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小児歯科における虫歯の現状と健康な歯を守る削らない虫歯治療

 更新日:2023/03/27

虫歯治療で歯を削るときの痛みや音に対して恐怖心を抱く子どもは多く、治療をきっかけに歯科医院が苦手になるケースが少なくありません。そのような虫歯の治療や歯科医院に対して「怖い」、「痛い」などのイメージがある人に朗報です。
ヨーロッパで行われていた歯を削らない治療が日本でも認可され、小児歯科でも行われるようになりました。ここでは、小児歯科における子どもの虫歯事情や現在の日本で一般的な虫歯の治療法とともに、歯を削らない治療について、Medical DOC編集部がお届けします。

この記事の監修歯科医師
西方 讓 (西方歯科医院 院長)

 小児歯科の特徴と子どもの口腔内の現状


小児歯科とは、子どもの歯や成長などにあった予防や保健指導、虫歯や歯並びなどの治療をしてくれるところです。
成長途中である子どもの場合、歯や口腔内のトラブルが起これば、子どもの歯のプロである小児歯科を受診するのがよいといわれています。

虫歯が多い子どもにみられる傾向

保育所や幼稚園、小学校などで行われる歯科健診で、虫歯を指摘される子どもが減ってきています。実際、歯科医院でも歯を削る、歯にかぶせ物をするといた処置が減少しており、予防的な処置のために受診するケースが増えてきているといわれています。
しかし、保育所、幼稚園、小学校の歯科健診で虫歯を指摘される子どもも少なくありません。子どもに虫歯があるとその保護者に対して歯科医院の受診をすすめるのが一般的です。しかし、大人が虫歯に対しての理解がなく、子どもの虫歯に対して無関心なケースも多く、虫歯の治療を勧告されても歯科医院を受診しないまま放置されることもしばしばです。
そのため、虫歯がある子どもは要治療の虫歯をたくさん持っており、虫歯のない子どもと虫歯がたくさんある子どもとで2極化している傾向があるといわれています。

小児期における歯周病の罹患率

生活習慣病のひとつである歯周病は、大人に多いイメージがありますが、子どもにも起こり得る病気です。歯周病になると歯を失うリスクが高いといわれています。
大人に比べると子どもの歯周病の有病者数は少ないですが、厚生労働省が2011年に行った調査によると小児期の5歳~9歳で約35%を超えているのが実状です。
小児期は、口腔機能やあごなどが発達する重要な時期です。健康的な歯を守り、成長に影響を与えないようにするためにも、何らかの口腔トラブルがあれば小児歯科を受診するようにしましょう。

 一般的な小児歯科での虫歯治療

小児歯科で行われる虫歯の治療はいろいろあり、症状や歯並びなどによって一人ひとり異なりますが、現在のところ虫歯の治療では、虫歯になった部分の歯を削る治療が一般的です。
診察やレントゲン写真を撮影し、虫歯の状態を確認したら、虫歯部分を削って歯と同じ色のプラスチックや金属の詰め物またはかぶせ物をする治療が行われます。虫歯部分を削るのは、虫歯をそのままにしておくと症状が悪化するためです。
しかし、虫歯部分を完全に除去しようとしたときに、その周りにある健康な歯を削ることがあります。乳歯であれば永久歯が生えてきますが、永久歯は、一度削ると元の状態に戻ることはなく、歯を削ることによって寿命を縮めてしまうリスクがあるのが実状です。
また、子どもの場合、歯を削るときの機械に恐怖心を抱きがちです。治療のときの痛みから歯科医院に対してマイナスなイメージを抱かれやすい傾向もあり、虫歯になっても歯科医院に行きたくないというきっかけとなる可能性があります。

