹が出現します。発疹は水疱や膿疱を経てかさぶたとなり、2〜4週間で自然に回復しますが、重症化すると肺炎や脳炎、敗血症などを合併することもあります。 エムポックス感染による致死率については、クレードⅠで1%前後、クレードⅡで0.3%程度と報告されています。感染予防のためには流行地や感染者との接触を避け、体調に異変を感じたらできるだけ早く医療機関に相談しましょう。

エムポックスが国内で確認されたことへの受け止め・予防対策

エムポックスが国内で確認されたことへの受け止め・予防対策を教えてください。

本多 洋介 医師本多先生

エムポックスの予防には、「天然痘ワクチン」が有効とされており、発症を約85%防ぐ効果が報告されています。また、エムポックスは多くの場合、2~4週間で自然に回復します。中央アフリカから西アフリカへの渡航歴があり、発疹や発熱、リンパ節の腫れがみられた場合は、念のため医療機関にご相談ください。エムポックスの感染対策としては、症状のある人との密接な接触や寝具の共有を避け、手指衛生やサージカルマスクの着用を心がけて接触予防策と飛沫予防策を徹底する必要があります。 今回、海外渡航に関連したクレードⅠ系統の感染が国内で初めて確認されましたが、現時点で感染が広がっている兆候はなく、焦る必要はありません。今後の感染状況などをチェックしながら、落ち着いて状況を見守りましょう。

編集部まとめ

エムポックスはアフリカを中心に広がる感染症で、国内でも患者の発生が報告されています。今回、クレードⅠ系統の感染が初めて確認されましたが、感染経路や症状を理解し、予防対策を心がけることが大切です。正しい知識を持ち、冷静に行動して健康を守りましょう。

この記事の監修医師