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公的介護保険における16疾病とは?特定疾病で介護サービスを利用する流れも解説します

 公開日:2025/10/28
公的介護保険における16疾病とは?特定疾病で介護サービスを利用する流れも解説します

介護が必要となる背景はさまざまですが、病気をきっかけに支援が求められるケースも少なくありません。特に一定の疾病を発症した場合には、通常より早い段階で介護サービスを利用できる仕組みが設けられています。

本記事では公的介護保険における16疾病について以下の点を中心にご紹介します。

  • 公的介護保険における特定疾病の定義とは
  • 特定疾病と特定疾患の違い
  • 特定疾病で利用できる介護サービスとは

公的介護保険における16疾病について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。ぜひ最後までお読みください。

監修

公的介護保険における特定疾病の概要

公的介護保険における特定疾病の概要

公的介護保険における特定疾病の定義を教えてください

公的介護保険における特定疾病とは、心身の老化と深く関わるとされている16種類の病気を指します。これらの病気は数ヶ月以上にわたり介護や支援を必要とする状態に至りやすい点が特徴です。

65歳以上の第1号被保険者は、病気の種類に関わらず要介護認定を受ければ介護サービスを利用できます。また、冒頭でもお伝えしたとおり、40~64歳の第2号被保険者が介護保険を使えるのは、この特定疾病に該当し、要介護認定を受けた場合に限られています。

公的介護保険における16疾病を教えてください

特定疾病として認められているのは、加齢に伴って発症・進行しやすく、要介護状態につながる可能性がある、以下の16種類の病気のことです。

    ・がん(末期) ・関節リウマチ ・筋萎縮性側索硬化症(きんいしゅくせいそくさくこうかしょう) ・後縦靱帯骨化症(こうじゅうじんたいこっかしょう) ・骨折を伴う骨粗鬆症 ・初老期における認知症 ・進行性核上性麻痺・大脳皮質基底核変性症・パーキンソン病(パーキンソン病関連疾患) ・脊髄小脳変性症 ・脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう) ・早老症 ・多系統萎縮症(MSA) ・糖尿病性神経障害・腎症・網膜症 ・脳血管疾患 ・閉塞性動脈硬化症 ・慢性閉塞性肺疾患 ・両側の膝関節または股関節に著しい変形を伴う変形性関節症

    これらは厚生労働省によって定められており、いずれも医学的に加齢との関わりがあり、要介護状態を引き起こす可能性があると判断された疾病群です。

【特定疾病】特定疾患や特定難病との違い

【特定疾病】特定疾患や特定難病との違い

特定疾病と特定疾患の違いを教えてください

特定疾病は、介護保険制度のなかで定められている16種類の病気を指します。16種類の病気は、加齢と深く関わりがあると考えられ、要介護状態につながりやすい病気とされています。

一方で、特定疾患かつて厚生労働省の研究事業で対象とされていた病気を指します。2015年に“難病法”が施行されて以降は“指定難病”と呼ばれるようになりました。指定難病に認められると、医療費の助成を受けられる仕組みになっています。

特定疾病と指定難病の違いを教えてください

特定疾病と指定難病は、いずれも医療や介護に関連する病気の分類ですが、対象や制度の仕組みが異なります。

指定難病とは、難病のうち、厚生労働大臣が患者さんの状況に基づき、良質な医療を確保する必要性が高いと判断した病気のことです。指定されるためには、患者さんの数が一定規模に達していないことと、診断基準が確立していることが求められます。これらの条件を満たした病気は、専門的な治療が必要な疾患として、医療の支援が優先的に行われます。

特定疾病は、前述したとおり、介護保険制度のなかで定められている16種類の病気の意味を指し、65歳以上の方は原因を問わず介護サービスを利用できます。

特定疾病で介護サービスを利用する流れ

特定疾病で介護サービスを利用する流れ

特定疾病で公的介護保険の介護サービスを利用する手順を教えてください

40〜64歳の方で特定疾病と診断された場合、介護保険を利用するためには所定の手続きが必要です。以下の流れを踏むことで、介護サービスを受けられるようになります。

1.要介護認定を申請する まずは、住んでいる自治体に要介護認定の申請を行います。申請は本人のほか、家族や地域包括支援センターが代理で行うことも可能とされています。申請後は調査員による訪問調査と、主治医の意見書をもとに心身の状態が審査されます。

