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介護費用の自己負担割合はどう決まる?支給限度額、軽減制度も解説

 公開日:2025/12/25
介護費用の自己負担割合はどう決まる?支給限度額、軽減制度も解説

介護サービスの利用に際しては、費用の一部を自己負担する仕組みになっています。自己負担割合はすべての方が同じではなく、所得や世帯の状況によって異なります。また、要介護認定の区分やサービスの種類によっても、利用限度額や支給範囲が変わります。本記事では、介護保険制度における自己負担割合の決まり方や、負担を軽減できる制度について解説します。

小田村 悠希

監修社会福祉士
小田村 悠希(社会福祉士)

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・資格:社会福祉士、研修認定精神保健福祉士、介護福祉士、福祉住環境コーディネーター2級
・経歴:博士(保健福祉学)
これまで知的障がい者グループホームや住宅型有料老人ホーム、精神科病院での実務に携わる。現在は障がい者支援施設での直接支援業務に従事している。

介護費用の自己負担割合の判定基準

介護費用の自己負担割合の判定基準

介護保険の自己負担割合は、年齢や所得、世帯構成などの条件によって異なります。ここでは、判定のタイミングや基準を具体的に確認していきましょう。

介護保険の自己負担割合はいつ・どのように決まりますか?

介護保険の自己負担割合は、原則として毎年8月1日に見直され、適用されます。市区町村は、65歳以上の第1号被保険者の前年(適用開始の前々年1月1日~12月31日)の合計所得金額や世帯の課税状況をもとに負担割合を判定し、その結果を介護保険負担割合証で通知します。この負担割合証は、介護サービス利用時に必ず施設や事業所に提示が必要であり、事業所はこの情報をもとに利用者の自己負担額を算出します。

所得などによって負担割合が変わることはありますか?

はい、所得や世帯の課税状況によって自己負担割合は変わります。自己負担の割合は1割、2割、または3割の3段階で、40歳から64歳までの第2号被保険者は所得にかかわらず一律1割ですが、65歳以上の第1号被保険者は所得水準に応じて2割または3割負担が適用されます。負担割合の判定は、本人の所得だけでなく、同一世帯の65歳以上の被保険者の収入や課税状況も考慮されます。特に2割・3割負担の判定においては、夫婦で介護保険を利用している場合は、合算した世帯全体の所得によって判断されるため注意が必要です。

介護保険の支給限度額と自己負担の目安

介護保険サービスには、利用できる金額の上限が定められています。上限を超えた分は全額自己負担になるため、あらかじめ支給限度額(区分支給限度基準額)を理解しておくことが大切です。本章では、仕組みと費用の目安を解説します。

介護保険の支給限度額(区分支給限度基準額)とは何ですか?

支給限度額とは、介護保険で給付される介護サービス費の上限額を指します。要介護度ごとに厚生労働省が基準を設けており、その範囲内であれば、自己負担は1〜3割で済みます。限度額は月単位で設定され、例えば要介護1なら約16万円、要介護5では約36万円が目安です。限度額の範囲内であれば、訪問介護やデイサービスなど複数の居宅サービスを組み合わせて利用できます。

居宅サービスと施設サービスの支給限度額は異なりますか?

異なります。居宅(在宅)サービスには要介護度ごとに区分支給限度基準額が設定されていますが、介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)などの施設サービスは、原則として限度額の概念がありません。施設介護では、介護費用のほかに居住費や食費がかかり、これらは自己負担となります。そのため、在宅介護よりも費用が高くなる傾向があります。

限度額を超えた場合、超過分は全額自己負担になりますか?

はい。支給限度額を超えて利用したサービス分については、介護保険の給付対象外となり、超過分は全額自己負担となります。そのため、ケアマネジャー(介護支援専門員)が作成するケアプランでは、限度額内に収まるように調整が行われます。ただし、福祉用具購入費や住宅改修費など、一部のサービスは別枠で支給される仕組みがあり、これらは限度額の計算に含まれません。

要介護度別の月額上限や費用の目安を教えてください

要介護度が上がるほど、支給限度額も高く設定されています。例えば、要支援1は約5万円、要支援2は約10万円、要介護1で約16万円、要介護3では約27万円、要介護5になると約36万円が上限の目安です。自己負担割合が1割の場合、利用者負担はおおむね5,000円〜3万6,000円程度です。実際の利用料は、サービスの種類や回数、地域区分によって多少変動します。

介護費用の自己負担を軽減できる制度

介護費用の自己負担を軽減できる制度

介護サービスの利用が長期化すると、自己負担額が大きくなることがあります。こうした経済的負担を抑えるために、介護保険にはいくつかの負担軽減制度が設けられています。本章では代表的な3つの制度を紹介します。

高額介護サービス費支給制度とはどのような仕組みですか?

