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看護小規模多機能型居宅介護とは?サービス内容や利用できる人、費用、メリットを解説

 公開日:2026/04/08
看護小規模多機能型居宅介護とは?サービス内容や利用できる人、費用、メリットを解説

高齢の方の在宅生活を支える介護サービスのなかでも、看護小規模多機能型居宅介護(看多機;かんたき)は、介護と医療の両面から支援が受けられる制度として注目されています。通い(デイサービス)を中心に、泊まり(ショートステイ)や訪問介護・訪問看護などを組み合わせて利用できるのが特徴です。急な体調変化にも柔軟に対応でき、住み慣れた自宅での生活を継続したい方に適したサービスです。本記事は、看護小規模多機能型居宅介護のサービス内容や利用できる方、費用、利用するメリットなどを解説します。

小田村 悠希

監修社会福祉士
小田村 悠希(社会福祉士)

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・資格:社会福祉士、研修認定精神保健福祉士、介護福祉士、福祉住環境コーディネーター2級
・経歴:博士(保健福祉学)
これまで知的障がい者グループホームや住宅型有料老人ホーム、精神科病院での実務に携わる。現在は障がい者支援施設での直接支援業務に従事している。

看護小規模多機能型居宅介護とは

看護小規模多機能型居宅介護とは

介護と医療の支援を一体的に受けられる在宅介護サービスです。

看護小規模多機能型居宅介護の基本的な仕組み

看護小規模多機能型居宅介護(看多機;かんたき)は、介護と看護の両方を必要とする高齢の方が、住み慣れた自宅で安心感を持って暮らし続けられるよう支援する地域密着型の介護サービスです。

通い・泊まり・訪問介護・訪問看護の4つのサービスを、一つの事業所が一体的に提供するのが特徴です。サービスを提供する施設の利用定員は29名以下となっていますが、通い定員は18名以下、宿泊定員は9名以下となっています。

利用者は体調や生活状況に合わせて柔軟にサービスを組み合わせることができ、日常生活の支援や医療的ケアを24時間体制で受けることが可能です。例えば、日中は通いで入浴や食事の支援を受け、夜間に体調が不安定なときは泊まりを利用する、などの使い方ができます。担当する職員が共通して利用者を支えるため、情報共有がスムーズで、心身の変化にも素早く対応できる点が大きな特徴です。

参照:
『看護小規模多機能型居宅介護とは』 (健康長寿ネット)
『看護小規模多機能型 居宅介護の 広域利用に関する手引き』(厚生労働省)

小規模多機能型居宅介護との違い

大きな違いは、看護職が配置され、医療的ケアを含めた支援ができるかどうかです。小規模多機能型居宅介護は、通い・訪問・宿泊3つの介護サービスを一体的に提供し、顔なじみの職員による生活支援を通じて在宅生活の継続を支える仕組みです。

一方、看護小規模多機能型居宅介護では、この3つの介護サービスに訪問看護が加わり、看護師などが常駐または配置されることで、たんの吸引や経管栄養などの医療的ケア、服薬管理、状態観察などを日常的に行える点が特徴です。そのため、医療ニーズの高い方や在宅での看取りを希望する方にも対応しやすいサービスとなっていることが、小規模多機能型居宅介護との違いです。

参照:『小規模多機能型居宅介護事業 | 介護保険事業』(鳥取市社会福祉協議会)

看護小規模多機能型居宅介護で受けられるサービスの内容

看護小規模多機能型居宅介護で受けられるサービスの内容

通い・泊まり・訪問介護・訪問看護を組み合わせて日常生活と医療的ケアを受けられます。

訪問看護サービス

看護師などの医療専門職が利用者さんのご自宅を訪問し、主治医の指示に基づいて療養上の世話や医療的ケアを行います。

病状の観察(バイタルサインのチェックや症状の変化の確認)、服薬管理、点滴やカテーテル管理、褥瘡の予防・処置などの医療処置に加えて、清拭・入浴介助・排泄介助・食事支援などの日常生活の看護も含まれます。また、リハビリテーションの援助や、ご本人・ご家族への療養生活の相談、介護方法の指導、将来の見通しや在宅看取りに向けた支援など、心理面・生活面のサポートも重要な役割です。看護小規模多機能型居宅介護の訪問看護は、こうしたサービスをほかの通い・泊まり・訪問介護と密に連携させながらの提供で、在宅生活を総合的に支えます。

参照:
『訪問看護とは』(健康長寿ネット)
『“看多機”とは』(日本看護協会)

訪問介護サービス

介護の専門資格を持つヘルパーが利用者さんの自宅を訪問し、日常生活の援助を通じて在宅生活を支えます。サービス内容は大きく身体介護・生活援助・通院等乗降介助の3つに分かれます。身体介護では、食事・排泄・入浴・更衣・移乗・歩行介助など、利用者さんの身体に直接触れて行う介助を行います。

生活援助では、調理・掃除・洗濯・買い物・薬の受け取りなど、日常生活に必要な家事を代行し、自立した暮らしを続けられるよう支援します。通院等乗降介助では、病院受診などのための乗車や降車、玄関から車まで・車から院内までの移動をサポートします。

