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介護中に見逃しやすい認知症の兆候|初期症状や気付いたときの対処法、具体的なケア方法を解説

 公開日:2026/02/06
介護中に見逃しやすい認知症の兆候|初期症状や気付いたときの対処法、具体的なケア方法を解説

認知症は、記憶や判断、理解といった脳の働きが弱まることで日常生活に影響が出る病気です。初期の段階では変化がゆっくり現れるため、介護のなかに紛れて気付かれにくいことがあります。会話の様子や行動が少し変わったようにみえても、加齢や体調の影響と重なって判断が難しく、周囲が気付くまで時間がかかる場合があります。しかし、早めに変化をとらえることで、医療や介護の支援につながり、ご本人の生活を整える準備がしやすくなります。

この記事では、介護中に見逃されやすい認知症の兆候と、その後の対応や支援の受け方を解説します。

林 良典

監修医師
林 良典(医師)

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【出身大学】
名古屋市立大学
【経歴】
東京医療センター総合内科、西伊豆健育会病院内科、東京高輪病院感染症内科、順天堂大学総合診療科、NTT東日本関東病院予防医学センター・総合診療科を経て現職。
【資格】
医学博士、公認心理師、総合診療特任指導医、総合内科専門医、老年科専門医、認知症専門医・指導医、在宅医療連合学会専門医、禁煙サポーター
【診療科目】
総合診療科、老年科、感染症、緩和医療、消化器内科、呼吸器内科、皮膚科、整形外科、眼科、循環器内科、脳神経内科、精神科、膠原病内科

認知症の概要と介護中に見逃しやすい兆候

認知症の概要と介護中に見逃しやすい兆候

認知症とはどのような病気ですか?

認知症は、脳の働きが低下することで記憶や判断、理解といった力が弱まり、生活に支障が出る病気です。アルツハイマー型認知症、血管性認知症、レビー小体型認知症のような原因となる病気はいくつかあり、症状の出方は異なります。加齢によるもの忘れとは違い、日常生活でこれまで問題なくできていた行動や作業が難しくなる点が特徴です。変化がゆっくり現れることが多い傾向があるため、ご本人や家族が気付くまでに時間がかかることがあります。

介護中にみられる認知症の兆候を教えてください

介護の場面でみられる兆候として、同じ内容を繰り返し尋ねる、約束を思い出せない、家事や買い物などで段取りが乱れるといった記憶や手順の混乱があります。また、日付や時間が曖昧になる、慣れた場所でも迷うことがあるなど、見当識の変化がみられる場合があります。

これまで普通にできていた作業に時間がかかるようになる、気分が不安定になるといった変化が続くこともあります。こうした兆候は疲れや加齢と重なって気付きにくく、介護のなかで見逃されやすいことがあります。

特に見逃されやすい認知症の兆候や初期症状はありますか?

見逃されやすい兆候として、身だしなみが整わなくなる、料理の味付けが大きく変わる、財布や鍵を探すことが増えるといった日常の小さな乱れがあります。外出やこれまで楽しんでいた活動への意欲が下がる、些細なことで不安が強くなるなど、感情面の変化が続く場合もあります。

これらは日常生活の変化に紛れやすく、ご本人も自覚しにくいため、初期の段階では周囲が見過ごすことがあります。普段の様子と比べたときに以前と違う行動や反応がみられたときは、認知症の初期症状である可能性があります。

介護で認知症の兆候に気付いたときの対処法

介護で認知症の兆候に気付いたときの対処法

認知症の兆候があるときはどうすればよいですか?

