床ずれとは?原因や症状、治療・予防法を解説

床ずれは、ご高齢の方や、病気や怪我で寝たきりになっている方に起こりやすい病気です。悪化すると、治療に長い時間を要することも少なくありません。しかし、床ずれは正しい知識を持ち、日頃からケアを続けることで、重症化を防ぐことが期待できます。本記事では、床ずれの基礎知識から医療機関での治療法などを、わかりやすく解説します。

監修医師:
江口 瑠衣子(医師)
目次 -INDEX-
床ずれの基礎知識

床ずれとは何ですか?
床ずれが起きやすい方の特徴を教えてください
- 麻痺や意識障害、鎮静状態など、自力で体位を変えられない
- 栄養状態が悪い
- 皮膚が弱くなっている
- 痩せていて骨が出っ張っている
- うっ血性心不全
- 脊髄損傷
- 糖尿病
- 骨盤骨折
- 脳血管疾患
床ずれはどのように進行しますか?
- ステージ1(圧迫しても消えない発赤)
- ステージ2(表皮~真皮の浅い欠損)
- ステージ3(皮膚のすべての層の欠損、皮下脂肪がみえることもある)
- ステージ4(筋や骨などの深部組織が見える深い欠損)
- 分類不能 (全体が壊死組織などで覆われ深さが判断できない)
- 深部組織損傷(非圧痕性の暗赤〜紫色の変色や、暗色の血の混じった水疱)
床ずれができる原因とできやすい部位

床ずれができる原因を教えてください
また、摩擦は、皮膚が寝具や衣服とこすれることで、皮膚の最も外側の層である表皮がダメージを受ける状態です。これにより皮膚のバリア機能が低下し、傷ができやすくなります。 そして、湿潤も床ずれの原因の一つです。尿や便失禁、汗などによって皮膚が常に湿った状態が続くと、皮膚はふやけて弱くなり、ダメージを受けやすくなります。
床ずれができやすい部位はどこですか?
床ずれの自宅でのケア方法と医療機関での治療法

初期の床ずれはどのようにケアを行えばよいですか?
床ずれで受診した方がよいサインを教えてください
- 指で押しても消えない持続的な赤みが続く
- 皮膚に色の変化(紫斑など)がある
- 皮膚の表面に水疱やびらん(ただれ)、皮膚のめくれがみられる
- 皮膚に潰瘍ができている
床ずれは医療機関でどのように治療しますか?
物理療法では、陰圧閉鎖療法が広く用いられています。これは床ずれの部分に陰圧をかけることで血流を改善し、治りを促進する治療方法です。
外科的治療は、保存的治療では改善が見込めない場合に選択されます。塗り薬では除去できない壊死組織(死んでしまった組織)がある場合、はさみやメスなどを用いて取り除くデブリードマンが行われることがあります。また、傷が骨にまで及んでいるような重症例では、自身の皮膚などを用いて傷を閉じる手術が検討されることもあります。多くの医療施設では、医師、看護師、薬剤師、管理栄養士、理学療法士など、多職種の専門家が連携して、患者さん一人ひとりの状態に合わせた包括的な治療を行います。床ずれの予防方法

家庭でできる床ずれの予防方法を教えてください
まず、除圧に関して、体位変換と体圧分散(圧力を一点に集中させないこと)が重要です。定期的に身体の向きを変える体位変換を行いましょう。その方法の一つに、30度側臥位があります。これは、身体を横向きに30度ほど傾けて、クッションなどを身体の下に敷き込み、お尻の広い筋肉で体重を受け止められる方法です。ただしこの姿勢が可能かは個人差もあるため、それぞれの場合に応じて調整する必要があります。また、体位変換は2時間以内で行うことが基本となっています。体圧分散マットレスを使用している場合は、4時間まで間隔を空けられることがあります。体圧分散に関しては、専用の寝具があり、次のような効果があります。
- 包み込みや沈み込みによって身体の接触面を増やし、突出部の圧力を低くする
- 接触する部位を時間とともに変化させて、圧力が集中するのを防ぐ
床ずれの予防方法として、摩擦とずれの予防も重要です。体位変換の際は、引きずると摩擦やずれが生じるため、スライディングシートなどを利用して、優しく動かしましょう。寝具やパジャマのしわも、圧迫やずれの原因となるため、こまめに伸ばします。
次にスキンケアについてです。皮膚の観察は毎日行い、皮膚を清潔に保ち、保護のため保湿クリームなどを塗布します。骨の突出した部分は予防のためのテープやドレッシング材(覆って保護するフィルム剤のこと)の使用も効果的とされています。また、栄養管理も床ずれの予防のためにたいへん重要な役割を果たします。これらの予防法は、一つだけを行うのではなく、組み合わせて行うようにしましょう。食事や水分の摂り方を工夫することで床ずれは予防できますか?
- タンパク質:肉・魚・卵・豆類
- ビタミンC:柑橘類・野菜
- 亜鉛:魚介類・肉類
編集部まとめ

床ずれは一度できてしまうと、治るまでに時間がかかることが多く、ご本人やご家族の生活に大きな負担をかけてしまうことがあります。しかし、日頃からの工夫によってその多くは防ぐことができる可能性があります。床ずれに関する正しい知識を身につけ、予防と早期発見に努めることが大切です。疑問がある場合や不安があるときは、早めに医療機関へ相談しましょう。
参考文献