参照:『訪問介護とは 』(健康長寿ネット)

通いのサービス

少人数制の家庭的な環境で、日中を事業所で過ごします。食事や入浴、排泄などの介助に加えて、体操やレクリエーション、機能訓練などを通じて心身の維持・向上を図る支援を行います。

また、看護職員が常駐しているため、バイタルサインのチェックや服薬管理、創処置など、医療的ケアや健康管理も日常的に受けられる点が特徴です。

利用時間帯も、一般的なデイサービスより柔軟に対応している事業所が多く、朝早い時間帯から夕方以降まで、その方やご家族の生活リズムに合わせた利用がしやすくなっています。

参照:『看護小規模多機能型居宅介護とは』(健康長寿ネット)

宿泊型のサービス

日中の通いサービスを利用した後、そのまま事業所に宿泊ができます。宿泊時にも、顔なじみの看護職員・介護職員が見守りや排泄・更衣・移乗などの介助を行い、夜間の体調変化にも気付きやすい体制がとられています。

事前の長期予約が必要なショートステイと異なり、急に家族が不在になる・夜間の見守りが心配などの場面にも、柔軟に利用しやすい点が特徴です。

また、医療ニーズが高い方の場合には、主治医の指示に基づき、必要に応じてたんの吸引や経管栄養などの医療的ケアを行いながら宿泊できるため、自宅と同じような環境で夜を過ごせます。

利用開始後の生活のイメージ

利用し始めると、通い・泊まり・訪問介護・訪問看護を組み合わせながら、自宅を生活の拠点とした暮らしが続きます。平日は主に通いを利用し、事業所で食事や入浴、リハビリ、レクリエーションを行いながら、看護職による血圧測定や体調チェック、服薬管理などの医療的ケアも受けます。

体調が不安定なときやご家族の都合がつかないときには、同じ事業所でそのまま泊まりを利用し、夜間の見守りや排泄・体位交換などの介助を受けられます。自宅では、顔なじみの職員が訪問介護で家事や身体介護を、訪問看護で状態観察や医療処置、療養相談などを行うため、サービスが切れ目なくつながるイメージです。

こうした柔軟な使い方により、病状が変化しても住み慣れた自宅での生活を続けやすく、ご家族も必要に応じて支援を任せながら日常生活や仕事を続けることができます。

看護小規模多機能型居宅介護の利用対象者と利用条件

看護小規模多機能型居宅介護の利用対象者と利用条件

要介護認定を受けた方が、医療的ケアを含む在宅生活の支援を目的として利用できる地域密着型サービスです。

利用可能な要介護度

原則として要介護1〜5の認定を受けている方です。要支援1・2の方も利用できる小規模多機能型居宅介護とは異なり、看護小規模多機能型居宅介護は要介護認定者のみが対象となる点が特徴です。

実際の利用状況を見ると、要介護3以上の中重度の方の割合が高く、平均要介護度も3前後とされており、医療ニーズや介護量の少なくない方を支える拠点として機能しています。

参照:
『どんなサービスがあるの? - 看護小規模多機能型居宅介護』(厚生労働省)
『看護小規模多機能型居宅介護』(厚生労働省)

利用するための条件

まず要介護1以上の要介護認定を受けていることが条件です。さらに、地域密着型サービスに位置づけられているため、原則として利用を希望する事業所と同じ市区町村に住民票があることが求められます。加えて、対象となるのは常時医療機関での治療を必要としない方であり、24時間体制での高度な医療管理が必要な場合は、入院や別の医療サービスの利用が優先されます。これらの条件を満たしたうえで、担当ケアマネジャーと相談し、事業所との面談や契約を経て、通い・泊まり・訪問介護・訪問看護を組み合わせた利用が開始されます。

参照:『看護小規模多機能型居宅介護とは』(健康長寿ネット)

看護小規模多機能型居宅介護のメリットと注意点

看護小規模多機能型居宅介護のメリットと注意点

介護と医療を一体的に受けられるメリットがある一方、住んでいる市区町村や事業所数によっては利用しにくい注意点があります。

看護小規模多機能型介護サービスを活用するメリット

活用する大きなメリットは、介護と看護を一体的に受けながら、自宅を生活の拠点として暮らし続けやすくなることです。

ひとつの事業所が通い・泊まり・訪問介護・訪問看護を柔軟に組み合わせて提供するため、体調や家族の状況に応じて、通いから急な泊まり、通いを中止して訪問に切り替えるなど、臨機応変な利用ができます。

また、どのサービスを利用しても同じ事業所の顔なじみのスタッフが関わるため、認知症の方でも安心感が高まりやすく、利用者の状態変化にも気付きやすい体制です。

看護職員が常駐・配置されていることで、医療依存度が高い方でも在宅生活を続けやすく、在宅での看取りを希望する場合にも選択肢が広がります。

さらに、定額制で回数制限がなく使いやすいことから、介護者のご家族のレスパイトや介護離職の予防にもつながる点が大きな利点です。

参照:
『看護小規模多機能型居宅介護とは』(健康長寿ネット)
『“看多機”とは』(日本看護協会)