高額介護サービス費支給制度は、1ヶ月に支払った介護サービスの自己負担額が、所得区分に応じた上限額を超えた場合に、その超過分が払い戻される仕組みです。上限額は世帯の所得や課税状況によって細かく異なり、例えば住民税課税世帯では月額44,400円が多数派の上限ですが、非課税世帯ではさらに低い24,600円や15,000円などが適用されます。制度の利用には市区町村の窓口での申請が必要で、初回申請後に払い戻しが始まり、継続利用する場合はその後自動的に適用されるケースが多くあります。

高額医療・高額介護合算制度が利用できる条件を教えてください

この制度は、医療保険と介護保険の両方を利用している世帯の負担を軽減するためのものです。1年間(毎年8月1日〜翌年7月31日)に支払った医療費と介護費の自己負担額の合計が、所得区分に応じた上限額を超えた場合に、超過分が払い戻されます。対象となるのは同一世帯内の被保険者全員の合算額であり、医療保険の高額療養費制度と併用できます。申請先は、原則として基準日(7月31日)時点で加入している医療保険者(国民健康保険、協会けんぽ、共済組合など)ですが、申請には介護保険者である市区町村が発行する自己負担額証明書が必要です。この制度は高齢者世帯の経済的負担を軽くする有効な制度です。

住民税非課税世帯や生活保護受給者は軽減措置の対象となりますか?

はい、対象となります。住民税非課税世帯や生活保護を受給している低所得者の方は、介護保険の自己負担割合が原則1割に設定される優遇措置があるほか、施設サービスを利用する際の居住費や食費の負担を軽減する特定入所者介護サービス費(介護保険負担限度額認定制度)を利用できます。この認定を受けると、施設介護における居住費と食費の自己負担上限額が所得区分に応じて大幅に引き下げられます。申請は市区町村の介護保険担当窓口で行い、所得や資産の状況に応じて収入証明書や課税証明書などの提出が求められます。

在宅介護・施設介護の費用と自己負担の違い

介護費用は、在宅で介護を受けるか、施設に入所するかによって大きく異なります。それぞれの特徴や自己負担の内訳を理解しておくことで、家計計画や制度活用の判断がしやすくなります。

在宅介護の費用内訳を教えてください

在宅介護(居宅サービス)では、訪問介護(ホームヘルプ)やデイサービス、訪問看護などを組み合わせて利用します。自己負担は所得に応じて原則1〜3割です。月額の自己負担額は、要介護1でおよそ1.5万〜2万円、要介護5で3万〜4万円が目安です。これに加えて、おむつ代や介護用品代、食費などの実費負担が発生する場合があります。ケアマネジャーが作成するケアプランにより、費用の調整が可能です。

特別養護老人ホームと有料老人ホームでは費用に差がありますか?

はい、両者には大きな差があります。特別養護老人ホーム(特養)は公的施設のため、介護費用の自己負担割合は1〜3割で済み、居住費、食費、介護費を合わせた月額費用はおおむね8万〜15万円程度が目安です。一方、有料老人ホームは民間運営のため、入居一時金や管理費、食費などが加わり、月額15万〜30万円以上になることもあります。特に介護付き有料老人ホームでは介護費用が月額定額に含まれていることが多いですが、住宅型有料老人ホームでは、別途外部の介護サービス(1〜3割負担)を利用するため、施設の種別や立地、部屋のタイプによって総費用が大きく変動します。

編集部まとめ

介護費用の自己負担は、所得や要介護度、利用するサービスの種類によって大きく変わります。公的介護保険制度では、上限額や軽減措置が設けられており、うまく活用すれば経済的な負担を抑えることが可能です。特に、高額介護サービス費や負担限度額認定制度などは、長期介護を支えるうえで重要な仕組みです。将来的な介護に備え、制度の内容を早めに理解しておくことが安心感につながります。

この記事の監修社会福祉士