介護の三大介助とは?食事・入浴・排泄の介助方法と注意点を解説します

介護を行う際、基本かつ重要とされるのが介護の“三大介助”です。
三大介助は食事と入浴、排泄に関わる身体介助の基本であり、介護士が毎日行う必須の業務とされています。
三大介助の重要性や介助内容を具体的にイメージしておくと、自宅での介護にも役立つでしょう。
本記事では介護の三大介助について以下の点を中心に紹介します。
- 介護の三大介助とは
- 三大介助の目的
- 三大介助を行う際の注意点
ぜひ最後までお読みください。

監修作業療法士:
稲木 康平(作業療法士)
経歴:回復期病棟で約9年ほど、患者様やご家族様のニーズに合わせたリハビリテーションを実施する。また、数多くの患者様に対して、退院後に快適な生活を過ごされるための自宅の環境調整や、介護サービスの提案、家族指導も行ってきた。
資格:作業療法士免許、医療経営士3級
目次 -INDEX-
介護の三大介助の基礎知識

三大介助とは何ですか?
三大介助の内容は以下のとおりです。
・食事介助:食べる動作や姿勢を支え、誤嚥を防ぎながら食事を支援
・入浴介助:身体の清潔を保つため、入浴時の動作を補助する
・排泄介助:トイレ動作や排泄後の処理を安全に行うための支援
三大介助は生活の質を保つためのものですが、同時に自立支援の視点が重要です。
被介護者の状態に応じて、全介助や一部介助、見守りなどのやり方を選び、できることは本人に任せることが、尊厳を守る介護につながります。
三大介助以外にはどのような介護がありますか?
介護の内容は、利用者の身体に直接触れる身体介護と、日常生活をサポートする生活援助の2つに分けられます。
まず身体介護には、着替え介助や体位変換介助、移乗介助、口腔ケアなどが挙げられます。
・着替え介助:衣服の着脱が難しい方に対し、なるべく無理のない動作で更衣や清拭を支援します
・体位変換介助:自力で寝返りが打てない方の姿勢を整え、負担や床ずれを防ぐ目的で行われます
・移乗介助:起床や歩行、車椅子への乗り移りを補助し、使用する介助機器に不具合がないかどうかの確認も重要です
・口腔ケア:歯磨きや入れ歯の手入れを補助します。健康保持やリハビリにもつながる、日々欠かせない大切なケアです
また、生活援助では、掃除や洗濯、食事の支度、買い物など、日常生活を整える支援が行われます。
さらに介護施設では、レクリエーションの企画・運営や、被介護者の状態を正確に共有するための介護記録の作成も行われます。
介護における三大介助の役割と業務内容

食事介助の目的と、基本的な手順を教えてください
食欲が低下している方や、自力で食事をとることが難しい方にとって、食事は身体面だけでなく精神面にも影響する大切な時間です。そのため、食前から食後までの環境を整え、安心して食事に向き合えるような支援が求められます。
食事介助の基本的な手順は以下のとおりです。
【食事前】
食事の時間を伝え、体調や排泄状況を確認したうえで配膳し、姿勢や入れ歯の有無を確認します。必要に応じて嚥下体操を行います。
【食事中】
飲み込みの様子や水分摂取を確認し、落ち着いて食べられているかを見守ります。
【食事後】
口腔内の確認や摂取量を把握し、必要に応じて服薬介助を行います。
以上のように、声かけや料理の説明を通じて、被介護者の食べようとする意欲を引き出すことも大切な支援の一つです。
入浴介助の目的と、基本的な手順を教えてください
また、入浴による温熱効果で心身をリラックスさせ、食欲の向上や安眠につなげる役割も担っています。
さらに、介助を通じて被介護者の皮膚状態や体調の変化を確認できる点も重要ですが、その際は自尊心に十分配慮する必要があります。
入浴介助は基本的に次の流れで行われます。
【入浴前】
浴室や脱衣所の室温を22〜25度程度に整え、体調を確認し、脱衣を介助します。
皮膚に湿疹やただれ、床ずれなどができていないかも確認します。
【入浴中】
椅子や手すりへ誘導し、洗身や洗髪を補助します。
浴槽に出入りする際は転倒しないように見守り、必要に応じて介助を行います。
【入浴後】
身体を拭いて着衣やドライヤーなどを介助します。
居室へ移動後、薬の塗布やスキンケア、水分補給をサポートします。
ただし、できる部分は被介護者自身に行ってもらうことが、自立支援につながります。
排泄介助の目的と、基本的な手順を教えてください
排泄は本来とても私的な行為であるため、介助にあたっては羞恥心や自尊心に十分配慮し、尊厳を守る姿勢が欠かせません。
また、排泄物の状態から健康状態を把握し、体調変化に気付くことも重要です。
トイレで行う排泄介助の基本的な流れは次のとおりです。
1.排泄のタイミングを見極め、トイレ誘導の声かけを行う
2.トイレまで移動し、必要に応じて移乗や脱衣を介助する
3.排泄中は外で待機し、終了後に陰部や臀部を清拭する
4.着衣を整え、居室まで移動する
状況によりおむつやポータブルトイレを使用する場合もあります。
尿量や便の色、形、量の記録や、衛生管理も重要です。
三大介助を行う際の注意点

