スウェーデン式新型コロナ対策、責任者「改善の余地」認める
他国の新型コロナ対策とは異なり、あえてロックダウン(都市封鎖)や自粛要請策を積極的におこなってこなかったのが、北欧に位置するスウェーデンの戦略だ。しかし、その疫学責任者アンデルス・テグネル博士は5月3日、「私たちがスウェーデンでやってきたことには、明らかに改善の余地があると思う」と語った。
世界でトップクラスの死亡率
いわゆる「スウェーデン式」新型コロナ対策とは、ソーシャル・ディスタンスの確保や衛生の徹底をしつつ、経済活動も認めていこうというもの。まさに今、我々日本人が取り組む「ニューノーマル(新しい生活の在り方)」を、感染拡大の初期から実行していた。その結果かどうかは検証が待たれるもの、現在のスウェーデンにおける新型コロナウイルスの死亡率は、10万人あたり43人。日本の0.7人と比べ、批判の矛先が向けられてもおかしくはない状況だ。
いまだ「正解」は見いだせない現状
そうしたなか、テグネル博士は、「スウェーデンのコロナ戦略は全般的に良好」としたうえで、「今後、各国での都市封鎖の緩和に伴い(方向性が)明確になるかもしれない」と話した。いわば、「スウェーデン式」よりも好ましい方法があったことを認めた形だ。スウェーデンのロベーン首相も、「全般的なコロナ対策は適切だった」としつつ、福祉施設での感染をくいとめられなかったとコメントした。
「1つの解」を性急に求めることの危険性
いまだ新型コロナの正体は見極められていない。その一方、「子どもは重篤化しにくいから、通学を再開すべき」「15分以内の会話は“密”としない」といった、「スウェーデン式」的な発想が国内でも散見される。まるで図形の“三角すい” のように、一方から見れば「三角」、他方から見れば「丸」、そんな部分的な見方が軽々になされていないだろうか。新型コロナの正体と同様、「ニューノーマル」の見極めも、慎重に進める必要がある。