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歯のインプラントを入れているとMRIを受けられないのは本当?

 更新日:2023/03/27

身体の不調を調べるために、MRIでの検査が必要なときがあります。しかし、インプラントを入れていると、MRIを受けられないという噂があるのをご存知でしょうか。検査をしたいのにそれは困る……、でもインプラントを外すってなんだか大変そう。インプラントにまつわる噂の真偽について、都立家政南口歯科の來山先生を取材しました。

來山先生

監修歯科医師
來山 修三(都立家政南口歯科 院長)

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大阪大学卒業後、東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科う蝕制御学分野に入学。2007年〜2008年、キングス・カレッジ・ロンドン歯学部大学院に留学。東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科う蝕制御学分野修了後、香港大学歯学部大学院インプラント科を修了。都内にて勤務後、中野区に「都立家政南口歯科」を開院。患者さんが歯のことで悩まず、楽しい食生活や人生を送れるように取り組んでいる。

MRIを受けられない原因は、インプラントそのものではなく磁石にあった

MRIを受けられない原因は、インプラントそのものではなく磁石にあった

編集部編集部

インプラントがあるとMRIを受けられないのは本当ですか?

來山先生來山先生

そのようなことはないですよ。インプラントをしていても、問題なくMRIを受けることはできます。

編集部編集部

では、なぜ「インプラントがあるとMRIを受けられない」という話を聞くのでしょう?

來山先生來山先生

MRIは、Magnetic Resonance Imaging(磁気共鳴画像診断装置)の略で、強い磁石と電波を利用して体内の状態を断面像として描写する検査です。MRIは強力な磁場を発生させ、巨大な磁石となります。そのため、磁石に反応する金属があると、金属が引き寄せられてしまう事や、破損したりしてしまう事があります。ですので、MRI検査を行う際には、金属を外すよう指示されます。しかし、インプラントに使用する金属(チタン、チタン合金、チタンジルコニア合金など)は、磁場の影響をほとんど受けません。よって、インプラントがMRIによる画像診断に影響を及ぼすことはありません。

編集部編集部

ということは、「インプラントがあるとMRIを受けられない」は間違っていると?

來山先生來山先生

インプラント自体はMRIに影響を及ぼしませんが、インプラントの上に磁石を装着する事があり、この磁石はMRIに影響を及ぼします。ここで使用される磁石は、インプラントを使用して入れ歯を安定させるためで、インプラントオーバーデンチャーと言われます。インプラントオーバーデンチャーでは、入れ歯の中に磁石を組み込み、インプラントの上にも磁石を装着します。これら2つの磁石が引き合って、入れ歯がパチンとはまり、入れ歯を快適に使用する事ができます。

編集部編集部

磁石があるとMRIにどのような影響を及ぼすのですか?

來山先生來山先生

強い磁場により磁石が動いてしまい、撮影した画像が乱れる可能性があります。

検査前に歯医者で磁石を外してもらおう

検査前に歯医者で磁石を外してもらおう

編集部編集部

では、もし磁石を入れている場合、MRI検査を受けられないのでしょうか?

來山先生來山先生

そんなことはありません。インプラントの上に装着している磁石は、簡単に外すことができます。1回診察にきてもらえば大丈夫です。もし事前に検査がわかっているのであれば、撮影前に歯医者さんで外してもらいましょう。撮影後も簡単に元に戻すことができます。

編集部編集部

インプラントに入れ歯を装着するには、磁石を入れる方法しかないのですか?

來山先生來山先生

磁石ではなくゴムを使うこともあります。どちらを選ぶかはフィット感や歯医者の先生の好みもあるでしょう。

編集部編集部

磁石にはどのような特徴がありますか?

來山先生來山先生

磁石はしっかりと入れ歯を固定できる部分が魅力です。ただ、何年か使うと磁力が弱くなることもあるので、その場合は交換が必要となります。

インプラントに使用するのはチタン

インプラントに使用するのはチタン

編集部編集部

話を戻します。インプラント自体はチタンを使うことがほとんどなのですね。

來山先生來山先生

そうですね。現在はチタン、またはチタン合金が使われています。歯を失ったところにチタン素材の人工歯根を入れて、その上に人工の歯をかぶせていく治療です。入れ歯よりも違和感がなく、食べるのが楽になったと言う人も多いですね。

編集部編集部

どうしてチタンが多く使われているのですか?

來山先生來山先生

チタンは生体に異物として認識されず、骨と完全に結合します(ちなみに金など他の金属は骨と結合しません)。そのため、60〜70年前から人工歯根として使用されています。また、チタンはアレルギーが起きる頻度も少なく、安全に使用できます。

編集部編集部

では、MRIを受ける際は、インプラントに磁石をつけてなければ問題ないのですね。

來山先生來山先生

そうですね。インプラントをしていない方でも、入れ歯を安定させるために、自分自身の歯に磁石を装着して、その上に、磁石が埋め込まれた入れ歯をはめて使用していることもあります。その場合は、自分の歯に装着されている磁石を外さなければ、MRIによる影響は出ると思われます。一方、インプラントに磁石が装着されているのであれば、簡単に取り外しができるので問題ありません。不安な場合はインプラントや入れ歯の治療前に、よく相談してみてくださいね。

編集部まとめ

MRIを撮影する際に問題があるのは、インプラント自体ではなく、インプラントに装着する磁石のほうでした。磁石が体内にあるとせっかく撮影をしても、画像が乱れることも。インプラントにつけた磁石であれば取り外しができるので、検査が決まっている人は歯医者さんで事前に相談するとよいでしょう。

医院情報

都立家政南口歯科

都立家政南口歯科
所在地 〒165-0032 東京都中野区若宮3-17-6 メゾンドグリシーヌ1F
アクセス 西武新宿線「都立家政駅」 徒歩1分

診療科目 歯科

この記事の監修歯科医師