介護における水分補給の重要性とは?摂取量と注意点を解説します
公開日:2026/01/17

健康管理において、水分補給は見過ごせない重要なポイントです。なかでも、高齢の方は自覚症状が乏しく、気付かないうちに脱水が進行することもあります。
本記事では介護における水分補給の重要性について以下の点を中心に紹介します。
- 水分補給の重要性について
- 介護における水分摂取量について
- 介護で水分補給を行う際に気を付けるべきポイント
介護における水分補給の重要性について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

監修医師:
林 良典(医師)
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【出身大学】
名古屋市立大学
【経歴】
東京医療センター総合内科、西伊豆健育会病院内科、東京高輪病院感染症内科、順天堂大学総合診療科、NTT東日本関東病院予防医学センター・総合診療科を経て現職。
【資格】
医学博士、公認心理師、総合診療特任指導医、総合内科専門医、老年科専門医、認知症専門医・指導医、在宅医療連合学会専門医、禁煙サポーター
【診療科目】
総合診療科、老年科、感染症、緩和医療、消化器内科、呼吸器内科、皮膚科、整形外科、眼科、循環器内科、脳神経内科、精神科、膠原病内科
名古屋市立大学
【経歴】
東京医療センター総合内科、西伊豆健育会病院内科、東京高輪病院感染症内科、順天堂大学総合診療科、NTT東日本関東病院予防医学センター・総合診療科を経て現職。
【資格】
医学博士、公認心理師、総合診療特任指導医、総合内科専門医、老年科専門医、認知症専門医・指導医、在宅医療連合学会専門医、禁煙サポーター
【診療科目】
総合診療科、老年科、感染症、緩和医療、消化器内科、呼吸器内科、皮膚科、整形外科、眼科、循環器内科、脳神経内科、精神科、膠原病内科
目次 -INDEX-
介護における水分補給の重要性

高齢の方の水分摂取量が足りないとどのようなリスクがありますか?
高齢の方は、水分摂取量が不足すると、体温調節がうまくいかず、脱水症や熱中症を引き起こすリスクが高まります。特に夏場や暖房の効いた室内では、安静にしていても体内の水分が失われ、知らないうちに重度の脱水状態に陥ることもあります。
さらに、血液の粘度が上がることで脳梗塞や心筋梗塞の危険性が増し、腎臓や尿路に負担がかかって感染症や腎機能の低下、便秘などを招くこともあります。
これらは命に関わる場合もあるため、本人任せにせず、介護者がこまめに水分補給を促すことが大切です。
さらに、血液の粘度が上がることで脳梗塞や心筋梗塞の危険性が増し、腎臓や尿路に負担がかかって感染症や腎機能の低下、便秘などを招くこともあります。
これらは命に関わる場合もあるため、本人任せにせず、介護者がこまめに水分補給を促すことが大切です。
高齢の方が脱水になりやすい理由を教えてください
高齢の方が脱水になりやすいのは、身体の構造的な変化と生活習慣の影響が重なっているためです。
● 体内の水分量が減少している
● 喉の渇きを感じにくい
● 腎機能が低下している
● トイレを気にして水分を控える
● 嚥下障害や食欲低下により摂取量が減る
● 利尿作用のある薬を服用している
高齢になると、筋肉量の減少により体内に蓄えられる水分量が少なくなり、少しの発汗や排尿でも身体の水分バランスが崩れやすくなります。また、加齢によって喉の渇きを感じる中枢の働きが鈍くなるため、水分が不足していても「喉が渇いた」と感じにくく、知らぬ間に脱水が進行することがあります。
さらに、腎臓の機能が低下し、水分の再吸収や尿量の調節がうまくできなくなることも影響します。トイレの回数や失禁を気にして水分を控えたり、嚥下障害や食欲不振によって食事からの水分摂取が減ったりすることも脱水を助長します。
加えて、利尿剤などの薬を内服している場合には、体外に排出される水分が増えるため、これらが重なることで、高齢の方は脱水を起こしやすい状態になります。
● 体内の水分量が減少している
● 喉の渇きを感じにくい
● 腎機能が低下している
● トイレを気にして水分を控える
● 嚥下障害や食欲低下により摂取量が減る
● 利尿作用のある薬を服用している
高齢になると、筋肉量の減少により体内に蓄えられる水分量が少なくなり、少しの発汗や排尿でも身体の水分バランスが崩れやすくなります。また、加齢によって喉の渇きを感じる中枢の働きが鈍くなるため、水分が不足していても「喉が渇いた」と感じにくく、知らぬ間に脱水が進行することがあります。
さらに、腎臓の機能が低下し、水分の再吸収や尿量の調節がうまくできなくなることも影響します。トイレの回数や失禁を気にして水分を控えたり、嚥下障害や食欲不振によって食事からの水分摂取が減ったりすることも脱水を助長します。
加えて、利尿剤などの薬を内服している場合には、体外に排出される水分が増えるため、これらが重なることで、高齢の方は脱水を起こしやすい状態になります。
水分補給を拒否される場合はどうすればよいですか?
