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在宅医療の緊急時はどうする?救急要請の判断基準と注意すべき症状、事前の備えを解説

 公開日:2026/03/08
在宅医療の緊急時はどうする?救急要請の判断基準と注意すべき症状、事前の備えを解説

在宅医療を受けていると、「この症状は救急車を呼ぶべき?」「まず誰に連絡すればいい?」と迷う場面が少なくありません。緊急時に落ち着いて行動するためには、救急要請の判断基準や注意すべき症状、そして日頃からの備えを知っておくことが大切です。

本記事では在宅医療の緊急時について以下の点を中心にご紹介します。

  • 在宅医療とは
  • 在宅医療のメリットとデメリット
  • 在宅医療で緊急事態が起きたときの流れ
在宅医療の緊急時について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。ぜひ最後までお読みください。
林 良典

監修医師
林 良典(医師)

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【出身大学】
名古屋市立大学
【経歴】
東京医療センター総合内科、西伊豆健育会病院内科、東京高輪病院感染症内科、順天堂大学総合診療科、NTT東日本関東病院予防医学センター・総合診療科を経て現職。
【資格】
医学博士、公認心理師、総合診療特任指導医、総合内科専門医、老年科専門医、認知症専門医・指導医、在宅医療連合学会専門医、禁煙サポーター
【診療科目】
総合診療科、老年科、感染症、緩和医療、消化器内科、呼吸器内科、皮膚科、整形外科、眼科、循環器内科、脳神経内科、精神科、膠原病内科

在宅医療の基礎知識

在宅医療の基礎知識

在宅医療とは何ですか?

在宅医療とは、病気や加齢などにより通院が難しくなった方が、自宅や高齢の方向けの施設などで医療が受けられる仕組みのことです。医療スタッフが定期的に訪問し、診察や治療、健康管理を行うことで、入院に頼らず住み慣れた環境で療養を続けることが目的です。

在宅医療では、担当医師だけでなく、訪問看護師や薬剤師、理学療法士、管理栄養士、ケアマネジャーなど、医療と介護の専門職が連携して支援する体制が取られています。

訪問診療や往診、訪問看護、訪問リハビリテーションなどが代表的なサービスで、計画に基づいた定期訪問に加え、24時間体制で対応している場合もあります。

在宅医療の対象になるのはどのような方ですか?

在宅医療は、年齢や病名を問わず、自宅や高齢の方向けの施設などでの療養を希望する方が利用できます。なかでも、病気や障がいにより通院や入院の継続が難しくなった方、日常生活のなかで医療的な支援が必要な方が主な対象です。

実際には、がんや脳卒中の後遺症、認知症、慢性の心疾患、呼吸器疾患、関節リウマチや骨折後などで外出が困難な方、寝たきりの状態にある方などが在宅医療を利用しています。
また、治療を続けながらも住み慣れた環境で過ごしたいと考える方が選択するケースもあります。

在宅医療を受けられるかどうかは、本人の病状や生活状況を踏まえて、主治医が総合的に判断します。

在宅医療中の緊急時の課題

在宅医療中の緊急時の課題

在宅医療のメリットとデメリットを教えてください

在宅医療には、利用者やご家族にとってさまざまなメリットがある一方で、事前に理解しておきたいデメリットもあります。

メリットは、住み慣れた自宅で療養できる点です。生活環境や食事、生活リズムを大きく変えずに医療を受けられるため、被介護者の精神的な安心感につながり、生活の質(QOL)の維持や向上が期待できます。
また、医療スタッフが自宅を訪問するため、通院や付き添いの時間が減り、患者さんだけでなく家族の身体的や時間的な負担も抑えられます。

一方、デメリットには、医療体制に限界がある点が挙げられます。病院のように常時検査や高度な治療を行うことは難しく、症状の急変時には入院が必要になる場合もあります。
また、在宅での療養には家族の協力が欠かせず、却って介護や見守りの負担が増えてしまう可能性もあります。

在宅医療で緊急時に困りやすいポイントは何ですか?

在宅医療における緊急時には、いくつかの課題が挙げられます。主なポイントは以下のとおりです。

【医療スタッフの不足】
医療従事者の数が不足しており、なかでも地方では緊急時の迅速な対応が困難になりがちです。医療スタッフが不足していると、24時間対応が難しく、急な病状変化に迅速に対応できないケースにつながります。

【夜間や休日の対応の難しさ】
夜間や休日は医療従事者の負担が大きく、急な病状変化に対応するためのオンコール体制が整っていない場合があります。オンコール体制とは、病院や介護施設に常駐していない医療従事者が、緊急事態に備えて待機し、必要に応じて迅速に対応する勤務形態です。
オンコール体制が整っていないと、家族にとっては不安要素につながり、緊急時にどう動けばよいのか迷いが生じる可能性があります。

【地域格差】
都市部と地方では、医療資源や施設の状況に差があります。なかでも過疎地では医療機関までの距離が長く、緊急時に迅速に対応できる体制が整っていない傾向があります。

