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介護が必要になったら何から始める?相談から開始までの流れと介護保険の手続きを解説

 公開日:2026/01/28
介護が必要になったら何から始める?相談から開始までの流れと介護保険の手続きを解説

親の介護が必要になったとき、多くの家族が最初につまずくのは、何から動けばよいかがわかないことです。介護は家族だけで抱え込むほど負担が増えやすいため、本人の生活を守りながら家族の負担を減らす目的で、公的制度と地域の支援を組み合わせて進めることが基本です。
この記事では、家族の介護者に向けて、介護が必要になる状況と判断の目安、最初の相談先、家族で話し合うポイント、介護保険の申請からサービス開始までの手順を、整理します。

高宮 新之介

監修医師
高宮 新之介(医師)

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昭和大学卒業。大学病院で初期研修を終えた後、外科専攻医として勤務。静岡赤十字病院で消化器・一般外科手術を経験し、外科専門医を取得。昭和大学大学院 生理学講座 生体機能調節学部門を専攻し、脳MRIとQOL研究に従事し学位を取得。昭和大学横浜市北部病院の呼吸器センターで勤務しつつ、週1回地域のクリニックで訪問診療や一般内科診療を行っている。診療科目は一般外科、呼吸器外科、胸部外科、腫瘍外科、緩和ケア科、総合内科、呼吸器内科。日本外科学会専門医。医学博士。がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会修了。JATEC(Japan Advanced Trauma Evaluation and Care)修了。ACLS(Advanced Cardiovascular Life Support)。BLS(Basic Life Support)。

介護が必要になる状況・タイミングと判断するポイント

介護が必要になる状況・タイミングと判断するポイント

介護が必要になるサインを生活の変化と安全面から整理し、相談を始める目安をつかみます。

介護が必要な状況

介護という言葉から、寝たきりを想像する方もいますが、実際にはそれより前の段階から支援が必要になる場合が多くあります。例えば、下記のような状態はサポートが必要です。

  • 入浴の準備や浴槽のまたぎが怖くなり転びそうになる
  • 排せつの後に衣類の始末がうまくいかず失敗が増え
  • 着替えの手順がわからず同じ服を着続けてしまう

さらに、食事や薬の管理が難しくなると、体調を崩すきっかけになる場合があります。金銭管理や防犯など判断が必要な場面で不安が増える場合もあります。認知機能の変化が疑われる場合は、早い段階から地域の相談先につながることで、本人の生活を崩さずに支援を組み立てやすくなります。

介護が必要になるタイミング

介護が必要になるタイミングは、本人の状態と生活環境、家族の支援体制が重なって決まります。本人の状態が同じでも、家が段差の多い造りであったり、同居者がいなかったりすると早めに支援が必要になる場合があります。

介護を始める目安として考えやすいのは、以前なら当たり前にできていたことが、数週間から数ヶ月で難しくなってきた場合です。例えば、下記のような状況は相談の合図といえます。

  • 家の中でつまずくことが増えた
  • トイレに間に合わず失敗が増えた
  • 料理が危ないので包丁や火を使わなくなった
  • 洗濯や掃除が追いつかず生活が乱れてきた

介護者側の生活の変化も介護が必要なタイミングを見極めるポイントです。見守りの時間が増えて仕事や睡眠に影響が出てきた場合は、早めに支援を検討しましょう。介護のスタートは、本人と家族が限界になる前が理想です。

介護が必要かどうかを判断するポイント

介護の必要性は、本人の暮らしの安全と自立度、そして家族の負担の大きさをあわせて判断します。

本人は、入浴や着替え、排せつなどの基本的な動作が安定しているかを確認します。次に、食事の準備や掃除、洗濯、買い物といった生活を維持する動作が回っているかをみます。

さらに、金銭管理や服薬管理、火の管理など、判断力が関わる場面に不安がないかを確認します。安全面では、転倒が増えていないか、夜間に一人で外に出てしまう心配がないか、道に迷うことがないかといった点も大切です。

家族側については、見守りが増えて睡眠が削られていないか、仕事に支障が出ていないか、イライラや落ち込みが増えていないかといった負担のサインを見ます。本人の状態だけでなく、家族の暮らしが維持できるかも判断材料になります。

介護は何から始める?最初に必要な準備

介護は何から始める?最初に必要な準備

最初の相談先から家族の話し合い、手続き準備までを順番にまとめます。

市区町村役場や病院の地域連携室、地域包括支援センターへの相談

最初の相談先として現実的な機関は下記のとおりです。

  • 市区町村役場の介護保険担当窓口
  • 地域包括支援センター
  • 入院中の場合は病院の地域連携室や退院支援部門

地域包括支援センターは高齢の方の総合相談窓口として位置づけられており、介護保険の申請前から相談できる点が大きな特徴です。介護保険のことだけでなく、生活全般の困りごと、家族の負担、虐待や権利擁護の相談など幅広い内容を扱います。迷ったら地域包括支援センターに連絡すると覚えておくと、最初の一歩が踏み出しやすくなります。

