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介護施設で起きやすいトラブルとは?回避方法や対処法を解説します

 公開日:2026/02/11
介護施設で起きやすいトラブルとは?回避方法や対処法を解説します

高齢の方が入居する介護施設では、転倒や誤薬などさまざまなトラブルが発生することがあります。介護スタッフは細心の注意を払っていますが、残念ながらリスクをゼロにすることは困難であり、事故が起きる可能性は常に存在します。本記事では、介護施設で起きやすいトラブルや事故の具体例とその予防策、万一発生してしまった際の適切な対処法について解説します。

小田村 悠希

監修社会福祉士
小田村 悠希(社会福祉士)

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・資格:社会福祉士、研修認定精神保健福祉士、介護福祉士、福祉住環境コーディネーター2級
・経歴:博士(保健福祉学)
これまで知的障がい者グループホームや住宅型有料老人ホーム、精神科病院での実務に携わる。現在は障がい者支援施設での直接支援業務に従事している。

介護施設で起きやすいトラブルや事故

介護施設で起きやすいトラブルや事故

介護施設ではどのようなトラブルが起きやすいですか?

介護施設で起こりうるトラブルはさまざまですが、誤薬と転倒や転落は起こりやすいトラブルの一つです。誤薬とは服薬時間や投薬量や相手を間違える間違いの総称です。また、高齢の方の転倒と転落も重大事故の代表例で、骨折や打撲など怪我につながるケースもあります。

そのほかにも誤嚥による窒息、入浴中の事故、車椅子やベッドからの転落、ドアや機械への挟み込み、さらには入居者同士のトラブルや職員の対応を巡るトラブルなど、介護施設では多様な問題が起こりえます。いずれも高齢の方の心身機能の低下や認知症の影響などで起こりやすく、スタッフの注意を払っていても完全には防ぎきれないのが現状です。

介護施設で発生しやすい事故を教えてください

転倒や転落事故が介護施設では起こりやすい事故の一つです。立ち上がりや歩行時のバランス崩れ、ベッドからの起き上がり、車椅子への移乗など日常の動作中に転倒し骨折などの大怪我につながるケースがあります。

また、誤嚥による事故も、食事形態の工夫や見守りで対策していますが高齢の方は嚥下機能が低下しているため起こりうる可能性は常にあります。

さらに、認知症の入居者の場合、自分の薬ではない他人の薬を飲んでしまう、食事以外の異物をお口に入れてしまう異食などの事故も起こりえます。入浴中の溺水や低温火傷、送迎中の交通事故や乗降時の転倒、エレベーターや自動ドアなどの挟み込み事故なども起こりえます。このように、介護施設では生活上のあらゆる場面に事故リスクが潜んでおり、施設もマニュアル整備や安全設備導入など多面的な対策を講じています。

介護施設の種類によって起きやすいトラブルや事故に差はありますか?

はい、施設の種別や利用形態によって起きやすい事故の種類や頻度に違いがみられます。例えば、入所型の特別養護老人ホーム(特養)や有料老人ホームなどでは、居室内や廊下での転倒、ベッドや椅子からの転落や滑落事故が起こりえます。長時間を施設内で過ごす入居施設ではそれだけ事故リスクが高くなります。

一方、通所系サービス(デイサービス)では、例えば自宅と施設の送迎時の事故や入浴介助中の事故、レクリエーション中の転倒などが起こりえます。また、デイサービスは利用者が毎日入れ替わるため、スタッフが把握しきれない体調変化による急な容体悪化などのトラブルも起こりえます。

認知症グループホームのような認知症高齢者対象の施設では、徘徊や異食、入居者同士のトラブルが起こることもあります。このように施設の種類や規模、入居者層によって事故の発生傾向には違いがありますので、家族は入所先の特色に応じたリスクを把握しておくことが大切です。

介護施設でのトラブルや事故に関する統計はありますか?

はい、介護施設で発生する事故については統計データがあります。例えば、全国の事例276件の分析から事故内容の内訳は転倒・転落・滑落が65.6%、誤嚥・誤飲・むせが13.0%、不明が12.0%、送迎中の交通事故が2.5%、ドアなどへの挟み込みが0.7%、盗食や異食が0.4%、そのほかが5.8%という割合でした。このように統計から、転倒・転落および誤薬・誤嚥関連のトラブルが介護現場で起こりやすいことがわかります。施設選びや安全対策の検討に、これら客観データを参考にすることも有用でしょう。 参照:『「介護サービスの利用に係る 事故の防止に関する調査研究事業」 報告書』(公益財団法人 介護労働安定センター)

介護施設でのトラブルや事故を事前に防ぐ方法

介護施設でのトラブルや事故を事前に防ぐ方法

介護施設でのトラブルを予防する方法を教えてください

介護施設側ではさまざまな事故防止策が講じられています。まず基本となるのは職員への教育や研修です。定期的に研修を行いヒヤリハット事例を共有したり、介護技術や認知症ケアについて職員の知識を高めたりすることでヒューマンエラーを減らします。特に、誤薬防止には複数職員による投薬ダブルチェックや、投薬管理システムの導入などが有効です。また、業務手順の見直しやマニュアル整備も重要です。過去の事故を分析してリスク要因を洗い出し、チェックリストの活用や二重確認体制の構築など仕組み面でミスを起こしにくい環境を整えます。 一方、利用者側でできる予防策としては健康状態の情報提供があります。家族が利用者の体調変化や生活上の注意点を施設に伝えておくことで、施設側がリスクを予見して対策を講じやすくなります。このような対策を組み合わせ、家族も含めた情報共有でリスクに先手を打つことがトラブルの予防には重要です。

事故が起きやすい介護施設を見分ける方法はありますか?

