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介護で最期を迎える前に必要な準備とは?看取りの流れや各機関との連携方法を解説

 公開日:2026/02/09
介護で最期を迎える前に必要な準備とは?看取りの流れや各機関との連携方法を解説

自宅で介護をしている大切な家族に、できれば住み慣れた我が家で最期を迎えさせてあげたいと願う方は少なくありません。実際、厚生労働省の調査でも人生の最終段階に「自宅で最期を迎えたい」と希望する方は約半数にのぼっています。しかし、在宅での看取りをかなえるためには事前の十分な準備と、周囲の協力体制が不可欠です。本記事では、自宅で最期を迎えるために知っておきたい看取りの流れや必要な準備、そして関係機関との連携方法について解説します。

林 良典

監修医師
林 良典(医師)

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【出身大学】
名古屋市立大学
【経歴】
東京医療センター総合内科、西伊豆健育会病院内科、東京高輪病院感染症内科、順天堂大学総合診療科、NTT東日本関東病院予防医学センター・総合診療科を経て現職。
【資格】
医学博士、公認心理師、総合診療特任指導医、総合内科専門医、老年科専門医、認知症専門医・指導医、在宅医療連合学会専門医、禁煙サポーター
【診療科目】
総合診療科、老年科、感染症、緩和医療、消化器内科、呼吸器内科、皮膚科、整形外科、眼科、循環器内科、脳神経内科、精神科、膠原病内科

最期が近いサインと看取りの流れ

最期が近いサインと看取りの流れ

自宅で介護をしている場合に最期も自宅で迎えることができますか?

はい、適切な準備と支援体制が整えば、自宅で最期を迎えることは可能です。実現するためにはいくつか重要な条件があります。まず本人とご家族がともに「自宅で最期を迎えたい」という意思を共有していることが大前提です。 次に、かかりつけの訪問診療医や訪問看護師などによる24時間対応の医療チームを確保し、急変時にも対応できる体制を整える必要があります。そして、ご家族や介護サービスによる十分な介護力があること、医療や介護が夜間含め24時間体制で提供できることも重要です。これらの条件を満たすことで、本人と家族にとってかけがえのない時間を自宅で過ごし、穏やかな看取りを行うことが可能です。

最期が近づいていることがわかるサインを教えてください

人が亡くなる前には、身体や意識にいくつかの前兆が現れます。主なサインとしては次のような変化が挙げられます。
  • 眠る時間が極端に増える
  • 食事や水分摂取量の著しい減少
  • 手足の冷え・皮膚の色の変化
  • 不規則な呼吸
  • 意識レベルの低下

こうした前兆が重なり始め、特に、呼吸や意識レベルの変化が顕著になってきたら、最期のときが近づいているかもしれません。家族は慌てずに医師や看護師に連絡し、できるだけ穏やかに声をかけながら寄り添いましょう。

自宅での看取りはどのような流れで進みますか?

在宅看取りの基本的な流れは、事前準備から看取り当日、そしてその後の手続きまで段階を踏んで進みます。まず、本人と家族が在宅で最期まで過ごす意思を確認し、希望が固まったら早めに準備を始めます。具体的には、地域包括支援センターに相談して在宅療養の支援策を教わり、在宅での介護経験があるケアマネジャー(介護支援専門員)を紹介してもらいます。同時に往診可能な訪問診療の主治医を探し、訪問看護師やヘルパーなどとチームを組んで看取り体制を整えていきます。 そして、看取りの時期が近づき最期のサインが現れたら、医師や看護師と密に連絡を取りましょう。容態が急変したらすぐに主治医に連絡し、往診を依頼します。医師が来訪し死亡確認後、死亡診断書が交付されます。その後、家族とのお別れの時間を持ち、訪問看護師や葬儀社がエンゼルケア(死後のケア)を行います。在宅看取りは、家族だけでは不安もありますが、訪問看護師、ケアマネジャー、葬儀社と連携することで適切に対応できます。

介護で最期を迎える前に必要な準備

介護で最期を迎える前に必要な準備

最期に備えた準備はいつ頃から始めるとよいですか?

できるだけ早めに始めるのが理想です。ただし、最期の時期を正確に見極めるのは難しく、早すぎても遅すぎても家族の負担や後悔につながる場合があります。重要なのは、主治医から余命や症状の見通しについて説明を受けたら、そのタイミングで準備を始めることです。本人に判断力があるうちに希望を確認し、家族も受け入れ体制を整えることが大切です。

自宅で最期を迎えるために、まずやるべきことを教えてください

まず、家族全員の「自宅で最期を迎えさせたい」という意思を確認しましょう。在宅看取りは家族の協力が不可欠であり、意見の食い違いがないよう話し合うことが重要です。次に、地域包括支援センターに相談し、適切なサービスや専門職を紹介してもらいます。

同時に、訪問診療医を探します。現在かかりつけ医がいる場合は、往診や看取りに対応可能か確認しましょう。対応できない場合や、かかりつけ医がいない場合は、包括支援センターなどに相談し、訪問診療を行う医師を紹介してもらいます。

このような手順で、在宅看取りの準備を進めます。早めに専門職とつながることで、必要な手続きやサービス利用がスムーズです。

最期を迎える際はどのような機関や専門職の方と連携するとよいですか?

