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介護の体位変換のやり方は?必要な理由や役立つアイテム、注意点を解説します

 公開日:2026/02/08
介護の体位変換のやり方は?必要な理由や役立つアイテム、注意点を解説します

寝たきりの方を介護するうえで、体位変換はその方の健康維持のために欠かせないケアの一つです。しかし、体位変換は、介護する側にとって腰や腕など身体に負担がかかる作業でもあります。特に、夜間や一人での介助は、大変だと感じる方も少なくないでしょう。
本記事では、無理なく続けられる体位変換の方法やスムーズに行うためのコツ、介護者の負担を減らす補助具の活用法について解説します。

小田村 悠希

監修社会福祉士
小田村 悠希(社会福祉士)

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・資格:社会福祉士、研修認定精神保健福祉士、介護福祉士、福祉住環境コーディネーター2級
・経歴:博士(保健福祉学)
これまで知的障がい者グループホームや住宅型有料老人ホーム、精神科病院での実務に携わる。現在は障がい者支援施設での直接支援業務に従事している。

介護で体位変換が必要な理由

介護で体位変換が必要な理由

なぜ介護では体位変換を行う必要があるのですか?

介護において、体位変換は主に次のような目的で行われます。
  • 褥瘡の予防
  • 関節の拘縮予防
  • 肺炎の予防
  • むくみの改善

褥瘡(じょくそう)は床ずれとも呼ばれ、同じ姿勢を長く続けることで皮膚やその下の組織が圧迫された結果、血流が悪くなり傷やただれができた状態です。褥瘡を予防するには、定期的に身体の向きを変える必要があります。

関節の拘縮予防という観点からも、体位変換は有効な方法です。長時間身体を動かさずにいると、筋肉や関節が固まり、動かせる範囲が狭くなってしまいます。定期的に身体を動かすことで筋肉の柔軟性を保ち、日常生活動作の維持にもつながります。

さらに、肺炎の予防にも効果的です。寝たきりの方は呼吸が浅くなり、痰をうまく排出できずに肺にたまるリスクがあります。体位の調整で肺の換気が促され、痰の排出がスムーズにでき、肺炎予防になります。また、血液やリンパの流れが滞ると、下肢にむくみが生じることがありますが、体位変換を行うと血液の循環が促されるため、むくみの改善につながります。

このように、体位変換は褥瘡の予防だけでなく、全身の健康状態を維持・改善するために欠かせないケアの一つです。介護の現場では、介護される方一人ひとりの状態に応じて、適切な頻度と方法で体位変換を行うことが求められます。

参照:
『褥瘡について』(一般社団法人 日本褥瘡学会)
『体位により変化する換気運動と呼吸機能(日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 2020年第28巻第3号)』

体圧分散マットレスがあれば体位変換をしなくても問題ありませんか?

いいえ。体圧分散マットレスを使用していても、体位変換は必要です
体圧分散マットレスは、身体をマットレスに沈み込ませて接触する面積を広くし、骨の突出部の圧力を減らす効果があります。しかし、体位を変えないままでは、同じ部分に圧力がかかり続けるため、褥瘡のリスクを完全に防げません。そのため、体圧分散マットレスと併用し、定期的なタイミングでの体位変換が推奨されています。 参照:『褥瘡診療ガイドライン(第3版)』(日本皮膚科学会)

体位変換のやり方・コツと注意点

体位変換のやり方・コツと注意点

体位変換のやり方を教えてください

体位変換の代表的な方法の一つに、30度側臥位(そくがい)があります。30度側臥位とは、身体を約30度の横向きにした体位のことです。この体位は、骨の突出が少なく、広い面積で体重を受け止められるお尻の筋肉で体重を受けることができます。ただし、30度という角度はあくまで目安であり、介護される方の体格や状態に合わせた調整をしましょう。

体位変換を始める前には、まず介護される方に体位変換を行うことを説明しましょう。次に、介助しやすいようにベッドの高さを腰の位置に調整します。準備ができたら、介護される方の膝を立てて、脚を支点に身体を動かしやすくします。その後、側臥位になってもらいますが、過度な力をかけずに、肩とお尻を支えながらゆっくりと行いましょう。

側臥位になった後は、腰を後方に引き、身体全体を安定させます。そして、脚を安楽な位置に移動させて、より自然で負担の少ない姿勢にします。

その後、体位を保つために、身体の下にクッションを入れます。このとき、皮膚の圧迫を防ぐために、衣服やシーツのしわを伸ばしましょう。

なお、体位変換は皮膚の摩擦やずれ、転落を防ぐために、できるだけ2人で行うことが推奨されています。1人で行う場合は、身体を一度に大きく動かすのではなく、上半身・腰回り・下肢などを小さくわけて少しずつ移動させましょう。

参照:『褥瘡の予防』(一般社団法人 日本褥瘡学会)

体位変換をスムーズに行うコツはありますか?

