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椎間板ヘルニアの初期症状とは?原因や治療法なども併せて解説!

 公開日:2023/12/14

腰が痛いけれど、椎間板ヘルニアなのかどうか分からない…という悩みを抱えていませんか?
本記事では、椎間板ヘルニアの初期症状について以下の点を中心にご紹介します!
・椎間板ヘルニアとは
・椎間板ヘルニアの症状
・椎間板ヘルニアの診断方法
椎間板ヘルニアの治し方や原因について知りたい方は、ご参考いただけると幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

郷 正憲

監修医師
郷 正憲(徳島赤十字病院)

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徳島赤十字病院勤務。著書は「看護師と研修医のための全身管理の本」。日本麻酔科学会専門医、日本救急医学会ICLSコースディレクター、JB-POT。

椎間板ヘルニアとは

椎間板ヘルニアとは
椎間板ヘルニアとは、腰椎椎骨の間でクッションのような役割をする椎間板が変性して突出し、近くにある神経を圧迫することでさまざまな症状を引き起こす病気です。
脊椎は椎骨でできており、腰椎は5個の椎体で構成された部分であり、各椎体の間には椎間板があります。
椎間板は、水分をたくさん含んだ髄核と線維輪の二重構造で、腰椎に加わる圧力を分散させることで、衝撃を和らげる働きがあります。
加齢や、長時間の前かがみ姿勢などが原因で線維輪が弾力を失い、髄核の一部が外に飛び出すことで、神経が圧迫され、腰の痛みやしびれが生じます。
若い男性に多い傾向の病気であり、予防のためには正しい姿勢や運動が必要です。

椎間板ヘルニアの原因

椎間板ヘルニアの原因
椎間板ヘルニアの原因は何でしょうか?以下でご説明します。

加齢

椎間板ヘルニアの原因の一つは加齢です。
加齢により、椎間板組織は変性し、水分や柔軟性を失います。
この結果、椎間板が弱くなり、ヘルニアのリスクが高まります。
加齢による椎間板の変性は、脊椎の自然な老化プロセスの一部であり、多くの人が経験します。
椎間板の変性は、外力や負荷に対する耐性が低下し、椎間板が簡単に損傷する可能性があることを意味します。
加齢による椎間板の変性は、椎間板ヘルニアの主要なリスク要因の一つであり、特に中高年以上の人々に影響を及ぼす傾向があります。

喫煙

喫煙も、椎間板ヘルニアの原因として関連が指摘されています。
喫煙は、次のような理由で椎間板ヘルニアの発症リスクを増加させます。
喫煙は、血管を収縮させ、血液の循環を阻害します。
これにより、脊椎周辺の血流が低下し、酸素や栄養素の供給が不十分になります。
椎間板組織は健康な状態を維持するために必要な酸素や栄養素に依存しています。
血流の低下は、椎間板の健康状態を損ない、ヘルニアのリスクを高める可能性があります。
さらに喫煙は炎症反応を刺激し、体内の炎症物質の増加を引き起こします。
椎間板組織への炎症反応は、組織の変性や損傷を促進する可能性があります。
また、喫煙は椎間板組織の退行的変化を促進することが示唆されています。
退行的変化は、椎間板組織の弱体化や変性を意味し、ヘルニアのリスクを増加させます。これらの理由で、喫煙は椎間板ヘルニアの発症リスクを増加させる可能性があります。

遺伝

椎間板ヘルニアの原因の一つとして、遺伝的要因が関与している場合があります。
遺伝的な要因には、椎間板組織の構造や強度に関連する遺伝子の変異や多型が含まれます。
これらの変異は、椎間板組織の異常を引き起こす場合があります。
たとえば、遺伝子の変異によって椎間板組織の弾力性や耐久性が低下し、損傷やヘルニアの発生リスクが高まることがあります。
また、家族歴も椎間板ヘルニアのリスクを示唆する要素です。
遺伝的な傾向が家族内で見られる場合、その家族は椎間板ヘルニアを発症する可能性が高くなる場合があります。

姿勢

姿勢は椎間板ヘルニアに大きな影響を与えます。
長時間の不適切な姿勢、特に脊椎への負荷がかかる前屈姿勢や曲がった姿勢は、椎間板に圧力をかけます。
この圧力は、椎間板内のジェル状の組織を外側に押し出し、ヘルニアの形成を促す可能性があります。
また、悪い姿勢は筋肉の不均衡を引き起こすこともあります。
脊椎周囲の筋肉が弱くなると、椎間板への支持が不十分になり、損傷やヘルニアのリスクが高まることがあります。
さらに、重い物の持ち上げや物体を間違った方法で動かすなど、不適切な体の使い方も椎間板への負荷を増加させる要因です。

