新型コロナ「第9波」8月下旬までピーク続く見込み AIによる分析結果
名古屋工業大学の研究グループが、人工知能を活用した東京都内の新型コロナウイルスの感染者予測について、お盆期間中の帰省や旅行で人の動きが活発になることで、8月下旬まで「第9波」のピークが続く見込みだと発表しました。この内容について中路医師に伺いました。
監修医師:
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)
研究グループが発表した内容とは?
今回、名古屋工業大学の研究グループが発表した内容について教えてください。
中路先生
今回紹介するのは、名古屋工業大学の研究グループが実施した「人工知能を活用した東京都内の新型コロナウイルスの感染者予測」についての内容です。
研究グループは、新型コロナウイルスの感染症法上の分類が5類となった5月8日以降、定点把握となっている定点観測をもとに、主要駅の滞留人口やSNSの投稿などのデータを分析し、感染者数を算出しました。これによると、都内の感染者の数は5月以降増加傾向を辿っており、8月3日に約1万500人と推計されるなど、感染の第9波に入った可能性を示しています。お盆シーズンによる人の往来の活性化も踏まえて、予測では8月上旬から下旬までの約3週間は都内の新規感染者数は1万人台で推移するとされています。ただし、台風などの影響で旅行や帰省の動きが限定的になれば、8月中旬以降に感染者数は減少に転じるとみられますが、研究グループの平田晃正教授は「流行前の人の動きが戻ってくることで感染者数が高止まりする」と指摘しています。
今回の発表内容の受け止めは?
名古屋工業大学の研究グループが発表した内容についての受け止めを教えてください。
中路先生
現在流行中の第9波のピークを予測できた点で、今回の内容は有用な知見であると考えられます。ただし、今回の解析は実際の全数ではなく定点把握のデータを用いられていることや、AIの思考過程はわからずブラック・ボックスであることなどの限界があり、その解釈にはさらなる検証が必要でしょう。
医療現場のひっ迫具合は?
第9波によって患者数が増える中、SNSなどで医療現場がひっ迫している投稿などもあります。現状の医療現場のひっ迫具合について教えてください。
中路先生
実際の医療現場では、まだまだピークは過ぎておらず、ひっ迫している印象です。また、湿度が60%以上になると新型コロナウイルスの活動が活発になるという報告もあり、今年の夏は多湿であるため人の移動以外に季節性の要因も関係しているかもしれません。
まとめ
名古屋工業大学の研究グループが、人工知能を活用した東京都内の新型コロナウイルスの感染者予測について、お盆期間中の帰省や旅行で人の動きが活発になることで、8月下旬まで「第9波」のピークが続く見込みだと発表したことが今回のニュースでわかりました。こうしたAIによる予測は、今後も話題になりそうです。