在宅医療の24時間対応とは?在宅療養支援診療所も解説します

在宅医療を検討する際、「夜間や休日に体調が急変したらどうなるのか」と不安に感じる方は少なくありません。そうした不安に応える仕組みの一つに、在宅医療での“24時間対応”があります。
本記事では在宅医療の24時間対応について以下の点を中心にご紹介します。
- 在宅医療とは
- 在宅医療の24時間対応について
- 在宅療養支援診療所とは

監修医師:
林 良典(医師)
名古屋市立大学
【経歴】
東京医療センター総合内科、西伊豆健育会病院内科、東京高輪病院感染症内科、順天堂大学総合診療科、NTT東日本関東病院予防医学センター・総合診療科を経て現職。
【資格】
医学博士、公認心理師、総合診療特任指導医、総合内科専門医、老年科専門医、認知症専門医・指導医、在宅医療連合学会専門医、禁煙サポーター
【診療科目】
総合診療科、老年科、感染症、緩和医療、消化器内科、呼吸器内科、皮膚科、整形外科、眼科、循環器内科、脳神経内科、精神科、膠原病内科
目次 -INDEX-
在宅医療の基礎知識

在宅医療とは何ですか?
在宅医療は、医師による診察だけでなく、訪問看護、服薬管理、リハビリテーション、栄養指導などが連携して行われます。医療と介護の専門職が協力しながら、利用者の状態や生活状況に応じた支援を行う点が特徴です。
また、在宅医療は自宅に限らず、有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅、グループホームなどでも受けられます。定期的な訪問による診療に加え、必要に応じた相談や対応が可能とされているため、通院の負担を軽減しながら安心して療養を続けられる医療の選択肢といえるでしょう。
在宅医療の対象となるのはどのような人ですか?
具体的には、寝たきりや外出が困難な状態の方、呼吸、栄養、排泄などに医療的なサポートが必要な方、退院後も継続的な診療やケアが求められる方などが含まれます。また、がんの終末期、脳血管障害の後遺症、認知症、神経難病、慢性心不全や慢性呼吸不全、糖尿病の合併症、褥瘡(じょくそう)など、長期的な管理が必要な疾患を抱える方も対象となります。
在宅医療を利用開始するまでの流れを教えてください
1.利用の相談と申し込み
在宅医療を受ける患者さんや家族が、訪問診療を行っている医療機関へ直接相談する方法のほか、ケアマネジャーや病院の医療相談員を通して相談することもできます。現在の病状や通院の状況を伝え、在宅医療が利用できるかを確認します。
2.事前面談とヒアリング
日程を調整し、面談または電話で詳しい状況確認が行われます。病状や生活環境、患者さんと家族の希望をもとに、診療方針、訪問頻度、費用、緊急時の連絡方法などについて説明を受けます。
3.利用契約の手続き
内容に同意したうえで、利用契約を行います。医療保険証や介護保険証、診療情報提供書などの書類を提出し、在宅医療開始の準備を整えます。
4.訪問診療の開始
契約後、医師や看護師が決められた日時に自宅や施設を訪問し、定期的な診療が始まります。体調の急な変化があった場合は、事前に案内された連絡先へ相談し、必要な対応を受けます。
在宅医療の費用相場を教えてください
まず、医師による訪問診療や往診、検査、処置、薬の処方などにかかる費用は医療保険の対象です。定期的な訪問診療に加え、体調が急変した際の往診や臨時の対応が行われた場合には、その都度費用が発生します。自己負担割合は、年齢や所得に応じて1~3割となり、外来や入院時と同じく、高額療養費制度も利用できます。
次に、訪問看護や訪問リハビリ、訪問介護、デイサービスなどを併用する場合には、介護保険による費用がかかります。こちらも原則として1~3割負担で利用でき、月ごとの自己負担額には上限が設けられています。医療と介護の両方を利用することで、在宅での療養生活を無理なく続けやすくなります。
そのほか、診断書の作成費用や保険適用外の処置、衛生材料などは自費負担となります。また、紙おむつなどの消耗品費や医療機器使用に伴う光熱水費といった、生活に関わる費用が別途必要になる場合もあります。
在宅医療の費用は、患者さんの状態や利用するサービス内容によって幅がありますが、入院よりも抑えやすい一方で、緊急時の相談体制が整えられていることから外来通院のみの場合より費用が高くなる場合もあります。具体的な負担額については、利用前に医療機関やケアマネジャーへ相談しておくと安心です。
在宅医療での24時間対応

