介護保険申請に必要なもの一覧|家族が申請する場合の持ち物や注意点も解説

介護保険の申請は、初めての場合に何を用意すればいいのか、どこに提出するのかと戸惑う方が少なくない手続きです。申請には本人確認書類や主治医の意見書、介護認定申請書など、いくつかの書類が必要です。また、ご家族が代理で申請する場合には委任状や続柄を確認できる書類なども求められます。本記事は、介護保険申請に必要な持ち物をわかりやすく整理し、申請時の注意点やスムーズに進めるためのポイントも解説します。

監修社会福祉士:
小田村 悠希(社会福祉士)
・経歴:博士(保健福祉学)
これまで知的障がい者グループホームや住宅型有料老人ホーム、精神科病院での実務に携わる。現在は障がい者支援施設での直接支援業務に従事している。
目次 -INDEX-
介護保険申請とは

介護が必要になった方が公的介護保険サービスを利用するために、市区町村へ要介護(要支援)認定を求める手続きのことを指します。介護保険制度は、市区町村が保険者となり、高齢の方などができる限り自立した日常生活を送れるよう、介護サービスを給付する仕組みとして運営されています。
申請は、原則として本人または家族が住民票のある市区町村窓口に要介護認定申請書を提出するところから始まり、その後、認定調査や主治医意見書の作成を経て、介護認定審査会で要介護度が決定されます。この申請を行わなければ、要介護度が認定されず(申請しても区分判定には非該当(自立)もあります)、介護保険サービスの利用はできないので、介護を負担なく継続するうえで重要なプロセスです。
参照:
『サービス利用までの流れ | 介護保険の解説 | 介護事業所・生活関連情報検索「介護サービス情報公表システム」』(厚生労働省)
『介護保険制度について』(厚生労働省)
介護保険申請|手続きの手順と流れ

介護保険の申請は、市区町村の窓口に要介護認定を申請し、訪問調査と主治医意見書の作成を経て、介護認定審査会で要介護度が決定される流れで進みます。
介護保険申請の窓口
原則として要介護認定を受けるご本人が住民登録している市区町村の担当課です。多くの自治体では介護保険課、高齢福祉課などが窓口となっており、市役所や区役所、町村役場の本庁舎だけでなく、出張所や支所で受け付けている場合もあります。また、地域包括支援センターでも申請書類の作成支援や提出の代行を行っていることが多く、高齢の方や家族だけでの手続きに不安がある場合に相談先として利用できます。
参照:『介護サービスの利⽤のしかた 地域包括⽀援センターとは 介護の相談窓⼝等について』(厚生労働省)
介護保険申請の手続き
まず要介護(要支援)認定を受けることから始まります。市区町村の介護保険担当課や地域包括支援センターを窓口として、要介護認定申請書や介護保険被保険者証、本人確認書類などを提出します。申請が受理されると、自宅や入院先に調査員が訪問し、心身の状態や生活状況を聞き取り・観察を行う認定調査が実施されます。同時に主治医による意見書が作成され、これらの情報をもとにコンピュータによる一次判定と介護認定審査会による二次判定が行われ、要介護度が決定されます。認定結果は原則30日以内に通知され、認定が下りるとケアマネジャーとケアプランを作成し、具体的な介護サービス利用へと進みます。
参照:
『介護保険制度について』(厚生労働省)
『要介護認定はどのように行われるか』(厚生労働省)
介護保険の申請ができる人
介護保険の申請ができる方は、公的介護保険の被保険者として認定されている方です。65歳以上の第1号被保険者の場合は、加齢に伴う心身の不調などが原因で介護や日常生活の支援が必要になったとき、原因となった病気を問わず申請ができます。一方、40歳以上65歳未満の第2号被保険者の場合は、医療保険に加入していることに加えて、厚生労働省が定める16種類の特定疾病が原因で要介護・要支援状態になっている場合に申請が可能です。また、実際の申請手続きは、本人だけでなく家族や成年後見人、ケアマネジャー、入院・入所先の職員などが代理して行うことも認められています。
介護保険申請に必要なもの

