FOLLOW US

目次 -INDEX-

  1. Medical DOCTOP
  2. MedicalDOC(医科)
  3. 【名医監修】小児整形外科について|代表的疾患も紹介

【名医監修】小児整形外科について|代表的疾患も紹介

 公開日:2023/12/15
ユーイング肉腫の末期症状

小児整形外科医について、どのような外科なのか、どのような疾患に対応しているのかご存知でしょうか。
本記事では以下の内容を中心に解説していきます。
・小児整形外科医とは
・代表的疾患
・小児にも起こりうるスポーツ障害
小児整形外科医について理解するためにも、ご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

甲斐沼 孟

監修医師
甲斐沼 孟(上場企業産業医)

プロフィールをもっと見る
大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。上場企業産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。

そもそも小児整形外科とは?

そもそも小児整形外科とは?
小児整形外科は、子どもたちの骨、筋肉、関節などの疾患に特化した医療分野です。
生まれつき手足が変形しているケースや関節の問題、歩行の異常、運動発達の遅れなどが対象となります。
乳幼児検診で異常が指摘されたり、子どもが痛みを訴えなくても歩行に違和感がある場合などは、小児整形外科医の専門的な診断が重要です。
子どもの成長や発達に関わる疾患を抱える場合は、小児整形外科医に相談するのが良いでしょう。

小児整形外科で扱う代表的疾患

小児整形外科で扱う代表的疾患
小児整形外科医で扱う代表的な疾患について紹介していきます。
小児整形外科医で扱う代表的な疾患には以下のような疾患があります。

・先天性内反足
・先天性股関節脱臼
・多指症・合指症
・早期発症側弯症
・ペルテス病
・二分脊椎
・特発性側弯症

どんな時に小児整形外科を受診しますか?

小児整形外科は、成長期の子供たちの骨・筋肉・関節などの問題を診察し、治療する専門分野です。
もしもお子様の運動発達や動きに違和感を感じた場合、早めに小児整形外科を受診することが大切です。
具体的には、3か月健診や1歳6か月健診で運動発達の異常を指摘された場合や、歩き方が少し奇妙に見える、普段と動きが違う、左右で違いがあるといった症状が見られた場合は、小児整形外科を受診することが勧められます。
これらの症状は、筋肉や骨の発育不良、外傷、神経系の問題などを示す可能性があります。
小児整形外科では、症状や病歴を詳しく聞き取り、運動機能の評価や画像検査などを行い、正確な診断を行います。
治療には、運動療法、物理療法、手術などがありますが、症状や状況に応じて個別に決定されます。
早期に症状に気付き、適切な治療を受けることで、お子様の運動発達や健康に関する問題を改善できます。

整形外科と小児整形外科の違いとは?

小児整形外科と整形外科は、どちらも骨格や筋肉、関節などの身体の動きに関する治療を行う分野ですが、対象となる患者さんが異なる点があります。
小児整形外科は、小児(新生児期から18歳までの子供)の成長や発達に伴う骨格や筋肉、関節などの異常や障害に対する治療を行います。
例えば、先天性の骨格異常や疾患、成長に伴う姿勢異常、スポーツ外傷などが該当します。
また、小児整形外科は、成長に合わせた治療や手術を行うことが多く、治療方法やアプローチが成長段階に応じて異なることがあります。
一方、整形外科は、成人を対象とした骨格や筋肉、関節、脊椎などの疾患や障害に対する治療を行います。
例えば、骨折や脱臼、変形性関節症、脊椎疾患などが該当します。整形外科は、外科的治療が必要な疾患に対して手術を行うことが多く、手術方法やアプローチが成人の身体に合わせて行われます。
つまり、小児整形外科と整形外科の違いは、対象となる患者さんが異なり、治療や手術のアプローチがそれに応じて異なる点があります。

小児にも起こりうるスポーツ障害

小児にも起こりうるスポーツ障害
続いて、小児にも起こりうるスポーツ障害について紹介していきます。
こちらの障害が疑われた際は小児整形外科に診てもらうのが良いでしょう。

オスグッド・シュラッター病

オスグッド・シュラッター病は、主にスポーツをしている思春期の成長期の子供や若者に見られる、膝の痛みを引き起こす疾患です。
膝蓋骨の上部の腱(大腿四頭筋筋腱)が、成長期の骨の成長に追いつかず、膝蓋骨の成長板に負担をかけることで痛みを引き起こします。
オスグッド・シュラッター病の主な症状は、膝の上部に痛みや腫れが生じることです。
この症状は、運動時に悪化することが多く、激しい運動をする子供や若者に特に見られます。
また、膝を曲げたり伸ばしたりすると、痛みが強くなることがあります。
診断は、主に症状や身体検査に基づいて行われます。
レントゲン検査などの画像検査は、症状の程度や治療方法の選択をする上で役立ちます。
オスグッド・シュラッター病の治療法には、以下のような方法があります。
休養:激しい運動を控え、膝を休めます。
氷や湿布:痛みや腫れを緩和するために、氷や湿布を使用します。
物理療法:筋肉の柔軟性を改善し、痛みを緩和するためのエクササイズやストレッチングを行います。
薬物療法:痛みや炎症を抑えるために、痛み止めや非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を使用します。
手術:症状が重度で保守的な治療が効果的でない場合、手術が必要になることがあります。
オスグッド・シュラッター病は、放置すると成長期が終わるまで症状が持続することがあります。
早期の治療が重要であり、運動前の適切なストレッチやウォームアップ、症状が現れた場合は運動を中断して休養するなど、予防的な取り組みが重要です。

