要介護認定の申請方法は?介護サービスを受ける流れと更新方法も解説

要介護認定の申請を行いたいけれど、どのように手続きを進めればよいのかがわからないという方や、要介護認定の更新についての申請方法を知りたいなど、要介護認定に関して疑問を持つ方は多いのではないでしょうか。
この記事は、要介護認定がどのような制度であるのかや、申請方法などについて詳しく解説していきます。

監修社会福祉士:
小田村 悠希(社会福祉士)
・経歴:博士(保健福祉学)
これまで知的障がい者グループホームや住宅型有料老人ホーム、精神科病院での実務に携わる。現在は障がい者支援施設での直接支援業務に従事している。
目次 -INDEX-
要介護認定の基礎知識

要介護認定とはどのような制度ですか?
要介護認定は全国一律の基準で判定されていて、介護にどの程度の手間がかかるかを、要介護認定等基準時間という指標に換算して評価が行われます。
具体的には、介護の内容を下記のように分類し、それぞれにどの程度の負担がかかるかを計算します。
- 入浴やトイレ、食事などの介助(直接生活介助)
- 掃除や洗濯といった家事のサポート(関節生活介助)
- 日常生活訓練などのサポート(機能訓練関連行為)
- 床ずれのケアなどの補助(医療関連行為)
- 汚してしまったトイレの清掃などに対応(問題行動関連行為)
一般的には、介護を受ける方が日常生活のなかで自立して生活することが困難であるほど、介護にかかる時間が長くなるため、要介護認定等基準時間が長くなり、要介護認定の区分が高くなります。
要介護認定を受けるメリットとデメリットを教えてください
要介護認定の区分が要介護5に近いほど、多くの施設や介護サービスを利用可能で、公費から支給を受けることができる限度額の上限も高くなります。
具体的には、要支援1の認定で訪問看護や訪問リハビリテーションといった自宅で医療サービスを受けることができるサービスのほか、リハビリのための施設利用や、介護老人保険施設への短期間宿泊、自宅への手すり設置といった対応を一ヶ月あたり5万円ほどの補助を受けて利用可能です。(利用金額の1~3割が自己負担)
要介護5になると介護老人福祉施設への入居などさまざまなサービスを利用可能で、月に約36万円程度の支給を受けることができます。
公費による負担で介護サービスを利用することにより、被介護者が専門性の高いケアを受けることができるほか、介護者が自身の生活を守ることができます。
デメリットについては特にありませんが、要介護認定は定期的な更新が必要であるためその対応の手間がかかる点や、要介護認定を受けるための手間がかかる点が挙げられます。
また、要介護認定を受けることで、被介護者がストレスを感じるといったリスクは考えられます。
障害者手帳を持っていても要介護認定は受けられますか?
ただし、障がい福祉サービスを利用している方が要介護認定を受けた場合、原則として介護保険が優先されます。そのため、65歳になると介護保険によって利用可能なサービスについては切り替えの必要が生じる可能性があり、65歳問題と呼ばれることもあります。
障がい福祉サービスにしかないサポートや、介護保険サービスでは支援が不十分な内容については、引き続き障がい福祉サービスで利用が可能です。
また、要介護認定を受けた際に切り替えが必要ないように、同じサービス事業所を利用できるように設計された共生型サービスというものもあります。
要介護認定の申請方法と利用の流れ

要介護認定はどこで申請できますか?
申請の際には、要介護認定を受ける方の保険者証や、本人確認書類のほか、主治医の情報などが必要です。
なお、要介護認定の申請は、利用している介護保険施設や居宅介護支援事業者による提出代行も可能です。その場合は委任状も提出が必要です。
また、要介護認定の申請は郵送やオンラインで行える場合もあります。自治体によって取り扱いが異なるため、まずは居住している地域の自治体に相談してみましょう。
要介護認定の申請は家族や介護者が行えますか?
ただし、申請書の提出自体は本人や家族以外でも代理として行うことが可能で、委任状を用意すれば介護保険施設など、家族以外の介護者から申請を行うこともできます。
要介護認定の申請後の流れを教えてください
認定調査は介護を受ける本人と介護者が同席で行われ、回答内容が事実と異ならないかなどを確認しながら進められます。
認定調査と平行して、市区町村から主治医に意見書の作成が依頼され、被介護者の心身の状態について、医療の視点からの意見書が、認定を行う役所へと届きます。主治医による意見書は要介護認定を受けるうえで重要な役割を担うため、長期間受診している医療機関がないような場合は、事前に相談しておきましょう。
医療機関によっては、被介護者から主治医意見書を依頼する必要があります。
認定調査と主治医意見書の作成が完了したら、コンピューターによる一次判定で要介護・要支援の判定が行われ、さらにその判定が妥当なものであるかどうかを、介護認定審査会で審査します。
介護認定審査会は医療、保健、福祉の専門性を持つ識者によって要介護認定の判定を行う会で、月に1、2回程度開催されます。
介護認定審査会による決定が出たら、介護保険被保険者証が自宅などに送付されてきます。
要介護度に応じて利用できる施設やサービスはどう変わりますか?
施設については、要支援1から2の場合は、公的施設であればケアハウス、要介護1から2の方は介護老人保健施設や介護医療院、要介護3以上の方は特別養護老人ホームが候補です。条件を満たさない施設には入居ができないため、入居を希望する際には要介護度がどの程度必要であるかを事前に調べておきましょう。
民間施設の場合は施設によって入居条件が異なりますので、施設に問い合わせたり、資料請求をしたりするとよいでしょう。
訪問看護や訪問入浴などのサービスについては、要介護度が高くなるにしたがって、支給限度額が増加するため、ほかのサービスの利用状況などにもよりますが、より多くの回数で利用可能となる可能性があります。
また、介護用の用具レンタルも介護度に応じて利用可能な範囲が異なり、要介護度3以上であれば特殊寝台や車いすなどが利用できます。
要介護認定の更新について

要介護認定は自動で更新されますか?
有効期限は初回であれば3ヶ月から12ヶ月、2回目以降は3ヶ月から48ヶ月の間で定められるため、有効期限をしっかりと確認し、更新漏れに気を付けましょう。
要介護認定の更新はどのように申請しますか?
本人や家族、または委任状を持った代理人が申請可能です。
要介護認定を更新手続きの流れを教えてください
更新に伴い要介護度が変わった場合は、利用している介護保険サービスの変更なども必要になる可能性があります。
編集部まとめ

要介護認定は、介護保険サービスを公的資金の補助を受けて利用するために必要な手続きで、市区町村の介護保険担当窓口で申請を行えます。
申請から認定までには一定期間が必要となるため、介護保険サービスの利用を検討している方は、まずは早めに担当窓口や主治医などに相談してみてはいかがでしょうか。