介護保険申請には、要介護認定申請書、介護保険被保険者証、本人確認書類(運転免許証・マイナンバーカードなど)、連絡先がわかる情報などを用意しておく必要があります。
必ず必要なもの
まず、要介護(要支援)認定を受けるための要介護認定申請書が必要です。窓口で用紙が準備されていることが少なくないですが、事前に自治体ホームページからダウンロードして記入しておくと手続きがスムーズです。次に、申請する方が介護保険の被保険者に該当するかを確認するための介護保険被保険者証が必要です。あわせて、運転免許証やマイナンバーカード、健康保険証などの本人確認書類も提示します。また、日中に連絡が取れる電話番号や、かかりつけ医(主治医)の医療機関名・住所・電話番号などの情報も、申請書の記入や主治医意見書の依頼に必須です。
あると手続きがスムーズに進むもの
まず、これまでの通院状況や服薬内容がわかるおくすり手帳や診療明細などがあると、心身の状態を説明しやすく、認定調査や主治医意見書の内容が具体的になりやすいです。また、日常生活で困っていることや介護が必要な場面をあらかじめメモしておくと、訪問調査の際に伝え漏れが少ないです。家族が申請や立ち会いを行う場合には、本人との続柄や連絡先を整理したメモ、同居家族の状況がわかる簡単な家族構成表なども役立ちます。さらに、将来利用したいサービスのイメージ(デイサービス、訪問介護など)を家族で話し合っておくと、その後のケアプラン作成もスムーズに進みます。
家族や代理人が申請する際に必要なもの
基本的な必要書類は本人が申請する場合と同じですが、それに加えていくつかの書類が求められます。まず、申請を行う家族や代理人の本人確認書類(運転免許証や健康保険証、マイナンバーカードなど)が必要です。さらに、本人から手続きや情報提供を任されていることを示すための委任状があるとスムーズです。自治体によっては所定様式が用意されていることもあります。また、成年後見人や法定代理人が申請する場合には、その資格を証明する登記事項証明書や審判書の写しなどの提示を求められることがあります。加えて、申請書に記載するための本人の介護保険被保険者証、連絡先、主治医の情報なども、家族や代理人があらかじめ整理して持参しておくことが大切です。
参照:
『さいたま市介護保険のお手続きについて』(さいたま市)
『成年後見人等による申請手続き』(神戸市)
介護保険の申請に関する注意点

介護保険の申請では、主治医や家族と十分に相談したうえで早めに手続きを進めることが大切です。また、記入漏れや必要書類の不足があると認定が遅れるため、事前に自治体の案内をよく確認して準備します。
要介護認定は更新手続きが必要
要介護認定は、一度受ければ終わりではなく、有効期間ごとに更新手続きが必要です。多くの場合、新規認定の有効期間は原則6ヶ月、更新の場合は原則12ヶ月に設定されており、期限を過ぎると介護保険サービスが利用できなくなるおそれがあります。そのため、更新申請は有効期限が切れるおよそ1ヶ月前を目安に、余裕をもって行うことが大切です。更新時も新規申請と同様に、市区町村への申請、認定調査、主治医意見書の作成などのプロセスを経て、あらためて要介護度が判定されます。心身の状態や生活状況の変化に応じて要介護度が見直されるため、日常生活で困っていることや介護の負担状況を、事前に整理しておくとスムーズです。
心身状態が悪化した場合は区分変更申請が可能
有効期間の途中であっても区分変更申請を行うことができます。現在の要介護度や要支援度が実際の状態に合っていないと感じたときに、市区町村の介護保険窓口やケアマネジャーを通じて申請します。区分変更申請を行うと、新たに認定調査が実施され、主治医意見書などと合わせて再度審査が行われ、要介護度が見直されます。その結果、必要な介護サービス量が増えたり、利用できるサービスの種類が広がったりする可能性がありますが、状態が改善していると判断されれば区分が下がることもあるので、申請前にケアマネジャーや主治医とよく相談しておくことが大切です。
介護保険申請の手続きがわからないときの相談窓口

