介護用防水シートの正しい使い方は?メリットや種類、選び方のポイントを解説します

介護の現場や在宅介護でよく使われる介護用防水シートをご存知でしょうか。これは失禁などでベッドや布団が濡れるのを防ぐために用いるシーツであり、介護される方・する方双方の負担軽減につながる便利な介護用品です。本記事では、介護用防水シートの基礎知識からメリットや種類、選び方のポイント、そして正しい使い方までを解説します。

監修社会福祉士:
小田村 悠希(社会福祉士)
・経歴:博士(保健福祉学)
これまで知的障がい者グループホームや住宅型有料老人ホーム、精神科病院での実務に携わる。現在は障がい者支援施設での直接支援業務に従事している。
目次 -INDEX-
介護用防水シートの基礎知識

介護用防水シートについて知らない方もいらっしゃると思います。そこで、ここでは介護用防水シートとは何か、その役割や必要となる場面についてまず確認しましょう。
介護用防水シートの役割
介護用防水シートは、主に失禁などによって布団やマットレスが汚れることを防ぐ目的で使用されるシーツです。裏面に防水機能や撥水機能を備え、ベッドに敷いておくことで尿や汗、飲み物のこぼれなどの液体が寝具に染み込むのを防ぎます。マットレスを液体や臭いから守り、清掃・洗濯の手間を減らすのが主な役割です。例えば、失禁があっても防水シートが一枚敷いてあればマットレス本体まで汚れずに済み、シートを取り外して洗濯できるため介護者の負担軽減につながります。
介護防水シートが必要になる場面
では、介護防水シートは具体的にどのような場面で役立つのでしょうか。防水シートは、以下のような場面で活躍します。
- 夜間の排泄ケアが難しい場合
- 排尿量が多くおむつから漏れてしまう場合
- 体動が大きくおむつがずれやすい場合
このほか失禁以外にも、ベッド上での清拭(身体拭き)や洗髪、食事中の飲み物のこぼれなどで寝具が濡れる可能性がある場面でも使えます。このように防水シートを敷いておけば万一の汚染に備えることができます。
介護用防水シートを使用するメリットと注意点

防水シートを使うことにはさまざまな利点がありますが、留意すべき点も存在します。ここではメリットと注意点を順に解説します。
介護用防水シートを使うメリット
介護や失禁対策として、防水シートの使用を検討している方も多いのではないでしょうか。防水シートは単に汚れを防ぐだけでなく、介護する側・される側の双方にとって多くのメリットがあります。具体的には、次のような点が挙げられます。
- 寝具を汚れから守れる
- 洗濯やシーツ交換の手間が軽減する
- 衛生管理がしやすい
- 失禁への不安が和らぎ心理的安心感につながる
このように、防水シートは寝具の保護だけでなく、介護者の負担軽減や衛生管理のしやすさ、そして介護される方の安心感や快適性の向上にもつながるアイテムです。失禁対策や夜間の介護に悩んでいる場合は、生活の質を保つ工夫の一つとして取り入れてみるとよいでしょう。
介護用防水シートを使用する際の注意点
防水シートは失禁対策や寝具保護に役立つ便利なアイテムですが、使い方を誤ると不快感や皮膚トラブルの原因になることもあります。安全かつ快適に使用するためには、メリットだけでなく注意点も理解しておくことが大切です。主な注意点は次のとおりです。
- 蒸れによる不快感・皮膚トラブルが起こる
- シーツのしわによる床ずれが生じる
- 製品ごとの防水性能の限界がある
- 長時間連続使用は避ける
これらの点を踏まえ、防水シーツは必要なときに、適切に使うことが重要です。通気性や防水性能に配慮した製品選びと、定期的なシーツ交換や体位変換を行うことで、寝具を守りながらお肌トラブルの予防にもつながります。正しい使い方を心がけ、介護する側・される側の双方が快適に過ごせる環境を整えましょう。
介護用防水シートの主な種類

