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認知症のグループホームとは?ケア内容や周辺症状への対応、進行時の対応を解説します

 公開日:2026/05/14
認知症のグループホームとは?ケア内容や周辺症状への対応、進行時の対応を解説します

認知症のある家族の住まいを考えるとき、グループホームが候補に入ることがあります。グループホームは少人数で共同生活を送りながら、認知症に応じた介護を受ける場です。ただし、どの施設でも同じ支援を受けられるわけではありません。入所条件や医療連携、看取りの可否には差があります。制度上の共通点と、施設ごとに確認すべき点を分けて押さえると、入所後の暮らしを想像しやすくなります。

小田村 悠希

監修社会福祉士
小田村 悠希(社会福祉士)

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・資格:社会福祉士、研修認定精神保健福祉士、介護福祉士、福祉住環境コーディネーター2級
・経歴:博士(保健福祉学)
これまで知的障がい者グループホームや住宅型有料老人ホーム、精神科病院での実務に携わる。現在は障がい者支援施設での直接支援業務に従事している。

認知症のグループホームとは

認知症のグループホームとは
認知症のグループホームは、介護保険の地域密着型サービスに位置付けられる住まいです。まずは制度上の役割、利用できる方、居室の形を押さえると、ほかの施設との違いが見えやすくなります。

グループホームの概要

正式名称は認知症対応型共同生活介護です。認知症のある方が共同生活住居で暮らしながら、入浴、排せつ、食事などの日常生活上の世話と機能訓練を受けます。家庭的な環境と地域住民との交流のもとで、今ある力を使いながら生活を続けることが制度の柱です。1ユニットの定員は5〜9人で、1事業所は1〜3ユニットで運営されます。日中は利用者3人に1人、夜間はユニットごとに1人の介護職員配置が基準です。
参照:『認知症対応型共同生活介護 認知症グループホーム』(厚生労働省)

グループホームの入所条件

対象は認知症の診断を受けた方です。原則として要介護1以上が対象で、要支援2の方は介護予防認知症対応型共同生活介護の対象です。要支援1の方は利用できません。
地域密着型サービスのため、基本的には施設と同じ市町村に住民票があることも条件です。認知症であることの確認には、主治医の診断書などが用いられます。施設によっては、共同生活を続けられるかを見るため、常時の治療が必要な状態かどうかなども面談で確認されます。
参照:『認知症対応型共同生活介護 グループホームとは』(健康長寿ネット)

グループホームの部屋タイプ

居室は原則個室で、共同生活の場であっても個人の生活空間は確保されます。一方で、食堂、居間、台所、浴室などは共有です。個室中心のため、自分の物や生活習慣を持ち込みやすい面があります。見学では居室の広さだけでなく、共用部の落ち着きやすさ、トイレまでの動線、夜間の見守り方法まで確かめると暮らしを想像しやすくなります。

認知症のグループホームで提供される主なサービス

認知症のグループホームで提供される主なサービス
グループホームは単に住む場所ではなく、生活全体を支える介護サービスです。身体介護だけでなく、食事、日中活動、終末期の支援まで、日々の暮らしに沿った支援が行われます。

生活介助全般

支援の中心は、食事、排せつ、入浴、着替え、整容、移動などの日常生活援助です。ただし、何でも代わりに行う場ではありません。本人ができる部分は続けてもらい、難しい部分を補う考え方が基本です。掃除や洗濯、食器拭きなどを一緒に行う施設もあります。顔なじみの職員や慣れた生活の流れを保つことは、混乱や不安を減らす助けにもなります。日々の変化を早めに把握しやすい点も、小規模な住まいならではの特徴です。

食事の提供

食事は栄養補給だけでなく、生活リズムを整える時間でもあります。多くのグループホームでは食事が提供され、施設によっては配膳や下膳、盛り付けなどを入居者が担うこともあります。役割を持てると、暮らしの流れが作りやすくなります。
認知症が進むと食べる量の低下や、むせ込み、食事への集中しづらさが出ることがあります。そのため、きざみ食や見守りの方法、飲み込みに不安がある場合の対応は事前確認が欠かせません。

レクリエーション

日中活動には、家事参加や地域交流などがあります。時間を埋めることが目的ではありません。生活の張りや人とのつながりを保つ意味があります。認知症のある方は刺激が多すぎると疲れやすいため、落ち着いて参加できる活動が合う場合があります。活動内容が画一的だと合わない方もいるため、見学時は、毎日の過ごし方が本人の生活歴や性格に合いやすいかを見ておくと判断しやすくなります。

