【国内研究グループが発表】ワクチン接種から3か月後の抗体の量や強さについて
喫煙者や高齢者は、それ以外の人と比べて新型コロナワクチンの接種後の抗体価(抗体の量や強さ)が低いことを研究グループが発表しました。今回の発表について中島先生に詳しくお伺いします。
監修医師:
中島 由美 医師
調査方法について
今回、発表された研究における調査方法について詳しく教えてください。
中島先生
国立病院機構宇都宮病院呼吸器・アレルギー内科の杉山公美弥氏らの研究グループは、ファイザー製ワクチンの2回目接種後の同院職員を対象に、新型コロナウイルスの抗体価を調べました。対象年齢は50~60歳です。
6例の抗体価を調べたところ、2回目接種から2週間後の抗体価の中央値が2140U/ml、3か月後には3~5分の1にまで低下しました。さらに、6例中2例では220U/mlと10分の1ほどにまで低下しました。
この結果を踏まえ、生活習慣や慢性疾患が抗体価に及ぼす影響を検証しています。対象は、今回の調査対象の6例に加え、2021年2~3月に2回目のワクチン接種を完了した32~54歳の378例です。2回目のワクチン接種から、3か月後の新型コロナウイルスに対する抗体価を測定すると共に、生活習慣病や喫煙、既往歴などの聞き取りを行う調査です。
調査の結果
今回の研究の調査結果について、詳しく教えてください。
中島先生
新型コロナウイルスの抗体価を年代別に調査したところ、60~70歳代の抗体価は20歳代の半分程度となりました。このことから、抗体価と年齢には強い相関があると考えられます。また、男性よりも女性の方が抗体価が高い傾向があるものの、顕著な差はみられませんでした。
また、喫煙も抗体価に影響を及ぼすことがわかっています。喫煙者の抗体価の中央値が528U/mLである一方で、非喫煙者の中央値は825U/mLでした。研究グループは「ワクチン接種直後の抗体価には年齢と性、飲酒が関連しているとの報告があるが、今回の研究では接種から3か月後の抗体価に年齢と喫煙が関連していることがわかった」としています。
まとめ
新型コロナワクチンの効果については、さまざまな研究機関が研究を続けています。今回の発表では、高齢、喫煙者が2回目接種から3か月後の抗体価が低いことがわかりました。ワクチンの効果が100%ではないことは事前にわかっていることですが、高齢者や喫煙者はワクチン接種後も感染症対策についてより一層の注意が必要といえるでしょう。