前歯のインプラント治療が難易度の高い理由
虫歯や歯周病や事故などにより、前歯を失ってしまったという方も多いのではないでしょうか。
読者の方の中には、失った前歯を補うためにインプラント治療を検討している方もおられると思います。
実のところは、前歯のインプラント治療は奥歯のインプラント治療に比べて難易度が高いといわれています。
今回は前歯のインプラント治療について、Medical DOC編集部がお届けします。
この記事の監修ドクター:
西原 昇 歯科医師 かみむら歯科矯正歯科クリニック 口腔外科担当
目次 -INDEX-
前歯のインプラント治療が難しい理由
前歯のインプラント治療は、奥歯のインプラント治療と比べてはるかに難易度が高いといわれています。
ここでは難易度が高い理由についてご紹介したいと思います。
歯の中でも目立ちやすい部分である
一般的に前歯といえば中切歯や側切歯、犬歯まで(中央から左右3本ずつ計6本)の歯を指すことが多いのですが、いずれも歯の中では特に目立ちやすい歯です。
そのため、前歯のインプラント治療には通常の歯に必要とされる噛み心地や機能性だけではなく、優れた審美性が求められます。
インプラントの人工歯の形状や色を他の前歯と厳密に合わせつつ、違和感のない自然な仕上がりを目指すためには、非常に高度な技術が必要です。
骨が薄い
噛み締める役割を持つ奥歯とは異なり、前歯は口に入れた食べ物を噛み切る役割を担っています。
そのため、食事のときでも奥歯のように大きな力が掛かる状況にはならないので、一般的に前歯を支える骨は奥歯を支える骨と比べて薄いことが多いようです。
インプラントは骨に埋め込むものですから、骨が薄ければ手術が難しくなりますし、インプラントの土台を保持する力も弱くなります。
特に前歯の場合、歯周病などにより顎の骨が溶け出すと、インプラントの金属の部分が露出することになり、見た目が非常に悪くなってしまいます。
そのために、骨の厚みを増やすための治療が必要になる場合があります。
歯茎が下がる
前歯を支えている骨は奥歯と比べて薄いことは前述したとおりですが、歯を支えている骨は歯茎にも影響を及ぼしています。
インプラント治療の過程で骨に影響を与え、それに伴って歯茎が下がってくると、インプラントの部分だけが他の健康な歯と比べて大きく見えるようになり、見た目に違和感が発生するようになります。
噛み合わせのバランス
前歯は口腔内に入れたものを噛み切る役割を担っていることは前述したとおりですが、もちろん前歯のインプラント治療の際にはしっかりと噛み切ることができるように治療をする必要があります。
そのためには、前歯の噛み合わせのバランスへの配慮が欠かせないでしょう。
噛み合わせが合っていないことで、噛み切ることが困難になったり、対向する歯を傷めたりする場合もあります。
絶妙なバランスの噛み合わせを実現することは、前歯のインプラント治療において非常に重要な要素です。
前歯のインプラント治療を受ける際のポイント
いままで、前歯のインプラント治療について、奥歯と比べて難易度の高い理由をご説明してきました。
ここからは、前歯のインプラント治療を受ける場合に気をつけるべきポイントを紹介します。
できるだけ早期に治療を開始する
何らかの事情で歯を失ったまま放置していると、症状によっては歯の根元が露出し、徐々に骨が溶け出す危険性を含みます。
インプラント治療は骨にインプラントを埋め込む必要がありますので、骨が溶ければ溶けるほど治療は困難です。
特に前歯は骨が薄い部分でもありますので、インプラント治療を検討している方はできるだけ早期の治療開始をおすすめします。
非金属の人工歯を選ぶ
人工歯には金属製の製品と非金属の製品がありますが、非金属の製品を使用することで歯茎の変色や金属が透けることを防止できます。
前歯のインプラント治療に対して高い審美性を求める方は、非金属のジルコニアやセラミックを選択することも一つのポイントです。
前歯インプラント治療の症例数が多い歯科医院を選択する