在宅医療の24時間対応とは何ですか?
24時間対応により、急な症状悪化時にも状況に応じた助言や判断を受けられ、不要な救急搬送を避けやすくなります。また、利用者だけでなく、ご家族が抱えやすい不安や負担の軽減にもつながります。
在宅医療の24時間対応は、医療者の都合ではなく、療養する方の生活リズムや価値観を尊重しながら、その方にとってよりよい選択を一緒に考えていくための支えとなる重要な役割を担っています。
緊急時はどのような流れで対応しますか?
その結果、往診での対応が可能か、すぐに救急要請が必要かを医療者が判断します。心筋梗塞や脳卒中が疑われる症状、大量出血など、早急な検査や治療が必要と考えられる場合は、患者さんや家族の意向を確認したうえで救急要請を行い、受け入れ先の病院調整にも協力します。
往診が必要と判断された場合でも、医師はほかの患者さんの緊急対応や移動距離、交通状況などの影響を受けるため、到着までに時間がかかることがあります。その間は電話での指示を行ったり、看護師や連携スタッフが先に対応したりする場合もあります。
24時間対応でも難しいこと、限界はありますか?
例えば、高熱や意識障害を伴う重症感染症、吐血や下血などの消化管出血、強い外傷や骨折、頭部外傷後の意識低下などは、病院での検査や治療が不可欠です。また、認知症による激しい興奮や他害行為、強い希死念慮(きしねんりょ)など、精神症状が急激に悪化した場合も、在宅での安全の確保が難しく入院対応が検討されます。
さらに、訪問診療や往診には距離や時間、医師の同時対応数といった制度や物理的な制約があります。24時間相談はできても、病院のように即時に検査や手術ができるわけではありません。
在宅療養支援診療所

在宅療養支援診療所とは何ですか?
計画的な訪問診療に加え、夜間や休日を含めた相談対応や、必要に応じた往診ができる点が特徴です。体調の急変時には、連携する医療機関と協力し、入院の調整を行う役割も担っています。
地域の医療や介護サービスと連携しながら、自宅での療養を継続するための中心的な存在といえます。
在宅療養支援診療所はどのような方が利用できますか?
在宅酸素療法や人工呼吸器、点滴管理など医療的ケアが必要な場合でも、状態に応じて在宅医療が検討されます。在宅医療が可能かどうかは、かかりつけ医や病院の主治医が判断し、必要に応じて在宅療養支援診療所につなぎます。
機能強化型在宅療養支援診療所について教えてください
形態は単独型と連携型に分かれます。単独型は、一つの診療所で医師数や診療経験などの基準を満たす施設で、数は少ないです。連携型は複数の医療機関が協力して基準を満たす形で、現在は、連携型で運営されている施設が多い傾向にあります。
編集部まとめ

ここまで在宅医療の24時間対応についてお伝えしてきました。在宅医療の24時間対応の要点をまとめると以下のとおりです。
- 在宅医療とは、病気や加齢、障がいなどにより医療機関への通院が難しくなった方を対象に、医師や看護師などの医療従事者が自宅や高齢の方向けの施設といった生活の場を訪問し、診察や治療、健康管理を行う医療のこと
- 在宅医療の24時間対応とは、夜間や休日を含め、体調の急な変化や不安が生じた際に、いつでも医療者へ相談や連絡ができる仕組みのこと
- 在宅療養支援診療所とは、通院が困難な方に対し、医師が自宅を訪問して診療を行う在宅医療を担う診療所のうち、国が定めた施設基準を満たした医療機関のこと
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。