 歯を削らない虫歯の治療

ヨーロッパで一般的になりつつある歯を削らない治療の「カリソルブ」が、日本でも2007年に厚生労働省に認可されました。「カリソルブ」は、1998年にスウェーデンで認可された新しい虫歯の治療法です。虫歯がある歯に特別な薬剤を塗布して虫歯部分だけを溶かすことができます。
使用される薬剤は、安全性が確認されているもので、虫歯部分にしか作用しないため、一般的な虫歯治療のように健康な歯を傷つける心配がありません。
虫歯が進行している場合、しみるような多少の痛みを感じることはありますが、軽度な虫歯であれば麻酔なしで治療できることもあります。痛みがほとんどないため、虫歯の治療によって子どもが歯科医院嫌いになることを防げるといわれています。
子どもの場合、乳歯や生えたて永久歯は、大人の歯と比べるとやわらかいため、子供専用の薬剤「キッズソルブ」を使用することが多いです。仕組みは「カリソルブ」と同じです。
ただ、虫歯が神経に達している場合、根管治療といわれる神経を取る治療が必要になるため、カリソルブでの治療はできないとされています。
また、治療費に健康保険の扱いがありません。自費治療となるため治療費の負担は考えなければなりません。また削る治療に比べて時間がかかるのも特徴です。

 歯を削らないで済むようにするポイント

歯を削らないで済むようにしたいのであれば、虫歯の予防が一番ですが、方法はいろいろあります。

毎日の丁寧なブラッシング

家庭でできる虫歯の予防方法としては、毎日のブラッシングがあります。ただ、歯並びや歯磨きのクセは人それぞれです。自分では丁寧にブラッシングできているつもりでも、子どもの歯にあった正しい磨き方ができていなければ、虫歯になる可能性があります。
子どもの歯にあった正しい歯磨きの方法については、歯科医院を訪れた際に歯のプロである歯科医や歯科衛生士さんに教わるようにしましょう。

定期的な歯科健診

歯科医院で定期的に歯や歯茎の状態をチェックしてもらうことも、歯を削らないようにするポイントのひとつです。歯科医院の健診では、次のようなことをしてもらえます。

歯科定期健診の内容

・虫歯の有無のチェック
・歯茎の状態の確認
・ブラッシング指導
・歯垢や歯石の確認と除去
・歯科相談
・口の中の病気の有無
毎日ブラッシングをしていても歯と歯のあいだや歯の付け根などに食べかすが残りやすく、その状態が続くことで虫歯菌のすみかとなる歯垢や歯石になります。歯石になると、セルフケアでは除去できないといわれているため、定期的に歯科医院で取り除いてもらうことが大切です。
定期的に歯科健診を受けることで、歯石になる前段階の歯垢を取り除いてもらえるため、歯石になるリスクの軽減効果が期待できます。また、口の中の病気の早期発見にもつながるため、歯を削ったり抜いたりする可能性も低くなります。

 日々のケアと定期健診で虫歯を予防することが大事


虫歯のない子どもと虫歯がたくさんある子どもの二極化している現状がありますが、虫歯の予防が大切と考える大人が増えてきており、子どもの虫歯の有病者数自体は減少傾向にあります。
それは、毎日の丁寧なブラッシングに加え、定期的に小児歯科を受診して、歯の成長にあったメンテナンスを行っていることがあると考えられています。
健康な歯を削らない治療が登場し、痛みや怖さをあまり感じることなく虫歯の治療ができるようになってきていますが、虫歯にならないことが大切です。子どもの歯を少しでも長く健康な状態をキープしたいのであれば、日々のケアや定期的な小児歯科の受診を心掛けましょう。

西方 讓 歯科医師 西方歯科医院 院長監修ドクターのコメント
近年、小児の虫歯が減少傾向にありますが、その背景には親の子に対する口腔の意識の高さがあるのだと思われます。
かつて虫歯の洪水と呼ばれていた時代はどうせ抜ける歯だかといって治療しなかったり、言うことを聞かないと歯医者で歯を抜いてもらうなどと子供を脅し続けた結果恐怖のあまり暴れすぎて治療がおろそかになったなどの話はよく聞く昔話だったりするのです。
最近の親が身に着けた知識の中には、歯磨き習慣の定着、砂糖消費と虫歯発生の関係、フッ素の適応のよる歯質強化等があって、治療するより予防する方向へ向かわせているのだと思います。
不幸にも虫歯になってしまった子のご家庭にはどの知識を補ったらいいかを考えての治療介入となるでしょう。
最近の治療法は以前とはだいぶ変わっていて痛くなく、見た目にもよくなっています。
お困りごとがあればいつでもご相談ください。予防処置から虫歯治療、歯並び相談まで幅広く受け付けています。
 
監修ドクター:西方 讓 歯科医師 西方歯科医院 院長

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西方歯科医院

出典:http://www.nishikata-shika.com/

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