最近はインプラント治療を売りにする歯科医院が増えていることもあり、どの歯科医院で治療を受けるべきか悩まれる方も多いのではないかと思います。
選択基準の一つとして、自身の症例によく似た治療経験が豊富な歯科医院を選ぶことをおすすめします。
前歯のインプラント治療後に必要となるメンテナンス
たとえ前歯のインプラント治療が無事に終了した場合でも、継続したメンテナンスを実施する必要があります。
インプラントもきちんとしたケアをしないと歯槽膿漏になります(インプラント周囲炎)。
メンテナンスを実施せずにそのまま放置していた場合、インプラントの周囲に炎症が発生し、骨が溶けてしまうことがあります。
最悪の場合は、インプラント体が支えられなくなった骨から、抜け落ちてしまいます。
そうならないよう、炎症を発生させないための継続したメンテナンスが求められます。
メンテナンスの頻度と内容
前歯のインプラントに対するメンテナンスですが、基本的には3ヶ月から半年ごとをめどとし、定期的に実施することが望ましいとされています。
歯科医院で実施するメンテナンスには、プラークコントロールや歯茎の状態確認、レントゲンの撮影、検査と必要な処置などが含まれています。
メンテナンスを適切に実施することによって、結果的にインプラントを長持ちさせることができます。
自宅でもできるメンテナンス
前述のメンテナンスは歯科医院でなければ実施できませんが、一番重要なのは患者さん自身で行うメンテナンスです。
日々の歯磨きの際、インプラントの周囲を歯ブラシだけではなく、歯間ブラシやデンタルフロスを使用して丁寧に磨くことで、インプラント周囲の炎症を抑えることができます。
ご自身にあった清掃の仕方は歯科医院で教えてもらうことができます。
天然歯以上にこまめなメンテナンスが必要
天然歯の根と骨の間には歯根膜という組織があります。
この歯根膜は虫歯菌や歯周病菌に対する抵抗力を持っているといわれていますが、インプラントの歯には歯根膜がありません。
そのため、インプラントの歯は細菌に感染した場合の抵抗力が弱く、炎症に対しても天然歯以上に進行が早いと考えられています。
よって、インプラントの歯であっても、今まで以上にメンテナンスに力を注いでいただく必要があります。
前歯のインプラント治療には充分な配慮が必要
前歯は食べ物を噛み切るだけではなく、会話や外見に対しても大きな役割を担っています。
そのため、前歯のインプラント治療を実施する際には、審美性や噛み合わせなど奥歯のインプラント治療とは異なった様々なポイントに配慮する必要があります。
いずれにせよ、前歯が欠けている方や歯周病に困っている方などは、前歯のインプラント治療を検討する価値は十分にあると思います。
そのためにも、今回紹介した治療やメンテナンスに関するポイントを今一度振り返り、慎重に判断していただきたいと思います。
最近では前歯のインプラント治療に関する不安や疑問などに答える無料カウンセリングを実施している歯科医院も多々ありますので、分からないことは気軽に質問してみることをおすすめします。
歯の中でも特に目立ちやすい前歯を失った場合、見た目の上で天然歯と遜色のないインプラントは、常に治療選択肢の上位へくるでしょう。
交通事故やスポーツ外傷による欠損、虫歯を原因とする抜歯など、あらゆる症例で適応できます。
ただし、唯一無二の手段かというと、けっしてそうではありません。
症状や患者さんの希望も考慮しながら、最適な治療計画をご提案します。
当院の場合、インプラント担当医師である私が口腔外科専門医であり、単純な症例から複雑な症例まで、より安心できる治療をご提供できると思います。
前歯の見た目でお困りなら、一度、「どのようなことができるのか」という説明だけでも受けてみてはいかがでしょうか。
監修ドクター:西原 昇 歯科医師 かみむら歯科矯正歯科クリニック 口腔外科担当
インプラントでおすすめの歯医者さん 関東編
かみむら歯科矯正歯科クリニック
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