遠方に住む親の介護はどうする?対策やサポート方法を解説します

親が高齢になってきたとき、遠方に住んでいることで「何かあったときにすぐ駆けつけられない」「どこに相談すればいいかわからない」と不安を感じているご家族もいるのではないでしょうか。
本記事では、遠方に住む親の介護について以下の点を中心に解説します。
- 遠方介護を始める前に準備しておくこと
- 離れていても活用できるサービスや公的制度
- 仕事と介護を両立するためのポイント
ぜひ最後までお読みください。

監修医師:
高山 哲朗(かなまち慈優クリニック)
理事長 高山 哲朗
平成14年慶應義塾大学卒業
慶應義塾大学病院、北里研究所病院、埼玉社会保険病院等を経て、
平成29年 かなまち慈優クリニック院長
【所属協会・資格】
医学博士
日本内科学会総合内科専門医
日本消化器病学会専門医
日本消化器内視鏡学会専門医
日本医師会認定産業医
東海大学医学部客員准教授
予測医学研究所所長
遠方に住む親の介護で考えておきたいこと

遠方介護とはどのような状況を指しますか?
親は慣れ親しんだ地元で暮らし、子は仕事や家庭の事情から離れた場所に住んでいるケースは少なくありません。同居や呼び寄せが難しい場合や、親が住み慣れた土地を離れたくない場合に選ばれることが多いとされる介護スタイルです。
内閣府の『令和4年版高齢社会白書』によると、介護者全体の約13.6%が遠距離介護を選択しています。決して珍しい状況ではありませんが、移動にかかる時間や交通費など、介護者への負担が大きくなりやすい点が課題です。
参照:『令和4年版高齢社会白書』(内閣府)親の介護が必要かどうかはどのように判断すればよいですか?
●歩行や外出が以前より難しくなった
●食事、入浴、排せつなどの基本動作に時間がかかるようになった
●食事中にむせる、体重が減少している
●身近な方の名前が思い出せない、道に迷うなど認知機能の低下が見られる
遠方に住んでいると変化に気付きにくいため、帰省時に生活の様子を意識的に確認し、かかりつけ医や地域包括支援センターに早めに相談しましょう。
遠方介護を始める前に家族で話し合うべきことは何ですか?
●親の希望(自宅で暮らし続けたいか、施設入所も視野に入れるかなど)
●介護の役割分担(誰がどのように関わるか)
●費用の負担方法(親の収入や貯蓄で賄えるか、家族でどう補うか)
●緊急時の対応方法(急に体調が悪化した場合にどう動くか)
費用の分担は兄弟、姉妹間のトラブルに発展しやすいテーマのため、早めに話し合っておくことが重要です。帰省のための交通費など、遠方介護ならではの出費も見込んでおきましょう。
また、親自身の意向を確認しておくことも欠かせません。どのような生活を続けたいかを本人の口から聞いておくことで、いざというときの判断がスムーズになります。遠方介護の利点と懸念点を教えてください
【利点】
●親も子も住み慣れた場所から転居する必要がない
●介護離職をせずに仕事を続けやすい
●適度な距離感が、良好な親子関係の維持につながることがある
●地域の介護保険サービスを活用しやすい
【懸念点】
●緊急時にすぐに駆けつけられない
●帰省のための交通費など、費用の負担が大きくなりやすい
●親の日常的な変化に気付きにくい
●病院への同行など、仕事を休む機会が増える可能性がある
遠方介護を進めるための具体的な方法

