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在宅医療の訪問診療とは?往診との違いや利用方法を解説します

 公開日:2026/03/09
在宅医療の訪問診療とは?往診との違いや利用方法を解説します

通院が困難になった際、住み慣れた自宅で継続して医療が受けられる訪問診療は、患者さんと家族にとって心強い仕組みです。しかし、「往診とは何が違うの?」「急変した時はどうなるの?」と疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。

本記事では在宅医療の訪問診療について以下の点を中心に紹介します。

  • 在宅医療とは
  • 訪問診療とは
  • 在宅医療で訪問診療を受ける流れ
在宅医療の訪問診療について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
林 良典

監修医師
林 良典(医師)

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【出身大学】
名古屋市立大学
【経歴】
東京医療センター総合内科、西伊豆健育会病院内科、東京高輪病院感染症内科、順天堂大学総合診療科、NTT東日本関東病院予防医学センター・総合診療科を経て現職。
【資格】
医学博士、公認心理師、総合診療特任指導医、総合内科専門医、老年科専門医、認知症専門医・指導医、在宅医療連合学会専門医、禁煙サポーター
【診療科目】
総合診療科、老年科、感染症、緩和医療、消化器内科、呼吸器内科、皮膚科、整形外科、眼科、循環器内科、脳神経内科、精神科、膠原病内科

在宅医療の基礎知識

在宅医療の基礎知識

在宅医療とは何ですか?

在宅医療とは、病気や加齢による身体機能の低下などにより医療機関への通院が難しくなった方に対し、医療と介護の専門職が、患者さんのもとに訪問して診療やケアを行う医療の形です。

診療はあらかじめ立てた計画に基づいて定期的に行われ、急な体調変化に備え、24時間の連絡や対応体制を整えている医療機関もあります。担当医師による訪問診療や往診に加え、訪問看護、訪問リハビリテーションなどが組み合わされ、複数の専門職が連携して患者さんを支えます。

在宅医療は病気の治療だけでなく、寝たきりや合併症の予防、栄養管理などを通じて、住み慣れた地域で安心して療養生活を続けることを目的としています。

在宅医療の対象はどのような方ですか?

在宅医療の対象となるのは、病気や障がい、加齢などにより入院や通院が難しくなり、日常生活のなかで医療的な支援を必要とする方です。すでにほかの医療機関に通院している場合でも、状況に応じて在宅医療の併用ができます。

具体的には、次のような方が在宅医療を受けています。

・足腰の衰えや体力低下により、一人での外出や通院が困難な方
・退院後も自宅で継続的な治療や経過観察が必要な方
・認知症や神経難病などにより、日常的な医療と看護が欠かせない方
・がんの進行により痛みや全身状態の変化があり、通院が負担となっている方
・自宅での療養や看取りを希望される方

このほか、心臓や肺、腎臓の慢性疾患、関節リウマチや骨折後の後遺症、医療的ケアが必要なお子さんなど、幅広い状態の方が対象となります。対象となるか迷う場合は、主治医に相談することで、状況に合った支援につなげられます。

訪問診療の基礎知識

訪問診療の基礎知識

訪問診療とは何ですか?

訪問診療とは、通院が困難な患者さんを対象に、計画的な医学管理のもと、医療スタッフが定期的に自宅などを訪問して行う診療のことです。あらかじめ訪問日や時間を決め、継続的に診察、治療、薬の処方、療養上の相談や指導を行います。

訪問診療は必要なときだけ医療スタッフが駆けつける臨時の往診とは異なり、外来通院を自宅で受けるような形で、安定した医療を続けていく点が特徴です。開始にあたっては、病歴や現在の状態、本人や家族の希望、介護状況などを踏まえて診療計画が立てられます。

また、体調の急変時には緊急訪問や入院調整を行うなど、24時間体制で相談できる傾向があり、在宅療養を支えるかかりつけ医としての役割を担います。

訪問診療と往診の違いを教えてください

訪問診療と往診は、いずれも医療スタッフが自宅などを訪れて行う診療ですが、主な違いは計画性にあります。

訪問診療は、病状の悪化を防ぐことを目的として、あらかじめ診療計画を立て、定期的に行われる診療です。2週間に1回や月1回など、決まった頻度で医療スタッフが訪問し、継続的な健康管理や治療を行います。

一方、往診は患者さんや家族からの依頼を受けて、急な発熱や症状の悪化などに対応するために行われる臨時の診療です。定期診療以外で必要に応じて実施され、がん患者さんの看取り対応なども含まれます。
往診の場合は、通常の訪問診療とは別に往診料が算定され、時間帯や医療機関の体制、診療内容によって費用が異なることがあります。

このように、訪問診療は計画的な継続診療、往診は突発的な対応である点が違いに挙げられます。

訪問診療はどのような場面で利用できますか?