看取り対応

看取りに対応するグループホームもありますが、すべての施設で同じように行えるわけではありません。看取り介護加算の算定には、看取り指針に基づく説明と同意、医療連携体制加算の算定などが求められます。
終末期をホームで過ごしたい場合は、急変時の連絡方法、夜間の対応、医師の関わり方、救急搬送の判断を確認しておく必要があります。酸素投与や吸引などの医療的ケアにどこまで対応できるかは施設差があるため、家族の希望だけで判断しないことも欠かせません。
参照:『認知症対応型共同生活介護 認知症グループホーム』(厚生労働省)

グループホームで提供される認知症ケア

グループホームで提供される認知症ケア
グループホームの特徴は、認知症のある方が毎日の暮らしを続けながら介護を受けられることです。病院は診断や治療を行う場所ですが、グループホームは生活の場です。そのため、食事や入浴、家事、ほかの利用者さんとの交流など、日々の生活を支えながら、不安や混乱を減らす関わりが行われます。

認知症ケア専門のスタッフによる介護

グループホームは認知症ケアを前提にしたサービスです。管理者には3年以上の認知症介護経験と所定研修の修了が求められます。計画作成担当者も配置されます。日々の支援では、症状だけを見るのではなく、どの時間帯に混乱しやすいか、何がきっかけで不安が強まるかを観察し、ケアの方法を調整します。家族から生活歴や好きだった習慣を聞き取ることも、なじみやすい関わりにつながります。
参照:『認知症対応型共同生活介護 認知症グループホーム』(厚生労働省)

利用者間や地域との交流

制度上も、地域住民との交流のもとで生活することが重視されています。少人数のなじみの関係が作られやすく、近所との関わりや行事参加が残ると、閉じこもりを防ぎやすくなります。家族以外との接点が保たれることは、生活の刺激を保つ点でも意味があります。地域交流が活発なホームでは、散歩や買い物が日課に組み込まれていることもあります。実際の頻度や内容は施設によって差があるため、見学時に具体的に確かめる必要があります。

残存能力を活かしたケアの提供

認知症ケアでは、できないことだけに注目しない視点が欠かせません。洗濯物を畳む、食器を拭く、花に水をやるなど、今できることを生活の中で続けることが役割の維持につながります。
支援量が多すぎると、かえって力を使う機会が減ります。そのため、介助は安全を守りながら、本人が取り組める部分を残す形で行われます。こうした関わりは、自尊心や生活意欲の低下を防ぐ面でも意味があります。

グループホームでの認知症特有の症状や状態への対応

グループホームでの認知症特有の症状や状態への対応
認知症では記憶障害だけでなく、行動や気分の変化が目立つことがあります。こうした症状への対応では、薬だけでなく、生活環境や関わり方を調整する視点が欠かせません。

BSPD(行動・心理症状)への対応

BPSDには、妄想、興奮、不安、拒否、昼夜逆転、徘徊などが含まれます。対応の第一歩は、症状そのものを抑え込もうとしないことです。痛み、便秘、脱水、感染症、眠れなさ、環境の変化、人間関係のずれなど、背景要因を探ることが優先されます。認知症の診療ガイドラインでも、BPSDには非薬物療法を薬物療法より優先するとされています。最近の介護報酬改定でも、平時からの予防と早期対応が重視されています。症状が出た場面の記録を積み重ねることが、再発を減らす手がかりになります。
参照:『認知症疾患診療ガイドライン2017 第3章 治療』(日本神経学会)

夜間の混乱や徘徊への対応体制

夜間は時間や場所の感覚が乱れやすく、不安や不眠によって歩き回ることがあります。夜間の配置基準はユニットごとに1人です。施設によっては見守り機器やセンサーを組み合わせ、安全確認を補っています。ただし、機器があれば十分というわけではありません。転倒歴がある方や施設の外に出てしまうおそれがある方では、居室配置やトイレ誘導、職員の駆けつけやすさまで見ておく必要があります。夜間帯の様子は見学だけではつかみにくいため、契約前に具体的な対応例を聞いておくと見通しを持ちやすくなります。

薬物療法と非薬物療法の使い分け

BPSDへの対応では、まず身体状態やケア、環境を見直します。そのうえで、危険性が高い興奮や妄想、強いうつ状態などでは薬が検討されます。向精神薬は状況によって必要ですが、転倒、骨折、嚥下障害、誤嚥性肺炎、死亡リスク上昇などの不利益もあるため、漫然と続けることは避けるべきとされています。家族は薬の有無だけでなく、使う理由、減量の見通し、副作用の見守り方法まで確認しておくと判断しやすくなります。
参照:『認知症疾患診療ガイドライン2017 第3章 治療』(日本神経学会)

