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50代女性の38.3%が更年期障害の可能性 厚生労働省が発表

 更新日:2023/03/27
50代女性の38.3%が更年期障害の可能性

厚生労働省は、全国の20~64歳の男女計5000人に対して更年期症状に関する意識調査を実施し、「50代女性の38.3%が更年期障害の可能性がある」との結果を公表しました。このニュースについて前田先生にお話を伺います。

前田 裕斗 医師

監修医師
前田 裕斗 医師

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東京大学医学部医学科卒業。その後、川崎市立川崎病院臨床研修医、神戸市立医療センター中央市民病院産婦人科、国立成育医療研究センター産科フェローを経て、2021年より東京医科歯科大学医学部国際健康推進医学分野進学。日本産科婦人科学会産婦人科専門医。

厚生労働省が発表した内容とは?

今回、厚生労働省が発表した内容について教えてください。

前田 裕斗 医師前田先生

今回の調査は厚生労働省が2022年3月に実施したものです。全国の20~64歳の男女計5000人を対象に、更年期症状に当てはまると考えるかどうかについての回答を求めました。その結果、更年期障害の可能性があると考える割合は、女性では40代で28.3%、50代で38.3%となりました。一方、男性では40代で8.2%、50代で14.3%と女性より低い割合になりました。

医療機関への受診で、実際に更年期障害と診断された割合を調べると、女性は40代で3.6%、50代で9.1%だったのに対して、男性は40代で1.5%、50代で1.7%でした。更年期症状を自覚する人が日常生活への影響の程度を尋ねた結果、「とてもある」「かなりある」「少しある」を合わせた割合は、女性では40代で33.9%、50代で27.1%となりました。男性では40代で30.6%、50代で25.1%でした。

更年期障害とは?

今回の調査対象になった更年期障害について教えてください。

前田 裕斗 医師前田先生

40歳を過ぎた頃から見られる、体調不良や情緒不安定などの症状をまとめて更年期障害と呼びます。自律神経失調症と同じような症状が現れ、動悸や息切れ、異常な発汗、のぼせ、火照り、血圧が上下する、耳鳴り、頭痛やめまいなどといった身体的な症状のほか、精神的な症状としてはイライラ、不安感、うつ、不眠などがあります。更年期障害の治療には、ホルモン剤などの薬物治療や漢方療法などがあります。更年期障害は女性だけでなく男性にも起きるもので、女性の更年期が閉経後5年ほどで症状が落ち着くのに対して、男性は40歳代以降いつでも症状が出る可能性があり、症状が出る期間も終わりがないとされています。

発表内容への受け止めは?

今回、厚生労働省が発表した内容についての受け止めを教えてください。

前田 裕斗 医師前田先生

今回の結果を見て、男女ともに「更年期障害の可能性がある」と考える人たちと、実際に医療機関を受診する人たちの差に課題を感じます。更年期障害は生命に関わる病態ではないことや、疲れやすい、頭痛、イライラなど分かりにくい症状が多いことから、「これぐらいで病院にかかるのは申し訳ない、我慢しよう」と考える人が多いとされています。

しかし実際には、更年期症状を改善するだけで大きく生活の質が改善することは少なくありません。漢方薬やホルモン補充療法などの薬剤だけでなく、カウンセリングなど様々な治療法があります。この発表を受けて最もお伝えしたいことは「更年期症状は改善できる。ポジティブに捉えることができる。」ということです。加齢に伴って体力が落ち、できることが少なくなるのは仕方ありません。しかし、その中でも困った症状を改善するため利用できる方法は複数ありますし、更年期を今後の人生を見直すいい機会と捉え、生活習慣を見直すことによって健康になる人もいます。更年期を理由に様々なことを諦める前に、自分の身体のことを知って、できることから始めてみませんか。更年期に悩んでいる人は大勢いる、できることもたくさんある。今回の発表は、そのことを知ってもらういい機会になるのではないかと期待しています。

まとめ

厚生労働省が全国の20~64歳の男女計5000人に対して更年期症状に関する意識調査を実施したところ、50代女性の38.3%が更年期障害の可能性があるとの結果が出たことが今回のニュースでわかりました。更年期障害に悩む人は少なくないことから、実態の把握が進むことに期待が集まります。

この記事の監修医師