椎間板ヘルニアの予防方法

椎間板ヘルニアの予防方法

椎間板ヘルニアはどのように予防したらよいのでしょうか?ここでは4つの予防方法を紹介します。

柔軟運動

椎間板ヘルニアを予防するための効果的な方法の一つは、柔軟運動を行うことです。
柔軟運動は、筋肉や関節の柔軟性を向上させ、姿勢を改善し、椎間板にかかる負荷を軽減するのに役立ちます。
以下に、柔軟運動の予防効果と具体的な方法をいくつか挙げます。
背中のストレッチ: 背中の筋肉をストレッチすることで、脊椎の可動性を改善し、椎間板への負荷を軽減します。
背中のストレッチには、背筋の伸ばしや背中を丸めるストレッチなどがあります。
腹筋の強化: 腹筋の強化は、脊椎の安定性を高め、正しい姿勢をサポートします。
プランクやクランチなどの腹筋エクササイズを取り入れることで、腹筋を強化できます。
ヨガやピラティス: ヨガやピラティスのポーズやエクササイズは、全身の柔軟性とバランスを向上させます。
特に背骨の伸ばしや回転を促すポーズは、椎間板の健康維持に役立ちます。
ストレッチ運動: ヒップストレッチやハムストリングストレッチなど、体全体のストレッチ運動は、筋肉の柔軟性を向上させ、脊椎の負荷を軽減します。

姿勢をよくする

良い姿勢を維持することは、椎間板ヘルニアを予防するために重要です。
まず、正しい座り方は、背中をまっすぐに保ち、背もたれを使って背中をサポートする座り方です。
デスクワークや長時間の座り作業では、適度な休憩を挟みながら姿勢を正しい状態に保つことが重要です。
さらに、適切な寝具を選ぶことも椎間板ヘルニアの予防に繋がります。
良質なマットレスと適切な枕を使用し、背骨の自然な曲線をサポートしましょう。
寝るときは、側位で膝を曲げた状態が背骨に負担をかけず、腰を痛めにくくなります。
さらに、デスクや椅子の高さや配置の調整、画面の高さやキーボードの位置などを調整することで、姿勢の負担を軽減できます。
また、重い荷物を持つ際は、腰を曲げずに膝を曲げ、力を均等に分散させるようにします。
このように、よい姿勢を維持することで、脊椎への負荷を適切に分散し、椎間板の健康を保つことができます。

適度な運動

適度な運動は椎間板ヘルニアを予防するために重要です。
有酸素運動(ウォーキング、水泳)、筋力トレーニング(背筋や腹筋)、柔軟性向上のストレッチなどを取り入れましょう。
運動により背中の筋肉を強化し、脊椎をサポートし、柔軟性が高まります。
体重の管理も大切で、適切な体重を維持することで椎間板への負荷を軽減できます。
ただし、無理な運動や姿勢の負担をかける動作は避け、自身の体力や制約に合わせたプログラムを作成しましょう。

バランスのとれた食事

バランスの取れた食事も椎間板ヘルニアの予防に重要です。
栄養豊富な食品、特にビタミンC、ビタミンD、カルシウム、タンパク質を摂取しましょう。これらの栄養素は椎間板の健康と修復を支援します。
また、抗炎症作用のある食品(魚、オメガ-3脂肪酸、カプサイシンを含む食品)を積極的に摂取することで炎症を軽減できます。高繊維食品や水分の摂取も重要です。

椎間板ヘルニアの初期症状とは

椎間板ヘルニアの初期症状とは

椎間板ヘルニアの初期症状には、どのようなものがあるのでしょうか。以下で解説していきます。

急性型

腰椎椎間板ヘルニアの初期症状である急性型は、腰を前かがみにするなどの動作で激しい痛みを伴います。また、下半身に痛みやしびれが現れることもあります。
荷物を持ち上げたり、くしゃみをするなどの急な動作で症状が出る場合が多いですが、時間の経過とともに症状は軽くなる傾向があります。
しかし、放置すると髄核が押し出されて神経を圧迫し、慢性的な痛みに移行することがあるため、早期の治療が必要です。
腰椎椎間板ヘルニアによる症状には、左右どちらかの太ももから足にかけての激しい痛みが伴う坐骨神経症も多く見られます。

