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介護施設に入所中に要介護度が下がるとどうなる?サービスの違いや納得できない場合の対処法を解説

 公開日:2026/01/31
介護施設に入所中に要介護度が下がるとどうなる?サービスの違いや納得できない場合の対処法を解説

介護施設に入所している高齢の方のなかには、要介護度が更新時の認定で下がるケースがあります。では、施設入所中にこの要介護度が改善認定された場合、具体的にどのようなことが起こるのでしょうか。要介護度による利用できるサービスの違いや、もし「こんなに介護が必要なのに要介護度が下がったなんて納得できない」という場合の対処法について解説します。

小田村 悠希

監修社会福祉士
小田村 悠希(社会福祉士)

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・資格:社会福祉士、研修認定精神保健福祉士、介護福祉士、福祉住環境コーディネーター2級
・経歴:博士(保健福祉学)
これまで知的障がい者グループホームや住宅型有料老人ホーム、精神科病院での実務に携わる。現在は障がい者支援施設での直接支援業務に従事している。

介護施設に入所中に要介護度が下がるケース

介護施設に入所中に要介護度が下がるケース

介護施設で生活している間に要介護度が下がるケースには、いくつかの典型的なパターンがあります。本章では、どういった理由で要介護度が改善されることがあるのか解説します。

リハビリや治療により症状が改善してできることが増えた

施設での継続的なリハビリテーションや医療ケアの効果により、心身の機能が回復して日常生活でできることが増える場合があります。その結果、要介護認定の更新時に以前よりも軽い状態と判断され、要介護度が下がることがあります。例えば、歩行訓練の成果で自力歩行が可能になったり、食事や排泄の一部介助が不要になったりすると、認定調査で必要とされる介助量が減るため、要介護度が改善します。リハビリの成功による機能向上は、要介護度が下がるもっとも前向きなケースといえるでしょう。

本人が認定調査の際に普段よりもしっかりしていた

要介護度の更新認定は、市区町村の職員などによる調査と主治医の意見書に基づいて行われます。その認定調査の場面で本人の状態が普段より優れていたことが原因で、実際の生活よりも軽い状態とみなされてしまうケースもあります。高齢の方の中には、調査員を前に張り切って「大丈夫です」と頑張ってしまう方もおり、これによって本来必要な介助度より低く判定されてしまうこともあります。このような場合、家族や介護職員からみると「いつもはもっと手助けがいるのに」と感じるギャップが生じます。

介護施設に入所中に要介護度が下がった場合に起きること

介護施設に入所中に要介護度が下がった場合に起きること

要介護度が下がった場合、介護サービスの利用状況や施設での扱いにいくつか変化が生じます。まず、新しい要介護度に応じてケアプランの見直しが行われます。要介護度に応じて利用できるサービスの種類や量が変わるため、それまで受けていたサービス内容や頻度の調整が必要です。

例えば、要介護度が軽くなったことで今まで利用していた訪問介護の回数が減ったり、デイサービスの頻度が見直されたりすることがあります。また、要介護度の改善に伴い自己負担額が減少する可能性もあります。介護保険サービスは利用量に応じた自己負担がありますが、必要なサービス量が減れば結果的に月々の負担額も抑えられる場合があります。

一方で、入所先の施設の種類によっては退所(転居)が検討される可能性もあります。特に、介護保険施設のうち、特別養護老人ホーム(特養)や介護老人保健施設(老健)では入所対象者の要介護度要件が定められています。例えば、特養は原則として要介護3以上の方が対象です。入所後に要介護2以下に改善すると「施設が想定する介護度の範囲から外れる」ことになり、継続入所が難しくなる場合があります。ただし、これらの場合でもすぐに強制退所となるわけではなく、特例入所の条件を満たす場合やほかに受け入れ先が見つかるまで一定期間猶予が設けられることもあります。

要介護度の変化によって環境が変わることに不安を感じるかもしれません。まずは施設のケアマネジャーに相談し、新たな要介護度でどのようなサービス提供になるのか、費用はどう変わるのかを確認しましょう。必要に応じて在宅復帰や別施設への転居も視野に入れ、地域包括支援センターなどとも連携して今後の方針を検討することが大切です。

