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介護では家族にどのような負担がかかる?負担を軽減する方法や支援サービスも解説

 公開日:2026/02/07
介護では家族にどのような負担がかかる?負担を軽減する方法や支援サービスも解説

近年、高齢化の進行に伴い、家族による介護の重要性が一層高まっています。その一方で、介護を担う家族には心身の疲労や経済的負担、将来への不安など、さまざまな悩みが生じやすくなっています。特に、介護と仕事や家庭生活の両立は多くの方にとって大きな課題です。

伊藤 規絵

監修医師
伊藤 規絵(医師)

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旭川医科大学医学部卒業。その後、札幌医科大学附属病院、市立室蘭総合病院、市立釧路総合病院、市立芦別病院などで研鑽を積む。2007年札幌医科大学大学院医学研究科卒業。現在は札幌西円山病院神経内科総合医療センターに勤務。2023年Medica出版社から「ねころんで読める歩行障害」を上梓。2024年4月から、FMラジオ番組で「ドクター伊藤の健康百彩」のパーソナリティーを務める。またYou tube番組でも脳神経内科や医療・介護に関してわかりやすい発信を行っている。診療科目は神経内科(脳神経内科)、老年内科、皮膚科、一般内科。医学博士。日本神経学会認定専門医・指導医、日本内科学会認定内科医・総合内科専門医・指導医、日本老年医学会専門医・指導医・評議員、国際頭痛学会(Headache master)、A型ボツリヌス毒素製剤ユーザ、北海道難病指定医、身体障害者福祉法指定医。

介護で家族にかかる負担と特に大変なこと

介護で家族にかかる負担と特に大変なこと

自宅での介護が始まると生活はどのように変化しますか?

日常生活のリズムが大きく変化します。まず、介護を行う時間が増えることで、家事や仕事との両立が難しくなり、自分の時間を確保しづらくなります。

また、夜間の見守りや食事・入浴の介助など、体力的な負担も少なくありません。さらに、介護を長期間続けるなかで、孤独感精神的なストレスを感じることもあります。

参照:『在宅で介護を担う家族を支えるために』(東京都健康長寿医療センター研究所)

自宅介護で家族にはどのような負担がかかりますか?

食事や入浴、排せつ介助、通院の付き添いなどに時間が取られ、仕事や家事、自分の時間が削られやすいです。 また、夜間の見守りや急な対応が必要になることも多く、睡眠不足疲労の蓄積につながります。さらに、「しっかり介護しなければ」などの責任感や、先の見えない不安から、ストレスや孤独感を抱えやすいです。介護にかかる交通費や生活費、場合によっては休職や離職による収入減などの経済的な負担が生じることもあります。

自宅介護が大変になるポイントを教えてください

まず、介助量が増えるときです。排せつや入浴、移乗などの身体介護が必要になると、家族の体力的負担が一気に高まります。また、認知症の症状が進行し、同じことを何度も聞かれたり、昼夜逆転や徘徊がみられたりするようになると、見守りの時間が増え、精神的な疲労を感じやすくなります。 さらに、仕事や育児と介護を両立しなければならないダブルケアの状態になると、時間的・心理的な余裕がなくなりがちです。介護が長期化して先が見えないと感じるようになることも、大変さを強く感じるポイントの一つです。

自宅介護の家族の負担を軽減する方法

自宅介護の家族の負担を軽減する方法

食事介助の負担を軽くする方法はありますか?

準備の工夫一人で抱え込まないことが大切です。例えば、食べやすい形状・硬さにあらかじめ調理をしておくとむせや食べこぼしが減り、介助がスムーズです。

さらに、テーブルの高さや姿勢を整え、必要な食器やエプロンを先に準備しておくことで、その場のバタつきが減り、精神的な余裕も生まれます。

また、介護サービスや道具を活用する方法もあります。レトルトや宅配の介護食やとろみ剤、持ちやすいスプーン・滑り止めマットなどの福祉用具を取り入れると、介助の手間と時間を減らせます。訪問看護デイサービスを利用し、一部の食事介助を専門職に任せることで、家族の休息時間を確保し、心身の負担を軽減しやすいです。

参照:『家族介護者支援マニュアル』(厚生労働省)

排泄介助をスムーズに行う方法を教えてください

事前の準備と動作の工夫気持ちへの配慮がポイントです。まず、トイレやポータブルトイレまでの動線を片づけ、手すりや歩行器を使って移動できるようにしておきます。事前におむつやパッド、手袋、ビニール袋、清拭用のペーパーなど必要な物を手の届く範囲に準備しておくと、慌てずに介助できます。動作の際は、いきなり持ち上げず、本人のペースに合わせて「今から立ち上がりますね」など声をかけながら、手すりや介護者の肩を支えにして少しずつ体勢を変えていきます。また、排泄のタイミングや回数を記録し、決まった時間にトイレへの誘導で、失敗が減り介助回数も整えやすいです。

入浴介助の身体的負担を軽減する方法はありますか?

