介護保険の自己負担はどのくらい?負担割合の決まり方と軽減制度を解説します

介護保険サービスを利用する際の負担額は、利用する方の状況やサービス内容によって差が生じます。そのため、あらかじめ仕組みを理解しておくと安心です。
本記事では介護保険の自己負担はどのくらいなのかについて以下の点を中心にご紹介します。
- 介護保険とはどのような制度なのか
- 自己負担額の計算方法
- 自己負担額を抑えるために利用できる制度

監修社会福祉士:
小田村 悠希(社会福祉士)
・経歴:博士(保健福祉学)
これまで知的障がい者グループホームや住宅型有料老人ホーム、精神科病院での実務に携わる。現在は障がい者支援施設での直接支援業務に従事している。
目次 -INDEX-
介護保険の仕組み

介護保険とはどのような制度ですか?
介護保険は、市区町村が実施する要介護・要支援認定を受けることで、さまざまな介護サービスを少ない自己負担で利用できます。原則として65歳以上の方が対象ですが、40〜64歳の方でも、加齢に伴う特定の疾病が原因で介護が必要と認められた場合には利用が可能とされています。
家族だけで介護を担うことが難しくなっている現代において、介護保険を受ける方だけでなく、家族の負担を軽減し、安心して生活を続けるための重要な仕組みです。
介護保険ではどのようなサービスを受けられますか?
1.居宅サービス(自宅で利用するサービス)
自宅での生活を続けながら受けられる介護サービスです。訪問介護による生活援助や身体介護、訪問看護、訪問リハビリ、デイサービス(通所介護)、短期入所(ショートステイ)などがあり、在宅生活の維持を支えます。また、ケアマネジャーがケアプランを作成する居宅介護支援も含まれます。
2.施設サービス(施設に入所して利用するサービス)
特別養護老人ホームや介護老人保健施設などに入所し、日常生活の介護や医療的な支援を受けるサービスです。常に介護が必要な方や、自宅での生活が難しくなった場合に利用されます。
市区町村が指定した事業所が提供する介護サービスで、住み慣れた地域での生活を支えることを目的としています。グループホームや小規模多機能型居宅介護などがあり、少人数で利用者の状況に合わせたきめ細かな支援が受けられます。
介護保険の自己負担割合の決まり方

介護保険の自己負担割合は、どのように決まりますか?
65歳以上の方(第1号被保険者)の場合、主に年金収入などの所得水準に応じて負担割合が判定されます。所得が低い方は1割負担、一定以上の所得がある方は2割または3割負担となります。一方、40~64歳の方(第2号被保険者)は、所得にかかわらず原則1割負担です。
また、自己負担割合とは別に、要介護度ごとに毎月利用できるサービスの支給限度額が定められています。この限度額を超えてサービスを利用した場合、超過分は全額自己負担となる点には注意が必要です。
なお、負担割合の判定は単身世帯か夫婦世帯かといった世帯構成によっても基準が変わる場合があります。
自己負担額は何で決まりますか?計算の考え方を教えてください
まず、自己負担割合は年齢や所得に応じて1~3割に設定されます。次に、要介護度ごとに区分支給限度額が定められており、自宅で介護サービスを利用する場合は、この限度額の範囲内であれば自己負担割合分のみを支払います。一方、限度額を超えて利用したぶんは、全額自己負担となるため注意が必要です。
自己負担額の基本的な考え方は、1ヶ月に利用した介護サービス費×自己負担割合+支給限度額を超えた分という形です。地域ごとに介護報酬の単価が異なる点や、事業所の体制やサービス内容による加算がある点も、金額に影響します。
一方、介護保険施設に入所してサービスを受ける場合は、居宅サービスのような支給限度額はなく、施設や要介護度に応じて定められたサービス費に対し、1~3割の自己負担を行います。ただし、食費や居住費、日常生活費は介護保険の対象外となり、別途自己負担が必要です。
介護保険の自己負担割合は、途中で見直されることがありますか?
負担割合証は、前年の所得情報(源泉徴収や確定申告など)が自治体で確認できる時期にあたる7月下旬頃に自動的に更新し郵送されます。そのため、毎年同じ割合とは限らず、所得状況に応じて変更されることがあります。
また、適用期間の途中であっても見直されるケースがあります。例えば、世帯構成の変更や所得の増減が生じた場合、自治体が内容を確認したうえで、翌月から新しい負担割合証が交付されます。負担割合が上がった場合は、過去に保険から給付されすぎたぶんの返還を求められることがあり、反対に下がった場合は、支払い過ぎた分が後日還付されます。
さらに、ほかの市区町村へ転入した場合も、あらためて負担割合の確認が行われます。転出時に発行される受給資格証明書を提出することで、介護認定や負担割合が引き継がれます。
介護保険の自己負担を軽減する方法