病院にいる場合は、退院後の生活調整が必要になるため、医療職と地域資源をつなぐ役割を持つ地域連携室に早めに相談するとよいでしょう。

家族や親族、本人との話し合い

家族の話し合いは、結論を急ぐほど対立が深まりやすいので、最初は情報をそろえる目的で始めるとよいでしょう。まず、今困っていることを本人と家族それぞれの視点で確認します。次に、本人が続けたい生活、避けたい生活を言葉にします。さらに、家族ができる支援の範囲を現実的に共有します。介護は長期になる場合があり、初期に無理をすると途中で続かなくなるリスクが高まります。続けられる形を最初から意識しましょう。

本人の意思を確認する

本人の意思を確認するときは、結論を迫る聞き方より、本人の価値観を引き出す聞き方が向いています。

例えば、家で大切にしている習慣は何か、誰と会う時間を続けたいか、どんな支援なら気持ちよく受けられそうかを聞きます。本人が不安を感じている場合は、支援を導入しても生活の主導権は本人にあること、合わなければ調整できることを伝えると安心につながります。

本人が意思表示しにくい場合は、いきなり大きな決定を求めず、短い期間の試行から始める方法が現実的です。例えば、週に一回だけ通所サービスを利用してみる、入浴だけ訪問介護に頼ってみるなど、負担が少ない形で試します。

試してみた結果を本人と一緒に振り返り、どこが安心でどこが負担かを言語化すると、次の調整につながります。本人の表情や生活リズムの変化も重要な手がかりになるため、家族は日常の様子をよく観察するとよいでしょう。

役割分担を決める

役割分担は、介護の仕事を誰か一人が抱え込まないための仕組みです。分担を考えるときは、介護そのものの作業だけでなく、連絡、手続き、受診の付き添い、金銭管理、緊急時対応などの見えにくい負担も含めて整理します。

例えば、同居の家族が日常の見守りを担う場合でも、遠方の家族が行政手続きの書類整理や、支払いの確認、ケアマネジャーとの連絡役を担うことで負担が分散します。

睡眠不足やイライラ、体調不良が続くと、介護者の健康が先に崩れてしまうリスクがあります。通所サービスや短期入所を利用し、介護者が休める時間を意識的に確保すると、長期的に介護を続けやすくなります。家族内で休むことへの罪悪感が出る場合もありますが、休息は贅沢ではなく必要な準備です。

介護に充てられる資産を確認する

介護の費用は、介護保険でカバーされる部分と、介護保険の対象外になる部分を分けて考えると整理しやすくなります。介護保険サービスは自己負担があり、所得に応じて負担割合が変わります。

さらに、施設を利用する場合は居住費や食費などがかかり、医療費や日用品費も加わります。在宅でも、紙おむつや介護用品、移動のためのタクシー代など、細かな出費が積み重なる場合があります。

まず把握したいのは、本人の年金や預貯金、毎月の固定費、家族が支援できる範囲です。家族が複数いる場合は、誰がどの費用を負担するかも早めに話し合うほうが、後で不満が出にくくなります。

介護保険サービスに関する手続き

介護保険サービスを利用するためには、原則として要支援または要介護の認定を受ける必要があります。

申請は本人の住民票がある市区町村で行い、家族が代わりに申請することもできます。申請後に行われるのは、認定調査と主治医意見書の作成です。認定調査では、調査員が本人の日常生活動作や認知機能の状態を確認し、生活の困りごとを聞き取ります。主治医意見書は、医師が病状や医学的な視点からの注意点をまとめる書類で、認定結果の判断材料になります。

介護に必要な福祉用具の確認と準備

福祉用具は、転倒を防ぎ、移動や立ち上がり、入浴などを安全にするための道具です。代表的なものとして、手すり、歩行器、歩行補助つえ、車いす、特殊寝台などがありますが、必要な用具は本人の身体機能と住環境で変わります。例えば、歩行が不安定で室内移動が怖い場合は、手すりの設置や歩行器が役立つことがあります。立ち上がりが難しい場合は、ベッドの高さ調整やベッド周囲の手すりが助けになる場合があります。入浴時に転倒するおそれがある場合は、浴室内の手すりやシャワーチェアなどが役立ちます。

介護保険で受けられる支援・サービスの内容

介護保険で受けられる支援・サービスの内容

要支援と要介護で利用できる支援を整理し、家庭に合う選び方の軸を作ります。

要支援で受けられる支援とサービス例

要支援は、今の生活機能を保ち、悪化を予防する支援が中心です。本人ができることを増やす視点が大切で、家事や外出の支援、通所での運動や交流、身体機能の維持を目的とした取り組みが組み合わされます。要支援のケアプランは地域包括支援センターが中心となって作成し、訪問型サービスや通所型サービスを調整します。

