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寝たきりになる原因は?制度との関係と予防・改善方法も解説

 公開日:2025/12/21
寝たきりになる原因は?制度との関係と予防・改善方法も解説

寝たきりの状態になると、自力での生活が困難になってしまい、介護に大きな負担がかかりやすくなります。だからこそ、寝たきりの原因を知っておき、適切なケアで予防することが大切です。
この記事においては、寝たきりになる原因や予防方法、寝たきりからの改善方法などについて解説します。将来寝たきりになりたくないという方や、家族が寝たきりになってしまう前に対策したいという方は参考にしてみてください。

林 良典

監修医師
林 良典(医師)

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名古屋市立大学卒業。東京医療センター総合内科、西伊豆健育会病院内科、東京高輪病院感染症内科、順天堂大学総合診療科、 NTT東日本関東病院予防医学センター・総合診療科を経て現職。医学博士。公認心理師。日本専門医機構総合診療特任指導医、日本内科学会総合内科専門医、日本老年医学会老年科専門医、日本認知症学会認知症専門医・指導医、禁煙サポーター。
消化器内科
呼吸器内科
皮膚科
整形外科
眼科
循環器内科
脳神経内科
眼科(角膜外来)

寝たきりの基礎知識

寝たきりの基礎知識

寝たきりとはどのような状態ですか?

寝たきりとは、病気や障害などによって日常生活のほとんどをベッドや布団の上で過ごす状態で、食事や着替え、トイレ、入浴など、ほかの方からの介助がなければ生活全般が困難になってしまっている状態です。
なお、日本語の表現としては介護を受ければ日常生活が送れるという状態から、意識がない状態が続いている場合まで、ずっと寝ている状態を全般的に寝たきりといいます。

寝たきりの状態におけるリスクを教えてください

寝たきりになることで引き起こされるリスクにはさまざまなものがあります。その一つが褥瘡(じょくそう)で、一般的には床ずれと呼ばれるものです。
褥瘡は、体重によって身体の一部が圧迫されている状態が続くことにより、その部分の血流が悪くなって、皮膚が赤くただれたり、傷ができたりするというものです。寝たきりの方は自力で寝返りなども打てなくなることがあり、背中などの一定の部位に体重がかかりっぱなしになるため、褥瘡が生じやすくなります。

また、寝たきりの状態になると身体を動かす機会が大幅に減少することから、運動量の減少によって身体のさまざまな機能が低下していく、廃用症候群と呼ばれる状態になります。
廃用症候群になると、全身の筋肉がやせ衰えてしまってさらに自力での活動が行えなくなるほか、骨の萎縮などにより骨折をはじめとしたケガも引き起こされやすくなります。
さらに、心臓をはじめとした内臓の働きも低下するため、血流が滞って血栓ができやすくなったり、呼吸機能が低下したりというトラブルにもつながります。

身体の機能面だけではなく精神面への影響も大きく、睡眠障害にはじまり、うつ状態やせん妄、認知症の進行などさまざまな問題が引き起こされやすくなるため、介護の負担もより大きくなってしまいます。

寝たきり度の調査とはどのようなものですか?

寝たきりの程度を測る基準として、障害高齢者の日常生活自立度、いわゆる寝たきり度と呼ばれるものがあります。
寝たきり度の調査は介護サービスを利用する際などに利用される基準で、生活自立と準寝たきり、そして寝たきりという3つの分類があります。寝たきりの状態は、さらに車いすで移動が可能かどうかによって2つに分類され、合わせて4つの段階から、寝たきり度を測ります。
寝たきり度の調査は要介護認定の調査時に行われ、市区町村の担当者などが、全国一律の基準で寝たきり度を判定します。

寝たきりになると要介護認定を受けやすくなりますか?

要介護認定とは、被介護者が日常生活を送るためにどの程度の支援や介護が必要であるかを判断するもので、介護保険サービスを利用する際に必要となるものです。
寝たきりの方は介護を受けなければ日常生活を送ることができないため、要介護認定を受けることができるでしょう。

寝たきりになる原因

寝たきりになる原因

寝たきりになる原因はどのようなものがありますか?

