介護で行うべき声かけとは?避けるべき言葉やポイント、ケース別の声のかけ方について解説します

介護での声かけは、ただの会話ではなく、介護を受ける方が安心して過ごすために欠かせないケアのひとつです。優しく状況に合った声かけによって、不安を和らげることにつながります。
本記事では介護における声かけについて以下の点を中心に紹介します。
- 介護における声かけの目的
- 介護における声かけの注意点
- 介護における声かけのポイント
介護における声かけについて理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

監修社会福祉士:
小田村 悠希(社会福祉士)
・経歴:博士(保健福祉学)
これまで知的障がい者グループホームや住宅型有料老人ホーム、精神科病院での実務に携わる。現在は障がい者支援施設での直接支援業務に従事している。
目次 -INDEX-
介護で声かけは重要?

介護現場で声かけが大切な理由は何ですか?
1.安心感を与えるため
突然身体に触れられると、驚いたり不安になったりする場合があります。何か行動を起こす前に一言伝えることで、介護を受ける方の心の準備ができるように配慮しましょう。
2.信頼関係を築くため
日常の何気ない声かけの積み重ねが、相手との信頼を深めます。また、優しい言葉づかいや落ち着いたトーンで話すことで、相手の心を開きやすくなります。
3.体調や気分の変化に気付くため
こまめに声かけを続けることで、相手のわずかな変化に気付けるようになり、体調の悪化や不安のサインを早めに察知することにつながります。
声かけは、介護を受ける方だけでなく、介護をする側にとっても円滑で安全な介助を行うための重要なポイントです。
声かけの際に避けるべき言葉や態度はありますか?
1.命令や強い口調
「早くして」「座っていて」などの言い方は、威圧的に受け取られやすく、不安や反発を招くおそれがあります。
2.否定や指摘
「また忘れたの?」「そんなこと言ってないでしょ」などの否定的な言葉は、自尊心を傷つけ、混乱を深めることがあります。
3.上から目線の言い方
「お風呂に入れてあげる」「おむつを替えてあげる」などの表現は、本人の尊厳を損なうおそれがあります。
介護における声かけのポイント

言葉遣いや抑揚はどのような点に気をつけたらよいですか?
1.ゆっくり、落ち着いたテンポで話す
早口や強い口調は、不安や緊張を与えやすくなります。高齢の方は聴力が低下している傾向があるため、やや大きめの声で、はっきりと伝えることが大切です。
2.抑揚とトーンに注意する
無表情で抑揚のない声は冷たく感じられます。反対に高すぎる声や急なトーンの変化も驚かせる原因になるため、落ち着いた低めのトーンを保つようにしましょう。
穏やかな言葉遣いと声の調子は、介護を受ける側の安心感につながり、家庭での介助をより円滑に進める助けになります。
声かけを行う際、どのような表情を意識したらよいですか?
1.明るく自然な表情を心がける
強張った顔や無表情で話しかけると、相手は緊張したり不安を感じたりします。口角を少し上げ、穏やかな笑顔を意識することで、落ち着いた雰囲気を伝えられます。
2.清潔感を大切にする
髪や服装の乱れは、無意識のうちに不快感を与えることがあります。清潔で整った身だしなみを保つことも、安心して介助を受けてもらうための基本です。
3.相手に伝わる位置で表情を見せる
お口の動きや表情が見える位置で話すと、聞き取りやすく理解もしやすくなります。特に、耳が遠い方に向けておすすめです。
明るく穏やかな表情は、介護を受ける方に安心感を与えるための重要な要素です。
どのようなジェスチャーを取り入れたらよいですか?
例えば、「こっちに座ろうか」と声をかけながら手で椅子の方向を示すなど、自然な動きを加えることで、相手が安心して動作を取ることにつながります。ただし、過度に大きなジェスチャーや急な動きは、驚かせたり威圧感を与えたりする原因となるため注意が必要です。
また、相手より高い位置から身振りをすると圧迫感を与えることがあるため、目線を合わせて穏やかな動作を意識しましょう。ジェスチャーは言葉を補うものであり、誇張せず落ち着いた動きで行うことが、円滑なコミュニケーションにつながります。
【ケース別】介護での声のかけ方

認知症の方への声かけはどのように行えばよいですか?
声をかける際は、ゆっくりとしたテンポで高すぎない穏やかな声を意識し、「○○さん、私は△△です。今からごはんですよ」といったように、誰が何のために話しかけているのかを明確に伝えると相手の理解につながります。
また、いくつもの話題を同時に伝えると混乱を招くため、ひとつずつ短く区切って話すようにしましょう。内容が理解できていない様子でも、焦らず繰り返し丁寧に声をかけることが大切です。
目が不自由な方への声かけについて教えてください
声をかける前に、しっかりと正面に立ち、気配を感じ取ってもらったうえで自身の名前を名乗り、ゆっくりとはっきり話しかけましょう。
また、「あれ」「これ」「そこ」といった指示語は避け、位置や距離を具体的に伝えることが重要です。例えば、「右手側の机の上にあります」「1m先に段差があります」など、数字や方位を使うと理解しやすくなります。
さらに、一度に多くの情報を伝えず、短く整理された言葉での説明もおすすめです。相手が耳から状況を把握できるよう、落ち着いたトーンで丁寧に声をかけることを意識しましょう。
介護拒否のある方にはどのように声をかけたらよいですか?
いきなり介護内容を伝えるよりも、「今日はいい天気だね」「最近の調子はどう?」など、世間話から始めると心が開きやすくなります。また、「○分後に食事の時間だよ」と前もって知らせるなど、予告のある声かけを行うことで、気持ちの準備ができ受け入れやすくなります。
介助を拒まれた場合も、無理に続けず一度時間をおいて再度声をかける、もしくは別の家族が対応するなど、タイミングなど状況を変える工夫もおすすめです。強い説得よりも、相手に共感を示しながら、安心して選択できる環境づくりを心がけましょう。
排泄や入浴の際はどのような声かけをすればよいですか?
排泄の際は、「お手洗いを済ませてから休もうか」「寒くない?」など、自然で穏やかな声かけを意識しましょう。汚れやにおいに関する言葉は避け、必要な動作を伝える際には「ズボンを下ろすね」など、行動の前に一言添えることが安心感につながります。また、周囲に聞こえないような配慮も重要です。
入浴介助では、無理に誘うのではなく、「お風呂に入るとすっきりするよ」「髪を洗ってさっぱりしようか」など、前向きな理由づけで促すとよいでしょう。洗う箇所やサポート内容については、その都度「シャンプーしてもいい?」と確認し、本人の同意を得ながら進めることが大切です。
編集部まとめ

ここまで介護における声かけについてお伝えしてきました。介護における声かけの要点をまとめると以下のとおりです。
- 声かけは、介護を受ける方に安心感を与え、信頼関係を築くために欠かせない行為である。適切な言葉がけにより、不安を和らげ、体調や気持ちの変化にも気付きやすくなる
- 声をかける際は、命令口調や否定的な言葉、上から目線の言い方は避け、相手の尊厳を保ちつつ、状況に応じて穏やかで丁寧な言葉を選ぶことが大切
- 声かけを行う際は、落ち着いたトーンでゆっくり話し、明るい表情や自然なジェスチャーを添えると効果が期待できる。言葉と態度の両方で安心感を伝えることが、円滑な介護につながる
介護は、精神的にも体力的にも負担を感じる場面が少なくありません。だからこそ、声かけのポイントを押さえておくことが大切です。適切な声かけを意識することで、相手との信頼関係が築きやすくなり、介護をより円滑に進めることにつながります。
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
参考文献




