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介護用車椅子の選び方と種類|介助式・自走式・電動の違いとレンタル利用のポイントを解説

 公開日:2025/12/24
介護用車椅子の選び方と種類|介助式・自走式・電動の違いとレンタル利用のポイントを解説

介護用車椅子は、利用者の身体状況や生活環境に合わせて選ぶことが大切です。介護用車椅子には介助式や自走式、電動式などさまざまなタイプがあり、それぞれに特徴やメリットがあります。正しい知識を持つことで、使用者本人も介助者も快適に使用できます。
この記事では、介護用車椅子の主な種類や選び方のポイント、介護保険を活用したレンタル方法までを解説します。快適で安全性が高い移動を支えるために、適切な車椅子を選びましょう。

小田村 悠希

監修社会福祉士
小田村 悠希(社会福祉士)

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・資格:社会福祉士、研修認定精神保健福祉士、介護福祉士、福祉住環境コーディネーター2級
・経歴:博士(保健福祉学)
これまで知的障がい者グループホームや住宅型有料老人ホーム、精神科病院での実務に携わる。現在は障がい者支援施設での直接支援業務に従事している。

介護用車椅子の種類

介護用車椅子の種類

介護用車椅子は、使用者の身体状況や生活スタイルに合わせて選べるさまざまなタイプがあります。本章では、代表的な自走式、介助式、電動式の特徴と、それぞれがどのような方に向いているのかを解説します。

介護用車椅子にはどのような種類がありますか?

介護用車椅子には、主に自走式、介助式、電動式の3タイプがあります。自走式は利用者自身がハンドリムを操作して移動できるタイプ、介助式は介護者が後ろから押して移動をサポートするタイプです。電動式はモーター搭載で、力を使わず快適に走行できます。また、リクライニング機能やティルト機能により姿勢を維持・変換し、長時間座っていても身体への負担を軽減できる座位変換形の車椅子もあります。これは、自走用と介助用の両方で選択が可能であり、利用者の身体状況や生活シーンに合わせて細かく選択できます。

介助式と自走式の違いを教えてください

自走式車椅子は、後輪が大きく設計されており、利用者が自分でハンドリムを回して走行できます。自立した移動を希望する方や、上肢に力がある方に向いています。一方、介助式は後輪が小さく、軽量でコンパクトな構造が特徴です。主に介助者が押して使用するため、外出や通院など介助中心のシーンに適しています。どちらも折りたたみ機能やクッション性の高い座面など、利用者と介助者双方の負担を軽減する工夫がされています。

電動車椅子はどのような方に向いていますか?

電動車椅子は、上肢の力が弱い方や長距離の移動が負担になる方におすすめです。操作レバーで簡単に走行できるため、屋内外を問わず快適に利用できます。特に、介助者がいない時間帯でも自立した移動をサポートできるのが大きな利点です。最近では軽量で持ち運びやすいタイプや、折りたたみ可能なモデルも登場しています。価格や重量、バッテリーの持続時間、レンタル対応の有無などもチェックし、利用者の生活スタイルに合った一台を選びましょう。

介護用車椅子を選ぶときのポイント

介護用車椅子を選ぶ際は、使用者の身体状況や生活スタイルに合った機能を見極めることが大切です。本章では、安全性を高めて快適に使うためのチェックポイントを解説します。

介護用車椅子を選ぶときに重視すべき機能は何ですか?

介護用車椅子を選ぶ際は、移動のしやすさ、安全性、快適性の3点を重視しましょう。ブレーキやタイヤの操作性、座面や背もたれのクッション性、フットサポートの角度調整などがポイントです。特に介助者が使用する場合は、軽量設計や折りたたみ機能があると持ち運びや収納がスムーズです。使用者の身体状況や利用シーン(室内中心か外出が多いかなど)を踏まえて、必要な機能を確認しましょう。

使用者の体格やサイズはどのように確認すればよいですか?

車椅子のサイズは、使用者の体格に合わせて選びましょう。座面の幅は、お尻の最も広い幅(座位臀幅)に3~5cm程度のゆとりを持たせるのが目安です。座面の高さは、足こぎで自走する場合は足裏がしっかり床につく程度(低すぎると姿勢が崩れる原因にもなるため注意)に調整し、フットサポートを使用する場合は、膝裏が圧迫されないように調整します。背もたれやフットレストの位置も重要で、体格に合わないと移動中の安定性や快適性が損なわれます。購入やレンタル時には、福祉用具専門相談員やケアマネジャーに相談するとよいでしょう。

軽量タイプやコンパクトタイプのメリット・デメリットを教えてください。

軽量タイプやコンパクトタイプの車椅子は、折りたたみや持ち運びがしやすく、介助者の負担を軽減できる点が大きなメリットです。特に外出や車での移動が多い方には便利です。一方で、軽量化のためにフレームが細く安定性がやや劣る場合があります。また、クッション性や座り心地が標準タイプより簡素なこともあるため、使用時間が長い場合は注意が必要です。利用目的に応じて、室内用、外出用など用途を分けて選ぶとよいでしょう。

クッションやフットサポートなどの付属品は必要ですか?

