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「麻疹の感染経路」はご存知ですか?症状や合併症についても解説!【医師監修】

 公開日:2026/02/20
「麻疹の感染経路」はご存知ですか?症状や合併症についても解説!【医師監修】

日本において麻疹にかかった記憶がない方や、麻疹にかかった経験がない方は少なくありません。

それは日本人の多くが記憶がおぼろげな乳幼児期に麻疹にかかっているか、一度もかかっていない点に理由があります。

特に10代・20代の方は、麻疹にかかった人を見たことがないケースがほとんどでしょう。

それは日本において、すでに麻疹排除が達成されているからです。

しかし、世界的に見れば麻疹はまだまだ猛威を振るっています。

また日本においても発症する例がなくなったわけではなく、普段の生活スタイルによっては麻疹に罹患する危険性はゼロではありません。

この記事では麻疹の感染経路や発生する状況と併せて、症状や治療法について解説します。

中路 幸之助

監修医師
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)

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1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。

麻疹(はしか)の原因や感染経路

地球儀のイメージ

麻疹の発生状況を教えてください。

日本において麻疹の危険性は、2007~2008年の流行を最後にほとんどありません。また2010年11月以降に国内で確認されたウイルスは海外を由来に持つケースのみとなっており、日本にもともと存在していた遺伝子型D5のウイルスは確認されていません。東アジア・東南アジア・オセアニアの28の国が参加するWHO西太平洋地域では、2023年の時点で以下の6ヶ国および2地域で麻疹が排除されていると認定されています。
  • 韓国
  • オーストラリア
  • 日本
  • ブルネイ
  • ニュージーランド
  • シンガポール
  • マカオ
  • 香港
なお、ここでいう認定とは36ヶ月間以上、継続した麻疹ウイルスが国内に存在しないことを定義しています。日本が認定を受けたのは2015年であり、それ以降は認定状態を維持しています。しかし2023年以降、帰国者や渡航者による海外の麻疹ウイルスの持ち込み例が増えており、迅速な対応が重要です。また、世界的に見た場合にはまだまだ危険性の高い感染病とされており、2023年には推定で107,500人が麻疹により死亡したとされています。これは麻疹の予防に2回のワクチン接種が重要であるとされているのに対し、世界的な接種率が74%にとどまっていることが原因です。

麻疹の原因となるウイルスを教えてください。

麻疹は、麻疹ウイルスが人に感染することで発症する感染症です。麻疹ウイルスはパラミクソウイルス科モリビリウイルス属に属する、鎖の一本鎖RNAゲノムを持つウイルスになります。宿主細胞に由来する脂質二重膜のエンベロープを持ち、N・P・M・F・H・Lの6つの構造蛋白質により構成されています。麻疹ウイルスは熱・紫外線・酸・エーテルなどで容易に不活化され、空気中や物体表面での生存時間は長くても2時間程度と短いのが特徴です。また、自然宿主は人のみとなります。

麻疹の感染経路について教えてください。

麻疹ウイルスは、基本的に人にしか感染せず、そのため人から人への感染経路以外は存在しません。一方で感染力はとても強く、感染する経路は空気・飛沫・接触とさまざまです。そのため罹患しないように気を付けていても、何かの拍子に感染してしまう可能性も少なくありません。また国内における感染リスクは低いですが、海外からの帰国者や渡航者によるウイルスの持ち込みが増加傾向にあります。麻疹の発生に関するリスクの軽減方法によると2024年の日本での麻疹の報告は43例でしたが、海外で感染したケースと、そこからの二次感染がほとんどになります。

麻疹は感染力が強いと聞いたのですが本当ですか?

麻疹ウイルスは感染力が強く、免疫を持たない人が感染した場合にはほとんどのケースで発病します。仮に麻疹に免疫のない集団に一人の発症者がいたとすると、12~14人が感染するといわれているほどです。対してインフルエンザが1~2人であり、その感染力の高さがうかがえます。一方で、一度罹患すると終生免疫を得て二度とかからなくなるのも特徴です。なお、感染力が特に強いのは最初の発熱直後といわれています。

麻疹(はしか)の症状や合併症

入院患者と医者

麻疹の症状を教えてください。

麻疹は感染すると10日程の潜伏期を経て、発熱・咳・鼻水などの症状が現れるのが特徴です。その後2~4日熱が続いた後に、39度以上の高熱と併せて発疹が出現します。発疹は耳の後ろや首元、おでこから出始め、2日後には全身に広がります。発疹は最初は鮮やかな赤色で平面的です。そこから時間の経過とともに全身に広がり隆起して暗赤色に変化します。また発疹が広がる間は高熱が続きます。その後、熱が下がるのと併せて回復期に入り発疹も出現した順序にしたがって退色していくのが一般的です。また人の体内に入った麻疹ウイルスは、感染部位周囲の局所のリンパ節の免疫細胞に感染して増殖していきます。そこから血流に乗って全身のリンパ節に運ばれ、免疫系細胞に感染し増殖を続けます。これらの影響で宿主は一時的に免疫機能が強く抑えられてしまうのが特徴です。そのため、ほかの細菌やウイルスによる二次感染を受けやすくなる点に注意する必要があります。また、合併症によって重症化する可能性もあります。

どのような合併症を発症しやすいですか?