要介護で受けられる支援とサービス例

要介護は、生活を成り立たせるための介護が中心になり、在宅サービスと施設サービスの両方が選択肢になります。在宅でよく利用されるサービスは下記のとおりです。

  • 訪問介護による入浴や排せつの介助
  • 訪問看護による健康管理や医療的ケアの支援
  • 通所介護による日中の見守りと入浴や食事の提供
  • 短期入所による介護者の休息の確保
  • 福祉用具の貸与や住宅改修による生活環境の整備

どのサービスをどの程度利用するかは、本人の状態だけでなく、家族が支援できる時間、住環境、本人の希望で変わります。例えば、日中は一人になる場合は通所介護を増やし、夜間の負担が強い場合は短期入所を組み合わせるなど、目的に応じて組み立てます。

介護保険サービスを利用するまでの流れ

介護保険サービスを利用するまでの流れ

相談から申請、認定、ケアプラン作成、利用開始までの流れを追い、次に何を行うかを具体化します。

各種窓口への相談

全体像は、相談、申請、認定、ケアプラン作成、契約、利用開始という流れで進みます。まず、地域包括支援センターや市区町村窓口で相談し、本人の状態と生活の困りごとを整理します。次に、要介護認定を申請し、認定調査と主治医意見書の作成を経て、要支援または要介護の区分が決まります。その後、要支援なら地域包括支援センターが中心となって介護予防の計画を作り、要介護なら居宅介護支援事業所のケアマネジャーがケアプランを作成します。

要介護認定の申請

申請は本人が行うのが原則ですが、家族が代わりに行うこともできます。本人が窓口に行けない場合でも手続きは進められるので、早めに市区町村へ確認してください。地域包括支援センターなどが申請の相談に乗り、必要に応じて支援する場合もあります。

要介護認定結果の通知・決定

認定結果は申請から一定期間内に通知されることが原則ですが、地域の状況によっては時間を要する場合があります。結果が届くまでの間にも生活の困りごとは続くため、困っている場合は申請先の窓口や地域包括支援センターに相談し、利用できる支援がないか確認するとよいでしょう。例えば、介護保険以外の生活支援、見守り、配食サービスなどは地方自治体独自の仕組みで補える場合があります。退院が迫っている場合は、病院側と連携しながら調整しましょう。

ケアプランの作成

ケアプランは、本人の生活目標と困りごとに合わせて、どのサービスをどれだけ利用するかをまとめた計画です。要介護の方が在宅でサービスを利用する場合は、居宅介護支援事業所のケアマネジャーが中心となって作成します。要支援の方は、地域包括支援センターが中心となって介護予防の計画を作成します。ケアプラン作成では、本人の生活の優先順位を確認し、家族の負担も考慮して支援の組み合わせを決めます。例えば、入浴が危ない場合は入浴介助を優先し、昼間の見守りが必要な場合は通所を組み合わせるなど、目的ごとに整理します。本人の希望が強い場合は、生活の中で大切にしたいことを計画に反映し、支援が本人の尊厳を損なわないよう配慮します。

介護保険サービスの利用開始

サービス利用開始までに家族が行うことは、事業者との契約内容を確認し、生活の変化に備えることです。契約では、利用日時、サービス内容、自己負担の見通し、緊急時の連絡方法などを確認します。初めて訪問介護や通所を利用する場合、本人が戸惑ったり緊張したりすることがあります。

最初は短い時間から始め、同じ担当者で慣れるようにすると不安が軽減されるでしょう。利用後に困りごとが出た場合は、我慢せずケアマネジャーに共有し、回数や内容を調整するとよいでしょう。サービスは合わなければ調整できるという前提で進めると、家族も本人も気持ちが楽になります。

まとめ

まとめ

介護が必要になったら、最初に大切なのは一人で抱え込まず、相談の窓口につながることです。地域包括支援センターや市区町村の窓口に相談し、本人の生活の困りごとを整理したうえで、介護保険の申請を進めると支援の選択肢が広がります。家族内では、本人の意思を尊重しながら、役割分担と費用の見通しを早い段階で共有すると、介護が長期になった場合でも続けやすくなります。退院が迫っている場合や安全面の不安が強い場合は、病院の地域連携室を含め、医療と介護をつなぐ支援を活用してください。介護は完璧を求めるほど苦しくなりやすいテーマですが、公的制度と地域の支援を上手に使うことで、本人の生活と家族の暮らしの両方を守りやすくなります。困りごとが小さいうちから支援につながり、必要に応じて調整しながら進めることが、無理のない介護への近道です。

この記事の監修医師