体位変換をスムーズに行うためには、事前の準備と介助者の動作の工夫が欠かせません。まず、ベッドの高さを腰の位置に合わせて調整し、介助者が無理のない姿勢で作業できるようにしましょう。必要なクッションや補助具をあらかじめ手の届く位置に用意しておくと、動作が途切れずに行えます。 また、身体を動かすときは摩擦やずれをできるだけおさえましょう。体位変換のための補助具を活用すれば、皮膚への負担を軽減しながら少ない力で体位を変えられます。さらに、適宜声かけをしながら行うと、介護される方の協力を得ながらスムーズに体位変換ができます。

介護者の身体的な負担が少ない体位変換の方法を教えてください

介護者の身体的な負担を軽くするには、ボディメカニクスを活用した動きを意識しましょう。ボディメカニクスとは、身体が無理なく動ける仕組みのことです。体位変換を行う際は、両脚を肩幅より広めに開き、身体を支えるために接している床の面積(支持基底面)を広くして、重心を低く保つ姿勢をとりましょう。さらに、介護される方をできるだけ自分の身体に近づけて、腕の力だけに頼らず、身体全体を使って動かすと、腰への負担を軽減できます。身体はねじらず、足先は移動する方向に向けておくのもポイントです。 参照:『介護の特定技能評価試験学習テキスト改訂第2版 ~介護技能・介護の日本語~ 日本語版』(公益社団法人 日本介護福祉会)

体位変換は一日に何回行いますか?

体位変換は、基本的に2時間を超えない間隔で行うことが推奨されています。
長時間同じ姿勢が続くと、特定の部位に圧力が集中してしまい、褥瘡ができるリスクが高まるためです。ただし、使用している体圧分散寝具の種類によっては4時間を超えない範囲で体位変換を行うことも可能です。とはいえ、骨の突出具合や皮膚の状態には個人差があるため、介護される方の状態を観察しながら適切な間隔を判断しましょう。 参照:『褥瘡の予防について』(日本褥瘡学会)

体位変換の際に注意することを教えてください

体位変換を行う際には、次の点に注意しましょう。
  • 介助の前後で状態に変化がないか観察する
  • すべてを介助するのではなく、できることは協力してもらう

体位変換を行う際は、介助の前後で身体の状態に変化がないかよく観察しましょう。顔色や呼吸の状態に変化はないか、痛みがあるところはないかなどをしっかり確認します。また、体位変換のすべてを介助するのではなく、できることはやってもらうことも大切です。介護される方に残っている身体機能を活かし、自立支援につなげることができます。

体位変換に役立つアイテム

体位変換に役立つアイテム

体位変換を行うために必要なアイテムを教えてください

体位変換を行うためには、姿勢を安定させ、身体への圧を分散させるために、ポジショニングクッションが必要です。ポジショニングクッションは、膝の下や背中、腰回りなどに入れて、体位の調整をするのに役立ちます。ポジショニングクッションには、さまざまな形や大きさのものがあり、介護される方の状態に合わせて選択されます。

体位変換の際にあると便利な補助具はありますか?

体位変換を行う際は、スライディングシートスライディンググローブなどの補助具があると便利です。スライディングシートは、滑りやすい素材でできており、摩擦抵抗を減らすことで、介護される方の皮膚や関節への負担を減らしながら、少ない力でも身体を動かせます。
また、スライディンググローブをはめてベッドと身体の下に入れて、身体をなでるように動かすと、ベッドと身体の間のずれを解消することもできます。 参照:『床ずれ予防パンフレット』(日本褥瘡学会)

自動で体位変換を行ってくれるベッドや補助具はありますか?

はい、近年自動で体位変換を行えるベッドや補助具が開発されています。例えば、自動寝返り支援機能のあるベッドがあります。このベッドは、一定時間ごとにゆっくりと傾き、介護される方の体位を変えることが可能です。また、自動体位変換機能のついたマットレスもあります。このマットレスは、約15分ごとに身体の各部分を順に持ち上げて、小さな体位変換(スモールチェンジ)を繰り返します。自動体位変換機能のあるベッドや補助具は、介助者の腰痛などの負担を軽減できるうえに、夜間の体位変換でも利用者の睡眠を妨げず実施できます。 参照:『福祉用具・介護ロボットの開発と普及2024』(厚生労働省)

編集部まとめ

編集部まとめ

体位変換は、寝たきりの方の健康を守るうえで欠かせないケアの一つです。褥瘡の予防をはじめ、関節拘縮や肺炎、むくみの予防などさまざまなメリットがありますが、介護者にとっては身体的な負担が大きい作業でもあります。本記事で紹介した体位変換のコツを押さえて、ポジショニングクッションやスライディングシートなどの補助具を活用しながら、無理のない範囲で継続的な介護をめざしましょう。

この記事の監修社会福祉士