要支援1と2の違いとは?受けられるサービスや限度額も併せて解説します!
公開日:2025/10/28

介護保険は、介護が必要な度合いに応じて“要支援1”や“要支援2”といった区分が定められています。どちらも日常生活の支援を受けられる制度ですが、受けられるサービス内容や利用できる限度額には違いがあります。
本記事では要支援1と2の違いについて以下の点を中心にご紹介します。
- 要介護認定における要支援とは
- 要支援1と2で受けられるサービスの違いとは
- 要支援認定の結果に納得いかない場合はどうすればいいのか
要支援1と2の違いについて理解するためにもご参考いただけますと幸いです。ぜひ最後までお読みください。
監修
目次 -INDEX-
要支援1と2の違い
要介護認定における要支援とは何ですか?
要介護認定における要支援とは、日常生活はほぼ自立しているものの、一部で支援が必要な状態を示す指標です。歩く、立つ、座るといった基本動作はできても、掃除や買い物、料理などの家事ではサポートが望まれることがあります。
要支援は要支援1と要支援2に分かれ、支援の必要度に応じて段階的に判断されます。これは将来的に要介護状態へ進むリスクを抑え、生活の質を保つために介護予防サービスを利用する目安となります。
認定は、厚生労働省が定めた基準に基づき、日常生活での自立度や支援の必要性を総合的に判断して行われます。その結果、本人に合った支援やサービスを受けられる仕組みが整えられています
要支援1や2とはどのような状態を指しますか?
要支援1と要支援2は、日常生活における介護の必要度が軽い段階を示します。
具体的には、要支援1では掃除や買い物など、日常生活の補助的な動作に少し手助けがあれば問題ない状態です。一方、要支援2では、立ち上がりや歩行時のふらつき、入浴時の背中の洗浄、身だしなみの整え方など、支援が必要な場面が増えます。
いずれの場合も、介護サービスや支援を受けることで、より重度の要介護状態への進行を防ぐことが期待されています。
要支援1と2の違いを教えてください
要支援1と要支援2はいずれもまだ要介護状態にはいたっていないという点で共通していますが、日常生活で必要となる支援の程度には違いがあります。
要支援1では、基本的な動作はおおむね自立しており、掃除や買い物など日常生活の一部でサポートを受ける程度です。
一方の要支援2では、立ち上がりや起き上がりに介助が必要になるほか、買い物や意思決定の場面でも支援が求められることがあります。理解力が低下している場合は、契約など重要な判断の際に第三者の見守りが必要になることもあります。
介助時間の目安を示す要介護認定基準時間では、要支援1が25分以上32分未満、要支援2が32分以上50分未満とされています。実際にはいずれも必要なときに手を貸す程度ですが、要支援2のほうが支援の場面や手間がやや多い傾向にあります。
要支援と要介護の違いを教えてください
要支援と要介護の違いは、日常生活での自立度と必要となる支援の範囲です。
要支援
基本的には、自身で生活できますが、食事、入浴、掃除など一部の動作で支援が必要な状態です。介護予防を目的としたサービスを受けることで、要介護状態への進行を防ぐことが期待されます。
要介護
日常生活全般で周囲の方の介助が必要となり、身体機能の低下や認知機能の変化が見られることもあります。要支援2から要介護1への判定では、認知機能の低下の有無や心身の状態変化が基準となります。
サービスの違い
要支援の方は介護予防サービスを利用できますが、頻度や内容に制限があります。一方、要介護1以上では訪問介護や通所介護、施設入所など、生活全般を支えるさまざまなサービスを利用できます。
このように、要支援は生活の維持と予防、要介護は生活全般の介助が中心である点が違いです。
要支援1と2の利用できるサービスや施設の違い
要支援1と2で受けられるサービスの違いを教えてください
要支援1と要支援2では、自宅で利用できる介護予防サービスに違いはありません。訪問介護、訪問入浴、訪問リハビリ、通所リハビリやデイサービスなど、基本的な居宅サービスはいずれも利用できます。
一方で、要支援2にはいくつかの違いがあります。
まず、認知症対応型のグループホームに入所できる点です。また、訪問介護やデイサービスの利用回数が、要支援1より多めに設定されることもあります。その結果、要支援2ではより手厚い支援を受けながら、自宅での生活を継続しやすい仕組みになっています。
要支援1と2で利用できる施設の違いを教えてください
要支援1の方が入居できる施設には、次の4種類があります。
● サービス付き高齢の方向け住宅
● ケアハウス
● 養護老人ホーム
● 有料老人ホーム
一方、要支援2の方は、条件付きでケアハウスや養護老人ホームを利用できるほか、認知症の方を対象としたグループホームにも入居することが可能とされています。そのため、選べる施設の幅が広がる点が特徴です。
このように、要支援1と2では利用できる施設の種類や数に違いがあるため、実際に検討する際はそれぞれの条件を確認しておくことが大切です。
要支援1と2の区分支給限度額の違いはありますか?