無理に支えない工夫道具やサービスの活用が大切です。まず、浴室には滑り止めマットや手すりを設置し、浴槽の出入りには浴槽台やバスボードなどを使うことで、抱え上げる動作を減らせます。

シャワーチェアに座ったまま洗身・すすぎを行えば、中腰姿勢が少なくなり、腰への負担が軽いです。また、衣類は脱ぎ着しやすいものを選び、動線上の段差や障害物をあらかじめ取り除いておくことも重要です。ご本人の体調がすぐれない日は、全身浴にこだわらず、部分浴や清拭に切り替えることも一つの方法です。訪問入浴やデイサービスの入浴介助を利用して、週のうち何回かでもプロに任せると、家族の体力的・精神的な負担を大きく減らすことができます。

参照:『介護保険の福祉用具:入浴補助用具 』(健康長寿ネット)

認知症介護の見守りの負担を減らす方法を教えてください

環境と道具の工夫とサービスを組み合わせることが大切です。まず、玄関や窓にセンサーやチャイムを設置したり、GPS機能付きの見守り機器の活用したりすることで、常にそばにいなくても外出や徘徊の兆しに気付きやすくなります。

室内の段差や転倒しやすい物を減らし、トイレや寝室などよく使う場所をわかりやすくしておくと、危険が減り見守りの緊張も和らぎます。また、デイサービスショートステイを定期的に利用すると、日中や数日単位でプロに見守りとケアを任せることができ、家族が休息したり自分の時間を確保しやすいです。さらに、家族会や相談窓口を利用して悩みを共有し、介護の工夫や気持ちの整理方法を学ぶことも、長期的な見守り負担の軽減につながります。

参照:『高齢者等の見守りガイドブック』(東京都福祉保健局)

自宅介護の家族の負担を軽くする支援とサービス

自宅介護の家族の負担を軽くする支援とサービス

自宅での介護の負担が大きく大変なときに相談できる窓口を教えてください

地域の地域包括支援センターは、高齢の方や家族の総合相談窓口です。介護の始め方、使えるサービス、費用のことなど幅広い相談に対応してくれます。

市区町村の役所(介護保険課など)でも、要介護認定の申請方法や公的支援制度を相談できます。

すでに介護保険サービスを利用している場合は、担当のケアマネジャー(居宅介護支援事業所)が、サービス調整やショートステイ利用など具体的な負担軽減策を一緒に考えてくれます。また、社会福祉協議会や医療機関の医療ソーシャルワーカー、電話相談(シルバー110番や認知症の方と家族の会)も心身の負担を相談できる窓口として活用できます。

参照:
『地域包括ケアシステム』(厚生労働省)
『電話相談 | 活動内容 』(公益社団法人認知症の人と家族の会)

排泄や入浴の介助の負担を軽減できる行政の支援やサービスはありますか?

介護保険サービスと福祉用具の制度があります。まず、訪問介護(ホームヘルプ)を利用すると、自宅にヘルパーが来てトイレ介助やおむつ交換、入浴・清拭などの身体介護を行ってくれるため、家族の介助回数や身体的負担を減らすことができます。

また、訪問入浴介護やデイサービス(通所介護)を利用すれば、自宅では難しい入浴介助を専門職に任せることができ、転倒への不安や介助の重労働を軽くできます。さらに、福祉用具貸与特定福祉用具販売の利用で、シャワーチェアや浴槽手すり、入浴台、腰掛便座、自動排泄処理装置、排泄予測支援機器などを介護保険の対象として導入できます。

参照:『サービス編 | 介護保険の解説 | 介護事業所・生活関連情報検索「介護サービス情報公表システム」』(厚生労働省)

介護食の調理や食事介助をサポートできる制度を教えてください

介護保険サービスと自治体の配食事業を組み合わせて利用するとよいでしょう。

まず、介護保険の訪問介護(生活援助・一部身体介護)を利用すると、ヘルパーに食材の買い出しや調理、配膳、片づけなどを手伝ってもらうことができ、家族の調理負担を減らせます。

また、デイサービス(通所介護)では施設で栄養バランスの取れた食事提供があり、嚥下や咀嚼に配慮した介護食や食事介助を受けられるため、在宅での食事作りと介助回数を減らすことができます。

さらに、多くの自治体では高齢者配食サービスや食の自立支援事業として、やわらか食・きざみ食などの介護食を自宅に届ける制度を設けており、条件を満たせば利用料の一部助成を受けられる場合があります。

参照:『サービス編 | 介護保険の解説 | 介護事業所・生活関連情報検索「介護サービス情報公表システム」』(厚生労働省)

どのような状況になったら自宅介護から施設入所に切り替えた方がよいですか?

在宅で安全性の高い暮らすことが難しくなったときと家族の負担が限界に近づいたときです。

具体的には、認知症の進行や夜間の徘徊、転倒が増え、24時間近い見守りが必要になり、訪問介護やデイサービスなど在宅サービスをフルに使っても不安が大きい場合です。

また、排泄や入浴、移乗などの介助量が増え、家族が慢性的な睡眠不足や体調不良、仕事や育児との両立困難に陥っている場合です。老老介護で介護者自身も高齢・持病がある、介護者が「これ以上は続けられない」と感じているときも、無理をする前に施設入所を選択肢に入れることがすすめられています。

編集部まとめ

編集部まとめ

介護は、時間や体力が奪われるだけでなく、仕事や家事との両立、将来への不安など、家族に大きな心身の負担を与えます。また、経済的な負担や、孤立感・罪悪感などの心理的ストレスも生じやすいです。負担を軽減するためには、訪問介護やデイサービスなどの活用が有効です。地域包括支援センターやケアマネジャーに早めに相談し、一人で抱え込まない体制を整えることが大切です。

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