防水シートにはさまざまな種類があります。形状による分類や使い捨てか洗濯可能かといった観点で、代表的なタイプを紹介します。
ベッド用防水シート
ベッド用防水シートは、ベッドのマットレス全体を覆うタイプの防水シーツです。形状としては大きく分けて、敷布団・マットレスの表面のみを覆う全身タイプと、マットレスの側面まで包み込む全面タイプがあります。
全身タイプはシーツの四隅にゴムが付いており、それをマットレスの角に引っかけて固定して使用します。全面タイプは袋状になっていてマットレス全体をすっぽり覆い、防水カバーのように側面や裏面まで汚れから保護できる構造です。
ベッド全体を覆うタイプは、防水範囲が広く安心感が高い反面、部分用に比べて通気性が劣り蒸れやすい傾向があります。寝返りなどベッド上での体動が大きい方、おむつをしていても横漏れでシーツを汚してしまう方には有効ですが、シーツにしわが寄らないようピンと張って使うこと、ズレにくい設計の製品を選ぶことが重要です。特に、褥瘡リスクのある方に用いる場合は、しわ防止や適宜シーツを交換・乾燥させる配慮が必要です。
部分用防水シート
部分用の防水シートは、腰回り部分だけをカバーできる細長いパッド状のシーツです。ベッドでは敷布に対して横向きになるよう配置し、左右の端をマットレスの下に折り込んで固定して使用します。身体の一部のみを覆うためシーツが当たらない頭部や足元は蒸れにくく、夏場でも快適に使えるという利点があります。
部分用シートは失禁の少ない方や、おむつと併用していて漏れがあっても少量のみの方に適しています。シーツ自体が小さい分、洗濯や交換がしやすい点もメリットといえるでしょう。寝たきりの方でもシーツ全体を替えるより部分シート1枚を差し替える方が手早く済みます。一方で、防水範囲が限定されるため寝相が悪い方や尿量の多いケースではカバーしきれない可能性があります。そうした場合には、部分用と全身用を二重に敷いて汚れた側だけ外す重ね使いをするなどの工夫も有効です。
使い捨てタイプと洗濯可能タイプ
防水シートには、使い捨てタイプと洗濯して繰り返し使える布製タイプがあります。使い捨てタイプは吸水層と防水フィルムを備え、使用後はそのまま捨てられる手軽さが特徴です。洗濯の手間がなく、旅行や一時的に使用量が増える場面で便利ですが、継続使用ではコストやごみの増加に注意が必要です。
一方、布製タイプは裏面に防水加工を施した構造で、洗って何度も使えるため長期的には経済的です。速乾性や耐久性に優れ、肌触りや消臭・抗菌など機能性の高い製品も多く、寝具の清潔を保ちやすい点がメリットです。
それぞれに利点があるため、日常は布製、汚れが心配なときは使い捨てといった併用もおすすめです。介護環境や使う場面に合わせて、無理のない選び方をするとよいでしょう。
介護用防水シートとほかの介護用品との違い

防水シートはおむつや防水カバーなど、ほかの介護用品と組み合わせて使われることが多いですが、それぞれ役割が異なります。ここでは代表的なものとの違いを整理します。
おむつと防水シートの違い
おむつと防水シートは、ともに失禁対策用品ではありますが役割が異なります。おむつ類は利用者の身体に直接装着し、尿や便を吸収してお肌や衣服が濡れるのを防ぐものです。
一方、防水シートはベッドや布団を濡らさないように敷く寝具保護用のシーツであり、排泄物そのものを吸収するわけではありません。防水シートには吸水ポリマーなどは含まれないため、仮におむつを使用せず直接排泄してしまった場合、シーツは防水しても利用者のお肌は濡れてしまい、不快感や皮膚の炎症につながります。したがって、防水シートはあくまで補助的なものであり、基本的にはおむつや尿取りパッドと併用して使うものと考えるとよいでしょう。
防水マットや防水カバーとの違い
防水マットや防水カバーという呼び方は、防水シートと似ていますが、用途や使い方がやや異なります。防水マットは、車いすの座面や椅子、床などに敷く小型の防水敷物を指すことが多く、ポータブルトイレの下に敷いたり、外出先で椅子を汚さないために使われます。形状は異なりますが、水分から対象を守るという目的は防水シートと共通しています。
防水カバーは、マットレス全体を包み込むタイプの防水製品で、基本的に装着したまま使用します。その上から通常のシーツを敷くことで、マットレスを長期間清潔に保てます。必要なときだけ敷いて洗濯する防水シートとは異なり、常時保護を目的とする点が特徴です。
このように、防水シートは寝具の上に敷く汎用的な防水用品で、防水マットや防水カバーは用途や範囲に応じて使い分けられていると考えるとよいでしょう。
介護用防水シートの選び方

