遠距離介護とは?必要な準備から便利なアイテム、仕事や家庭と両立させる方法を解説

遠く離れて暮らす親の介護が必要になったら、どう対応すればいいのでしょうか。仕事や自分の家庭があるなかで、実家の親の体調が心配になったり介護が必要になったりすると、「同居した方がいいのか」「すぐ駆けつけられないけれど大丈夫だろうか」と不安になります。親自身も住み慣れた土地を離れたくない場合が多く、子どもも仕事や生活拠点を簡単には変えられないことがあります。そのような状況で選択肢となるのが、遠距離介護です。本記事では、遠距離介護の基礎知識から始め、準備すべきことや役立つアイテムの紹介、さらには仕事や家庭との両立方法やスムーズに進めるポイント、注意点まで解説します。

監修医師:
林 良典(医師)
名古屋市立大学
【経歴】
東京医療センター総合内科、西伊豆健育会病院内科、東京高輪病院感染症内科、順天堂大学総合診療科、NTT東日本関東病院予防医学センター・総合診療科を経て現職。
【資格】
医学博士、公認心理師、総合診療特任指導医、総合内科専門医、老年科専門医、認知症専門医・指導医、在宅医療連合学会専門医、禁煙サポーター
【診療科目】
総合診療科、老年科、感染症、緩和医療、消化器内科、呼吸器内科、皮膚科、整形外科、眼科、循環器内科、脳神経内科、精神科、膠原病内科
目次 -INDEX-
遠距離介護の基礎知識

遠距離介護とはどのような介護ですか?
核家族化や仕事の都合で親子が別々に暮らす家庭が増えるなか、この遠距離介護を選択する家庭もいらっしゃいます。実際、厚生労働省の2022年の調査によれば、親と別居して介護をしている家庭の割合は11.8%となっています。遠距離介護は在宅介護や施設介護と並ぶ一つの介護スタイルであり、親子双方がそれぞれの生活環境を維持しながら介護を行う選択肢です。
遠距離介護の利点と懸念点を教えてください
- 親が住み慣れた土地で暮らし続けられる
- 適度な距離による心理的ゆとりができる
- 公的サービスを利用しやすい
一方で、遠距離介護には注意すべき懸念点(デメリット)もあります。
- 緊急時に駆け付けにくい
- 日常の細かなサポートが難しい
- 経済的・時間的負担が大きい
- 仕事や生活との両立が難しい
こうしたデメリットを聞くと不安になるかもしれませんが、事前の備えや工夫次第で多くは軽減可能です。次の章から、遠距離介護を始める際の準備やコツについて具体的に確認しましょう。
遠距離介護に必要な準備とアイテム

遠距離介護を始めるにあたってどのような準備が必要ですか?
遠距離介護をサポートする制度やサービスはありますか?
- 介護保険制度
- 介護休業・介護休暇制度
- 自治体の見守りサービス
- 交通費支援・割引制度
これらの制度やサービスを上手に利用することで、離れていても親の安全性を保ちつつ負担を軽減できます。遠距離介護を始める際は、「使えるものは何でも使う」くらいの気持ちで情報収集し、適切なサポートを受けましょう。
遠距離介護にはどの程度の費用がかかりますか?
さらに、親の容態急変時の緊急帰省費用や、介護のため仕事を休んだことによる収入減少なども考慮する必要があります。介護状況が重くなればデイサービス代などの自己負担も増えますし、逆に帰省頻度を減らして地元のサービスに任せる割合を増やせば交通費は抑えられるでしょう。公的サービスを使えば費用負担は軽減できますし、先述の交通費割引を利用する、帰省の頻度を兄弟で分担するなど工夫して経済的負担をなるべく減らすとよいでしょう。
遠距離介護を始める際に用意しておいた方がよいアイテムを教えてください
- 通信機器(電話・スマートフォン)
- 緊急通報装置
- 見守りカメラ・センサー
- GPS端末や徘徊対策グッズ
- 情報共有ノート・ファイル
これらのアイテムを活用することで、離れていても親の安全を見守りやすくなり、遠距離介護の不安を和らげることができます。ただし、これら機器に頼るだけでなく、親の了承と協力を得て使用すること、定期的に動作チェックをすることも忘れないようにしましょう。
遠距離介護と仕事・家庭を両立させる方法と円滑に進めるポイント

遠距離介護と仕事や家庭は、どのように両立できますか?
- 介護休暇・介護休業制度の利用
- 時短勤務・在宅勤務などの職場の制度の活用
- 家庭内での役割分担
- 兄弟姉妹・親族との協力
- ケアマネジャーや介護士、ヘルパーの利用
これらを実践しつつ、自分自身の休息時間も確保するよう意識してください。介護も仕事も完璧にやろうとせず、周囲に頼れるところは頼ることが長く続けるコツです。
遠距離介護を円滑に進めるポイントを教えてください
遠距離介護の注意点を教えてください
- 情報不足・見落としの有無
- 緊急連絡手段の複数用意
- 介護者自身の健康管理
- 仕事の調整と優先順位付け
これらの注意点を踏まえておけば、遠距離介護で陥りがちな落とし穴を事前に防ぎ、より安定した介護環境を維持できるでしょう。
編集部まとめ

遠距離介護は、親子双方が住み慣れた環境を維持できるメリットがある一方、距離ゆえの不安や負担も抱える難しい介護形態です。しかし、事前準備をしっかり行い、公的サービスや周囲の協力を積極的に活用することで、遠距離介護は十分に乗り越えられます。離れていても日頃から親とのコミュニケーションを密にとり、些細な変化にも気付けるようにすることが大切です。そして、介護者自身も抱え込みすぎず、仕事の制度や家族や専門家の力を借りながら続けていきましょう。年を重ねれば誰しも介護が必要になる可能性があり、遠距離介護は決して特殊なケースではありません。大切なことは自分の場合はどうするかを早めに話し合い、準備を進めておくことです。不安な点は自治体の包括支援センターやケアマネジャーなどプロに相談し、適切な支援を受けるようにしましょう。遠距離というハンデはありますが、ポイントを押さえれば親に安全で安心できる暮らしを提供できます。家族の状況に合わせた適切な形で、無理なく介護と向き合っていきましょう。