訪問診療は、通院が身体的または精神的に負担となる場面で利用されます。病気などにより外出が難しい方や、退院後に自宅で継続的な医療管理が必要な方に向けた医療の形です。移動や待ち時間がなく、本人だけでなく付き添う家族の負担軽減にもつながります。

また、在宅療養支援診療所では、契約後に24時間365日体制で相談や緊急対応が行われています。夜間や休日の体調変化にも電話対応や往診、必要に応じた入院調整がされるため、在宅での療養に不安を感じる方にとっても、利用しやすい選択肢の一つです。

さらに、診察や治療に加え、薬の処方や予防接種、栄養管理などをまとめて相談できる点も特徴です。住み慣れた自宅で生活リズムを保ちながら療養でき、面会時間の制限もないため、家族と過ごす時間を大切にしたい方にもおすすめです。

在宅医療で訪問診療を活用する方法

在宅医療で訪問診療を活用する方法

在宅医療で訪問診療を利用するまでの流れを教えてください

訪問診療は、相談から開始までいくつかの段階を踏んで進められます。主な流れは次のとおりです。

1.相談や問い合わせ
ご本人やご家族、病院のソーシャルワーカー、担当ケアマネジャーなどを通じて、訪問診療を行う医療機関へ相談します。現在の病状や希望する療養方法について伝え、利用可能かを確認します。

2.事前説明と調整
担当医師や看護師、相談員などから、診療内容や費用、緊急時の対応方法について説明を受けます。併せて、本人や家族の希望、介護状況を踏まえ、診療方針や訪問頻度を調整します。

3.契約と必要書類の提出
利用が決まれば契約を行い、紹介状や保険証、介護保険証、服薬情報など必要書類を提出します。

4.訪問診療開始
初回訪問日を決定し、定期的な訪問診療が始まります。開始後も状態に応じて内容や頻度は見直されます。

訪問診療は医療機関から家までの距離に決まりはありますか?

訪問診療では、医療機関と患者さんの居宅の距離について、医療機関の所在地を中心とした半径16km以内であることが原則として保険診療の対象とされています。これは、在宅医療を継続的に提供できる範囲を確保するための基準です。そのため、近隣に対応可能な医療機関があるにも関わらず、患者さんの希望のみを理由として遠方の医療機関が訪問診療を行うことは想定されていません。 ただし、この基準は一律ではありません。16km圏内に必要な診療に対応できる医療機関がない場合や、対応可能な医療機関が訪問診療を実施していない場合には、16kmを超える訪問が認められることがあります。また、積雪や道路状況などにより移動に時間を要する地域や、小児への往診など医療機関の確保が難しいケースでも、例外的に対象となることがあります。

自宅以外(ショートステイ先・サ高住など)でも訪問診療は受けられますか?

訪問診療を受けられるかどうかは、“患者さんがその場所で日常的に生活しているか”が判断基準です。そのため、自宅に限らず入所して暮らしている施設であれば、訪問診療の対象となる場合があります。
具体的には、養護老人ホーム、認知症高齢者グループホーム、有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)などが該当します。 一方で、デイサービスやショートステイのように一時的に利用する施設は、原則として訪問診療の対象外です。ただし、ショートステイには例外があり、自宅で診察を受けてから、または退院後に直接ショートステイへ入所した場合、前回の訪問診療日から30日以内であれば訪問診療が可能(30日ルール)とされています。
利用可否は施設側の受け入れ体制にも左右されるため、事前に医療機関や施設へ相談しましょう。

編集部まとめ

編集部まとめ

ここまで在宅医療の訪問診療についてお伝えしてきました。在宅医療の訪問診療の要点をまとめると以下のとおりです。

  • 在宅医療は、病気や加齢などにより通院が難しくなった方に対し、医療や介護の専門職が自宅を訪問して診療やケアを行う医療の形であり、治療だけでなく予防や生活支援を含め、住み慣れた環境で療養できることが目的である
  • 訪問診療は、通院が困難な患者さんに対し、あらかじめ診療計画を立てたうえで医療スタッフが定期的に自宅などを訪問して行う診療であり、診察や治療、薬の処方、相談対応を継続的に行い、在宅療養を支える役割を担う
  • 訪問診療は、医療機関への相談から始まり、診療内容や費用、緊急時対応の説明を受けたうえで契約を行う。診療開始後も状態に応じて内容や頻度が調整される
在宅医療の訪問診療は、通院が難しくなった方が自宅で医療を受け続けるための選択肢です。本人や家族の希望に合った療養生活を実現するためにも、早めに情報を知り、必要に応じて医療機関へ相談しましょう。

これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事の監修医師