要介護度別|受けられるサービスの違い

要介護度別|受けられるサービスの違い

介護保険では認定された要介護度によって、利用できるサービス内容やその上限が異なります。ここでは要支援1から要介護5まで、それぞれの区分ごとに受けられるサービスの特徴を解説します。

要支援1

要支援1は介護度のなかで最も軽度な状態で、基本的な日常動作はほぼ自立して行えるものの、一部生活動作でわずかな支援が必要なレベルです。要支援1では、介護予防サービスと呼ばれる支援策を利用でき、地域包括支援センターの担当者が介護予防ケアプランを作成してくれます。サービス内容としては、週数回程度のホームヘルパーによる生活援助やデイサービスでの機能訓練、健康維持のための教室参加などが可能です。要支援1の月あたりサービス支給限度額は1割負担で約5,000円の自己負担上限とされており、この範囲内で必要なサービスを組み合わせて利用します。

要支援2

要支援2は要支援1よりももう少し支援度合いが高く、日常生活動作の一部に部分的な介助が必要な状態です。立ち上がりや歩行に支えが必要になる場面が増え、家事全般で見守りや手助けを要します。ただし、食事やトイレは基本的に自分でできる点は要支援1と共通しています。要支援2でも要支援1と同様に介護予防サービスの対象であり、地域包括支援センターがケアプランを担当します。利用できるサービスは要支援1の場合と似ていますが、支給限度額が1割負担で1万円強と倍増するため、ホームヘルプやデイサービスなどをより多く利用できる余裕があります。

要介護1

要介護1からは要介護状態となり、ケアプランは居宅介護支援事業所のケアマネジャーが担当します。要介護1は日常生活のなかで部分的な介助が必要な状態で、食事や排泄など身の回りのことはおおむね自力でできますが、立ち上がりや移動動作に支えが必要だったり、一部見守りが求められたりする段階です。サービスは居宅サービスが中心となり、訪問介護、訪問看護、デイサービス、ショートステイなどを利用できます。月額の支給限度額は約16.7万円分で、1割負担なら約1万6千円が上限です。

要介護2

要介護2は日常生活でできないことが増え、身の回りの世話にも部分的な介護が必要な状態です。具体的には、トイレや入浴で一部または全般的な介助がないと難しく、食事動作も見守りや一部介助を要する場合があります。利用できるサービスは要介護1と基本的に同じ種類ですが、支給限度額が1割負担で約1万9,705円に増えるため、必要に応じてサービス量を増やすことが可能です。訪問介護の頻度を増やしたり、デイケアを組み込んだりなど、在宅生活を支えるサービスを充実させることができます。

要介護3

要介護3になると、立ち上がりや歩行、食事、排泄、入浴といった日常生活上の動作が自力では難しくなり、全面的な介護が必要な状態です。このレベルになると、一人暮らしでの生活維持は困難であり、常時誰かの見守りや介助が欠かせません。利用できる介護サービスとしては、在宅サービスに加えて特別養護老人ホーム(特養)などの施設サービスの利用も可能です。支給限度額は1割負担で約2万7千円に拡大します。

要介護4

要介護4は、要介護3に比べてさらに身体の動作能力が低下し、介護なしには日常生活を送れない状態です。立位保持や歩行が困難な場合が多く、ベッド上での生活が中心となる方もいます。全面的な介助が必要で、認知症状もより顕著に現れることがあります。あらゆる場面で介護者の助けが不可欠となるため、在宅介護の場合は家族に大きな負担がかかります。利用できるサービス量も最大で1割負担で約3万0,938円と大きく、訪問介護を朝昼夕と利用したり、デイサービスとショートステイを組み合わせたりと総合的な支援が提供されます。

要介護5

要介護5は介護保険における最重度の区分で、日常生活のほぼすべてにわたり全介助が必要な状態です。食事や排泄、入浴など、基本動作のすべてに介護者の補助が不可欠で、しばしば寝たきりになっていて、意思疎通すら困難なこともあります。常時の見守りとケアなしには生活できず、介護する側の負担も大きくなります。支給限度額は1割負担で約3万6千円と最大で、利用可能なサービスもほぼすべて利用できます。

要介護度が下がったことに納得できない場合の対処法

要介護度が下がったことに納得できない場合の対処法

実際には介護に手がかかっているのに認定結果だけ要介護度が軽く出てしまった場合、家族としては納得できないこともあるでしょう。要介護度が下がったことに不服がある場合に取れる対処法として、主に次の3つが挙げられます。