クッションやフットサポートは、長時間快適に座るために欠かせない付属品です。クッションは座面の圧力を分散し、褥瘡(じょくそう)を防ぐ効果があります。フットサポートは脚の位置を安定させ、姿勢の崩れや疲労を軽減します。また、肘掛け(アームレスト)や跳ね上げ式フットレストなど、移乗をスムーズにする装備もおすすめです。利用者の身体状況や使用シーンに合わせて必要なパーツを追加することで、より安全性を高め快適な環境を整えられます。

介護用車椅子の購入・レンタルと介護保険の利用

介護用車椅子の購入・レンタルと介護保険の利用

介護用車椅子は、原則として介護保険を利用してのレンタル(福祉用具貸与)が可能です。購入は基本的に介護保険の給付対象外となります。本章では、レンタル利用の仕組みや手続きの流れ、対象外となるケースを解説します。

介護保険で車椅子をレンタルすることはできますか?

介護保険を利用すれば車椅子を1割〜3割の自己負担でレンタルできます。要介護認定(要介護2以上)を受けた方が対象で、福祉用具貸与サービスとして利用可能です。電動車椅子や自走式、介助式など、状況に合わせたタイプを選べる点が魅力です。レンタルには故障時の修理対応や交換も含まれており、メンテナンスの手間を軽減できます。短期利用や一時的なリハビリ期間にも適しており、コストを抑えて快適な移動を実現できます。

介護保険を利用するにはどのような手続きが必要か教えてください

介護保険を利用して車椅子をレンタルするには、まず市区町村の窓口で要介護認定の申請を行います。認定結果が出た後、担当のケアマネジャーがケアプランを作成し、その内容に基づいて福祉用具専門相談員が適切な車椅子を提案します。利用者や家族が内容を確認したうえで、介護用品レンタル業者と契約を結び、レンタルを開始します。契約内容や自己負担割合、レンタル期間などを事前にしっかり確認しておくことで、不安なく制度を活用できます。

車椅子のレンタルが介護保険の対象外となるケースはありますか?

要支援1・2や要介護1と判定された方は、原則として車椅子レンタルの対象外です。ただし、医師やケアマネジャーの意見書によって、身体状況に応じた例外給付が認められる場合もあります。また、介護保険の対象は日常生活用の車椅子に限られ、スポーツ用や特注タイプは対象外です。介護保険が適用されない場合でも、自治体の補助制度や非課税価格での購入を検討することで、負担を軽減できる場合があります。

介護用車椅子を使う際の注意点

介護用車椅子を不安なく使うためには、乗降や移乗時の介助方法、走行中の姿勢、日常的な点検など、いくつかの注意点を押さえておく必要があります。本章では、実際の使用シーンで気をつけたいポイントを紹介します。

乗降や移乗の際に注意すべき点はありますか?

乗降や移乗の際は、ブレーキをしっかり固定し、車椅子が動かない状態で行うことが大切です。フットサポートやフットレストを跳ね上げて足元を広く確保し、つまずきを防ぎましょう。移乗の際は、利用者の身体を前傾させ、介助者は腰を落として支える姿勢を取ると安全性が高まります。段差や傾斜がある場所では、介助者が背面側から安定を保ちつつ、ゆっくり動作することが転倒防止のポイントです。

介護用車椅子を長く使うためのメンテナンス方法を教えてください

長く使うためには、定期的な点検と清掃が欠かせません。タイヤの空気圧やブレーキの効き具合、ネジのゆるみを月1回程度チェックしましょう。シートやクッションは汚れやカビが発生しやすいため、こまめに拭き取りや洗濯を行います。また、特に屋外利用が多い場合は、砂やホコリが車輪や軸に溜まりやすいため、やわらかいブラシなどで清掃するのが効果的です。定期的に販売店やレンタル業者のメンテナンスサービスを利用するのもおすすめです。

坂道や段差で転倒のリスクを抑えながら走行するポイントはありますか?

坂道や段差では、スピードを控えめにし、必ずブレーキ操作を確認してから走行します。下り坂では、スピードを控えめにし、必ず介助ブレーキをかけながら走行します。後ろ向きで下りる方法は、利用者が前のめりになるのを防ぎ、安心感を与える一方で、介助者は視界の確保に注意が必要です。前向きで下りる場合は、利用者の上体が安定するように声をかけ、介助者は細かくブレーキ操作を行いながらゆっくりと進みます。上り坂では、前輪が浮き上がらないように利用者の身体を前傾させることを促し、介助者は体全体を使って押すことが重要です。また、車輪やタイヤの摩耗、空気圧不足も転倒の原因になるため、定期的な点検を心がけましょう。環境に合わせた慎重な走行が、事故を防ぐ有効な方法です。

編集部まとめ

介護用車椅子は、利用者の身体状況や生活環境、使用シーンに合ったものを選ぶことで、移動の自由と安全性を確保できる重要な福祉用具です。自走式や介助式、電動式などの種類ごとに特徴を理解し、使用目的に応じて適切な車椅子を選ぶことが大切です。また、介護保険のレンタル制度を活用すれば、費用負担を抑えながら快適に利用できます。正しい使い方と日常のメンテナンスを心がけ、長く効果的に使用しましょう。

この記事の監修社会福祉士