お住まいの市区町村の介護保険担当窓口や地域包括支援センターに相談するとよいです。また、担当ケアマネジャーがいる場合は、申請方法や必要書類に関して具体的なサポートを受けられます。
地域包括支援センター
地域包括支援センターは、高齢の方が住み慣れた地域で安心して暮らし続けられるよう支援する、公的な総合相談窓口です。主任ケアマネジャーや保健師、社会福祉士などの専門職が配置されており、介護、医療、福祉、権利擁護など幅広い相談に対応します。介護保険の申請手続きは、必要書類の確認や申請書の書き方、窓口への提出方法などの具体的なサポートを受けることができます。相談は基本的に無料で、電話・来所・場合によっては訪問での相談も可能なので、「どこに相談したらよいかわからない」ときのはじめの相談先として活用しやすい窓口です。
参照:『介護サービスの利⽤のしかた 地域包括⽀援センターとは 介護の相談窓⼝等について』(厚生労働省)
市区町村の窓口
介護保険の申請や要介護認定に関する中心的な相談・手続きの場です。介護保険課、高齢福祉課、高齢者支援課など名称は自治体によって違いますが、いずれも介護保険制度全般の説明や、申請書類の配布・受付、必要書類の確認などを行っています。申請に関する不明点がある場合は、電話で事前に問い合わせることもでき、受付時間や持ち物、代理申請の可否などを確認しておくと安心感が高まります。また、多くの自治体では、出張所や支所でも一部手続きに対応していたり、郵送での申請を受け付けていたりする場合もあるので、自分や家族の負担が少ない方法を選んで手続きを進めることが大切です。
医療機関の相談室や地域連携室
入院中や外来通院中の患者さんと家族が、医療と生活・介護の不安を相談できる窓口として設けられています。多くの場合、医療ソーシャルワーカーや看護師などの専門職が配置され、退院後の生活や介護保険サービスの利用、在宅介護への移行、施設入所の検討などを一緒に考えてくれます。介護保険申請そのものの窓口ではありませんが、必要な制度やサービスの紹介、申請手続きの流れの説明、市区町村窓口や地域包括支援センターとの連携調整などを通じて、患者さんがスムーズに介護サービスへつなげられるよう支援してくれます。入院中に今後の介護が不安になったときは、主治医や病棟看護師に相談室(地域連携室)につないでほしいと伝えると、具体的な支援を受けやすいです。
社会福祉協議会
社会福祉協議会(社協)は、地域に暮らす住民同士の支え合いを促進し、誰もが安心感を持って生活できることを目的とした民間の社会福祉団体です。介護保険制度とも深く関わっており、在宅福祉サービスの提供、介護予防事業、ボランティア活動の推進などを通じて、高齢の方やその家族を支援します。また、多くの市区町村社協では、生活や介護に関する相談窓口を設け、介護保険サービスの利用方法や費用、地域の支援制度の紹介など、日常生活上の不安や困りごとに幅広く対応しています。家族だけでは対応が難しい介護負担や、経済的な不安、権利擁護(成年後見制度の利用支援など)の相談に応じてくれる場合もあるので、地域包括支援センターや市区町村窓口とあわせて、身近な相談先の一つとして活用しやすい機関です。
参照:
『法人概要』(全国社会福祉協議会)
『社会福祉協議会の 組織・事業・活動について』(厚生労働省)
民生委員
地域に暮らす住民の一員として、生活に困りごとや不安を抱える方の相談に乗り、必要な支援や公的制度につなぐ役割を担うボランティアです。民生委員法に基づき厚生労働大臣から委嘱される非常勤の地方公務員であり、担当区域の高齢の方や障碍のある方、子育て世帯などの状況を日頃から把握し、見守りや安否確認、生活に関する助言、福祉サービスの利用支援などを行います。また、地域包括支援センターや市区町村の福祉担当課、社会福祉協議会などの専門機関と連携し、住民と行政の橋渡し役として活動します。相談内容の秘密を守る守秘義務が課されているため、身近な生活や介護の悩みを安心して相談できる存在です。
参照:
『民生委員・児童委員はどのような活動をしているのですか?』(厚生労働省)
『民生委員・児童委員』(独立行政法人福祉医療機構)
まとめ

介護保険の申請では、要介護認定申請書、介護保険被保険者証、本人確認書類、連絡先や主治医の情報などの基本書類をそろえておくことが重要です。家族が申請する場合は、申請者(家族側)の本人確認書類や、自治体指定の委任状が求められることもあります。書類の不備や記入漏れがあると審査が遅れるため、事前に市区町村窓口や地域包括支援センターで必要なものを確認し、余裕をもって準備しておくことが大切です。
参考文献
- 『サービス利用までの流れ | 介護保険の解説 | 介護事業所・生活関連情報検索「介護サービス情報公表システム」』(厚生労働省)
- 『介護保険制度について』(厚生労働省)
- 『要介護認定はどのように行われるか』(厚生労働省)
- 『介護サービスの利⽤のしかた 地域包括⽀援センターとは 介護の相談窓⼝等について』(厚生労働省)
- 『さいたま市介護保険のお手続きについて』(さいたま市)
- 『成年後見人等による申請手続き』(神戸市)
- 『要介護(要支援)認定の申請』(日高市ホームページ)
- 『法人概要』(全国社会福祉協議会)
- 『社会福祉協議会の 組織・事業・活動について』(厚生労働省)
- 『民生委員・児童委員はどのような活動をしているのですか?』(厚生労働省)
- 『民生委員・児童委員』(独立行政法人福祉医療機構)