麻疹にかかった場合、以下の合併症に注意が必要です。
  • 肺炎
  • 中枢神経合併症
  • 中耳炎
  • クループ症候群
  • 心筋炎
  •  
  • 亜急性硬化性全脳炎
麻疹による二大死因は肺炎と脳炎であり、注意が必要です。肺炎の合併率は約6%で、乳児の死亡例の60%は肺炎に起因するものになります。中枢神経合併症は麻疹の際に脳炎を合併する症状です。合併率は0.1%程と件数は少ないものの、乳児期を除いた麻疹による死因としては肺炎より多くなります。発疹出現から2~6日後に発症するケースが多く、患者さんの約60%は完治しますが約25%の患者さんに中枢神経に後遺症を残し、約15%は死亡に至ります。中耳炎は麻疹の患者さんの約7%にみられる合併症です。耳の痛みや発熱、耳だれなどが症状になります。クループ症候群とは喉の炎症により気道が狭くなり、呼吸困難を起こす病気です。乳幼児に多く、症状が強い場合には機械による呼吸管理が必要になります。心筋炎は麻疹の経過中に、一過性の心電図異常がみられる症状ですが、重大な結果になることはあまりありません。最後に亜急性硬化性全脳炎は、麻疹罹患後に発症する重篤な合併症の一つです。2歳未満で麻疹に罹患するとリスクが高まることが知られており、潜伏期間は4~8年とされています。発症すると、知能の低下や運動障害などの症状が現れます。

麻疹の症状はどのくらいで軽快しますか?

麻疹は発症後、合併症がなければ通常は7~10日で回復期に入ります。発疹は退色し、色素沈着もしばらく残りますが時間の経過で回復していきます。ただし免疫力が低下しているため、しばらくはほかの感染症にかかりやすく体力が戻るには一ヶ月程の期間が必要です。また、中耳炎や肺炎などを合併した場合にはその治療期間も考慮する必要があります。

麻疹(はしか)の治療方法や予防方法

予防

医療機関での麻疹の治療方法を教えてください。

医療機関での麻疹対応ガイドラインによると、麻疹は発症しても根本的な治療法はないとされています。そのため、症状をやわらげる対症療法が中心になります。例えば高熱に対して解熱剤を投与したり、咳に対して咳止めを投与したりなどです。また炎症がある場合は抗菌剤を投与して回復を待ちます。合併症の場合も同様です。また、麻疹の患者さんと接触した場合には72時間以内に麻疹ワクチンを接種することにより発症を防止することも可能です。

麻疹は手洗いやうがいで予防できますか?

麻疹は感染力が強く、空気感染します。そのため、飛沫や接触での感染対策としての手洗いやうがいだけでは十分に予防はできません。麻疹の予防を行うには予防接種を受けることが有効な手段です。麻疹ワクチンの免疫獲得率は高く、95%以上といわれています。しかし、免疫のつかなかった5%の方は発症の危険性があるため、2回の接種を行うことが重要です。医療機関での麻疹対応ガイドラインにおいても、唯一の予防方法は麻疹含有ワクチンの接種を1歳以上で2回受けておくこととしています。東京都健康安全研究センターによると、2回の摂取により約99%の方が免疫を獲得するとされています。

麻疹の予防接種は大人でも受けられますか?

麻疹の予防接種は大人でも受けることが可能です。ただし、2回の予防接種を受けている場合は必要ありません。すでに麻疹に罹患している場合も終生免疫を獲得しているので不要です。また、2006年4月から予防接種法に基づき、小学校入学前の1年間に2回目の予防接種を受けることが義務付けられています。そのため、生まれたのが2000年4月2日以降の方は、2回の予防接種を受けている可能性が高くなります。予防接種を受けているかどうかは市区町村の役所で予防接種証明書を取得すれば確認できるので、気になる方は一度確かめてみるとよいでしょう。なお、仮に一度しか予防接種を受けていない場合でも、妊娠中の方は予防接種を受けることができません。また、接種後2ヶ月は妊娠を避ける必要がある点にも注意です。

編集部まとめ

病院の建物と青い空

麻疹に対する対策は国ごとに大きな差があり、ウイルスの排除を達成している国もあれば、まったく対策できていない国もあります。

例えばヨーロッパ・東地中海・アフリカの3地域では世界の86%を占める程、麻疹に対して対策が進んでいません。

そのため、それらの地域に旅行や出張を行う場合は、ご自身で対策をする必要があります。渡航する際にご不安な場合は事前に医師に相談しましょう。

麻疹は合併症状がなくとも完治までに一ヶ月かかる大きな病気です。しっかりと対策を行っていきましょう。

この記事の監修医師