介護保険の自己負担額に上限はありますか?
まず支給限度額とは、1ヶ月あたりに介護保険を使って利用できるサービス量の上限を指します。この上限は要介護度ごとに決められており、限度額の範囲内であれば、利用者は原則1~3割の自己負担でサービスを利用できます。ただし、この限度額を超えてサービスを利用した場合、超過分は全額自己負担となる点には注意が必要です。
一方、負担限度額は、介護サービスを利用した際に利用者が支払う自己負担割合(1割・2割・3割)を判断する基準です。負担限度額は主に所得や世帯状況によって決まり、65歳以上の方(第1号被保険者)は毎年交付される介護保険負担割合証で確認できます。40~64歳の方(第2号被保険者)の自己負担割合は原則1割です。自己負担額を抑えるために利用できる制度を教えてください
①高額介護サービス費
1ヶ月に支払った介護サービスの自己負担額(食費・居住費など一部を除く)が、所得や世帯状況に応じた上限を超えた場合、超過分が申請により払い戻されます。上限額は世帯または個人単位で設定されており、低所得世帯ほど負担が軽くなる仕組みです。
②社会福祉法人等による利用者負担軽減制度
特別養護老人ホームなど、対象となる社会福祉法人が運営する施設やサービスを利用している場合、訪問介護や通所介護、短期入所、さらに食費や居住費の一部が軽減されることがあります。利用には所得要件があり、施設や自治体への確認が必要です。
③高額医療・高額介護合算療養費制度
1年間に支払った医療保険と介護保険の自己負担額を合算し、所得区分ごとの上限を超えた場合、その超過分が払い戻されます。医療と介護の両方を利用している世帯では、負担軽減につながりやすい制度です。
訪問看護や訪問リハビリなど一部の介護サービス費は医療費控除の対象となり、確定申告を行うことで税金の還付や軽減を受けられる場合があります。
自己負担額が高額になったとき、どこに相談すればよいですか?
まず身近な相談窓口として挙げられるのが地域包括支援センターです。高額介護サービス費制度など、負担軽減につながる制度の案内や、適切な支援先の紹介を受けられます。
負担割合の見直しや各種証明書の確認などは、市区町村の介護保険担当窓口でも相談を受け付けています。
すでに介護サービスを利用している方は、居宅介護支援事業所(ケアマネジャー)に相談するのもいいでしょう。
また、施設利用時の費用負担や生活全般の不安については、社会福祉協議会や、入院・通院中であれば医療機関の相談室(医療ソーシャルワーカー)でも相談できます。編集部まとめ

ここまで介護保険の自己負担はどのくらいなのかについてお伝えしてきました。介護保険の自己負担はどのくらいなのかについての要点をまとめると以下のとおりです。
- 介護保険とは、高齢や病気などによって介護が必要になったときに、社会全体でその生活を支えるための公的な保険制度のこと
- 自己負担額の計算方法は、負担割合や要介護度、利用したサービス内容と量をもとに、支給限度額の範囲内か超過しているかを確認しながら算出するのが基本
- 自己負担額を抑えるために、高額介護サービス費や高額医療・高額介護合算療養費制度などの制度がある
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。