認知症の兆候が続く場合は、医療機関へ相談しましょう。日常生活で気になる変化がみられるときは、かかりつけの医師にこれまでの様子や困っている場面を伝え、必要に応じて専門的な診察につなげます。 また、地域包括支援センターなどの相談窓口では、受診の流れや今後利用できる支援について相談できます。受診の際に日頃の変化を整理して伝えることで、状態の把握が進みやすくなります。

認知症が疑われる際に行われる検査や診察の内容を教えてください

認知症が疑われるときは、医師が問診でこれまでの経過を確認したうえで、記憶や判断の状態を調べるための認知機能検査を行います。必要に応じて、脳の状態を確認するためにCTやMRIなどの画像検査が行われます。これらの検査結果をもとに、認知症かどうか、また原因となる病気が何であるかを判断します。検査は、ご本人の状態に合わせて組み合わせて行われます。

認知症と診断された場合はどのような治療を受けられますか?

認知症と診断された場合、症状の進行をできるだけ遅らせることや、日常生活で困る症状を和らげることを目的として薬物治療が行われます。記憶や判断の働きに関わる症状に対して用いる薬や、不安や落ち着かない様子、睡眠の乱れなど個々の症状に合わせて使われる薬があります。治療の内容は、ご本人の状態や症状の出方に応じて医師が判断し、必要に応じて薬を調整しながら進められます。

認知症と診断された場合に受けられる支援や介護保険サービスを教えてください

認知症と診断された場合、日常生活で支えが必要と判断されると、介護保険制度のサービスを利用できます。相談窓口となる地域包括支援センターが、生活で困っていることや必要な支援の調整を行います。要介護認定や要支援認定の結果に応じて、訪問介護や通所介護、短期入所などのサービスが利用でき、ご本人の状態に合わせて選択できます。さらに、認知症初期集中支援チームによる訪問支援や、家族が相談できる支援も整えられています。

認知症の兆候や初期症状がある方を介護するポイント

認知症の兆候や初期症状がある方を介護するポイント

認知症の兆候がみられる方を介護する際に気を付けることを教えてください

認知症の兆候がみられる場合は、ご本人が戸惑いやすくなるため、ゆっくりと関わり、理解しやすい環境を整えることが大切です。話しかける際は短い言葉で区切って伝えるなど、混乱を少なくする工夫が役立ちます。また、日付や予定がわかりやすいようにカレンダーや時計をみやすく配置しましょう。これまでとの違いに気付きやすくなるように様子を見守り、ご本人が落ち着いて過ごしやすい状況を整えることで、日々のやり取りが負担なく進めやすくなります。

すでに認知症の初期症状が現れている方を介護する際に気を付けることはありますか?

初期症状が現れている場合、できることと難しくなってきたことの差がはっきりしてくることがあります。できる部分は尊重しながら、危険や混乱が予想される場面では見守りや声かけを組み合わせ、ご本人の負担を減らす関わり方を行いましょう。否定的な言葉を避け、落ち着いて接することで不安が和らぎやすくなります。また、気持ちが揺れやすい時期でもあるため、周囲が変化に気付きやすいように、家族の間で普段の様子を共有するようにしましょう。

認知症の進行を食い止めるために介護者ができることを教えてください

認知症の進行を食い止めるためには、ご本人が日常生活で無理なく続けられる取り組みを整えることが大切です。身体を動かす習慣を保つことは認知機能の維持に役立つことがあり、歩行などの活動を生活のなかに取り入れる方法が有効です。また、睡眠の乱れは認知機能に影響することがあるため、就寝前の刺激を減らすなど、眠りやすい環境をつくる工夫も大切です。こうした取り組みを続けることで、ご本人が安定した状態を保ちやすくなります。

編集部まとめ

編集部まとめ

認知症の変化は日常のなかに紛れやすく、初期の段階では気付かれにくいことがあります。会話の様子や行動のわずかな変化が続くときは、医療機関へ相談することで、必要な支援につながりやすくなります。診察は、記憶や判断の状態を確かめる検査や画像検査を行い、ご本人に合った治療や支援を検討します。介護保険制度や地域の支援を利用することで、生活を続けやすい環境を整えることができます。また、運動や睡眠など生活の工夫も、心身の安定に役立ちます。変化に気付いたときに適切な支援につなげることが、ご本人と家族の安心感につながります。

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