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介護医療院に入所できる要介護度は?条件や手続きの方法、施設で受けられるサービスを解説

 公開日:2026/01/07
介護医療院に入所できる要介護度は?条件や手続きの方法、施設で受けられるサービスを解説

ご家族に医療的ケアが必要となり、介護医療院を検討し始めたものの、要介護度の条件や手続きなど、具体的な情報が少なく不安に感じることがあるでしょう。
この記事では、介護医療院の入所条件や要介護度の基準、手続きの流れ、施設で受けられるサービスや費用の目安、ほかの施設との違いを解説します。

小田村 悠希

監修社会福祉士
小田村 悠希(社会福祉士)

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・資格:社会福祉士、研修認定精神保健福祉士、介護福祉士、福祉住環境コーディネーター2級
・経歴:博士(保健福祉学)
これまで知的障がい者グループホームや住宅型有料老人ホーム、精神科病院での実務に携わる。現在は障がい者支援施設での直接支援業務に従事している。

介護医療院とは

介護医療院とは

介護医療院は、長期的な医療と介護の両方を必要とする方が、安心して療養生活を送るための施設です。2018年に創設された新しい施設形態で、医療機関と生活施設の機能を兼ね備えている点が大きな特徴です。

主な役割は以下の3つです。

  • 長期療養を支える医療と介護の提供
  • プライバシーに配慮した生活の場の提供
  • 人生の最期まで支える看取りへの対応

介護医療院には医師や看護師が常駐し、日常的な健康管理から看取りまでを支援します。施設には、医療の必要度に応じてⅠ型とⅡ型の2つの形態があり、重度の医療ニーズに対応するⅠ型が約6割、容体が安定した方向けのⅡ型が約3割を占めています。ほとんどの施設はⅠ型またはⅡ型のどちらか一方で運営されています。

参考:『日本介護医療院協会2024年度調査結果』(日本慢性期医療協会)

介護医療院に入所できる要介護度

介護医療院に入所できる要介護度

この章では、入所の基準となる要介護度の考え方、介護医療院に求められる要介護度の具体的な目安、そして身体的な条件を解説します。

要介護度とは

要介護度とは、介護の必要度を非該当(自立)または要支援1・2、要介護1~5の7段階で示す全国統一の区分です。市区町村の調査員による心身の状態の調査や、主治医の意見書などをもとに、最終的には介護認定審査会で要介護度を審査・判定します。
数字が大きくなるほど、より多くの介護を必要とする状態であることを示しており、この区分によって利用できる介護保険サービスの種類や量が決まります。

例えば、要介護1は立ち上がりや歩行に部分的な介助が必要な状態、要介護5は意思の伝達が難しく、生活全般で全面的な介護が必要な状態にあることが一つの目安です。

介護医療院に入所できる要介護度

介護医療院の入所対象は、原則として要介護1以上の方です。

しかし、医療機能を持つ生活施設という特性上、実際には医療的ケアの必要性が高い方が優先されます。厚生労働省の調査では、入所者の9割以上が要介護3以上で、喀痰吸引(かくたんきゅういん)などの医療的ケアを必要としています。要介護度の数字だけでなく、医療的な必要性をあわせて総合的に判断されると理解しておきましょう。

参照:『介護医療院におけるサービス提供実態等に関する調査研究事業(結果概要)』(厚生労働省)

そのほかの入所条件

介護医療院への入所には、要介護度の基準に加え、慢性的で長期的な医療と介護を必要とする状態が条件です。具体的には、以下のような医療的ケアが日常的に必要な方が対象です。

  • 喀痰吸引や経管栄養が定期的に必要な方
  • 褥瘡(じょくそう)の管理など、専門的な処置が必要な方
  • 気管切開後の管理や、酸素吸入を常時行っている方
  • がんの終末期などで、痛みや苦しさを和げる緩和ケア(ターミナルケア)を必要とする方