認知症が進行したときのグループホームでの対応

認知症が進行したときのグループホームでの対応
入所時には状態が安定していても、生活が続くなかで認知症や身体機能は進みます。進行後も暮らし続けられるかは、ホームの体制と医療とのつながりで変わります。

重度認知症へのケア体制

重度化すると、意思表示が難しくなり、食事や排せつ、移動の全介助が必要になることがあります。それでも、なじみの場所で過ごすこと自体が落ち着きにつながる方は少なくありません。制度上も中重度者への対応や看取りの充実が進められています。ただし、実際にどこまで受け止められるかは施設差が大きいため、経口摂取が難しくなった場合や寝たきりに近づいた場合の対応方針を入所前に確認しておくと見通しを持ちやすくなります。

医療依存度が高くなった場合の対応

グループホームは医療機関ではありません。看護職員の常時配置が前提の施設でもありません。そのため、医療ニーズが高くなると、訪問診療や訪問看護との連携で対応する施設と、対応が難しい施設に分かれます。令和6年度の介護報酬改定では、認知症グループホームでも協力医療機関との連携体制づくりが強化されました。ただし、施設内で対応できる範囲を超える医療が必要になれば、入院や、より医療的支援を受けやすい住まいへの転居が必要になることがあります。
参照:『令和6年度介護報酬改定の主な事項について』(厚生労働省)

退去や転院が必要になるケース

退去や転院が検討されるのは、集中的な治療や継続的な医療処置が必要になった場合、ホームで安全を保つことが難しくなった場合などです。一方で、協力医療機関との連携が整っていれば、入院後に状態が落ち着いたとき再入居を目指せる場合もあります。契約前には、どのような状態変化で入院を考えるのか、退院後の受け入れは可能かを確かめておくと、進行時の迷いを減らしやすくなります。医療依存度が上がった後の説明が契約書や重要事項説明書にどう書かれているかも確認しておくと見落としを減らせます。

認知症でグループホームに入所するための手続き

認知症でグループホームに入所するための手続き
グループホームは小規模な住まいなので、空きが少なく、見学から契約までに時間がかかることがあります。流れと必要書類を早めに確認しておくと、入所先の比較もしやすくなります。

入所までの流れ

一般的には、地域包括支援センターや担当ケアマネジャーに相談し、見学、面談、申し込み、入居判定、契約の順で進みます。面談では、認知症の状態、身体状況、服薬、生活歴、家族の支援状況などが確認されます。少人数の共同生活なので、本人に必要な介助量だけでなく、ほかの入居者との相性や日中の過ごし方も判断材料になります。急いで探す場合でも、見学せずに決めると入居後のずれが出やすくなります。

必要な書類

必要書類は施設ごとに違いますが、要介護認定の結果、主治医の診断書や意見書、服薬内容がわかるものなどを求められることがあります。特に認知症であることの確認には、主治医の診断書などが重視されます。
施設によっては、緊急連絡先、既往歴、かかりつけ医の情報、日常生活の様子がわかる資料を求めることもあります。申込前に一覧を受け取り、足りないものを早めにそろえると手続きが進めやすくなります。
参照:『認知症対応型共同生活介護 グループホームとは』(健康長寿ネット)

入所待ち期間の目安

待機期間は地域や空床状況で大きく変わります。1ユニット5〜9人の小規模な住まいなので、希望条件に合う空きがすぐ出るとは限りません
急ぎの入所が必要な場合は、1か所だけでなく複数施設を並行して検討し、入所条件だけでなく、医療連携、夜間対応、看取りの方針まで見比べることが欠かせません。見学時の印象だけでなく、入居者層や退去理由の傾向も聞いておくと選びやすくなります。

まとめ

まとめ
認知症のグループホームは、少人数でなじみの関係を作りながら生活を続けやすい住まいです。生活介助に加えて、役割を保つ支援や地域との交流など、暮らし全体を支える認知症ケアが行われます。その一方で、医療依存度が高い状態への対応力や看取りの体制には施設差があります。入所前は、入所条件だけでなく、BPSDへの関わり方、夜間対応、医療連携、進行時の方針まで確認し、本人の状態に合うかを丁寧に見ていくことが欠かせません。

この記事の監修社会福祉士