在宅看取りを支えるために連携すべき主な機関や専門職は次のとおりです。
  • 訪問診療医(主治医)
  • ケアマネジャー(介護支援専門員)
  • 訪問看護師
  • 訪問介護員(ホームヘルパー)
  • 薬剤師(訪問薬剤管理)
  • 地域包括支援センター
  • 介護サービス事業所

以上のように、医療と介護の多職種チームで密接に連携することが在宅看取りでは重要です。特に、主治医と訪問看護師、ケアマネジャーの三者はいつでも情報共有し、異変時にすぐ連絡を取り合える体制を作っておきます。また、家族内でも役割分担を決めて、一人に負担が偏らないようにすることが大切です。こうしたチーム連携により、本人に最善のケアを提供しつつ家族の不安や負担を軽減することができます。遠慮せず専門職に頼れるところは頼り、家族は本人に寄り添うことに専念できるよう環境を整えましょう。

自宅で最期を迎える際の心構えを教えてください

在宅で看取る家族は、覚悟後悔しない心構えが重要です。昼夜を問わずの労力や容体急変への対応など、身体的あるいは精神的な辛さを覚悟し、「それでも自宅で看取る」という強い意思を再確認しましょう。事前にできる準備をし、最期は本人に寄り添う心構えが大切です。

また、後悔を残さないためには、感謝や謝罪を伝え、本人の望みを可能な範囲で叶え、残りの時間を大切に過ごす意識を持ちましょう。そして、訪問看護師やケアマネジャーなど専門家に遠慮なく相談し、一人で抱え込まないことも重要です。家族の休養も取り入れ、無理のない計画で進めましょう。

最期に必要な介護用品・福祉用具・医療機器と費用

最期に必要な介護用品・福祉用具・医療機器と費用

最期に向けて準備した方がよい介護用品や医療機器はありますか?

身体の状態に応じて必要なものは異なりますが、一般的に終末期に備えて検討すべき物品は以下のとおりです。
  • 介護用ベッド(特殊寝台)
  • 体圧分散マットレス(エアマット)
  • 車椅子
  • 移動用リフト
  • ポータブルトイレ・おむつ類
  • 口腔ケア用品
  • 吸引器
  • 在宅酸素濃縮装置
  • 経管栄養関連用品
  • お看取りセット

以上はあくまで一例で、本人の状態によって必要なものは変わります。何を揃えるべきかはケアマネジャーや訪問看護師に相談し、専門家の助言を仰ぎながら適切な用品を選びましょう。

看取り介護に必要な介護用品などは介護保険サービスでレンタルできますか?

はい、多くの福祉用具は介護保険を利用してレンタルすることが可能です。介護保険の福祉用具貸与サービスでは、要介護認定を受けた利用者が車椅子や介護ベッドなどの福祉用具を月額制で借りることができます。原則として要介護2以上の方が対象ですが、要支援や要介護1でも手すりや歩行器など一部の用具は借りられます。レンタル費用には介護保険が適用されるため、利用者負担は費用の1割~3割です。このように介護保険を使えば経済的負担を軽減できますので、必要な福祉用具は遠慮なくレンタルを活用しましょう。

看取り介護に必要な介護用品などにかかる費用の目安を教えてください

介護用品・福祉用具のレンタル費用は、介護保険を利用すれば月数千円程度の自己負担で収まることがほとんどです。

例えば、介護用ベッド(特殊寝台)のレンタル料は機種にもよりますが月額6,000~10,000円程度が相場です。その場合、1割負担の方なら月700~1,000円前後で利用できます。車椅子は月額2,000~4,000円程度(自己負担200~400円)、歩行器は月額2,000円程度(同200円)といった具合です。ただし、利用者の所得区分によって2割あるいは3割負担になる場合はその分費用も増えます。

一方、介護保険が適用されない費用として留意すべきものもあります。例えば、紙おむつや使い捨て手袋、清拭シートなどの消耗品は基本的に全額自己負担です。これらを含めて費用について考える必要はありますが、経済面で不安がある場合も、遠慮せずケアマネジャーに相談して公的支援を最大限活用しましょう。費用面の心配を減らしておくことも、安心して看取りに臨むための大切な準備といえるでしょう。

葬儀は最期を迎える前に手配をしておいた方がよいですか?

可能であれば、葬儀の準備は最期を迎える前にある程度は手配しておくことをおすすめします。身近な方の死を目前に控えて葬儀のことを考えるのは辛いかもしれませんが、事前に決めておくことで看取り後の負担が軽減され、心に少し余裕を持って故人を見送ることができます。具体的には、生前のうちにどの葬儀社に依頼するか、葬儀の規模や形式、宗教者への依頼、予算の範囲などを家族で話し合っておきましょう。本人が話せる状態であれば、葬儀やお墓について希望がないか確認しておくことも大切です。

編集部まとめ

編集部まとめ

在宅で最期を迎えるためには、早めの準備と多職種の連携、そして何より家族の支えが欠かせません。最期の時間は決して悲しみだけではなく、大切な方と過ごすかけがえのないひとときでもあります。後悔のないように、お互いの想いを伝え合い、専門家の力も借りながら見送りの準備をしてください。住み慣れた我が家で、大切な家族が最期の瞬間までその人らしく過ごせるよう、皆で支え合って穏やかな看取りを実現しましょう。「自宅で看取れてよかった」といつか思えるような最期の時間を迎えられることを、心より願っています。

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