看取り介護とは?緩和ケア・ターミナルケアとの違いや家族の関わり方を解説します

看取り介護について調べていくなかで、「具体的にどのような支援が行われるのか」「緩和ケアやターミナルケアと何が異なるのか」と疑問を抱く方もいるのではないでしょうか。
人生の最終段階に関わるテーマであることから、初めて向き合う際に不安や迷いを感じる方も少なくありません。
本記事では、看取り介護について以下の点を中心に解説します。
- 看取り介護の基本的な考え方と、緩和ケアとターミナルケアの違い
- 看取り介護で行われる主なケア内容
- 看取り介護を受けられる場所や進め方の流れ

監修医師:
林 良典(医師)
名古屋市立大学
【経歴】
東京医療センター総合内科、西伊豆健育会病院内科、東京高輪病院感染症内科、順天堂大学総合診療科、NTT東日本関東病院予防医学センター・総合診療科を経て現職。
【資格】
医学博士、公認心理師、総合診療特任指導医、総合内科専門医、老年科専門医、認知症専門医・指導医、在宅医療連合学会専門医、禁煙サポーター
【診療科目】
総合診療科、老年科、感染症、緩和医療、消化器内科、呼吸器内科、皮膚科、整形外科、眼科、循環器内科、脳神経内科、精神科、膠原病内科
目次 -INDEX-
看取り介護とは

看取り介護とは何ですか?
看取り介護では、本人の意思や価値観を尊重し、家族の想いにも配慮しながら、医療職と介護職が連携して支援を行います。具体的には、痛みや不安への対応、食事や排泄、清潔保持などの日常生活の支援に加え、心のケアも含まれます。
自宅や介護施設など、本人が望む場所で最期を迎えられるよう調整する点も特徴であり、近年は高齢化の進展とともに重要性が高まっていると考えられます。
看取り介護と緩和ケア、ターミナルケアの違いを教えてください
緩和ケアは、病気の進行状況を問わず、痛みや息苦しさ、不安などの苦痛を和らげることを目的とした医療的支援です。ターミナルケアは、人生の最終段階に近づいた時期に行われる医療や看護を中心としたケアを指します。
一方、看取り介護は生活支援の比重が大きく、日常生活の介助や心のケア、家族との関わりを大切にしながら、最期までその方らしく過ごせるよう支える点が特徴です。
実際には、これらの支援は明確に区別されるものではなく、状況に応じて重なり合いながら提供されることが多いと考えられます。
看取り介護で行われる主なケア内容

看取り介護ではどのような身体的ケアが行われますか?
延命や回復を目的とした治療よりも、日常生活のなかでの負担を軽減することが重視されます。
主に行われる身体的ケアには、次のようなものがあります。
・痛みや息苦しさ、倦怠感などの症状への配慮
・体位変換や清潔保持、口腔ケア、排せつの介助
・皮膚の状態を確認し、褥瘡(床ずれ)を防ぐための対応
・室温や寝具を調整し、身体への負担を軽減する工夫
また、食事や水分摂取については、嚥下機能やその日の体調を考慮し、無理のない形が選択されています。本人の状態に合わせて、できることを大切にする姿勢が求められます。
本人の不安や苦痛に寄り添うケアはどのように行われますか?
介護職や看護師は、本人の表情や言動を丁寧に観察し、不安の兆しが見られる場合には声かけや傾聴を通じて気持ちを受け止めます。言葉での意思表示が難しい場合でも、手を握る、そばに座るなどの関わりが安心感につながることもあります。
また、本人がこれまで大切にしてきた価値観や生活歴を踏まえた対応を行うことで、心の安定を保ちやすくなると考えられています。このような心理面への支援は、医療、介護の専門職が連携しながら進められます。
看取り介護で家族ができることや上手な関わり方を教えてください
家族にとって大切なことは、何か特別な介護技術を行うことよりも、本人のそばにいる時間を大切にする姿勢です。声をかけたり、思い出話をしたりすることで、本人が安心して過ごせる場合もあります。
一方で、家族自身が強い不安や戸惑いを抱えることも少なくありません。そのようなときは、介護職や看護師に気持ちを相談し、無理をしない関わり方を確認することが望ましいでしょう。
家族が一人で抱え込まず、周囲の支援を受けながら向き合うことが、結果的に本人にとっても穏やかな時間につながると考えられます。看取り介護を行う場所と主な流れ

看取り介護はどこで受けられますか?
自宅での看取りは、住み慣れた環境で最期まで過ごせる点が特徴で、訪問診療や訪問看護、訪問介護などの在宅サービスを組み合わせて支援が行われます。
一方、特別養護老人ホームや介護老人保健施設などの介護施設では、日常的な介護に加えて、医療機関と連携しながら看取り対応が行われる場合があります。
また、病院や緩和ケア病棟では、医師や看護師による医療的ケアを中心とした看取りが提供されます。どの場所を選ぶかは、本人の意思や家族の介護負担、医療ニーズ、利用できる医療・介護の支援体制などを踏まえて検討することが望ましいとされています。
看取り介護はどのような流れで進みますか?
まず、医師から回復が難しい状態であることが説明されたことをきっかけに、看取りを意識した支援が始まります。その後、本人や家族、医療・介護関係者で話し合いを行い、ケアの方向性を共有します。
主な流れは、次のように進むことが多いとされています。
1. 病状や今後の見通しについて医師から説明を受ける
2. 本人の意思や価値観、家族の考えを確認する
3. 痛みの緩和や生活支援を中心としたケア内容を検討する
4. 状態の変化に応じて支援体制やケア内容を見直す
看取り介護では、身体的なケアだけでなく、精神的な安心や家族への支援も含めて対応が行われます。早い段階から関係者と情報を共有し、無理のない形で準備を進めることが、本人と家族双方にとって重要だと考えられています。
看取りを考え始めたら、誰に相談すればよいですか?
主治医は、今後の病状の見通しや医療的な選択肢について説明を行い、ケアマネジャーは、介護サービスの調整や支援体制の構築を担います。
また、地域包括支援センターでは、支援を必要とする本人や家族からの相談を受け付けており、医療、介護、福祉を横断した助言を受けられます。
看取りは早めに相談を始めることで、選択肢を整理しやすくなると考えられています。迷いや不安がある場合でも、段階的に話し合いを進めることが重要です。
編集部まとめ

ここまで、看取り介護について解説してきました。
要点をまとめると以下のとおりです。
- 看取り介護は、回復や延命を目的とせず、人生の最終段階にある方がその方らしい生活を送りながら尊厳を保てるよう支える介護の考え方であり、身体の変化を受け入れつつ、穏やかな時間を過ごせるよう配慮する点に特徴がある
- 食事や排泄などの身体的な介助に加え、不安や孤独感といった心の負担に寄り添う心理的支援や家族の想いをくみ取る関わりも重視され、本人だけでなく家族を含めた支援が前提となる
- 看取り介護は、自宅や介護施設、医療機関など、本人や家族の希望や医療・介護の体制に応じた場所で受けられ、生活環境に合わせた柔軟な支援が行われる
本記事が、看取り介護を理解するための参考にして、少しでもお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
参考文献



