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どんなことが起こる!?インプラント治療に伴う4つのリスク

 更新日:2023/03/27

虫歯、歯周病、事故などによる外傷、先天的な病気、腫瘍によって失われた歯や顎骨(がくこつ)に対して、インプラント(人工歯根)を顎骨や顔の骨に埋め込み、これを土台にして義歯を作り、機能を回復させる治療法のことをインプラント治療と呼びます。

しかし体内にインプラントを埋め込む手術でもあるため、リスクはつきもの。

治療を行う前に知っておきたい、インプラント治療のリスクについて、Medical DOC編集部がお届けします。

この記事の監修ドクター:
雨森 洋貴 歯科医師(トップスデンタルクリニック 院長)

歯科インプラント治療の概要

歯科インプラント治療とは、いったいどのような治療なのでしょうか。インプラントの歴史、費用、材料についてお話します。

インプラント治療とは?

歯科インプラント治療とは、虫歯、歯周病、事故などによる外傷、先天的な病気、腫瘍によって失われた歯や顎骨に対して、インプラントを顎骨や顔の骨に埋め込み、これを土台にして義歯を作り機能を回復させる治療法のことをいいます。

ヨーロッパでは、上顎に鉄製のインプラントが埋まっている紀元3世紀頃のローマ時代の人骨が発見されています。

また、中南米では、下顎に貝で作られたインプラントが埋まっている紀元7世紀頃の人骨が発見されています。

このように、インプラントの歴史はとても古いのですが、確実な治療法になったのは比較的最近です。

1952年に金属のチタンを骨の中に埋めると骨と結合する現象が発見され、1965年にスクリュー形状(ネジのような形状)のチタン製のインプラントの臨床応用が開始されました。

骨と結合するインプラントの登場によって、インプラントの臨床成績は著しく向上しました。

このように骨と結合するインプラントの臨床結果が優れていることが世界的に知られるようになったのは、1980年代になってからです。

その後、インプラントには様々な改良が加えられ、臨床成績がさらに向上しています(日本口腔インプラント学会より)。

そして、現在もなお工夫・改善が行われています。

インプラントは何の材料でできているのか

インプラント本体は、チタンまたはチタン合金からできています。

これらは食事や唾液により腐食されることもなく、それでいて加工しやすく、骨組織となじみやすいため重宝されています。

さらに骨との親和性も高く、インプラント表面の新素材が次々と開発されています。また、チタン以外の材料も研究されています。

インプラント治療の相場は?

インプラント治療は体にインプラントを埋め込む手術の一種であり、また保険適用ではないので高額になってしまいます。

しかし外傷や病気によって歯や骨を失った場合などは例外で保険適用されます。

価格は医院によって異なりますが、1本数十万からかかることもあります。覚悟しておきましょう。

世帯収入により異なりますが、医療費控除を受けることも可能ですので、医院と相談してみることをおすすめします。

インプラント治療のメリット

ここからはインプラント治療のメリットについて紹介します。

比較的寿命が長い

インプラント治療を受けてから10年後の残存率は、一般に9割以上とされています。

また、お手入れ次第では「第二の永久歯」と呼ばれるほど長持ちする素材なのです。

他方、保険適応の義歯やブリッジはどうでしょうか。

状況によって諸説あるものの、一般的には、義歯で5年、ブリッジで7年といわれています。

周囲の歯に負担を与えない

インプラント治療では、治療を行う歯以外の歯へ義歯を取り付けたり、あるいは他の歯を削ったりするということはありません。

単独で自立し、天然の歯と同じような環境を再現できるところも、大きなメリットです。

自分の歯で噛んでいる感覚と近い

インプラントは顎の骨と非常に癒合しやすく、ぐらつきが少ないのが特徴です。

力を入れて噛むことができるので、今までは遠慮していた固い食べ物を食べることも可能です。

見た目が気にならない

インプラントでは他の歯を削らず、また他の歯にブリッジをかけることもありません。

自然なセラミックを装着して自分の歯とほとんど変わらない見た目にすることができます。

口元を気にして人と会話することを避けてしまうといったこともインプラントでは起こらず、自信につながります。

インプラント治療のデメリット

メリットの多いインプラント治療ですが、もちろんデメリットもあります。

コストがかかる

インプラントは一般的に保険適用外のため、例外の疾患以外は数十万円ものコストがかかります。経済的に余裕がないと治療するのが難しく、治療を開始するハードルが上がります。

