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在宅医療で行う酸素吸入とは?注意点や費用も併せて解説します!

 公開日:2025/10/28
在宅医療で行う酸素吸入とは?注意点や費用も併せて解説します!

在宅医療における酸素吸入は、自宅で安定した呼吸を維持し、生活の質を保つための重要な選択肢です。ただし、誤った使用は低酸素症や逆に酸素中毒などのリスクがあるため、管理方法や注意点を理解することが不可欠です。

本記事では在宅医療で行う酸素吸入について以下の点を中心にご紹介します。

  • 在宅医療で行う酸素吸入の概要
  • 在宅医療で行う酸素吸入で期待できる効果や注意点
  • 在宅医療で行う酸素吸入に必要な費用や保険適用

在宅医療で行う酸素吸入について理解するためにも、ご参考いただけますと幸いです。 ぜひ最後までお読みください。

監修

在宅医療で行う酸素吸入の概要

在宅医療で行う酸素吸入の概要

在宅医療で行う酸素吸入とは何ですか?

在宅医療で行う酸素吸入とは、血液中の酸素が不足した方が、自宅で専用の機器を用いて酸素を取り入れる治療法のことを指します。主に、在宅酸素療法(Home Oxygen Therapy:HOT)と呼ばれ、鼻に装着するカニューラを通じて酸素濃縮器酸素濃縮装置やボンベから酸素が供給されます。

対象となるのは、COPD(慢性閉塞性肺疾患)などで肺機能が低下し、慢性呼吸不全に陥る方が中心です。

在宅医療で行う酸素吸入の目的を教えてください

在宅医療で行う酸素吸入の目的は、体内に不足している酸素を補い、臓器や筋肉が必要とするエネルギー代謝を支えることにあります。

呼吸器疾患などで肺機能が低下すると、血液中の酸素が慢性的に不足し、息切れや運動不足、栄養不良によって筋肉が衰え、さらに呼吸機能が悪化する可能性が考えられます。 また、酸素不足が続くと心臓への負担も増え、心不全や肺性心などの合併症につながることもあります。

在宅酸素療法によって医師の指示に基づいた流量(L/分) 濃度の酸素を補充することで、息切れの改善や日常生活の維持が可能とされており、生活の質(QOL)の向上や寿命の延長にもつながります。

在宅医療で行う酸素吸入の診断から導入までの流れを教えてください

在宅酸素療法は、患者さんの状態を多面的に確認しながら慎重に進められます。

まず、呼吸不全の診断として、パルスオキシメーターや血液ガス分析を用い、酸素分圧(PaO2)や二酸化炭素分圧(PaCO2)の値を基準に重症度を判断します。

次に、対象疾患の確認が行われ、COPD(慢性閉塞性肺疾患)、間質性肺炎、肺線維症、進行期の気管支喘息、重症心不全に伴う低酸素血症などが代表的な例として挙げられます。 その後、検査と総合評価の段階で、血液検査、画像検査、呼吸機能検査などを実施し、薬物療法やリハビリの効果も含めて必要性を検討します。

最後に、導入の判断と説明として、医師が在宅酸素療法の適否を判断し、患者さんや家族に治療内容を説明して同意を得たうえで導入に進みます。 この流れにより、自宅で治療を継続できる環境が整えられます。

在宅医療で行う酸素吸入で期待できる効果や注意点

在宅医療で行う酸素吸入で期待できる効果や注意点

在宅医療で行う酸素吸入で期待できる効果を教えてください

在宅酸素療法は、酸素不足を補うことで体の負担を軽減し、長期的な健康維持に役立つ治療法です。導入によって期待できる効果は以下のとおりです。

生命予後の改善肺性心や肺高血圧症の予防と改善呼吸困難などの症状改善QOL(生活の質)の向上

低酸素血症を伴うCOPDなどでは、長時間の酸素投与により生存期間が延長する可能性があります。特に1日15時間以上の酸素投与は生命予後の改善につながるとされています。

酸素不足による心臓や肺への負担を和らげ、合併症の進行を抑制します。また、 酸素吸入によって息切れが軽減し、運動や睡眠の質が向上します。なかでも、心不全に伴う睡眠時無呼吸(CSR-CSA)の改善効果も期待できます。

