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誤嚥性肺炎の症状とは?なりやすい人の特徴や治療法などをわかりやすく解説!

 公開日:2025/12/16
誤嚥性肺炎の症状とは?なりやすい人の特徴や治療法などをわかりやすく解説!

誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)は、食べ物や唾液が誤って気管に入り、肺に細菌が侵入することで起こる肺炎です。高齢の方や、嚥下(えんげ)機能が低下している方によく見られます。
風邪に似た症状から始まることもありますが、放置すると重症化する恐れがあります。

本記事では誤嚥性肺炎の症状について以下の点を中心にご紹介します。

  • 誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)とは
  • 誤嚥性肺炎の症状
  • 誤嚥性肺炎の治療法

誤嚥性肺炎の症状について理解するためにも、ご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

林 良典

監修医師
林 良典(医師)

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名古屋市立大学卒業。東京医療センター総合内科、西伊豆健育会病院内科、東京高輪病院感染症内科、順天堂大学総合診療科、 NTT東日本関東病院予防医学センター・総合診療科を経て現職。医学博士。公認心理師。日本専門医機構総合診療特任指導医、日本内科学会総合内科専門医、日本老年医学会老年科専門医、日本認知症学会認知症専門医・指導医、禁煙サポーター。
消化器内科
呼吸器内科
皮膚科
整形外科
眼科
循環器内科
脳神経内科
眼科(角膜外来)

誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)とは

誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)とは

誤嚥性肺炎とはどのような病気ですか?

誤嚥性肺炎とは、本来食道を通って胃に入るはずの食べ物や飲み物、唾液などが誤って気管や肺に入り、そこに含まれる細菌が炎症を起こすことで発症する肺炎です。

通常は喉の構造や反射により、気道と食道がしっかりと分けられていますが、加齢や病気により嚥下(えんげ)機能が低下すると、この防御機能がうまく働かなくなります。

さらに、起きているときだけでなく、睡眠中に唾液を少量ずつ誤嚥する不顕性誤嚥でも発症することがあります。

誤嚥性肺炎になりやすい人の特徴はありますか?

誤嚥性肺炎になりやすいのは、嚥下機能や咳反射が低下している方です。加齢や脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患によって、飲み込む力や気道を守る反射が弱まり、誤って食べ物や唾液を気管に入れてしまうリスクが高まります。

なかでも、寝たきりの方や介助が必要な高齢の方では、口腔ケアが不十分になりやすく、お口のなかで細菌が増殖し、これが肺に到達しやすくなります。

また、体力や免疫力が低下している方、低栄養状態の方も発症リスクが高いとされています。誤嚥が起きても咳き込んで排出できない場合、細菌が肺で繁殖し炎症を引き起こします。さらに、喫煙習慣のある方は気道の自浄作用が弱まるため注意が必要です。

誤嚥性肺炎の症状

誤嚥性肺炎の症状

誤嚥性肺炎の症状について教えてください

誤嚥性肺炎の主な症状として、まず咳やむせが挙げられます。なかでも、食事中や食後に咳き込むことが増えた場合は、食べ物や唾液が気道に入り込んでいる可能性があります。
また、が増えるのも特徴で、黄色や緑色の膿のような痰が出るときは肺に炎症が起きているサインです。

加えて、食欲が落ちて体重減少や体力の低下を招くケースも少なくありません。これらの症状は風邪と似ているため見過ごされやすいですが、長引く咳や微熱、息苦しさがある場合は早めに医療機関を受診し、肺炎の有無を確認することが大切です。

発熱や咳などの症状が出にくいケースはありますか?

誤嚥性肺炎は、発熱や咳といった典型的な症状が現れるとは限りません。なかでも、高齢の方では、免疫力や体力の低下により炎症反応が弱く、熱が出にくかったり、咳き込む力が衰えて症状が目立ちにくかったりと非定型的な経過をたどることがあります。

そのため、「なんとなく元気がない」「食欲が落ちてきた」「食事に時間がかかる」「食後にぐったりする」など、一見肺炎とは関係のないような変化がみられる場合にも注意が必要です。

ほかにも、「ぼんやりしている時間が増えた」「失禁が増えた」「お口のなかに食べ物をためる」「体重が減ってきた」といった非特異的な症状が現れることもあります。

このように目立った咳や発熱がなくても、誤嚥性肺炎が進行している可能性があります。

誤嚥性肺炎の重症度を示すサインは何ですか?

誤嚥性肺炎の重症度を示すサインとしては、呼吸の異常、全身の変化、意識状態の変化が挙げられます。
まず、呼吸数の増加や息苦しさ(呼吸困難)、肩や首の筋肉を使って呼吸する(呼吸補助筋の使用)といった状態は、肺で十分に酸素を取り込めていないサインです。

さらに、唇や爪が紫色に変わる(チアノーゼ)、SpO₂の低下(酸素飽和度の低下)が見られた場合も、酸素不足が進行していることを示します。

また、高熱や倦怠感、食欲不振、意識のもうろうなどの全身症状が出ているときは、炎症が全身に及んでいる可能性があります。

これらのサインが見られた場合、敗血症やショックに進行する危険性もあるため、すぐに医療機関を受診するか、救急要請が必要です。

誤嚥性肺炎と風邪症状の見分け方はありますか?