寝たきりになる原因にはさまざまなものがありますが、直接的な要因として特に多いのが脳卒中です。脳卒中は脳の血管が詰まって脳の機能に障害が生じる病気の総称で、脳卒中により身体を自由に動かせなくなることで、寝たきり状態になる可能性があります。
脳の病気の一つである認知症も寝たきりの原因になりやすい病気で、異常なたんぱく質の増加などによって脳の一部が壊されてしまう認知症の進行により、運動機能が低下すると寝たきり状態となります。
もちろん、認知症ではない場合でも、高齢による筋力や体力の衰えで寝たきりになる場合もあります。
脳の病気ではなく、転倒によるケガや骨折、関節の疾患による運動機能の減少も寝たきりの主な原因です。
上記のほかにも、パーキンソン病のような全身疾患や、心臓病、呼吸器疾患による運動能力の低下、糖尿病やがんなどの進行による寝たきりなど、幅広い病気が寝たきりにつながる可能性を持ちます。

若くても寝たきりになるケースはありますか?

寝たきりは高齢の方だけがなるものではなく、若くても脳卒中や大きなケガなどをすれば、寝たきりになる可能性があります。
若い方でも40~64歳で特定疾病(脳血管疾患など)がある場合には介護保険を利用できます。これに該当しない場合は、介護保険の対象にはなりませんが、長期にわたって寝たきり状態が続き、回復が困難な場合には身体障がい者として認定を受けて、公的なサポートを利用することが可能です。

寝たきりになりやすい人の特徴を教えてください

寝たきりの直接的な原因である、脳卒中や認知症のリスクが高い方や、筋肉量や骨密度が低く、身体的な要因による寝たきりになりやすい方は、寝たきりになりやすいといえるでしょう。
脳卒中は高血圧や脂質異常症などの生活習慣病がリスク要因であるため、不摂生な食事や運動不足により、こうした持病をお持ちの方は、寝たきりのリスクが高まります。また、喫煙習慣や多量の飲酒などの生活習慣も、脳卒中ひいては寝たきりのリスクを高めます。

寝たきりの予防や改善方法

寝たきりの予防や改善方法

寝たきりにならないための予防法はありますか?

寝たきりを予防するためには、適度な運動とバランスの取れた食事が重要です。特に、足の筋力が減少すると自力で動くことができず、寝たきり状態のリスクが高まるため、散歩などを通じて足の筋肉をしっかり維持するようにしましょう。筋肉をつけたり、減少させないようにするため、食事でたんぱく質を十分に摂取することも大切です。
また、積極的に他者と関わるようにして、一人で閉じこもらないようにすることも、寝たきり予防のために重要です。
そのほかにも、部屋に引っかかりやすい段差やコードなどがないように生活環境を整え、転倒などのリスクを減らすことや、持病がある方はしっかりと治療を受けることも、寝たきりの予防に欠かせない要素といえます。

寝たきり状態を医療機関で治療することはできますか?

寝たきりになった原因や状態にもよりますが、適切な治療やリハビリテーションを受けることで、寝たきり状態からの回復を目指せます。
まず、寝たきりの原因が何らかの病気による関節の痛みなどの場合であれば、原因となる疾患を治療することで寝たきりからの回復を目指せるでしょう。
リハビリテーションの設備を充実させている整形外科クリニックには、身体への負担が少なく、無理をしないで取り組みやすい足の筋力トレーニング設備などが揃っている場合もあるので、相談してみてはいかがでしょうか。

寝たきり状態から回復することは可能ですか?

一度寝たきりになってしまった方でも、適切な運動やトレーニングなどに取り組むことで、寝たきりからの回復を目指せます。ベッドのうえで行えるリハビリなどもあるので、まずは取り組める内容から始めて見るとよいでしょう。
食事内容や水分摂取に注意して身体の調子を整えることも、寝たきりからの回復を目指すための大切なポイントです。

編集部まとめ

編集部まとめ

寝たきりは、脳卒中や認知症などの脳の病気や、身体機能の衰え、そして骨や関節などの運動機能に生じるトラブルなど、さまざまな原因で生じます。
寝たきりになってしまった場合でも、適切な治療やリハビリテーションなどにより回復を目指すことは可能ですが、寝たきりになってしまってから回復を目指すのは大変です。早めに食事の見直しや運動習慣などを取り入れ、寝たきりにならずに年を重ねられるように取り組みましょう。

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