インプラントの術式を解説
インプラントは、治療による効果を高める為にもひとりひとりの口腔内の環境に合わせて最適な方法を選択して治療を行う必要があります。そのため一言でインプラントといってもその術式には色々な種類があります。
この記事では、一般的なインプラントの術式である「1回法」と「2回法」についての詳しい解説やそれぞれの術式のメリット・デメリット、またその他の術式にはどのようなものがあるのかについて、Medical DOC編集部がお届けします。
この記事の監修ドクター:
矢野 隆嗣 歯科医師(矢野歯科医院 院長)
目次 -INDEX-
一般的なインプラントの術式は1回法と2回法の2種類
近年では医療技術の進歩と共にインプラント治療もさまざまなタイプの術式が誕生しています。その中でも最も普及している術式が、「1回法」と「2回法」とよばれる2種類の術式です。
この2つの術式の大きな違いは、その名の通り1回手術を行うのか、2回手術を必要とするのかという点です。どちらの方が優れた術式であるということはなく、個人の口腔環境によって適切な方法の術式が選択されます。
それでは1回法と2回法とはそれぞれどのような術式なのかについてみていきましょう。
1回法とは
1回法とは、歯肉を切開してインプラントを埋め込み、歯肉とフィクスチャーを交通させる手術を一度で完了する術式です。アバットメント(最終的な被せモノを連結するための部分)と上部構造(被せモノ)を連結するまでの外科手術を、1度の施術で完了することができる術式です。1回法の治療の流れは下記のようになります。
■1回法の治療の流れ
1,局部麻酔を行った後、専用のドリルを使用してインプラントと同じ太さの穴をあごの骨に開ける。
2,あごの骨にインプラントフィクスチャー(歯根部分)を植える
3,歯肉を縫合する。
4,3で行った部分に仮の蓋やヒーリングキャップを被せて歯肉を治療。
5,インプラントフィクスチャーがあごの骨としっかりと結合したら、土台を取り付け最終的な被せモノをして完成。
2回法とは
2回法は1回目の手術でインプラントフィクスチャーをあごの骨に埋め込み、一旦歯茎を閉じます。個人によって異なりますが、3ヶ月~6ヶ月ほど経過してインプラントフィクスチャーがあごの骨としっかりと結合したのを確認した後2回目の手術によってアバットメントを取り付けます。
そして2度目の手術から1週間ほど経過してから、歯の型を取り最終的な被せモノをして完成になります。2回法の治療の流れは下記のようになります。
■2回法の治療の流れ
<1回目の手術>
1,局部麻酔を行った後、専用のドリルを使用してインプラントと同じ太さの穴をあごの骨に開ける。
2,あごの骨にインプラントフィクスチャー(歯根部分)を埋め込む。
3,インプラントフィクスチャーを完全に歯肉の下に埋没させる。
<2回目の手術 3ヶ月~6ヶ月後>
4,歯肉を切除して仮の蓋を取り付ける。(この時切除する歯肉は1回目に比べると小さくて済みます)
5,切除した部分の歯肉が完治するのを待ち、土台を取り付け、歯の型を取り最終的な被せモノをして完成。
1回法と2回法のそれぞれのメリット・デメリット
ここでは1回法と2回法それぞれの術式のメリット・デメリットを説明します。前述のとおり、この2つの術式はどちらが優れているというものではありません。これから紹介するメリットやデメリットを考慮して担当医師と相談の上、自分に適した方法を選択することが大切になります。
1回法のメリット・デメリット
1回法のメリット・デメリットをまとめると以下の通りとなります。
■メリット
・1度の手術で済むので患者の体への負担が少ない。
・2回法に比べると治療期間が短くて済む。
・ケースにもよるが2回法よりも費用が安く済む。
■デメリット
・あごの骨がしっかりしていないと対応できない場合がある。
・2回法と比べると感染のリスクが高い。
2回法のメリット・デメリット
2回法のメリット・デメリットをまとめると以下の通りとなります。
■メリット
・幅広い症例に対応することが可能。
・1回目の手術の後に一旦歯茎を閉じるので感染のリスクを軽減できる。
■デメリット
・2度手術をする必要があるので患者の体への負担が大きい。
・1度目の手術後3ヶ月~6ヶ月ほど安静期間が必要なので、その間は歯がないことにより外見も含めて日常生活に支障がでる。
・作業工程が1回法と比べると複雑なので費用が割高。
1回法や2回法以外のインプラントの術式
一般的にはインプラント手術は、上記で紹介した1回法や2回法のどちらかで対応することが可能ですが、より高度な治療法や困難なケースに対応することができる治療法もあります。ここでは1回法や2回法以外にどのような術式があるのかについて紹介していきます。
フラップレス術式
フラップレス術式は最新のコンピューターシステムを用いたインプラント治療であり、歯肉を切開することなく行える術式です。歯肉を切開する必要がないので手術中、術後を含めて腫れや出血、痛みといった症状がほとんどありません。
また、歯肉を切開して縫い合わせる必要もないことから、従来の術式と比較すると大幅に時間を短縮できるという点が特徴です。
メスを使用することがないので患者さんの精神的な負担も軽減することができ、高血圧や糖尿病といった持病を持っている人でもインプラント治療が行えるといったメリットもあります。しかし、フラップレス術式は大変高度な技術が必要な術式であるので、十分な経験を積んだ医師による施術を受ける必要があります。
サイナスリフト
サイナスリフトはあごの骨の厚みが3㎜~5㎜よりも少ない時や多くの歯を失っているケースにも対応できる術式です。最初に骨移植のみを行い、3ヶ月から6ヶ月後にインプラント治療を行う方法です。治療が2段階になることもあって、最終的に治療が完了するまでには長い時間が必要になります。
All-on-4
All-on-4は、多数の歯を失ってしまっている人や総入れ歯の人にも対応できる術式です。最小で4本のインプラントで、すべての人工歯を支えることが可能な最先端の治療法です。従来の治療法に比べ患者の体や費用の負担を大幅に減らすことができ、治療期間も短くて済みます。
医療技術と共に進化を続けるインプラント術式
一般的なインプラント術式である1回法と2回法の詳しい解説やそれぞれのメリット・デメリットを中心に、最新の治療法までを紹介してきました。
一昔前まではインプラント治療というと、外科的手術が必要なことからもハードルが高いイメージがありました。しかし近年では医療技術や専用の機器の進化と共に、幅広い症例に対応できる術式が数多く誕生しています。
ただしインプラントはメンテナンスフリーでいつまででも機能するものではありません。
定期的なメンテナンスがご自分の歯よりも必要です。
インプラント治療を検討されている人は、まずは信頼できる歯科医とよく相談をして自分に適したインプラント治療の術式を選択するようにすることが大切です。歯科医院によっては、可能な術式が限られてしまうので、どのような術式に対応しているか、事前に調べておくとよいでしょう。
インプラント治療は、今後も続いていく先端技術であり、患者様にとってより良いライフスタイルをご提供させていただく上で、とても優れた治療方法といえます。ぜひ当医院にてお気軽にご相談ください。
監修ドクター:矢野 隆嗣 歯科医師 矢野歯科医院 院長
インプラント治療でおすすめの歯医者さん 近畿編
矢野歯科医院
電話番号 | 0774-44-7234 |
住所 | 京都府宇治市伊勢田町名木3-1-4 |
アクセス | 近鉄奈良線 伊勢田駅 徒歩約15分 |
診療時間 | 【平日】9:00~12:00/14:00~20:00(最終受付19:15) 【土曜】9:00~12:00 |
休診日 | 日曜日・祝日 |
URL | http://kyoto-yanoshika.com/ |