手術が必要になる

インプラント治療は、人工物を体内に埋め込む手術です。

歯科医、麻酔科医、その人が持つ疾患の専門医、看護師などと連携して行われるのが、通常の歯医者での治療と異なるところです。

そのため、術前から準備にも時間がかかります。

治療期間が長い

インプラント治療はインプラントが骨となじむまでの時間を要します。

ときには数か月かかる場合もあります。

骨となじんでから2回目の治療を行う術式や、1回で済む術式など様々な方法がありますので、主治医から説明を受け、納得をしてから治療に進みましょう。

インプラント治療は、手術を終えたら終了というわけではありません。

長持ちさせるために定期的なメンテナンスを受け、問題がないか確認します。

通常はインプラント治療には治療後の保証がついていますが、メンテナンスに通うことが保証条件に含まれている場合がほとんどです。

インプラント治療のリスク

インプラント治療は手術であるためリスクを伴います。

ただし大前提として、「医師がお勧めする治療方法」である以上、これから述べる医療リスクはめったに起こりません。

また、そうならないよう、医師も全力を尽くしているはずです。

そのうえで、知識として把握しておきましょう。

神経損傷のリスク

インプラントを埋入するにあたり、三叉神経、舌神経、頬神経などの神経を損傷してしまうことがあります。

損傷してしまった神経を元に戻すことは難しく、神経麻痺が起こってしまった場合、治療に長期間を要します。

こうしたリスクを避けるため、通常は術前にレントゲンやCTで神経がどのように走っているか確認し、神経損傷が起こらないように努めます。

また、サージカルガイドのような器具を用いて、施術する穴の向きや位置を固定する歯科医院もあります。

大量出血

手術では動脈の付近をドリルで削ることもあるため、万が一動脈を削ってしまった場合、大量出血を起こします。

通常は圧迫することで止血されますが、それでも止まらない場合は電気メスで焼いたり縫合したりして止血します。

体内に異物混入

手術では、多くの機材を使用して治療を行います。

めったにありませんが、体内に手術器具を置き忘れたまま終了してしまうケースがあります。

特に上顎臼歯部でインプラントを埋入する部分を形成する際、インプラント体やカバースクリューが落ち込んだりしてしまうこともあります。

インプラント施術例の多い歯科医師や専門医を受診しましょう。

術後感染

手術は無菌状態で行われますが、完全に除菌できない場合、手術部位に感染症を起こすことがあります。

通常は抗生剤の投与によって治まりますが、炎症がとまるまで痛みや腫れを伴います。

インプラント周囲炎

インプラントや上部構造が虫歯になることはありませんが、清掃不良や咬合調整の不足などによってインプラント体周囲の骨が吸収してしまうインプラント周囲炎を起こすことがあります。

定期的なメンテナンスを受け歯科医師に確認してもらい、病態の悪化が起きないようにしましょう。

手術を行うこと自体が危ない場合

手術にはリスクがつきものということを説明しましたが、一部の疾患によっては、手術そのものを行わないほうがよいという場合もあります。

適応の可否は、術前の診断で把握できます。

糖尿病

糖尿病にかかっていると、治療後の感染リスクが高まります。

どうしても治療したい場合、インスリンや内服により血糖値を管理しながら術前術後を過ごします。

骨粗鬆症

骨が弱いと、インプラントが骨となかなかなじまず、治療が長引く可能性があります。

内服や注射によって骨を強めることは可能です。

出血傾向がある

血液がサラサラになるお薬を服用している場合や、先天的に出血しやすい疾患を持っている方は、手術時に出血を起こすリスクが高まります。

貧血

血液の中のヘモグロビンが極端に低いと、体に酸素を運ぶことが難しく、治療後になかなか傷が治らない場合があります。

極度の貧血がある場合は、輸血で赤血球を補充したり内服薬によって症状の改善を図ったりしてから手術に臨みます。

リスクがあるがメリットも多いインプラント治療

インプラント治療は大きな手術を要します。術前からしっかり診察を受け、少しでもリスクを減らしてから手術に臨むことで、術後の治療期間を短縮し、長期間歯の機能を保つことができます。

医院によりインプラント治療の方針や術式が異なるので、自分の好みや歯科医の技術を参考に、安心して手術が受けられる医院を選びましょう。

医院選びの目安として「施術数の多さ」があるものの、質より量を重視するようなスタンスは考え物です。

むしろ、丁寧な治療やアフターケアに配慮すればするほど、施術数は減るはずなのです。

最終的な目安は「その医師が信頼できるかどうか」。人間性や話し方にも着目してみましょう。

監修ドクターのコメント

インプラント治療を検討する際は、入れ歯やブリッジとの比較よりも、「現在および将来のお口に対して、どのようなことが求められるか」という観点から考えたほうが、より好ましい結果を得られると思います。
インプラント治療のめざすところは、自然に笑ったりお食事を楽しんだりできるような、ご自分の歯と同等の口腔環境を創り出すこと。
私たち医師からすると、「単なるモノ」ではなく「価値観」をご提供している自負がございます。治療の費用がその「価値」に見合っているかどうか、ぜひ、歯科医師から詳しいカウンセリングを受けてみてください。

 

監修ドクター:雨森 洋貴 歯科医師 トップスデンタルクリニック 院長

インプラントでおすすめの歯医者さん 関東編

トップスデンタルクリニック

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