新型コロナウイルスの変異型の重症化率5.5%、従来型よりも重症化しやすいか!?
国立感染症研究所などの研究チームは、従来型の新型コロナウイルスと比べて感染力が強いとされる変異型の重症化率を調査しました。その結果、従来型よりも重症化率が高い事実が判明しています。今回は、変異型の重症化率について中島先生に詳しくお伺いします。
監修医師:
中島 由美 医師
目次 -INDEX-
今回の発表の詳細は?
新型コロナウイルスの変異型の重症化率について、詳しく教えください。
中島先生
調査の対象者は、昨年12月22日から今年3月9日の間に「N501Y」という変異が起きた英国型などの新型コロナウイルスに感染し、入院した患者110人です。人工呼吸器の使用が必要になるなど重症化した患者数は死者を含めて6人(5.5%)と、従来型の1.6%よりも高い結果となりました。
ただし、研究チームは「調査対象が限定的なため、従来型と比べて本当に重症化しやすいかどうか結論を出すことは困難」としています。
今回の調査対象となった新型コロナウイルスの「N501Y」の変異を持つのは英国型、南アフリカ型、ブラジル型などです。重症者全員が英国型であり、かつ調査対象の95%を占めていました。
そもそも変異型とは?
新型コロナウイルスの変異型は変異株とも呼ばれていますが、そもそもどのようなウイルスなのでしょうか。
中島先生
変異株における「変異」とは、ウイルスの遺伝子情報の変化のことです。ウイルスは、流行する中で変異を繰り返しており、時には感染力が上がったり重症化させやすくなったりします。今回の調査対象となった「N501Y」の変異が起きた新型コロナウイルスには、英国型、南アフリカ型、ブラジル型があり、中でも英国型は感染力が強く、重症化しやすいとされています。
また、南アフリカ型はワクチンの有効性が低いなど、変異型は従来型と比べてワクチンの有効性が低いことが指摘されています。
そのほか、「E484K」という変異が起きた新型コロナウイルスも発見されており、早急に感染力や重症化リスクなどの調査が急がれています。また、ワクチンの効果を低下させる可能性があるとのことですので注意が必要です。
まとめ
「N501Y」という変異がある新型コロナウイルスは、従来型と比べて重症化率が高いことがわかりました。ただし、調査対象が限定的なため、従来型よりも重症化しやすいことを決定づけるには、今後さらなる調査が必要とされています。変異型は新型コロナウイルスの感染拡大において懸念すべき存在のため、今後の調査にも注目したいところでしょう。