シンスプリント

シンスプリントとは、主にランニングやジャンプのような高負荷の運動を繰り返し行うことで、脚の前面に痛みが生じる病態です。
正式には、下腿骨の内側に走る「脛骨筋膜弁」の付着部に炎症が生じることが原因とされています。
主な症状としては、疼痛・張り感・圧痛があり、しばしば運動を行った後に強く現れます。
痛みは軽度から重度まで様々で、症状の進行により運動によって痛みが悪化することがあります。
また、休息しても痛みが治まらないことが多いため、重症化すると日常生活にも支障が出てきます。
シンスプリントの治療には以下のような方法があります。
休養:運動を控え、脚を休めます。
物理療法:筋肉の柔軟性を改善し、痛みを緩和するためのエクササイズやストレッチングを行います。
薬物療法:痛みや炎症を抑えるために、痛み止めや非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を使用します。
インソールやテーピング:足底や脛骨筋膜弁をサポートするため、足底のインソールやテーピングを使用することがあります。
手術:重症化した場合には手術が必要になることがあります。
シンスプリントは、運動負荷が高いスポーツをする方に多く見られます。
予防には、適切なストレッチやウォームアップ、適度な運動量の維持などが重要です。
また、ランニングシューズの選び方も重要であり、足底のアーチサポートが充実しているものを選ぶことが望ましいです。

疲労骨折

疲労骨折とは、筋肉や軟部組織の疲労が原因で、骨の一部に微小な骨折が生じる病態です。
疲労骨折は、過度の運動や反復的な負荷によって、骨に加わるストレスが大きくなることが原因とされています。
特に、長時間のランニングやジャンプなど、下肢に負荷をかけるスポーツを行う人や、運動不足の人が急に運動量を増やした場合など、骨にかかる負荷が急激に変化することによって、疲労骨折が生じることがあります。
主な症状としては、疼痛や腫れ、圧痛などがあります。
症状の程度は骨折部位や状態によって異なりますが、軽度の場合は痛みや違和感がある程度で、重度の場合は歩行困難や腫れなどの症状が現れることがあります。
疲労骨折の治療には以下のような方法があります。
休養:骨折部位を安静にし、骨の再生を促します。
物理療法:痛みや腫れを緩和するため、アイシングやマッサージなどの物理療法を行います。
薬物療法:痛みや炎症を抑えるため、痛み止めや非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を使用します。
インソールやテーピング:足底や骨折部位をサポートするため、足底のインソールやテーピングを使用することがあります。
手術:重症化した場合には手術が必要になることがあります。
疲労骨折の予防には、適切なストレッチやウォームアップ、適度な運動量の維持などが重要です。
また、運動時には適切なシューズや装具を使用することも大切です。
運動不足の人が急に運動を始める場合は、適切な段階的なトレーニングを行うことが望ましいです。

膝前十字靭帯損傷

膝前十字靭帯損傷とは、膝の前方にある前十字靭帯(ACL)が損傷することで起こる病態です。
膝前十字靭帯は、膝関節の安定性を保つために重要な役割を担っており、急激な方向転換や着地時に強い負荷を受けた場合に損傷することがあります。
膝前十字靭帯損傷の主な症状としては、膝の痛み、腫れ、不安定感、走行時の膝の不安定さや崩れる感覚などがあります。
重度の場合には、膝の可動域が制限されたり、歩行が困難になることがあります。
診断は、身体検査、X線、MRIなどの画像検査を用いて行います。
治療は、軽度の場合には保存的治療が選択され、安静、物理療法、固定装具などが用いられます。
一方、重度の場合には手術治療が必要になることがあります。
手術治療では、損傷したACLを再建する手術が行われます。
再建には、自己の腱を利用する方法や、人工の腱を用いる方法があります。
手術後は、リハビリテーションを行い、早期に機能回復を促します。
膝前十字靭帯損傷の予防には、適切なストレッチやウォームアップ、筋力トレーニングなどが重要です。
また、適切な装具の使用や、スポーツ時の技術向上なども効果的です。
運動前には、十分な準備を行い、急激な負荷を避けることが重要です。

外傷性肩関節脱臼

外傷性肩関節脱臼とは、肩関節の球と骨膜組織が離れてしまうことで、肩が痛み、腕を動かせなくなる病態です。
多くは、肩を強い衝撃や過度な引っ張り、ねじれなどによって肩関節が脱臼することで起こります。
また、肩関節の靱帯や筋肉の弱点や疲労などによっても、肩関節が脱臼しやすくなることがあります。
外傷性肩関節脱臼の主な症状としては、肩の痛み、腫れ、腕を動かせなくなるなどがあります。
肩関節が脱臼した場合、肩を動かすことで肩関節が外れた状態が維持されるため、腕を動かすことができなくなることがあります。
診断は、身体検査、X線、MRIなどの画像検査を用いて行います。
治療は、肩関節を再び元の位置に戻すことが最優先となります。
多くの場合、医師による操作によって肩関節を元に戻すことができますが、場合によっては手術が必要になることもあります。
手術は、再発を防ぐために、肩関節の靭帯を強化するなどの方法があります。
外傷性肩関節脱臼の予防には、スポーツ時には適切な体勢でプレーすること、肩関節の筋力トレーニングを行うこと、また、肩関節周辺のストレッチやウォーミングアップなどを行うことが重要です。
また、再発を防ぐためには、肩関節を保護するための装具の使用や、運動前の事前チェック、疲労回復のための適切な休養などが必要です。

編集部まとめ

編集部まとめ
ここまで小児整形外科について紹介してきました。
要点は以下の通りです。
・小児整形外科とは子どもたちの骨、筋肉、関節などの疾患に特化した医療分野
・代表的疾患には、先天性内反足や先天性股関節脱臼がある
・スポーツ障害としてはシンスプリントや疲労骨折などがある
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事の監修医師