介護で使われるADL(日常生活動作)とは?意味や生活との関係をわかりやすく解説

「ADLって何を指すの?」そんな疑問を持ったことはありませんか。ADLは、介護の必要度や自立度を判断する大切な指標です。
本記事では介護で使われるADLについて以下の点を中心に紹介します。
- ADLとは?
- ADLが低下する原因
- ADLを維持するためにできること
ぜひ最後までお読みください。

監修医師:
高山 哲朗(かなまち慈優クリニック)
理事長 高山 哲朗
平成14年慶應義塾大学卒業
慶應義塾大学病院、北里研究所病院、埼玉社会保険病院等を経て、
平成29年 かなまち慈優クリニック院長
【所属協会・資格】
医学博士
日本内科学会総合内科専門医
日本消化器病学会専門医
日本消化器内視鏡学会専門医
日本医師会認定産業医
東海大学医学部客員准教授
予測医学研究所所長
ADL(日常生活動作)と介護の関係

ADLはどのような動作を指しますか?
具体的には、起き上がる・立ち上がるといった起居動作、歩行や移動、食事、着替え、排泄、入浴、整容など、身の回りの生活を維持するために必要な活動が含まれます。これらの動作をどの程度本人で行えるかは、健康状態や身体的な障害、疾患などと関連しているため、介護や医療の現場で重要な指標とされており、生活の自立度や必要な支援の程度を判断する際の目安として用いられています。
BADL(基本的日常生活動作)とIADL(手段的日常生活動作)の違いを教えてください
BADL(基本的日常生活動作)は、食事や排泄、入浴、着替え、移動動作、移乗、更衣など、日常生活を送るうえで欠かせない基本的な身の回りの動作を指します。一方、IADL(手段的日常生活動作)は、買い物や料理、掃除、洗濯、電話、公共交通機関の利用、金銭管理、服薬管理など、生活をより自立して維持するために必要な複雑な行動を指します。
身体機能や認知機能の低下がみられる場合、まずIADLから影響が現れ、その後BADLにも支障が出ることが多いとされています。
ADLの要介護認定との関係を教えてください
また、医療やリハビリテーションの現場では、ADLの評価を通じて身体機能の状態を把握し、回復状況の確認や生活復帰に向けた支援計画の作成に活用されています。
ADLが低下すると日常生活や介護負担はどのように変わりますか?
特に認知症の症状がある場合には、昼夜を問わず対応が求められることもあり、介護者の疲労やストレスにつながることがあります。
また、要介護度が低い場合でも、日常生活の支援が継続的に必要になると、家族の生活や仕事との両立が難しくなることもあります。そのため、家族だけで抱え込まず、無理のない介護体制を整えることが大切です。
ADLの状態によって利用できる介護サービスは変わりますか?
例えば、自立度が高い場合は訪問介護や通所サービスなどの軽度の支援が中心となりますが、ADLの低下が進み日常生活の多くに介助が必要な場合は、より手厚い在宅サービスや施設サービスの利用が検討されることがあります。
ADL(日常生活動作)が低下する原因

ADLが低下する主な原因を教えてください
代表的な原因の一つは加齢による筋力や体力の低下で、身体を動かす機会が減ると移動や立ち上がりなどの動作が難しくなることがあります。また、高血圧や糖尿病などの生活習慣病、けがや慢性的な疾患も身体機能に影響し、日常生活の動作を制限する要因としてあげられます。
さらに、認知機能の衰えにより物事の手順が分かりにくくなったり、記憶力が低下したりすると、料理や服薬管理などの生活動作に支障が出ることがあります。加えて、外出機会の減少や精神的な落ち込みなども活動量の低下につながり、ADLが低下する要因になると考えられています。
身体機能や認知機能の低下はADLにどのように影響しますか?
例えば、加齢や病気などによって筋力や関節の動きが弱くなると、立ち上がりや歩行などの基本的な動作が困難になり、移動や入浴、排泄といった生活動作にも支障が出る可能性があります。
また、記憶力や判断力などの認知機能が低下すると、料理の手順を思い出せない、服薬管理ができないなど、生活を維持するための行動が難しくなることがあります。こうした変化によって活動量が減少すると、さらに身体機能や社会参加の機会が低下し、ADLが段階的に低下していくこともあります。生活環境や心理状態はADL低下に影響しますか?
例えば、気分の落ち込みや意欲の低下が続くと、外出や人との交流を避けるようになり、活動量が減少する可能性があります。その結果、身体を動かす機会が少なくなり、筋力や体力の低下につながることがあります。
また、新しい環境への適応が難しくなったり、社会的な役割や交流の機会が減ったりすると、行動範囲が狭まり日常生活の動作にも影響が出る場合があります。
このような状態が続くと、身体機能や認知機能の低下を招き、ADLの低下につながる可能性があります。
ADL(日常生活動作)を維持するためにできること

ADLの低下を防ぐために本人ができることはありますか?
・適度な運動を習慣にする
・栄養バランスのよい食事を心がける
・できる動作は自身で行う
・趣味や外出など活動の機会を保つ
ウォーキングや体操などの軽い運動を続けることで、筋力やバランス能力の維持につながります。また、栄養バランスのとれた食事や十分な水分補給は、身体の健康を保つうえで重要です。さらに、日常生活の動作を可能な範囲で行うことも、身体機能の維持に役立つとされています。活動量を保ち、規則正しい生活を意識することが、ADLの低下予防につながります。
ADL維持のために家族ができることを教えてください
例えば、食事や着替え、歩行などで本人ができる部分は時間がかかっても行ってもらい、安全を確認しながら必要な範囲のみの介助を行う方法があります。こうした関わり方により、本人の残っている能力を活かすことができ、日常生活動作の維持や自立した生活を支えることにつながります。
運動やリハビリはADL維持に役立ちますか?
例えば、散歩などの軽い有酸素運動や筋力トレーニングを生活の中に取り入れることで、身体機能の低下を防ぐ効果が期待できます。
また、リハビリでは歩行訓練やバランス訓練、日常生活動作の練習などが行われ、実際の生活に必要な動作の維持を目指します。無理のない範囲で継続的に身体を動かすことが、ADLを保ちながら自立した生活を続けるための重要なポイントといえるでしょう。住環境の整備や福祉用具の活用方法を教えてください
例えば、手すりの設置や床の滑り止め、十分な照明を確保することで、転倒やけがのリスクを減らすことができます。また、段差を少なくしたり家具の配置を見直したりすることで、室内での移動がしやすくなり、日常生活の動作を安全に行いやすくなります。
さらに、歩行器や車いす、入浴用チェア、食事補助具などの福祉用具を活用することも、ADLの維持に役立つとされています。利用者の身体機能や生活環境に合わせた用具を選ぶことで、本人で行える動作が増え、日常生活の自立を支えることにつながります。
編集部まとめ

ここまで介護で使われるADLについてお伝えしてきました。介護で使われるADLの要点をまとめると以下のとおりです。
- ADLはActivities of Daily Livingの略で、日本語では日常生活動作と訳され、日常生活を送るうえで基本となる身体的な動作を指す言葉
- ADLの低下は、加齢による筋力や体力の低下、高血圧や糖尿病などの生活習慣病、けがや慢性的な疾患、認知機能の衰え、外出機会の減少や精神的な落ち込みなど、身体機能・認知機能・生活環境などさまざまな要因が関係している
- ADLの低下を防ぐためには、適度な運動を習慣にする、栄養バランスのよい食事を心がける、できる動作は自身で行う、趣味や外出など活動の機会を保つことが大切
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
参考文献


