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認知症対応型通所介護とは?サービス内容や費用の目安、利用条件を解説

 公開日:2026/03/16
認知症対応型通所介護とは?サービス内容や費用の目安、利用条件を解説

ご家族に認知症の症状がみられ始め、これまでのデイサービスでは対応が難しくなってきたと感じて不安を抱く方もいるでしょう。認知症が進むと、本人がなじめなかったり、スタッフの対応に限界を感じたりするなど、より専門的なケアが必要になるケースも増えてきます。どのような場所を選べばよいのか、費用はどのくらいかかるのかなど、疑問を感じるかもしれません。
この記事では、認知症対応型通所介護のサービス内容や、一般的なデイサービスとの違いを解説します。あわせて、利用できる方の条件や費用の目安、利用までの手続きの流れも解説します。
ご家族に合った適切なサポートを見つけ、心にゆとりを持って介護に向き合えるよう、ぜひ参考にしてください。

※この記事は2026年2月12日時点の制度に基づいています。

小田村 悠希

監修社会福祉士
小田村 悠希(社会福祉士)

プロフィールをもっと見る
・資格:社会福祉士、研修認定精神保健福祉士、介護福祉士、福祉住環境コーディネーター2級
・経歴:博士(保健福祉学)
これまで知的障がい者グループホームや住宅型有料老人ホーム、精神科病院での実務に携わる。現在は障がい者支援施設での直接支援業務に従事している。

認知症対応型通所介護とは

認知症対応型通所介護とは

認知症対応型通所介護は、認知症の方が住み慣れた地域で安心して過ごせるよう、専門的なケアを提供する日帰りサービスです。ここでは、その定義や制度上の位置づけ、一般的なデイサービスとの違いを整理します。

認知症対応型通所介護の定義

認知症対応型通所介護とは、認知症の症状がある要介護(要支援)認定を受けた方を対象に、食事や入浴の介助、生活機能向上のための訓練などを提供する専門的なサービスです。単に日常生活を支えるだけでなく、認知症特有の症状への適切な対応や、心理的なケアも重視されています
サービス提供の主な目的は以下のとおりです。

  • 利用者の社会的孤立感の解消と交流の促進
  • 心身機能の維持と、認知症の進行緩解
  • 介護を担う家族の負担軽減(レスパイトケア)

認知症の特性に配慮した家庭的な環境下で、その方のできることを大切にしながら、自立した生活を継続できるよう支援します。

介護保険制度における位置づけ

認知症対応型通所介護は、介護保険制度上の地域密着型サービスの一つに分類されます。これは、高齢の方が重度な状態になっても、長年住んできた地域での生活を続けられるようにすることを目指した制度です。
制度上の大きな特徴は以下のとおりです。

  • 原則として、事業所が所在する市町村に住民票がある方のみが利用できる
  • 少人数(定員12人以下)での家庭的な環境でサービスが提供される
  • 専門的な研修を受けたスタッフが人員基準に基づいて手厚く配置されている

地域密着型サービスであるため、市区町村が事業所の指定や指導を行い、地域のニーズに密着した柔軟な運営が期待されています。住み慣れた地域での生活を、顔なじみのスタッフや近隣の方々との関わりのなかで継続しやすい仕組みとなっています。

参照:『第180回社会保障審議会介護給付費分科会(Web会議)資料1』(厚生労働省)

一般的な通所介護との違い

通所介護(デイサービス)と認知症対応型通所介護の主な違いは、対象者の限定とケアの専門性、そして定員規模にあります。

主な相違点をまとめると以下のとおりです。

項目 一般的な通所介護 認知症対応型通所介護
対象者 要介護1以上の高齢の方 医師から認知症の診断を受けた方
定員規模 規模が大きい(数十人など) 12人以下の少人数
スタッフの配置 介護・看護職員など 認知症ケアの専門知識を持つ職員を配置
サービスの特徴 社会交流、リハビリ、レクが中心 認知症の症状に合わせた個別性の高いケア

参照:『第180回社会保障審議会介護給付費分科会(Web会議)資料1』(厚生労働省)

一般的なデイサービス(通所介護)では、数十人の利用者が同じフロアで活動するため、活気がある反面、認知症の方にとっては刺激が強すぎる、自分の居場所がわからないなどの混乱を招くことがあります。