防水シートは利用者の状態や使用環境に合わせて適切なものを選ぶことが大切です。選定時にチェックしたいポイントを以下に挙げます。
サイズと敷く場所を検討する
まずシーツのサイズが使用する寝具に合っているか確認しましょう。シングル・セミダブルなどベッドや布団のサイズに対して小さすぎるとカバーしきれず、大きすぎても余った部分がしわになってしまいます。特に、ボックスタイプの場合はマットレスの厚みにも注意が必要で、厚みがあるマットレスには深さのある大型サイズを選ばないとうまく覆えません。適合サイズのシーツを選ぶことで、ズレや漏れを防ぎ快適に使用できます。
また、防水シートをどこに敷くかも考慮しましょう。ほとんどの方はベッド上で使いますが、介護環境によっては椅子や車いす用に小さい防水マットが必要な場合もあります。
ベッド用には先述した部分タイプや全面タイプを、車いすやソファには座面を覆うコンパクトな防水パッドを、といったように場面に応じて適した大きさ・形状の製品を選ぶことがポイントです。床にポータブルトイレを設置する場合には、床保護用に大判の防水シートやマットを敷いておくとよいでしょう。
給水量や防水性能を確認する
シートの防水性能も重要なチェックポイントです。商品によって表面が吸収できる水分量や、防水加工の仕様に差があります。防水シーツには大きく分けて、裏面にポリウレタンフィルムなどを貼り付けた防水タイプと、生地表面に撥水加工を施した撥水タイプの2種類があります。防水タイプは吸収した水分を裏側で完全にブロックするので漏らさない性能が高く、失禁量が多い方に適しています。
表面がパイル地など吸水性のある生地になっている製品であれば、ある程度尿を吸収して裏に通さないため安心感が高いでしょう。
一方、撥水タイプは裏面にフィルム加工がなく通気性に優れる反面、シーツ表面にとどまった水分も体重など圧力がかかると下に染み出てしまう可能性があります。少量のお漏らしや寝汗対策が主目的の場合は蒸れにくい撥水タイプも選択肢ですが、尿量が多い方には不向きな場合があります。想定する失禁量に見合った性能のものを選ぶことが大切です。心配な場合は完全防水タイプを選んでおくとよいでしょう。
肌触りや通気性がよいものを選ぶ
利用者が長時間触れて寝るものですから、素材の肌触りや通気性も重視しましょう。防水シートの表面にはパイルや綿・ポリエステルのニット生地などが使われています。綿パイル生地は肌触りがやわらかく吸水性も高いため、汗をかいてもべたつきにくく寝心地を損ないにくい素材です。ポリエステル生地は乾きが早くお手入れしやすい反面、透湿性が低く汗の湿気がこもりやすい欠点があります。夏場の蒸れ対策としては、生地裏に透湿性ポリウレタンラミネートを用いたシーツや、メッシュ構造で通気性を高めた製品などを選ぶとよいでしょう。
管理のしやすさで選ぶ
防水シートのお手入れのしやすさも、重要な選択ポイントです。製品によって洗濯方法に制限があり、なかには洗濯機での脱水や乾燥機の使用を禁止しているものもあります。購入時には洗濯表示を確認し、自宅の洗濯設備で無理なく扱えるものを選びましょう。
臭い対策も考慮するとよいポイントです。尿臭が気になる方は消臭効果のある繊維を使った商品や、防臭加工が施された防水シートを選ぶとよいでしょう。また、洗い替え用に複数枚を用意してローテーションすることで、常に清潔なシーツを使用でき万一の汚染時にも慌てずに済みます。
介護用防水シートの正しい使い方

最後に、防水シートを効果的に使うための基本的な敷き方やお手入れ方法について解説します。
敷き方の基本
防水シーツは、ずれやしわを防ぐため正しく敷くことが大切です。全面タイプはマットレスサイズに合ったものを選び、四隅までしっかり被せてしわを伸ばします。ゴム付きの場合は固定し、必要に応じてシーツ止めを使うとよいでしょう。
部分タイプは腰の下に横向きに敷き、両端をマットレスの下に巻き込んで固定します。ずれやすいため、滑り止め加工のある製品やタオルを併用すると安定します。
いずれも蒸れ防止のため必要な場面だけ使用し、失禁の心配がない時間帯は外しましょう。おむつや吸水パッドと併用し、防水シーツは寝具を守る補助として使うのが基本です。
洗濯や廃棄の方法
防水シートを清潔に長く使うには、表示に沿ったお手入れが重要です。洗濯可能なタイプは、できるだけほかの衣類と分けて洗い、便で汚れた場合は事前に洗い流すか酸素系漂白剤でつけ置きするとよいでしょう。塩素系漂白剤や柔軟剤は、防水性や吸水性を損なう可能性があるため基本的に避けましょう。
乾燥は低温設定か陰干しが基本で、高温乾燥やアイロンは防水膜の劣化する可能性があります。直射日光も避け、風通しのよい場所で乾かしてください。表面のベタつきや防水膜の剥がれが見られたら買い替えの目安です。
使い捨てタイプは自治体の分別ルールにしたがって処分し、重くなった場合は小分けにするとよいでしょう。使用後は袋に入れて密閉し、衛生面にも配慮しましょう。
まとめ

介護用防水シートは、デリケートな排泄ケアを支え、衛生と睡眠の質を両立させる頼もしいアイテムです。おむつだけでは不安な夜間の尿失禁対策として防水シートを併用すれば、万一の漏れによる寝具汚染を防ぎ、介護する側の負担も軽減できます。一方で、防水シートには蒸れやすさなどのデメリットもあるため、適切な種類・素材のものを選び、正しく使用することが大切です。利用者の状態や生活リズムに合わせて、防水シートを上手に使い分けましょう。