区分変更の申請を行う

まず検討したいのが区分変更申請です。区分変更とは、認定有効期間の途中でも現在の状態に合った介護度へ再認定を申請し直す手続きです。要介護認定の有効期間は新規で6ヶ月、更新で12ヶ月ですが、その途中で状態が大きく変化した場合に区分変更が可能です。

市区町村の窓口に申請し、あらためて調査と審査を受けます。区分変更は不服申立てより結果が出るまでの期間が短い傾向があり、迅速に適切な要介護度に見直したい場合に有効な手段です。

申請にあたっては、現在利用中の施設ケアマネジャーや地域包括支援センターに相談するとスムーズです。なお、区分変更申請後に判定結果が思わしくなく、結局介護度が上がらなかった場合には、それまで上位区分相当として使ったサービスの超過分費用は全額自己負担となる点に注意が必要です。

参照:『要介護認定の有効期間』(船橋市)

不服申立てを行う

介護認定結果に対して正式に異議を唱える方法としては、不服申立て(審査請求)があります。これは認定を行った市区町村の判断を不服として、都道府県の介護保険審査会に審査を求める手続きです。不服申立てを行うと、第三者機関である審査会が認定の妥当性を再検証します。ただし、審査請求の結果が出るまでには時間を要することがあります。不服申立てを行う際は、市区町村の介護保険担当課に申し出て所定の書類を提出します。家族の主張だけでなく、主治医の意見やケアマネジャーの所見なども整理して伝えることが重要です。

次回の更新時期を待つ

もし現在の要介護度でも当面大きな支障がなく、次回の認定更新まであまり期間が空いていない場合は、次回の更新時期を待って再度適切な判定を受けるという選択もあります。介護認定は通常1年ごとに更新がありますので、次の認定まで様子を見るという判断です。ただし、この間は基本的に現行の要介護度に基づいたサービスしか使えないため、明らかにサービス不足で生活に支障が出る場合には待たずに区分変更を検討すべきです。また、高齢の方の状態は日々変化しますので、更新時期までに悪化していればその時点で適切な要介護度が付く可能性もあります。

要介護度が下がったときの相談窓口

要介護度が下がったときの相談窓口

要介護度の変更、特に軽く判定された場合には、今後の介護について不安や疑問が生じるでしょう。そんなときは一人で抱え込まず、以下のような相談窓口を活用しましょう。

介護施設のケアマネジャー

現在入所している施設のケアマネジャーが身近な相談相手です。ケアマネジャーは利用者一人ひとりのケアプランを作成し、サービス調整を行っている専門家ですから、要介護度が下がったことによるサービス変更や不安について相談すると的確なアドバイスをもらえます。家族として気になる点は遠慮なく伝え、今後の対応を一緒に考えてもらいましょう。

地域包括支援センター

各市町村に設置されている地域包括支援センターも心強い相談窓口です。包括支援センターは高齢の方の総合相談機関で、保健師や社会福祉士、主任ケアマネジャーなどが在籍し、介護や福祉、医療、権利擁護など幅広い相談に対応しています。要介護認定に関する相談も日常的に受け付けており、認定結果への疑問や不満、区分変更の手続き方法などについてもアドバイスをもらえます。また、介護度に応じた地域のサービス紹介や、介護保険以外の行政支援策の情報提供も受けられるので、有効に活用しましょう。

市区町村の窓口

介護保険の認定を管轄する市区町村役所の介護保険担当窓口でも、直接相談が可能です。役所の担当者は制度や手続きに精通しています。窓口相談では、現在の要介護度に対して利用できる地域資源を紹介してもらえる場合もあります。

まとめ

まとめ

介護施設に入所中に要介護度が下がると、サービス内容や利用条件にさまざまな変化が生じます。要介護度が軽くなること自体は利用者の改善を示すよい面もありますが、一方で使えるサービス量が減ったり、施設の入所基準を満たさなくなったりといった課題も出てきます。要介護度が下がったからといって悲観せず、まずは現行の要介護度で利用できるサービスを最大限活用することも大切です。周囲の専門家とも連携しながら、柔軟に対応策を講じていくことで、要介護度の変化による不安を乗り越えていけるでしょう。

この記事の監修社会福祉士