一方で、認知症対応型は12人以下の小規模単位(ユニット)で過ごすため、スタッフとの距離が近く、一人ひとりの細かなサイン(表情や仕草)に配慮したケアが可能です。顔なじみの職員や利用者と過ごすことで、環境の変化に敏感な認知症の方も安心感を得やすく、自宅の延長のような感覚で過ごせる点が利点です。

認知症対応型通所介護のサービス内容

認知症対応型通所介護のサービス内容

認知症対応型通所介護では、ご本人の尊厳を保ちながら、日常生活を支える多様なメニューが用意されています。ここでは、主なサービスの内容を解説します。

個別機能訓練

個別機能訓練は、利用者の心身の状況に合わせて、日常生活を送るために必要な機能を維持・向上させるための訓練です。機能訓練指導員が、ご本人のこれまでの生活習慣や現在の身体能力を把握したうえで、無理のない目標を設定します。
具体的な取り組み例は以下のとおりです。

  • 立ち上がりや歩行訓練、関節の可動域を広げるなどの身体的アプローチ
  • 食事や排泄(はいせつ)、ボタンのかけ直しなど、実際の生活動作を想定した訓練
  • 家事(片付けや拭き掃除)や趣味活動を通じた、手指の巧緻(こうち)動作の練習

単なるリハビリにとどまらず、自分の力でトイレに行きたい、家族と一緒に食事を楽しみたいなどの、ご本人の尊厳に関わる目標の達成を、専門家が多角的にサポートします。

レクリエーション

レクリエーションは、脳の活性化や社会的交流を促し、精神的な安定を図るために行われます。少人数であることを活かし、一方的なプログラムの提供ではなく、ご本人の意思や得意分野を尊重した活動が中心です。
活動の具体例は以下のとおりです。

  • 回想法(昔の思い出を語り合うことで脳を刺激し、情緒を安定させる手法)
  • 手指を使う創作活動(折り紙、塗り絵、手芸、庭仕事など)
  • 音楽療法や、なじみのある歌のリズムに合わせた軽い体操

認知症の方は、大人数での一斉活動よりも、少人数や一対一での関わりを好む場合があります。自分の役割があると感じることで自己肯定感が高まり、日中の活動量が増えることで夜間の良質な睡眠にもつながります

入浴や食事の介護

日常生活に欠かせない食事や入浴のサポートも、専門スタッフの見守りのもとで行われます。
主なサポート内容は以下のとおりです。

サポート 内容
栄養管理された食事 本人の噛む力や飲み込む力に合わせた調理形態の提供。ときにはスタッフと一緒に配膳や片付けを行うことで、生活を営んでいるという実感を得られる工夫がなされている
入浴介助 浴室での転倒予防や、プライバシーに配慮した身体の洗浄補助。少人数制のため、お一人おひとりのペースに合わせてゆっくりとお湯に浸かることができ、心身の緊張を解きほぐす

スタッフが適度な距離感で見守りを行うことで、本人が自ら行える部分は大切に尊重しながら、必要な箇所を的確にサポートします。顔なじみのスタッフと食卓を囲んだり、季節の行事食を楽しんだりする時間は、認知症の方にとって大きな安心感と喜びにつながります。

認知症対応型通所介護を利用できる方や条件

認知症対応型通所介護を利用できる方や条件

認知症対応型通所介護の利用には、公的な認定と特定の条件が必要です。
主な利用条件は以下のとおりです。

条件 内容
要介護認定 要介護1以上の認定を受けていること
認知症の診断 医師から認知症であるとの診断を受けていること
居住地 原則として、事業所が所在する市町村に住民票があること

なお、要支援1・2の方は介護予防認知症対応型通所介護という名称でサービスを利用できます。
地域密着型サービスは、原則として事業所がある市町村の住民が対象ですが、家族の事情や近隣に適切な事業所がないなどの特別な理由があり、自治体間の協議・同意が得られた場合には、区域外の事業所を利用できる例外規定もあります。

認知症対応型通所介護の利用を検討するタイミング

認知症対応型通所介護の利用を検討するタイミング

専門的なケアに切り替えるタイミングは、ご本人やご家族の状況によって異なります。代表的な検討のきっかけを解説します。

通常のデイサービスが合わないと感じたとき

一般的なデイサービスに通っているなかで、以下のような変化が見られた場合が検討のタイミングです。

  • 大人数の中に入ると、落ち着かなくなったり不安を感じたりするようになった
  • 周りの方に迷惑をかけていないか、ご家族が心配になる場面が増えた
  • 本人が「行きたくない」と強く拒否するようになった