要支援1と要支援2では、利用できる介護保険サービスの内容に違いはありません。
ただし、介護保険から支給される1ヶ月あたりの上限額(区分支給限度基準額)には差があります。
具体的には、要支援1は5万円程度、要支援2は10万円程度と、ほぼ2倍の金額が設定されています。自己負担割合に応じて実際の支払額も変わるため、同じサービスを利用しても要支援度によって負担が異なる点を理解しておくことが大切です。
要支援認定の申請方法と対応方法
要支援認定を受ける方法を教えてください
要支援認定は、介護予防サービスを利用するために必要な手続きです。
申請対象者
● 65歳以上で介護や支援が必要な方
● 40~64歳で特定疾病(初老期認知症や脳血管疾患など)により支援が必要な方
申請は本人だけでなく、家族や地域包括支援センターの担当者が代理で行うこともできます。
申請窓口と必要書類
市区町村の介護保険担当窓口で申請します。
● 要介護・要支援認定申請書
● 介護保険被保険者証
● 医療保険の被保険者証
認定の流れ
1.認定調査(調査員が自宅などを訪問)
2.主治医意見書の作成(市区町村から依頼)
3.介護認定審査会で判定(一次判定+最終判定)
4.判定結果の通知(申請から原則30日以内)
確認される観点
● 身体機能・起居動作(立ち上がり、視力・聴力など)
● 生活機能(食事、排泄、外出など)
● 認知機能(意思伝達、短期記憶など)
● 精神・行動(感情の安定性、社会生活での行動)
● 社会生活への適応(薬の管理、買い物、調理など)
加えて、過去14日間の医療処置の有無も確認されます。
このように要支援認定は、対象者の心身の状態や生活状況を多面的に確認し、介護予防サービスを利用できます。
要支援認定の結果に納得いかない場合はどうすればいいですか?
要支援認定の結果に疑問や不満がある場合は、次のような対応が考えられます。
1.相談
2.不服申し立て
3.区分変更申請
まずは、担当ケアマネジャーや市区町村の介護保険窓口に相談しましょう。訪問調査や一次判定の内容について説明を受けることで、結果に影響した点を確認できます。
それでも納得できない場合は、介護認定審査会に不服申し立てを行い、再調査を依頼できます。手続きは認定通知を受け取った日から原則60日以内に行う必要があり、本人だけでなく委任状があれば家族も代行可能とされています。
日常生活の状態が変化したときは、区分変更申請を行い、更新時期を待たずに再判定を受けられます。
編集部まとめ
ここまで要支援1と2の違いについてお伝えしてきました。要支援1と2の違いについての要点をまとめると以下のとおりです。
- 介護保険で用いられる要支援とは、日常生活において一部の支援が必要な状態を示す指標のこと
- 要支援1と2では、自宅で受けられる介護予防サービスや福祉用具レンタルなどの居宅サービスに大きな違いはないとされているが、要支援2の方の場合は、認知症対応のグループホームに入所できるため、施設サービスの選択肢が広がる
- 要支援認定の結果に納得いかない場合は、まずは担当のケアマネジャーや市区町村の介護保険窓口に相談することが大切だが、それでも納得できない場合は、介護認定審査会に対して不服申し立てを行い、再調査を依頼することが可能とされている
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。