遠方介護を始める前に準備しておくことを教えてください
●親の希望、生活リズム、交友関係を把握する
●親の経済状況(年金、貯蓄、保険など)を確認する
●要介護認定の申請とケアマネジャーの選定を進める
●利用できる介護サービスや近隣施設の情報を収集する
●ICT機器や緊急通報システムの設置や住宅リフォームを検討する
●兄弟姉妹間で役割分担を話し合う
なかでも早めに取り組みたいのが、親の意向と経済状況の把握です。認知症が進んでからでは確認が難しくなるため、通帳や保険証書の場所なども含めて確認しておくと安心につながります。
また、遠方介護に理解のあるケアマネジャーを選ぶことも重要なポイントです。連絡が取りやすく、離れて暮らす家族の状況を理解してくれる方を選ぶようにしましょう。離れて暮らす親の生活状況をどのように把握すればよいですか?
●電話やビデオ通話などで定期的に連絡を取る
●近所の方や友人など、地域の知り合いに様子を見てもらえるようお願いする
●配食サービスや見守りサービスなどの民間サービスを活用する
●家電の使用状況を通知してくれるIoT機器を導入する
●ケアマネジャーやかかりつけ医と連絡が取れる体制を整えておく
なかでも地域の知り合いネットワークは、緊急時にも頼れる大切な存在です。普段からコミュニケーションを取っておくことで、異変にも気づきやすくなります。
帰省時には、直接顔を見て体調や気持ちの変化を確認しましょう。専門職に任せられることはケアマネジャーやヘルパーに委ね、家族だからこそできるサポート(話を聞く、外出に連れていくなど)に集中することが、長く関わり続けるコツです。遠方でも利用できる介護サービスにはどのようなものがありますか?
●訪問介護、訪問看護(ヘルパーや看護師が自宅を訪問する)
●デイサービス(日中、施設に通って介護や機能訓練を受ける)
●配食サービス(食事の配達時に安否確認も兼ねてくれる)
●緊急通報システム(異変時にボタンひとつで対応してもらえる)
●CT見守り機器(家電の使用状況を家族に通知してくれる)
緊急通報システムは、自治体によっては無料または低額で設置できる場合もあるため、親が住む地域の窓口に問い合わせてみましょう。
要介護認定を受けている場合は、ケアマネジャーに相談しながら必要なサービスを組み合わせることをおすすめします。
地域包括支援センターはどのように活用できますか?
●要介護認定の申請方法や介護保険サービスの情報収集
●地域の民間サービスやボランティア活動の情報を得る
●遠方介護に関する不安や困りごとの相談
●かかりつけ医や近隣の医療機関、介護事業所の情報収集
遠方に住んでいる場合は、電話での相談も受け付けているため、まずは遠方介護であることを伝えたうえで問い合わせてみましょう。地域の民生委員や町内会の連絡先も併せて確認しておくと、緊急時に慌てず対応できます。
遠方介護の負担を減らすサポートと制度

遠方介護で活用できる公的制度を教えてください
●介護保険サービス(訪問介護、デイサービス、ショートステイなど)
●介護休暇、介護休業(仕事を休んで介護に対応できる)
●介護休業給付金(休業中に賃金の約67%が支給される)
●住宅改修助成金(バリアフリーリフォームに補助金が支給される)
介護保険サービスは、要介護認定を受けることで利用できます。訪問介護やデイサービスなどを組み合わせることで、離れていても親の在宅生活を支える体制を整えられます。
また、帰省時の交通費負担を軽減する手段として、航空会社の介護割引を活用するのもひとつの方法です。適用条件は各社異なるため、利用する航空会社のWebサイトで確認してみましょう。
制度の詳細や申請方法は、親が住む地域の地域包括支援センターや市区町村の介護保険窓口に問い合わせると、状況に合わせたアドバイスを受けられます。
参照:『Q&A~介護休業給付~』(厚生労働省)仕事を続けながら遠方介護を行うためのポイントを教えてください
具体的には、以下の3つを意識しましょう。
●電話やビデオ通話、見守りサービスを活用し、自身が行かなくても親の様子がわかる仕組みをつくる
●ケアマネジャーや地域の支援者など、地元で動いてくれる方を確保する
●介護休暇や介護休業制度を把握し、必要なときに活用できるよう勤務先に事情を伝えておく
気になることがあればケアマネジャーに遠慮なく相談し、親がどのような方だったかを専門職に伝えることも、親に合った介護体制をつくるうえで大切な家族の役割です。
編集部まとめ

ここまで遠方に住む親の介護についてお伝えしてきました。要点をまとめると以下のとおりです。
- 遠方介護を始める前に、親の希望や経済状況、役割分担を家族で話し合い、要介護認定の申請や地域包括支援センターへの相談を早めに進めておくことが大切
- 訪問介護、配食サービス、見守りサービスなど、離れていても活用できるサービスを組み合わせることで、親の在宅生活を支える体制を整えられる
- 仕事と介護を両立するためには、ケアマネジャーや専門職と連携しながらマネージャー役に徹することが重要
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

