介護の歩行介助とは?スムーズに行うコツや注意点も解説

介護の歩行介助とは、歩行が不安定な高齢の方や障碍を持つ方が安全性の高い移動をできるサポートを指します。転倒の予防や自立支援の観点からも、正しい介助方法を身につけることが大切です。しかし、介助者自身の身体に負担がかかることも多く、無理な姿勢や力任せのサポートは事故の原因になりかねません。本記事は、歩行介助の基本的な方法やスムーズに行うコツ、注意すべきポイントをわかりやすく解説します。

監修医師:
伊藤 規絵(医師)
目次 -INDEX-
介護の歩行介助|基礎知識

歩行介助とは何ですか?
また、単に身体を支えるだけでなく、どこまで自分で歩けるか、どのくらいの距離・速さなら安全性が高いかを見極めながら、自立した生活を維持・向上させることも歩行介助の目的です。このため、介護現場では歩行能力に応じて、見守り中心の介助、寄り添って支える介助、手を取り合う介助、杖や歩行器を用いた介助など、複数の方法を使い分けています。
歩行介助が必要になる状態や状況を教えてください
- 加齢や運動不足による筋力・バランス能力の低下
- 前庭機能障害
- 睡眠障害
- 脳卒中の後遺症による片麻痺
- パーキンソン病などの神経疾患
- 関節リウマチや変形性関節症などで関節の痛みや可動域が狭くなった
立ち上がりに時間がかかる、立ったときにふらつく、片足立ちができない、歩行速度が極端に遅い・速い、段差や階段で怖がる・よくつまずくなどの様子がみられるときは、転倒予防のために歩行介助や杖・歩行器などの支援を検討したほうがよいとされています。
歩行介助の種類とスムーズに行うコツ

介護の歩行介助にはどのような種類がありますか?
用具を使わない介助には、本人がほぼ自力で歩ける場合の見守り歩行介助、すぐ支えられる距離で並んで歩く寄り添い歩行介助、向かい合って手を取り合い短距離を移動する手引き歩行介助などがあります。また、階段の昇り降りに特化した介助も重要な種類の一つです。
用具を使う介助には、杖を使った歩行介助、歩行器(固定式・キャスター付きなど)を使った歩行介助、シルバーカーなどを用いた介助があり、いずれも本人の筋力やバランス、屋内外の環境に合わせて選びます。このように、歩行介助はどれだけ自力で歩けるかに応じて段階的に使い分けることがポイントです。
平坦な場所での歩行介助のコツを種類別に教えてください
まず見守り歩行の場合は、すぐ支えられる距離から付き添い、歩幅や速度をご本人のペースに合わせて、安全確認(床の段差・滑りやすさ・障害物の有無)をしながら見守ります。
寄り添い歩行では、ご本人のやや後ろや動きにくさ、歩きにくさが生じている側(患側)に立ち、肘や腰に軽く手を添えて、身体を引っ張らずに体重移動を一緒に感じることが大切です。
手引き歩行の場合は、向かい合って強く腕を引かないよう注意し、相手が一歩出しやすいように「右足から行きましょう」など声かけをしながら、短い距離でゆっくり行います。
杖や歩行器を使う場合は、平坦で滑りにくい路面を選び、杖、患側、健側の順番を意識し、歩行器を前に出しすぎないようにしましょう。また、ご本人の歩くスピードが守れるよう横やや後方からサポートすると安全性が高いです。
階段を登るときの歩行介助のポイントを教えてください
また、ご本人には毎回手すりをしっかり握ってもらい、介助者は反対側から腰や脇に軽く手を添えて、身体を引き上げるのではなく、ふらついたときに支える意識で関わります。足の順番は、よいほうの足から1段上げ、次に悪いほうの足を同じ段にそろえると“一段に両足”を基本にすると安心感があります。声かけには、「手すりを持ちましょう」「右足から上がりますよ」など、毎回同じ言葉とリズムでゆっくり促すと、ご本人も動きをイメージしやすいです。
階段を降りるときの歩行介助はどうすればよいですか?
足の出し方は、悪いほうの足から一段下ろし、次によいほうの足を同じ段にそろえる順番が基本です。必要に応じて「手すりを持ちましょう」「左足から降りますよ」など、毎回同じ声かけとペースでゆっくり進めると、ご本人も安心感を持って動きやすいです。
介護で役立つ歩行補助具と使用上の注意点

歩行介助の際にあると役立つ補助具はありますか?
車輪付き歩行器や歩行車・シルバーカーは、身体を預けながら進めるため、屋外での移動や買い物のときにも便利です。また、すべりにくい靴や室内用の手すり、段差解消スロープなども、転倒予防の観点から歩行介助を助ける重要な補助具です。いずれも、専門職に相談して、身体の状態や生活環境に合ったものを選ぶことが大切です。
歩行介助の際に発生しやすいトラブルや事故を教えてください
また、介助者との歩幅やタイミングが合わず、急に方向転換したり、引っ張られたりしてよろめくこともあります。杖や歩行器を使用している場合は、先端ゴムの劣化やネジの緩み、タイヤのすべり・引っかかりなど、補助具の不具合が事故の引き金になることもあります。さらに、ご本人の筋力・バランス低下に比べて介助量が足りない、逆に無理に動かそうとして関節や腰を痛めてしまうなど、不適切な介助方法もトラブルの大きな要因です。
歩行介助の際に介護者が気を付けることを教えてください
また、靴やスリッパはサイズが合い、すべりにくいものを選び、杖や歩行器などの補助具が緩んでいないかも確認します。介助中は、介護者が先に引っ張ったり押したりせず、毎回本人の歩幅とペースに合わせて並んで歩き、疲労やふらつき、表情の変化をこまめに観察しながら、適切なタイミングで休憩をはさむことが大切です。
編集部まとめ

介護の歩行介助とは、加齢や病気、障碍などで歩行が不安定になった方が、安全性を重視して移動できるよう支える援助のことです。本人の残っている力をできるだけ生かしつつ、必要な部分だけのサポートで、転倒や骨折のリスクを減らしながら自立した生活を維持・向上させることが重要です。そのために、見守り中心の介助から寄り添い歩行、手引き歩行、杖や歩行器を使った介助まで、状態に合わせた方法を選ぶ必要があります。また、床の環境整備や適切な補助具の選定、本人のペースに合わせた声かけなど、細かな配慮がスムーズで安全性の高い歩行介助のカギです。
参考文献