在宅医療中の緊急対応

在宅医療中の緊急対応

在宅医療で緊急事態が起きたときの流れを教えてください

在宅医療で緊急事態が起きたときの流れは以下のとおりです。

1.緊急時はまず連絡して相談する
在宅療養中に体調の急変があった場合は、まず訪問診療クリニックの緊急連絡先へ電話しましょう。患者さんの名前や、症状が出始めた時期、痛みや息苦しさの有無、意識や顔色、体温など、現在の状態を伝えることが大切です。

2.応急対応の指示を受ける
電話では、限られた時間のなかで状況を正確に把握するため、具体的な質問が行われます。
そのうえで、安静にする姿勢や楽な体位の取り方など、家族ができる範囲での応急対応があれば、落ち着いて行動しましょう。
担当者が到着するまでの間、呼吸や顔色など観察してほしいポイントが伝えられる場合もあります。

3.緊急往診か救急搬送かを判断する
電話で得た情報をもとに、担当医師が緊急往診を行うか、救急車の要請が必要かを判断します。
自宅での点滴や処置で症状の改善が見込まれる場合は緊急往診を行い、重い意識障害や強い呼吸困難など、命に関わる可能性がある場合には救急搬送が優先されます。

4.医療スタッフの訪問または病院への搬送
緊急往診となった場合は、医療スタッフが必要な医療機器や薬剤を準備し、自宅に訪れます。到着後は診察と処置を行い、症状の安定を図ります。救急搬送が必要な場合には、診療情報を整理し、救急隊や医療機関と連携しながら入院の対応が取られます。

5.診療後のフォローと情報共有
緊急対応後も、電話や再訪問による経過確認が行われます。今後の療養やケアに活かすため、緊急対応時の内容や注意点をケアマネジャーや訪問看護師などと共有する場合もあります。

在宅医療の際に救急要請を検討すべき症状はありますか?

在宅療養中は、体調の変化にいち早く気付き、落ち着いて対応することが重要です。なかでも、突然の強い胸の痛みや背中の痛み息苦しさ冷や汗を伴う症状が現れた場合は、心臓や大血管の重大なトラブルが疑われるため、迷わず医療機関へ連絡し、必要に応じて救急要請を検討しましょう。

また、意識がなく呼びかけに反応しない状態や、けいれんが長く続く場合も、生命に関わる可能性があるため、早急な対応が求められます。

一方で、高熱が続いて元気がなく、水分がほとんど取れない状態や、普段と明らかに異なる言動、急な興奮が見られる場合も注意が必要です。
軽い嘔吐や下痢などで、意識がはっきりしており水分摂取ができる場合は、急を要さないこともありますが、不安がある場合は自己判断しないようにしましょう。
緊急性の判断が難しいケースは、まず訪問診療の連絡先に相談し、指示を仰ぐことが大切です。

在宅医療では、様子を見るか、すぐに動くべきかで迷う場面も少なくありません。判断に迷った時点での相談が、結果的に患者さんの安全を守ることにつながります。

緊急時に備えて事前に準備できることはありますか?

在宅医療では、いざという場面に落ち着いて対応できるよう、日頃からの準備が重要です。

まず大切なのは、緊急時の連絡先や対応の流れを家族全員で共有しておくことです。訪問診療を開始する際に案内される緊急連絡先は、電話機の近くや冷蔵庫など目につきやすい場所に掲示しておくのがおすすめです。

併せて、保険証や医療証、薬手帳、診察券などは一ヶ所にまとめ、すぐに持ち出せる状態にしておきましょう。患者さんの既往歴やアレルギー、普段の体調やいつもの様子を簡単にメモしておくと、緊急時の情報共有にも役立ちます。

また、主治医や在宅医療チームと事前に相談し、どのような症状が出たら連絡すべきか、応急的にできる対応は何かを確認しておくことも重要です。起こりうる体調変化や今後の見通しを知っておくことで、急な場面でも判断しやすくなります。

さらに、日々の診療や定期訪問の際に、気になる変化や不安をため込まずに伝えることも、緊急事態を防ぐ備えの一つです。医療スタッフやケアマネジャーなど、多職種と情報を共有することで、早めの対応につながります。

緊急時の備えは、特別なことを用意するだけでなく、相談しやすい関係づくりと情報の整理が大切です。

編集部まとめ

編集部まとめ

ここまで在宅医療の緊急時についてお伝えしてきました。在宅医療の緊急時についての要点をまとめると以下のとおりです。

  • 在宅医療とは、病気や加齢などにより通院が難しくなった方が、自宅や高齢の方向けの施設などで医療を受けられる仕組みのこと
  • 在宅医療のメリットには、住み慣れた自宅で療養できることがあり、デメリットには、医療体制に限界がある点が挙げられる
  • 在宅医療で緊急事態が起きたときは、①緊急時はまず電話で相談する②応急対応の指示を受ける③緊急往診か救急搬送かを判断する④医療スタッフの訪問または病院への搬送⑤診療後のフォローと情報共有という流れがある
在宅医療を安心して続けるためには、緊急時の流れや判断の目安をあらかじめ理解しておくことが大切です。
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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