介護施設のリスクを見極めるには、施設の方針と運営体制、施設の環境、職員の様子を多角的に確認することが重要です。まず、施設見学や問い合わせの際に、事故防止の取り組みについて具体的に説明できるかを確認しましょう。抽象的な回答しか得られない場合は注意が必要です。

次に、施設の環境として、プライバシーや尊厳に配慮した居室やトイレの設備、転倒防止の手すりやナースコールなどの安全設備の充実度を確認します。見守りやすさを優先しすぎ、プライバシーを軽視している施設は要注意です。さらに、契約前の重要事項説明書で苦情相談窓口や事故発生時の対応が明記されているか確認しましょう。

施設側の安全管理意識や設備面の充実などを確認することで、事故リスクの高い施設かどうかを見極める助けとなります。

介護施設でトラブルや事故が起きたときの対処法

介護施設でトラブルや事故が起きたときの対処法

介護施設でトラブルが発生した際の相談窓口を教えてください

介護施設で何かトラブルが起きた場合、まずは施設内の責任者に相談するのが基本です。施設側に改善を求めても対応が不十分だったり直接言いにくかったりする場合、第三者機関を利用できます。具体的には、お住まいの市区町村の介護保険担当課が挙げられます。 市区町村で解決が難しい場合は、各都道府県の国民健康保険団体連合会(国保連)にも相談窓口が設置されています。都道府県社会福祉協議会に設置が義務付けられている運営適正化委員会でも相談を受け付けています。このように、施設だけでなく、市区町村や都道府県に相談することで解決策が見つけやすくなります。

介護施設での事故に関する相談窓口はありますか?

基本的に上記と同様の窓口が利用できます。事故発生時はまず施設から家族に連絡と状況説明がありますが、対応に納得できない場合は市区町村国保連合会などに相談可能です。

特に、負傷事故や死亡事故の場合、施設には行政への報告義務があるため、家族は施設に求めてその事故報告書のコピーを入手することもできます。報告書には事故の経緯や原因が詳細に記録されており、信頼性の高い情報です。施設側が説明しない、あるいはできない場合でも、市区町村に提出された報告書を確認することで事実関係を把握できます。

また、先述の運営適正化委員会は福祉サービスの解決機関ですので、重大事故で施設との話し合いが難航する場合などに相談できます。いずれにせよ、事故対応に不安を感じたら施設任せにせず遠慮なく外部の相談機関を頼ることが大切です。

介護施設でのトラブルや事故に関して本人や家族はどのように対応すればよいですか?

施設内で事故が発生した場合、利用者や家族はまず事実関係を確認し、不明点は質問すべきです。次に、施設が作成した事故報告書の開示を求めましょう。重大事故の場合は自治体への報告義務があるため、公式報告書は信頼性が高く、原因や再発防止策も確認できます。

施設側の説明に納得できない場合や過失が疑われる場合は、損害賠償の請求を検討します。過失が認められれば保険から治療費や慰謝料が支払われます。示談で合意に至らない場合は法的措置も可能ですが、弁護士に相談して慎重に判断してください。

大切なのは、適切な窓口に相談し、再発防止策を講じてもらうことです。家族が声を上げることで施設の改善につながり、ほかの入居者の安全を守ることにもつながります。利用者本人も、被害に遭った際は我慢せず家族や第三者に伝えることが、安全と尊厳を守るために必要です。

編集部まとめ

編集部まとめ

介護施設では高齢の方の生活を支えるなかで、さまざまなトラブルや事故が起こりうることを解説しました。特に、転倒・転落や誤薬など重大な結果につながる事故が多いため、施設と家族ともに常に注意を払う必要があります。もちろん施設側でも研修や設備投資で予防策を講じていますが、それでもリスクをゼロにすることは困難なのが現実です。だからこそ重要なのは、万一事故が起きた際に迅速かつ誠実に対応することです。家族は施設任せにせず、状況を把握し必要な措置が取られているか確認しましょう。苦情や相談は公的機関がサポートしてくれます。また、施設選びの段階から安全への取り組み姿勢を見極め、信頼できる施設を選ぶこともリスク低減につながります。「利用者の安全と尊厳を守る」という視点で施設と家族、地域が協力し、事故を防止するとともに、万が一起きてしまったトラブルにも適切に対処していきましょう。

この記事の監修社会福祉士