高齢の方が水分補給を拒む場合には、まず「なぜ飲みたくないのか」という理由を理解することが大切です。喉の渇きを感じにくい、冷たい飲み物が苦手、満腹感があるなど、原因は人それぞれ異なります。
例えば、冷たい水を嫌がる場合は常温や温かい飲み物を用意し、満腹を理由に断る場合は食事中の汁物やデザートに水分の多いものを取り入れるとよいでしょう。また、本人の好みに合わせて飲み物を選ぶことで、自然と飲む意欲が高まることもあります。
さらに、水分をとることの大切さをわかりやすく伝えたり、飲めたときに感謝やほめ言葉をかけたりすることで、少しずつ飲む意欲が持てるようになります。
外出前後や入浴後など、水分を受け入れやすいタイミングを見計らって声をかけるのもよいでしょう。無理に飲ませるのではなく、日常の中で自然に水分をとれるような環境づくりと、穏やかな働きかけが重要です。
例えば、冷たい水を嫌がる場合は常温や温かい飲み物を用意し、満腹を理由に断る場合は食事中の汁物やデザートに水分の多いものを取り入れるとよいでしょう。また、本人の好みに合わせて飲み物を選ぶことで、自然と飲む意欲が高まることもあります。
さらに、水分をとることの大切さをわかりやすく伝えたり、飲めたときに感謝やほめ言葉をかけたりすることで、少しずつ飲む意欲が持てるようになります。
外出前後や入浴後など、水分を受け入れやすいタイミングを見計らって声をかけるのもよいでしょう。無理に飲ませるのではなく、日常の中で自然に水分をとれるような環境づくりと、穏やかな働きかけが重要です。
介護における適切な水分摂取量

高齢の方が一日に摂るべき水分量はどのくらいですか?
高齢の方が1日に必要とする水分量は、1〜1.5リットル程度(コップ約7杯分)が目安とされています。先に述べたように、高齢の方は体内に保持できる水分量も少なくなるため、若い人よりも意識的に水分を摂ることが大切です。
1日あたりに体内から排出される水分は約2〜2.5リットルで、そのうち食事や果物などから約1リットルが補われます。残りは飲み物から摂取する必要があります。のどの渇きを感じにくい高齢の方は、意識してこまめに補給することが重要です。
おすすめのタイミングは、起床後や各食後、おやつ時、入浴の前後、就寝前などです。1回の量を少なくし、数回に分けて飲むことで負担なく必要量を満たせるよう工夫しましょう。
その日の体調や気温によっても必要な量は変わるため、日々の状況に応じて調整することが大切です。
1日あたりに体内から排出される水分は約2〜2.5リットルで、そのうち食事や果物などから約1リットルが補われます。残りは飲み物から摂取する必要があります。のどの渇きを感じにくい高齢の方は、意識してこまめに補給することが重要です。
おすすめのタイミングは、起床後や各食後、おやつ時、入浴の前後、就寝前などです。1回の量を少なくし、数回に分けて飲むことで負担なく必要量を満たせるよう工夫しましょう。
その日の体調や気温によっても必要な量は変わるため、日々の状況に応じて調整することが大切です。
水分が不足している際に現れる症状を教えてください
水分が不足すると、身体のさまざまな機能に影響が現れます。
【初期の段階】
口や舌、唇の乾き、尿の色が濃くなったり量が減ったりする、皮膚のかさつきなどの症状が見られます。また、軽いめまいや集中力の低下、ぼんやりとした感覚が出ることもあります。
【脱水が進行している状態】
頭痛や全身のだるさ、ふらつき、手足の震え、体温の上昇、皮膚の赤みなどが起こり、血圧の低下や動悸を伴うこともあります。
重度になると、せん妄(意識が混乱し、興奮や幻覚がみられる状態)や痙攣、意識障害、呼吸の乱れなどの危険な症状を引き起こすこともあります。
特に高齢の方は自覚症状が出にくいため、尿の色が濃くなっていないか、皮膚や唇の乾き、目のくぼみなどを周囲が注意して観察することが大切です。早めに気付いて対処することで重症化を防ぐことができます。
【初期の段階】
口や舌、唇の乾き、尿の色が濃くなったり量が減ったりする、皮膚のかさつきなどの症状が見られます。また、軽いめまいや集中力の低下、ぼんやりとした感覚が出ることもあります。
【脱水が進行している状態】
頭痛や全身のだるさ、ふらつき、手足の震え、体温の上昇、皮膚の赤みなどが起こり、血圧の低下や動悸を伴うこともあります。
重度になると、せん妄(意識が混乱し、興奮や幻覚がみられる状態)や痙攣、意識障害、呼吸の乱れなどの危険な症状を引き起こすこともあります。
特に高齢の方は自覚症状が出にくいため、尿の色が濃くなっていないか、皮膚や唇の乾き、目のくぼみなどを周囲が注意して観察することが大切です。早めに気付いて対処することで重症化を防ぐことができます。
水分を摂りすぎている場合のサインはありますか?