ご本人の状態が入所条件に該当するかどうか、まずは担当のケアマネジャーや主治医に相談してみましょう。

介護医療院に入所するまでの流れ

介護医療院に入所するまでの流れ

この章では、介護医療院へ入所するまでの一般的な手続きと、準備すべき持ち物を解説します。

介護医療院の入所手続きの流れ

入所の手続きは、担当のケアマネジャーや病院のソーシャルワーカーへの相談から始めます。ご本人の心身の状態や希望を伝え、候補となる施設を探してもらいましょう。一般的な流れは、以下のとおりです。

  • 施設見学、相談
  • 入所申し込み、書類提出
  • 本人・家族との面談
  • 入所判定会議
  • 契約、入所日の調整

まずは、候補の施設へ連絡し、見学や相談の予約をします。施設の雰囲気や設備、スタッフの様子を直接見ることで、ご本人に合う場所かを見極めやすくなります。

入所を希望する施設が決まったら、申込書や診療情報提供書などの必要書類を提出します。その後、施設の担当者がご本人やご家族と面談し、心身の状態や生活歴、希望するケアなどを詳しく聞き取ります。
提出書類と面談内容をもとに、施設内で入所判定会議が開かれ、受け入れの可否が決定します。入所が可能となれば、契約手続きを行い、具体的な入所日を調整していきます。

介護医療院に入所する際に必要な持ち物

持ち物は施設によって異なるため、事前に確認しましょう。一般的には、手続きに必要な書類と、日常生活で使う身の回りの品を準備します。

持ち物の種類 具体例
各種書類 保険証など
衣類 ・普段着
・寝巻き
・下着
・靴下
タオル類 ・バスタオル
・フェイスタオル
洗面用具など ・口腔ケア用品
・洗顔クリームや石鹸など
履き物 ・室内用
・外出用
日用品 ・ティッシュペーパー
・蓋付きのゴミ箱など

介護保険証や健康保険証などの各種書類は、契約や費用の支払いに不可欠です。衣類は、前開きの服などご自身で着脱しやすいものや、介助しやすいものを選ぶとよいでしょう。また、ご本人が使い慣れたクッションや写真立てなど、安心して過ごせるような私物を持ち込める場合もあります。すべての持ち物には、紛失を防ぐために名前を記入しておきましょう。

介護医療院の利用にかかる費用の目安

介護医療院の利用にかかる費用の目安

介護医療院を利用する際の費用は、要介護度や所得、部屋の種類、施設の形態(Ⅰ型・Ⅱ型)によって異なります。
一般的には、月額9万〜20万円前後が目安です。費用は主に以下の3項目の合計で決まります。

  • 介護サービス費
  • 居住費・食費
  • 日常生活費

介護サービス費とは、介護医療院で提供される介護・医療サービスにかかる費用です。介護保険が適用され、所得に応じて1〜3割を自己負担します。
自己負担1割の場合の月額イメージは次のとおりです(Ⅰ型多床室利用時)。

  • 要介護1:約25,000円/月
  • 要介護3:約35,000円/月
  • 要介護5:約41,000円/月

施設形態(Ⅰ型・Ⅱ型)や職員配置、医療体制によって、実際の費用に多少の差が出ます。

参照:『どんなサービスがあるの? - 介護医療院』(厚生労働省 介護サービス情報公表システム)

居住費食費は、厚生労働省が定める基準費用額(1日あたり)をもとに計算すると、多床室を利用した場合、月額でおよそ5〜6万円前後が目安です。

費用項目 日額基準 月額目安(30日換算)
居住費(多床室) 377円 約11,000円
食費 1,445円 約43,000円
合計 - 約54,000円

参照:『介護報酬改定率、多床室の室料負担、基準費用額(居住費) について(報告)』(厚生労働省)

介護医療院では多床室が一般的ですが、個室やユニット型居室を選ぶと費用は高くなります。

収入や資産が一定以下の方は、特定入所者介護サービス費(負担限度額認定)の対象となり、居住費と食費が軽減されます
認定区分ごとの月額目安は以下のとおりです。

負担段階 月額(居住費+食費) 対象者
第1段階 約9,000円(居住費0円+食費約9,000円) 生活保護受給者など
第2段階 約23,000円(居住費約11,000円+食費約12,000円) 非課税世帯、年金80万円以下
第3段階① 約30,000円(居住費約11,000円+食費約19,500円) 年金80〜120万円以下
第3段階② 約51,000円(居住費約11,000円+食費約4万円) 年金120万円超