食事介助で注意すべきリスクと観察ポイントはありますか?
被介護者に嚥下能力や唾液分泌の低下がみられる場合、食事中に食べ物が喉につまったり、誤嚥性肺炎を引き起こしたりする可能性があります。そのため、自力で食事ができる場合でも、見守りは欠かせません。
安全に食事を行うためには、まず正しい姿勢を整えることが重要です。椅子に深く腰かけ、目線が水平になるよう調整し、介助者は隣に座って様子を確認しましょう。
また、被介護者の嚥下や咀嚼の状態に合った食事形態を選ぶことも大切です。
食事中は、飲み込みづらそうな様子や咳込み、表情の変化などを注意深く観察し、異常がないかどうか気を付けましょう。
認知症による食事拒否がみられる場合は、盛り付けを工夫したり、一緒に食べたりするなど、本人が食事に向き合える環境づくりも重要なポイントです。
入浴介助で注意すべきリスクと事前にできる準備はありますか?
被介護者の残存機能を維持するため、できる動作は本人に行ってもらい、介助者は安全確保と見守りを中心に関わりましょう。
なかでも入浴中は体調の急変が起こりやすく、皮膚の異常や病変の変化にも目を配ることが大切です。
入浴前後はバイタルチェックを行い、体調に問題がないか確認します。浴室や脱衣所には滑り止めマットを設置し、転倒防止を図りましょう。
入浴中は湯加減を確認し、被介護者から目を離さないことが基本です。
入浴後は脱水やのぼせに注意し、水分補給を行いながら体調を継続的に観察することが重要です。
脱衣所ではバスタオルやパーテーションを用いて、プライバシーにも配慮しましょう。
排泄介助で注意すべきポイントは何ですか?
排泄はとても私的な行為であるため、必要以上に介入せず、トイレへ誘導した後は可能な限りその場を離れるなど、プライバシーへの配慮が欠かせません。
排泄物の量やにおいについて不用意に話題にすることも避けましょう。
また、失禁があった場合でも責めるような言動は控え、気持ちに寄り添った対応を心がけることが重要です。否定的な経験が続くと、水分摂取を控えたり排泄を我慢したりして、健康に悪影響を及ぼす恐れがあります。
そのほか、被介護者ごとの排泄パターンを把握し、利用しやすいトイレ環境を整えることも大切です。
排泄物はさりげなく確認し、体調変化の把握につなげつつ、水分補給の重要性を伝え、安心して排泄できる関係づくりを意識しましょう。
編集部まとめ

ここまで介護の三大介助についてお伝えしてきました。
介護の三大介助の要点をまとめると以下のとおりです。
- 介護の三大介助とは、食事介助・入浴介助・排泄介助の3つを指し、被介護者の日常生活を支える基本的な身体介護。安全に生活するために欠かせない支援であり、自立支援の視点を持って行うことが求められる
- 三大介助の目的は、被介護者の健康維持と生活の質(QOL)の向上で、栄養摂取や清潔保持、排泄の安定を支えると同時に、心身の負担を軽減し、被介護者らしい生活が続けられるよう支援すること
- 三大介助を行う際は、事故防止と被介護者の尊厳への配慮が重要で、誤嚥や転倒、体調変化に注意しながら、できることは本人に任せることが大切
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
参考文献