水分を摂りすぎているときに見られる主なサインは、次のとおりです。
● 手足や顔のむくみが出る
● 尿の回数が増える(頻尿や多尿)
● 体重が急に増える
● 息切れや呼吸のしづらさがある
● 咳や痰(白っぽい痰や血痰など)が出る
● 倦怠感やだるさを感じる
● めまいや動悸が起こる
● 不整脈や血圧上昇がみられる
● 便が軟かくなっている
体内の水分が過剰になると、心臓や腎臓に負担がかかり、呼吸や循環の異常につながるおそれがあります。高齢の方をはじめ、心臓や腎臓疾患を持つ方は注意が必要です。
むくみや体重増加などの変化が見られたら、早めに医療機関へ相談しましょう。
● 手足や顔のむくみが出る
● 尿の回数が増える(頻尿や多尿)
● 体重が急に増える
● 息切れや呼吸のしづらさがある
● 咳や痰(白っぽい痰や血痰など)が出る
● 倦怠感やだるさを感じる
● めまいや動悸が起こる
● 不整脈や血圧上昇がみられる
● 便が軟かくなっている
体内の水分が過剰になると、心臓や腎臓に負担がかかり、呼吸や循環の異常につながるおそれがあります。高齢の方をはじめ、心臓や腎臓疾患を持つ方は注意が必要です。
むくみや体重増加などの変化が見られたら、早めに医療機関へ相談しましょう。
介護における水分補給の注意点

介護で水分補給を行う際に気を付けるべきポイントはありますか?
介護で水分補給を行う際は、安全性と飲みやすさを重視した配慮が欠かせません。以下のポイントを意識するとよいでしょう。
① 姿勢に注意する
水分を摂るときは、顎を軽く引いた前傾姿勢が基本です。のけぞった姿勢で飲むと、誤って気管に入ってしまい、誤嚥性肺炎や窒息の原因になります。寝たきりの方には、ベッドの背もたれを上げて身体を起こし、飲み込みやすい角度を保ちましょう。
② 飲み物の種類と温度を工夫する
水や麦茶などカフェインを含まない飲み物が望ましいです。カフェインには利尿作用があるため、体内の水分が失われやすくなります。また、冷たすぎる飲み物は胃腸を刺激するので、常温や白湯などにしましょう。
③ 嚥下機能に合わせる
飲み込みにくい場合は、トロミをつけたりゼリー状にしたりするなど、形状を工夫して安全に摂取できるようにしましょう。嚥下(えんげ)障害がある場合の水分補給方法については、後項で詳しく解説します。
④ こまめな補給と環境づくり
喉が渇く前に少量ずつ複数回にわけて水分をとるのが理想です。楽しい雰囲気づくりや好きな飲み物を用意することで、自然に水分摂取を促すことができます。
① 姿勢に注意する
水分を摂るときは、顎を軽く引いた前傾姿勢が基本です。のけぞった姿勢で飲むと、誤って気管に入ってしまい、誤嚥性肺炎や窒息の原因になります。寝たきりの方には、ベッドの背もたれを上げて身体を起こし、飲み込みやすい角度を保ちましょう。
② 飲み物の種類と温度を工夫する
水や麦茶などカフェインを含まない飲み物が望ましいです。カフェインには利尿作用があるため、体内の水分が失われやすくなります。また、冷たすぎる飲み物は胃腸を刺激するので、常温や白湯などにしましょう。
③ 嚥下機能に合わせる
飲み込みにくい場合は、トロミをつけたりゼリー状にしたりするなど、形状を工夫して安全に摂取できるようにしましょう。嚥下(えんげ)障害がある場合の水分補給方法については、後項で詳しく解説します。
④ こまめな補給と環境づくり
喉が渇く前に少量ずつ複数回にわけて水分をとるのが理想です。楽しい雰囲気づくりや好きな飲み物を用意することで、自然に水分摂取を促すことができます。
水以外の飲み物でも水分補給になりますか?