酸素療法により外出や日常生活がしやすくなり、自宅で家族と過ごす時間を大切にできます。終末期医療においても、呼吸苦を和らげることで安心した療養生活を支えます。

このように在宅酸素療法は、予後改善から日常生活の質の向上まで、多面的な効果が期待できます。

在宅医療で行う酸素吸入の注意点を教えてください

在宅酸素療法を行う際の注意点は、以下のとおりです。

酸素投与量は医師の指示どおりに使用する火気厳禁定期的な診察の継続費用と制度旅行時の注意

自己判断で調整すると、疾患によっては高濃度酸素により意識障害などの合併症を引き起こす危険があります。

また、酸素は燃焼を助ける性質があり、たばこ、線香、ガスコンロなど火の近くにいると危険です。特に酸素吸入中の喫煙は重大な事故につながるため注意が必要です。医師による診察を受け、投与量が合っているか、装置にトラブルがないかを確認することが必要です。

在宅酸素治療には健康保険が適用され、経済的な負担を軽減できます。

主治医に相談すれば旅行も可能な場合もあり とされていますが、事前に業者へ依頼し酸素供給装置を設置してもらう手続きが必要です。 このように、在宅酸素療法は正しく行えば安全性が高いですが、火気の管理と医師の指示を守ることが重要です。

在宅医療で使われる酸素機器にはどのような種類がありますか?

在宅医療で使用される酸素機器には、主に酸素濃縮器液体酸素の2種類があります。

1.酸素濃縮器 2.液体酸素

周囲の空気から窒素を取り除き、酸素濃度90%以上の空気をつくり出す装置です。電源があれば長時間使用でき、使いやすさが特徴です。現在利用者の90%程度が酸素濃縮器を使用しているとされ、外出時は携帯用酸素ボンベを併用します。ただし、停電時には使用できないため、予備ボンベの準備が必要です。

酸素を低温で液化し、容器に蓄える方式です。酸素濃縮器よりもコンパクトで、持ち運びしやすいのが特徴です。なかでも、活動範囲が広い方や外出する頻度が高い方に推奨されていますが、充填作業が必要で、設置には専門業者の対応が欠かせません。

このように、それぞれの特徴を理解し、生活スタイルに合った機器を選ぶことが重要です。

在宅医療で行う酸素吸入に必要な費用や保険適用

在宅医療で行う酸素吸入に必要な費用や保険適用

在宅医療で行う酸素吸入に必要な費用を教えてください

在宅医療で行う酸素吸入には、酸素供給装置の使用料や酸素代、メンテナンス費がかかります。

・1割負担:7,680円程度 ・2割負担:15,360円程度 ・3割負担:23,040円程度

ただし実際の負担額は保険条件や医療機関によって異なるため、主治医や医療機関に確認することが重要です。

また、設置型酸素濃縮器酸素濃縮装置を利用する場合は、基本費用に加えて電気代が発生し、電気代は機器の種類や使用時間によって異なるため、不明な場合は担当者に相談しましょう。

在宅医療で行う酸素吸入には保険が適用されますか?

在宅医療で行う酸素吸入は、健康保険が適用されます。ただし、保険を利用するにはいくつかの条件があります。

まず、1ヶ月に1回以上は医師の診察を受ける必要があります。診察は通院だけでなく訪問診療でも可能とされているため、外出が難しい方でも継続できます。

また、疾患や症状ごとの基準(例:安静時のSpO₂≦88%など)を満たす必要があります。主治医が在宅酸素療法の指示書を発行し、手続きを済ませれば保険での利用が可能です。疾患の種類や症状に応じて保険適用の基準が細かく定められており、満たすことが必要です。主治医が診断書を作成し、必要な手続きを行うことで保険が利用できます。

自己負担額は年齢や収入、保険の種類によって変わるため、詳しくはかかりつけの医師や医療機関に確認することが大切です。

編集部まとめ

編集部まとめ

ここまで在宅医療で行う酸素吸入についてお伝えしてきました。 在宅医療で行う酸素吸入について、要点をまとめると以下のとおりです。

  • 在宅医療で行う酸素吸入とは、血液中の酸素が不足した方が、自宅で専用の機器を用いて酸素を取り入れる治療法のこと
  • 在宅医療で使用される酸素機器には、酸素濃縮器と液体酸素の2種類ある
  • 在宅医療で行う酸素吸入は、健康保険の適用対象となるが、1ヶ月に1回以上は医師の診察を受ける必要があったり、疾患の種類や症状に応じて保険適用の基準が細かく定められており、満たしたりすることが必要

在宅医療で行う酸素吸入は、健康保険の適用を受けられますが、月1回以上の診察や疾患ごとの基準を満たすことが条件です。正しい理解と管理により、生活の質を守りながら治療を続けることが大切です。

本記事が少しでも在宅医療で行う酸素吸入について知りたい方のお役に立てれば幸いです。最後までお読みいただきありがとうございました。