抜け毛や薄毛が気になり始めると、同時に人の目も気になるようになり、ストレスを強く感じる場合も多いかと思います。本記事ではそうした方のために、抜け毛の種類から、脱毛症の予兆、原因、予防法について詳しく解説します。
抜け毛とは
なんとなく抜け毛が増えたように感じても、その段階ですぐに医療機関を受診するという方は少ないのではないでしょうか。しかし、その状態を放置していると、気づいた時には薄毛や抜け毛が進行してしまっている可能性があります。脱毛症の発症に気づくためのポイントや、抜け毛の種類について説明するので参考にしてください。
- なんとなく抜け毛が多いような気がします。どこからが要注意ですか?
- 抜け毛が気になる場合、まずは実際に抜け毛が増えているかどうかを確認してみましょう。1日には50本から100本の髪の毛が自然に抜けますが、脱毛症が進行すると1日に100本以上が抜けることがあります。枕や風呂場の排水溝に異常な量の抜け毛が見られる場合は、注意が必要です。また、髪の質も変わります。健康な髪は太くて長くコシがありますが、脱毛症によって抜ける髪は細くて短いことが特徴です。
- 抜け毛にはどんな種類がありますか?
- 抜け毛にはさまざまな種類があり、その中でよく広告などで目にするのが男性型脱毛症(AGA)です。AGAの特徴は、頭頂部や前頭部から髪が薄くなり、M字型やU字型の脱毛パターンが見られることです。この症状には遺伝的な要因とホルモンの異常などが関与しています。
休止期脱毛症は、ストレス、病気、出産、栄養不足などが原因の脱毛症です。一時的に抜け毛が増え、数カ月後には症状が改善されることがあります。円形脱毛症は、主に免疫機能の異常が原因で、円形または楕円形状に髪が抜ける疾患です。場合によっては全体の髪が抜けることもあります。女性男性型脱毛症は、女性が男性型脱毛症に似た脱毛パターンを示す状態で、女性ホルモンの変化によって起こります。これらの種類は複雑に絡み合うことがありますので、抜け毛の症状が気になる場合は、医師に相談することが大切です。
抜け毛の原因
ここでは、抜け毛の原因や抜け毛になりやすい方の特徴について紹介します。
- 抜け毛の原因は何ですか?
- 抜け毛の発症には、主に4つの原因があります。
一つ目は、生活習慣の乱れです。運動習慣が十分でないと血行不良を引き起こし、毛根に必要な栄養が行き渡らなくなります。また、適度なタンパク質の摂取が髪の成長や調子を整える上で重要なため、栄養のバランスを欠いた食事は毛髪の成長を妨げる可能性があります。
二つ目は、季節的な要因です。季節の変わり目は体調を崩しやすくなりますが、毛根の健康にも影響を与え、抜け毛が増える傾向があります。花粉アレルギーがある場合も、頭皮の不調を引き起こす可能性があります。
三つ目はストレスです。ストレスは自律神経やホルモンバランスの乱れ、自己免疫疾患の発症に関与し、これが脱毛症を引き起こす要因となります。
最後に、シャンプーやドライヤーの使い方が挙げられます。肌に合わないシャンプーを使用すると頭皮が荒れやすくなります。また、ドライヤーの過度な使用は頭皮によくありませんが、一方でぬれた状態のままでいることも菌の繁殖につながり、抜け毛を促進します。
- 抜け毛が起こりやすい人というのはいるのですか?
- 生活習慣が乱れている方は注意が必要です。前述したように、運動不足や栄養バランスの悪い食事が毛髪の健康に悪影響を与えることに加え、睡眠不足も抜け毛の原因となります。髪の成長や頭皮の新陳代謝は成長ホルモンによって調整されますが、睡眠の質が低いと成長ホルモンの分泌が妨げられてしまう可能性があります。また、抜け毛は遺伝とも深く関連しています。家族や身内に薄毛の方がいる場合、脱毛症を発症する確率が高まります。これは、5αリダクターゼの活性度や男性ホルモンレセプターの感受性などが遺伝情報として引き継がれることが原因とされています。
抜け毛の予防
毛髪の健康も身体の健康と同じように、規則正しい生活を送ることが大切です。そのほか、洗髪の仕方や頭皮マッサージの重要性、抜け毛予防に必要な成分について解説します。
- 日々の生活で抜け毛予防のためにすることはありますか?
- 抜け毛を予防するためにはいくつかの方法があります。まず、規則正しい生活習慣が重要です。十分な睡眠やバランスの取れた食事、適度な運動を心がけ、ストレスを発散させましょう。これによって、全身の健康だけでなく、髪の健康もサポートされます。また、正しくシャンプーを使うことも抜け毛予防につながります。
シャンプーの原液を直接髪につけてしまうと刺激が強いため、手で原液を泡立ててから洗髪する必要があります。頭皮や髪に必要な保湿成分を含んだ製品を使用することも、髪を健やかに保つことにつながります。さらに、頭皮マッサージも毛髪の成長に良いとされています。優しく指の腹を使って頭皮をマッサージすることで、血行が促進され、髪に栄養が行き渡りやすくなります。これによって、抜け毛の予防や髪の成長促進が期待できます。
- 抜け毛予防に取りたい成分や避けたい成分はありますか?
- 髪の健康を維持するためには、ケラチンやビタミン、ミネラルの十分な摂取が重要です。バランスの取れた食事やサプリメントを通じて補給するようにしましょう。一方で、過剰なリン酸塩の摂取は頭皮の乾燥や髪のパサつきを引き起こす可能性があり、抜け毛の原因となることがあります。食事やヘアケア製品の選択においては、リン酸塩を避けることで髪の健康をサポートできます。なお、サプリメントは医薬品ではなく、あくまでも身体の栄養を補助するものです。そのため、毛髪を増やしたり抜け毛の進行を抑えたりする作用は期待できません。
抜け毛の治療
抜け毛治療を行っている医療機関は、皮膚科や内科、AGAを専門としているクリニックなどです。
- 抜け毛が気になったらどこで診てもらえばいいですか?
- 抜け毛が気になる場合、まずは皮膚科や内科で診察を受けましょう。これらの医療機関では、健康状態や頭皮の状態を診断し、必要に応じて治療方法やケアの仕方を提案してくれます。また、薄毛や抜け毛に特化した専門クリニックを受診することも選択肢の一つとして視野に入れましょう。脱毛症に詳しい医師が患者さんの髪の状態を詳細に診断し、いくつかの治療プランを提案してくれます。また、再生医療などの新しい治療を行っているクリニックもあります。
- どのような治療を受けるのですか?
- 抜け毛や薄毛の治療法にはいくつかの選択肢があります。ミノキシジルやフィナステリドは薬物治療の一つです。発毛を促進させたり薄毛の進行を抑えたりするなどの作用が期待されます。また近年、再生医療も注目を集めています。専門クリニックでは、患者さんの血液を利用した成分を頭皮に注入する治療が行われています。これにより、毛根の活性化や血行改善を促進し、発毛をサポートします。治療法はいくつかありますので、診察やカウンセリングを通じて、自分の状態に合った治療法を見つけることが重要です。
編集部まとめ
最後までご覧いただき、ありがとうございます。薄毛の原因やケアの仕方、治療法の多様性について理解いただけたかと思います。薄毛の発症は予測がむずかしいため、日ごろのケアが重要であり、すでに薄毛が進行している方はクリニックをよく検討することも大切になります。
参考文献