高齢の方や要介護の方の中には、水やお茶が飲みにくい、味気なく感じることで摂取量が減ってしまうことがあります。その場合は、味や温度を少し変えるだけでも飲みやすくなることがあります。例えば、麦茶に少量のはちみつを加える、常温や温かい飲み物にするなどの工夫が有効とされています。
熱中症が気になる季節には、水分とミネラルを同時に補給できる経口補水液やスポーツドリンクもおすすめです。一方で、オレンジジュースや野菜ジュース、牛乳、ヨーグルトドリンク、甘酒などは水分を含むものの、糖分やカリウムが多い場合があります。腎臓や心臓の病気がある方、糖尿病のある方では量の調整が必要となるため飲み過ぎには注意しましょう。
さらに、ゼリーやプリン、果物(スイカやみかんなど)、味噌汁などにも多くの水分が含まれています。大切なのは”何を飲むか”よりも”どれだけ水分を摂れているか”です。体調や嗜好に合わせて、無理なく続けられる方法を見つけることがポイントです。
熱中症が気になる季節には、水分とミネラルを同時に補給できる経口補水液やスポーツドリンクもおすすめです。一方で、オレンジジュースや野菜ジュース、牛乳、ヨーグルトドリンク、甘酒などは水分を含むものの、糖分やカリウムが多い場合があります。腎臓や心臓の病気がある方、糖尿病のある方では量の調整が必要となるため飲み過ぎには注意しましょう。
さらに、ゼリーやプリン、果物(スイカやみかんなど)、味噌汁などにも多くの水分が含まれています。大切なのは”何を飲むか”よりも”どれだけ水分を摂れているか”です。体調や嗜好に合わせて、無理なく続けられる方法を見つけることがポイントです。
嚥下(えんげ)障害がある場合の水分補給方法を教えてください
嚥下(えんげ)障害がある場合の水分補給は、安全に飲み込める工夫と誤嚥を防ぐ姿勢が重要です。
先に述べたように、水分が気管に流れ込まないように、姿勢は顎を軽く引いた前傾姿勢が基本です。寝たきりの方には、ベッドの背を起こして飲み込みやすい角度を保ちましょう。
次に、水分の形態にも配慮が必要です。さらさらした水やお茶はむせやすいため、とろみをつける、ゼリー状にするなど、飲み込みやすい粘度に調整します。とろみをつけすぎると逆に飲みにくくなるため、少量から試して本人と相談しながら濃度を見つけることが大切です。
また、焦らせずに少量ずつゆっくりと介助することもポイントです。ティースプーン1杯程度を目安に、お口に含んだら飲み込みを確認しながら次の一口を与えます。誤嚥を防ぐためには、表情や喉の動きを観察し、無理のないペースで行いましょう。
先に述べたように、水分が気管に流れ込まないように、姿勢は顎を軽く引いた前傾姿勢が基本です。寝たきりの方には、ベッドの背を起こして飲み込みやすい角度を保ちましょう。
次に、水分の形態にも配慮が必要です。さらさらした水やお茶はむせやすいため、とろみをつける、ゼリー状にするなど、飲み込みやすい粘度に調整します。とろみをつけすぎると逆に飲みにくくなるため、少量から試して本人と相談しながら濃度を見つけることが大切です。
また、焦らせずに少量ずつゆっくりと介助することもポイントです。ティースプーン1杯程度を目安に、お口に含んだら飲み込みを確認しながら次の一口を与えます。誤嚥を防ぐためには、表情や喉の動きを観察し、無理のないペースで行いましょう。
編集部まとめ

ここまで介護における水分補給の重要性についてお伝えしてきました。介護における水分補給の重要性の要点をまとめると以下のとおりです。
- 水分摂取量が不足すると、体温調節がうまくいかず、脱水症や熱中症を引き起こすリスクが高まり、脳梗塞や心筋梗塞などの危険性も増加する
- 高齢の方が1日に必要とする水分量は、1〜1.5リットル程度(コップ約7杯分)が目安
- 介護で水分補給を行う際は、安全性と飲みやすさを重視した配慮が必要
水分補給は、命を守る基本的なケアのひとつです。日々の介護の中で、必要な水分量とタイミングを意識することで、体調不良や重大な疾患の予防につながります。
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。