※多床室の場合、30日換算

参照:『介護報酬改定率、多床室の室料負担、基準費用額(居住費) について(報告)』(厚生労働省)

また、介護サービスや食費以外に、理美容代、新聞・電話代、クリーニング代などを実費で支払う場合があります。一方、おむつ代などは介護報酬に含まれるため、別途請求されないケースが一般的です。

正確な金額は個々の状況によって大きく変動します。入所を検討している施設へ事前に見積もりを依頼し、費用の内訳について詳しい説明を受けましょう。

介護医療院で受けられるサービス

介護医療院で受けられるサービス

介護医療院は、医療機関としての機能と生活施設としての機能をあわせ持つため、提供されるサービスも多岐にわたります。ここでは、介護医療院で提供される介護サービスと医療的ケアの内容、そして混同されやすいほかの介護施設との違いを解説します。

介護医療院の介護サービス

介護医療院は住まいとしての役割も担っており、入所する方がその人らしい生活を継続できるよう、日常的な介護サービスを提供しています。施設によって特色はありますが、主に以下のようなサービスが受けられます。

  • 食事、入浴、排泄などの身体介助
  • 機能訓練(リハビリテーション)
  • レクリエーションや季節の行事

食事や入浴などの基本的な介助はもちろんのこと、身体機能の維持・向上を目的としたリハビリテーションも行われます。日々の楽しみや社会的な交流の機会として、レクリエーションや季節のイベントなども企画されており、療養生活の質の向上を目指した支援が行われています。

介護医療院の医療的ケア

医師や看護師が常駐し、日常的な医療管理や、ほかの介護施設では対応が難しい医療的ケアも提供が可能です。具体的には、次のようなケアに対応しています。

  • 喀痰吸引や経管栄養
  • 褥瘡の処置
  • インスリン注射などの血糖管理
  • 気管切開部の管理や在宅酸素療法
  • 穏やかな看取り(ターミナルケア)

在宅でこれらのケアをご家族が行う場合、精神的・身体的な負担は計り知れません。介護医療院では、24時間体制で専門職が医療的なケアにあたるため、ご本人もご家族も安心して療養生活を送れます。急な体調の変化にも迅速に対応できる医療体制が整っていることは、大きな安心材料です。

特別養護老人ホーム・介護老人保健施設との違い

介護医療院と混同されやすい、特別養護老人ホーム(特養)や介護老人保健施設(老健)との違いは以下のとおりです。

比較項目 介護医療院 特別養護老人ホーム(特養) 介護老人保健施設(老健)
目的 長期的な医療・介護、看取り 生活の場、長期的な介護 在宅復帰のためのリハビリ
入所期間 長期 原則、長期間 中間的(3~6ヶ月程度)
医療的ケア 手厚い(医師・看護師が常駐) 施設による 充実(医師が常駐)
主な対象者 医療的ケアが常時必要な方 常時介護が必要な方(原則要介護3以上) 病院退院後などでリハビリが必要な方

特別養護老人ホームはあくまで生活の場であり、対応できる医療的ケアには限りがあります。また、介護老人保健施設は在宅復帰を最終目標とする中間施設のため、終身の利用は想定されていません。

まとめ

まとめ

介護医療院は、長期的な医療と介護を一体的に提供し、医療ニーズの高い方が穏やかに暮らすための「住まい」です。特別養護老人ホームや介護老人保健施設とは異なり、看取りまで見据えた長期的な療養を目的としている点が大きな特徴です。

入所を具体的に検討する際は、まず担当のケアマネジャーや病院のソーシャルワーカーなどの専門家に相談しましょう。費用は要介護度や所得によって大きく異なるため、候補となる施設へ事前に確認し、負担を軽減する制度が利用できるかも含めて確かめましょう。

この記事で解説した内容を参考に、ご本人とご家族にとって適切な施設選びを進めてください。

この記事の監修社会福祉士