風邪と誤嚥性肺炎は症状が似ているため、高齢の方では見分けが難しい場合があります。

風邪は主に鼻や喉などの上気道に炎症が起こるもので、くしゃみ、鼻水、軽い咳、微熱などが中心です。数日で自然に回復することが多いとされており、呼吸困難を伴うことは稀とされています。

一方、誤嚥性肺炎は食べ物や唾液が気管に入り、肺の奥(肺胞)で炎症を起こす病気です。

38度以上の発熱や強い倦怠感、息苦しさ、痰が黄色や緑色に濁るなどの症状がみられます。高齢の方では高熱が出ない場合も多い傾向にあり、食欲低下や動きが鈍くなる、意識がぼんやりするなどの変化が初期症状となることもあります。

風邪が長引いたり、咳や痰が増えて呼吸が苦しくなったりする場合は、誤嚥性肺炎に進行している可能性もあるため、早めに医療機関を受診することが重要です。

誤嚥性肺炎の治療法

誤嚥性肺炎の治療法

誤嚥性肺炎はどのように診断されますか?

誤嚥性肺炎の診断は、問診、身体診察、画像検査、血液検査などを組み合わせて行われます。

まず、食事中にむせることが多い、咳が続く、発熱や倦怠感があるといった症状の有無を詳しく確認します。そのうえで、胸部エックス線検査や胸部CT検査を行い、肺の一部に白い影(炎症像)が確認されれば肺炎が疑われます。

血液検査では、白血球やCRP(炎症反応)の上昇を調べ、感染の有無や重症度を診断します。また、喀痰検査(かくたんけんさ)によって痰に含まれる細菌を特定し、抗菌薬の選択に役立てます。

さらに、誤嚥が原因かどうかを確認するために、嚥下造影検査(VF)や嚥下内視鏡検査(VE)を行う場合もあります。

誤嚥性肺炎にはどのような治療法がありますか?

誤嚥性肺炎の治療は、主に抗菌薬による薬物療法が中心です。細菌感染によって起こるため、抗菌薬を用いて炎症を抑え、症状の改善を図ります。重症の場合や呼吸状態が悪い場合には、入院して点滴投与や酸素療法を行うこともあります。

また、嚥下機能を改善するストレッチやリハビリを取り入れるほか、嚥下反射を高める作用のある薬剤(ACE阻害薬など)が使用されることもあります。

誤嚥性肺炎を予防するためにできることは何ですか?

誤嚥性肺炎を予防するためには、口腔ケアや嚥下機能の維持、食事時の工夫が重要です。

まず、毎日の歯磨きや舌の清掃に加え、定期的な歯科検診で口腔内を清潔に保ちましょう。細菌の繁殖を防ぐことで、唾液や食べ物の誤嚥による感染リスクを減らせます。

また、先述しましたが、嚥下機能が低下している高齢の方は、嚥下体操(首や肩のストレッチ、舌や頬の運動など)を行うことで飲み込む力を維持できるとされています。

さらに、食事の際は背筋を伸ばして少し前傾姿勢を保ち、食べ物を少量ずつゆっくり噛むようにしましょう。水分はむせやすいため、とろみをつけて飲むのがおすすめです。

寝る前には歯磨きやうがいを徹底し、就寝中の唾液誤嚥を防ぐことも大切です。加えて、65歳以上の方は肺炎球菌ワクチンの接種を検討することで、重症化を防ぐ効果が期待できます。

編集部まとめ

編集部まとめ

ここまで誤嚥性肺炎の症状についてお伝えしてきました。
誤嚥性肺炎の症状について、要点をまとめると以下のとおりです。

  • 誤嚥性肺炎とは、本来食道を通って胃に入るはずの食べ物や飲み物、唾液などが誤って気管や肺に入り、そこに含まれる細菌が炎症を起こすことで発症する肺炎のこと
  • 誤嚥性肺炎の主な症状として、まず咳やむせが挙げられ、なかでも食事中や食後に咳き込むことが増えた場合は、食べ物や唾液が気道に入り込んでいる可能性があるため、注意が必要
  • 誤嚥性肺炎の治療は、主に抗菌薬による薬物療法が中心となる

誤嚥性肺炎の治療は、抗菌薬の投与が中心で、嚥下リハビリや口腔ケアが再発予防に重要です。日常的な歯磨きや嚥下体操、食事中の姿勢改善、肺炎球菌ワクチンの接種などを継続し、誤嚥を防ぐことが予防につながります。

本記事が少しでも誤嚥性肺炎の症状について知りたい方のお役に立てれば幸いです。最後までお読みいただきありがとうございました。

この記事の監修医師