利用する際の注意点

いくつかの注意点があります。まず、要介護1以上の方のみが対象であり、要支援の方は利用できないことを理解しておく必要があります。

また、地域密着型サービスのため、原則として事業所のある市区町村に住民票がある方しか利用できず、引っ越しなどをすると継続利用が難しくなる場合があります。

さらに、看護小規模多機能を利用している間は、訪問リハビリテーションや居宅療養管理指導、福祉用具貸与など一部を除き、ほかのデイサービスやショートステイなど多くの介護保険サービスを併用できません。そのため、お試しで少しだけ利用を希望するよりも、在宅生活の中核のサービスとして位置づける前提で、ケアマネジャーや家族とよく相談しながら導入の検討が大切です。

参照:『看護小規模多機能型居宅介護とは』(健康長寿ネット)

利用開始までの流れと家族が準備すること

利用開始までの流れと家族が準備すること

看護小規模多機能型居宅介護を利用するには、要介護認定の取得から事業所・ケアマネとの相談、見学・契約、サービス利用開始までの流れを理解し、ご家族も事前準備を整えておくことが大切です。

利用開始までの手続き

一般の介護保険サービスと同様に要介護認定ケアプラン作成を経て進めます。まず、市区町村の窓口や地域包括支援センターで要介護認定を申請し、要介護1以上と判定されることが前提です。

認定結果が出たら、居宅介護支援事業所に依頼してケアマネジャーを決め、心身の状態や家族状況、希望を踏まえてケアプランを作成してもらいます。そのうえで、看護小規模多機能型居宅介護を提供している事業所の見学・面談を行い、サービス内容や費用、利用可能な曜日・時間帯などの説明を受け、本人・家族の希望と合致すれば契約を結びます。

契約後、事業所の担当ケアマネジャーとあらためて具体的な利用スケジュール(通い・泊まり・訪問の組み合わせ)を調整し、初回利用日を迎える流れです。

参照:『サービス利用までの流れ | 介護保険の解説 | 介護事業所・生活関連情報検索「介護サービス情報公表システム」』(厚生労働省)

事業所選びで確認したいポイント

まずご本人の状態に見合った医療対応ができるかどうかの確認が大切です。看護師の配置状況(24時間対応か、夜間のオンコール体制があるか)、医療的ケア(たん吸引、経管栄養、在宅酸素など)への豊富な経験や対応を事前にチェックすると安心感が高まります。

次に、通い・泊まり・訪問の定員や、実際にどの程度柔軟に組み合わせて利用できるか、急な泊まりや時間延長に応じてもらえるかなど、運営の方針や体制も重要なポイントです。少人数で顔なじみの職員が関わることが特徴のため、見学時には職員の雰囲気や利用者との関わり方、家族への連絡・相談体制もあわせて見ておくとよいです。

また、利用者の住所地(市区町村)との関係や、併用できるほかのサービスの範囲、自己負担額と追加費用(食費・おむつ代など)も、事前に具体的に確認しておくことが大切です。

参照:『14. 看護小規模多機能型居宅介護(複合型サービス) | 「基本情報」の読み解き方 | 介護事業所・生活関連情報検索「介護サービス情報公表システム」』(厚生労働省)

看護小規模多機能型居宅介護にかかる費用の目安

利用料は、介護保険部分が月額の定額制でかかるのが特徴です。要介護度や地域区分によって違いますが、1割負担の場合、厚生労働省の基準単位をもとにした各事業所の料金表では、おおむね要介護1で月1万2千〜1万4千円台、要介護5で3万円前後が目安とされています。

この定額料金には、通い・訪問介護・宿泊・訪問看護が包括されており、利用回数が増えても自己負担が大きく変動しにくい点がメリットです。

一方で、食費(1食数百円)、宿泊費(1泊2千〜3千円前後)、おむつ代やレクリエーション費などの日常生活費は介護保険の給付対象外で、事業所ごとの料金表に基づき実費負担です。実際の費用は、市区町村ごとの単位単価や加算の有無、負担割合(1〜3割)によって変わるため、気になる事業所の料金表と介護サービス情報公表システムで、事前に具体的な金額を確認しておくことが大切です。

参照:
『看護小規模多機能型居宅介護とは』(健康長寿ネット)
『看護小規模多機能型居宅介護 料金表』(KMリハセンター)

まとめ

まとめ

看護小規模多機能型居宅介護は、「通い」「宿泊」「訪問介護」「訪問看護」を一体的に提供し、医療と介護の両面から在宅生活を支える地域密着型サービスです。要介護1以上で常時入院治療を必要としない方が対象となり、医療ニーズが高い方や在宅での看取りを希望する方にも対応しやすい仕組みです。費用は介護保険部分が定額制で、これに食費や宿泊費などの実費が加わります。体調や家族の状況に応じて柔軟にサービスを組み合わせられる点が大きなメリットです。

この記事の監修社会福祉士