2.認定結果を受け取る 審査結果は原則30日以内に通知され、非該当・要支援1〜2・要介護1〜5のいずれかに区分されます。特定疾病に該当しているかどうかは、主治医意見書の記載内容をもとに審査会が判断します。

3.ケアプランを作成する 介護サービスを利用するには、サービス内容や利用頻度をまとめた“ケアプラン”が必要です。要介護認定を受けた場合はケアマネジャーが、要支援と認定された場合は地域包括支援センターが作成を担当します。利用者や家族の希望を踏まえて計画を立てることで、実情に合ったサービス利用が可能とされています。

4.サービス事業者を選ぶ ケアプランに基づき、実際に利用する介護サービス事業者を選びます。サービスを開始するときは“介護保険被保険者証”と“介護保険負担割合証”を提示し、計画に沿った支援を受ける流れとなります。

特定疾病で利用できる介護サービスを教えてください

特定疾病によって要介護認定を受けた方は、通常の介護保険制度と同様に幅広い介護サービスを利用できます。以下では、特定疾病で利用できる介護サービスについて詳しく解説します。

【在宅で受けられるサービス】 自宅で暮らしながら支援を受けられるサービスには、ホームヘルパーによる訪問介護、看護師が健康管理や処置を行う訪問看護、自宅で入浴ができる訪問入浴介護、リハビリを提供する訪問リハビリなどがあります。夜間対応や定期巡回といったサービスもあり、自宅での生活を継続しやすくなります。

【通所によるサービス】 施設に通って日中を過ごしながら介護やリハビリを受けるのが通所型サービスです。代表的なものにデイサービス(通所介護)や通所リハビリテーションがあり、認知症に特化した通所施設も利用できます。本人にとっては活動の場が広がり、家族にとっては休養の時間を確保できるメリットがあります。

【短期利用や入居型のサービス】 一定期間だけ施設に宿泊できるショートステイ(短期入所介護・短期入所療養介護)や、長期的に生活の場として利用できる特別養護老人ホーム介護老人保健施設などの入居型サービスも用意されています。重度の要介護認定を受けた方であれば、終身利用が可能な特養を選択するケースも多いそうです。

【そのほかのサービス】 自宅の段差解消や手すりの設置といった住宅改修、福祉用具の貸与や購入も介護保険でカバーされるため、家庭環境を整えながら生活できるようになります。

16疾病で民間の介護サービスが必要になるのはどのようなケースですか?

公的介護保険は、40~64歳の方については16種類の特定疾病が原因で要介護・要支援と認定された場合に限りサービスを利用できます。そのため、特定疾病以外の理由で介護が必要となった場合には、制度の対象外となってしまいます。例えば、交通事故やケガなどが原因で介護が必要になったケースでは、公的介護保険からの支援は受けられません。

また、公的介護保険は現物給付が中心で、訪問介護や施設利用といったサービスは提供されますが、住宅の改修費や介護用品の購入費用などは自己負担になる部分があります。こうした費用は長期的に見ると家計の負担が大きくなりやすいため、公的制度だけでは十分に備えられないこともあります。

そこで役立つのが民間の介護保険です。民間の介護保険は商品ごとに給付条件が異なりますが、契約内容に応じて一時金や年金形式で保険金を受け取れる仕組みになっており、公的介護保険ではまかなえない費用を補うことができます。

特に、介護リフォームやベッド・車椅子などの購入費用、長期間の介護による生活費の不足を補う際におすすめです。

編集部まとめ

編集部まとめ

ここまで公的介護保険における16疾病についてお伝えしてきました。公的介護保険における16疾病についての要点をまとめると以下のとおりです。

  • 公的介護保険における特定疾病の定義とは、心身の老化と深く関わるとされている16種類の病気を指す
  • 特定疾病は、介護保険制度のなかで定められている16種類の病気を指す。特定疾患は、かつて厚生労働省の研究事業で対象とされていた病気を指す
  • 特定疾病で利用できる介護サービスには、ホームヘルパーによる訪問介護、デイサービス(通所介護)や通所リハビリテーション、ショートステイ(短期入所介護・短期入所療養介護)などがある

これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。