少人数の家庭的な雰囲気であれば、本人がリラックスして過ごせる可能性があります。

家族の介護負担が大きくなっているとき

ご家族の生活や精神状態に余裕がなくなってきたときも、専門職を頼るべきサインです。介護は長期戦であり、ご家族が倒れてしまっては元も子もありません。
以下のような状況は、早急な対策を要するサインです。

  • 夜間の不眠や徘徊(はいかい)への対応で、ご家族も慢性的な睡眠不足になっている
  • 介護を優先するあまり、仕事を辞めること(介護離職)を検討し始めている
  • 介護者が常にイライラしてしまったり、無力感に襲われたりするなど、精神的に追い詰められている

認知症の専門知識を持つスタッフに短時間でも任せることで、物理的な介護時間の短縮だけでなく、ご家族の心理的な安らぎを確保できます。これが結果として、在宅生活を一日でも長く、穏やかに続けることにつながります。

認知症対応型通所介護施設の費用目安

認知症対応型通所介護施設の費用目安

利用料金は、要介護度や利用時間、事業所の形態(単独型・併設型など)によって異なります。
1回あたりの自己負担額(1割負担の場合)の目安は以下のとおりです。

要介護度 費用の目安(7〜8時間利用の場合)
要介護1 約1,000円〜1,100円
要介護2 約1,100円〜1,200円
要介護3 約1,200円〜1,300円
要介護4 約1,300円〜1,400円
要介護5 約1,400円〜1,500円

上記は基本報酬の目安であり、地域区分(人件費などの差)や各種加算(入浴介助加算、個別機能訓練加算、若年性認知症利用者受入加算など)によって変動します。また、サービス費用以外にも、昼食代(事業所ごとに異なる実費)やおむつ代、教養娯楽費などの実費が別途必要になる点に注意しましょう。具体的な支払額は、事業所から提示される重要事項説明書や契約書で事前によく確認することが大切です。

参照:『認知症対応型通所介護』(独立行政法人福祉医療機構 WAMNET)を基に計算

認知症対応型通所介護施設を利用するまでの流れと手続き

認知症対応型通所介護施設を利用するまでの流れと手続き

実際にサービスを利用を開始するまでの手順を解説します。

介護保険サービスを利用するための手続き

まだ要介護認定を受けていない場合は、居住地の窓口で申請を行いましょう。申請の具体的な流れは以下のとおりです。

手順 内容
1. 申請 市区町村の介護保険担当窓口(または地域包括支援センター)へ申請書を提出
2. 調査・判定 訪問調査を経て、主治医の意見書などをもとに審査が行われる
3. 認定 認定結果(要介護度)が通知される

すでに認定を受けている場合は、担当のケアマネジャーへ「認知症への対応に特化したサービスを検討したい」と相談することから始まります。

認知症対応型通所介護施設を利用するまでの手続き

具体的な事業所を決める際の流れは以下のとおりです。

手順 内容
1. 事業所の情報収集 担当のケアマネジャーから地域の事業所リストをもらい、特色(リハビリ重視、家庭的な雰囲気など)を比較
2. 見学・体験 実際の雰囲気やスタッフの関わり方を確認。ご本人がほかの利用者の方とどのように接しているか、表情が和らいでいるかを確認するため、体験利用ができる場合は積極的に活用する
3. ケアプランの作成 利用の方針が決まったら、ケアマネジャーがケアプラン(居宅サービス計画)に組み込み、いつ、どのくらいの頻度で利用するかを確定させる
4. 契約・利用開始 事業所と契約を結び、利用が開始される

ご本人の状態に加え、送迎の範囲や対応可能な時間、緊急時の対応など、ご家族の都合も踏まえて無理のない持続可能なプランを立てることが大切です。

まとめ

まとめ

認知症対応型通所介護は、認知症の方が住み慣れた地域で自分らしく過ごすための大切なサービスです。少人数規模で顔なじみのスタッフから専門的なケアが受けられるため、一般的なデイサービスになじめなかった方や、より手厚いサポートを必要とする方にとても適しています。要介護1以上の認定と医師の診断があれば、原則として居住地の事業所を利用可能です。
費用は要介護度により異なりますが、介護保険を活用することで負担を抑えて利用できます。介護はご家族だけで抱え込まず、ケアマネジャーや地域包括支援センターへ早めに相談をしましょう。ご本人とご家族にとって適したサポートを見つけることは、穏やかな在宅生活を続けるための第一歩です。

この記事の監修社会福祉士