慢性型

椎間板ヘルニアの慢性型は、症状が進行し痛みやしびれが長期間続くものです。
痛みは腰から足にかけて広がり、歩行や座位、特に長時間同じ姿勢でいると症状が悪化します。
また、慢性的な神経の圧迫により、足の痛みやしびれが強くなり、時には運動障害や排尿・排便障害などの症状も現れます。
このような場合は、専門医の診断と適切な治療が必要です。

椎間板ヘルニアの診断方法

椎間板ヘルニアの診断方法
椎間板ヘルニアの正確な診断は、椎間板の状態を確認するために、さまざまな検査方法を組み合わせて行われます。以下で解説していきます。

下肢伸展挙上試験

椎間板ヘルニアの診断方法の1つに、下肢伸展挙上試験があります。
この試験では、患者が仰向けに寝て膝を伸ばした状態で、医師が患者の足を持ち上げて下肢を挙上させます
このとき、坐骨神経痛の症状が出るかどうかを見ます。
もし、痛みやしびれが出た場合、椎間板ヘルニアの可能性が高いと診断されます。
下肢伸展挙上試験は比較的簡単に実施できるため、初期診断に有用です。

X線(レントゲン)撮影

椎間板ヘルニアの診断には、X線(レントゲン)撮影が用いられます。
X線は、骨や関節の形・位置を確認するのに適しているため、椎間板自体は見えませんが、椎間板の高さや形状の変化からヘルニアが疑われます。
また、椎間板ヘルニアの合併症である脊柱管狭窄症も、X線で確認できます。
しかし、X線には骨しか映らないため、軟組織や神経の状態までは判断できません。そのため、より詳細な情報が必要な場合には、MRIなどの画像検査が必要となります。

MRI

椎間板ヘルニアの診断には、MRIが効果的です。
MRIは、身体の内部を精密に撮影でき、椎間板の形態やヘルニアの大きさを詳細に観察できます。
MRIは、他の診断方法よりもより詳細で正確な情報を提供するため、椎間板ヘルニアの診断に欠かせません。
MRIの撮影には、専用の機器が必要であり、一般的には医療機関での検査が必要です。

椎間板ヘルニアの治療方法

椎間板ヘルニアの治療方法
椎間板ヘルニアの治療方法は、多岐にわたります。ここでは、代表的な治療法について説明します。

保存治療

椎間板ヘルニアの治療方法の中でも、保存療法は一般的な治療法です。
自然治癒することもあるため、まずは保存療法から治療を進めます。保存治療は、3か月から半年ほどの期間で行われます。
保存療法には、痛みが生じないような姿勢で安静を保つことが含まれます。
また、ストレッチやコルセットなどの装具を使用して、腰椎をサポートすることもあります。痛みの程度によっては湿布や鎮痛薬を使用することもあります。
保存療法は、手術を避けたい人や、手術を行えない高齢者にとって有効な治療法です。
ただし、痛みが治まらない場合は他の治療法を検討する必要があります。

神経ブロック

保存治療で効果が見られない場合、神経ブロックが考慮されます。
神経ブロックは痛みが出ている神経を標的に、局所麻酔薬やステロイド薬を注入する治療法です。
神経根ブロックは、神経を確実に捕らえるために、X線や超音波を使用して行われます。硬膜外ブロックは、腰痛だけでなく足の痛みにも有効で、腰から注射する腰部硬膜外ブロックと、お尻から入れる仙骨裂孔ブロックがあります。
注射を受けた後は、30分ほど休憩することが必要です。
ただし、神経ブロックは一時的な効果しかなく、痛みの根本的な原因である椎間板ヘルニアを治療する必要があります。

ヘリコニア注射

ヘリコニア注射は、最近開発された新しい治療法の1つです。
コンドリアーゼを使用し、直接椎間板の中心部に注射し、ヘルニアを小さくします。
この治療法は局所麻酔を使用して行います。
また、手術に比べて入院期間が短く、回復期間も短くなるため、ヘリコニア注射は、手術を避けたい人にもおすすめの治療法です。
ただし、ヘリコニア注射を受ける前には、医師の診断と治療法についての説明を受け、必要な検査や検討を行うことが大切です。

手術療法

腰椎椎間板ヘルニアの保存的療法やブロック注射でも改善が見られない場合や、肛門のしびれや麻痺、足の筋肉の衰え、日常生活に支障をきたすほど症状が重い場合には、外科的治療が必要になることがあります。
手術には椎間板摘出術、椎間板形成術、または人工椎間板置換術などがあり、緊急の場合は排尿・排便障害がある場合には、緊急の手術が必要です。
手術後にはリハビリテーションが必要となるため、手術前には十分な説明を受けることが重要です。

椎間板ヘルニアの初期症状まとめ

椎間板ヘルニアの初期症状まとめ

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